ヴァンドレッド the second stage連載「Eternal Advance」




Chapter 24 "Men and Women"






Action78 −両後−








 母艦の捜索を終えたカイ達は自分達の目的を叶えるべく、別行動を取ることになった。

まずミスティは母艦に残り、地球に関する真実を突き止めるべく情報収集を続ける。

カイ達が捜索を行った後ではあるが、ユメから教えられた情報を元に再度調べ直す事にしたのだ。


真実を全てを明るみにするというよりも、何が間違えているのか証明する為に。


『えー、ユメはますたぁーと一緒に行動したいのに』

「お前から教わった情報は重要だし、地球側が所有するオリジナルのペークシスであれば、母艦の構造や内部事情にも詳しいだろう。
タラークやメジェールの教えを是正すれば、こちらの味方になってくれるかもしれないし、決戦でも有利になる。

お前が切り札だ、頼んだぞ」

『うん、まかせて!』

「……チョロい子ね」


 敢えてカイは口には出さなかったが、掌握したとはいえ母艦はもともと地球側の主戦力でもある。

決戦ではこちらの戦力として出撃させる見込みだが、ウイルスでシステムダウンさせたとはいえ何が起こるか分からない。

ユメさえいればシステムへ干渉もできるし、母艦にある地球側にとって重要な情報も盗み出せる可能性が高い。


そういった意味でも、ユメの存在はミスティには欠かせない。


「お姉様は出ていってしまったけど、一人で大丈夫かな……」

『ガスコーニュの船にはステルス機能があるし、今のところ見つからずに出ていけたようだけどな』


 メイア・ギズボーンは積極的な策を進言し、母艦を出てマグノ海賊団のアジトへ向かった。

話し合いを終えた彼女はガスコーニュのデリ船に乗り込み、ステルス機能を使用してタラークやメジェールの監視網を潜り抜けていったのである。

ガスコーニュの船にも武装はあるが、流石にドレッドや蛮型に比べて武装は少ない。


タラークやメジェールの軍船にでも見つかれば、下手をすれば撃墜されてしまうかもしれない。


「仲間を信じよう、と言うのは簡単だが、何かあった場合に備えておくよ」

「頼むわよ。お姉様の命を最優先ね」

「俺のことも気遣えよ、お前は……」


 そして肝心のカイはメイアと一緒には行かず、ニル・ヴァーナに帰って決戦の準備を行う。

カイは元々ドゥエロ達と同じくタラークから旅立った身の上だが、彼らとは出自が異なる。

士官候補生の彼らは堂々と凱旋できるが、彼は労働民としてタラークの元軍艦であるイカヅチに乗船したので、経緯を探られると厄介である。


よって彼はペークシス・プラグマに隠れる形で、船に残ることにしたのだ。


「決戦に備えるのはいいけど、具体的にどうするのよ。武装解除されているんでしょう」

「機関士のパルフェが母艦のシステムを調査と分析、エンジニアのアイがヴァンガードやドレッドの復旧を行っている。
俺はソラもいるし、ニル・ヴァーナをどうにか出撃できるようにしておこうと思う」

『お任せください、マスター。万全の態勢を整えられるようにいたします』


 マグノ海賊団も、ドゥエロ達もそれぞれの因縁に向き合って、役目を果たそうとしている。

そんな彼らが帰れる場所を用意しておくのが、切り札として残ったカイの役目だった。

そもそもいずれ必ず地球人達が攻めてくる以上、悠長に待ち構えている場合ではないのだ。


すぐにでも動けるように、今からでも準備して置かなければならない。


「今頃みんな、大丈夫かな……
お頭さん達は捕まってるし、ドクター達は嘘並べて帰ったけど、副長さんの事もあるし……」

「元々みんな、脛に傷を持つ連中ばかりだったからな。故郷へ凱旋なんて無理な話だったのさ」


 もしもタラークやメジェール軍が待ち構えておらず、カイ達が無事に両惑星へ帰れていたとしたらどうだっただろうか。

まずマグノ海賊団はそもそもメジェールに追われている立場であり、故郷から追い出されているので帰れない。

ドゥエロやバートは客観的に見れば海賊達に襲われた挙げ句行方不明になった身の上だが、真実を話せない以上結局故郷を黙して帰るしかない。


となればどの道、取るべき道は今のように困難でしかなかったかもしれない。


「あたしだって皆のことは信じてるし、信じたい。でもやっぱり今の皆は故郷にある意味縛られていてなかなか動けないと思う。
だからこそあたしやあんたのようなはみ出し者の出番だと思う」

「……おい、俺も一応タラークの身の上なんだが」

「あくまで一応でしょう。あたし、あんたの事は自分と同類だと思ってるから」


 立場や環境こそ違えど、ミスティはカイに同類の匂いを感じていた。

恋人だの家族だのとは違う感情ではあるが、とても近しい気配を感じている。

口喧嘩に多いが、一緒に行動することも多い。何かと気が合っていて、考え方も近しい。


故郷へ向かう旅路の中でミスティが拾われたのは、運命だったかもしれない。

















<to be continued>







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