ヴァンドレッド the second stage連載「Eternal Advance」




Chapter 24 "Men and Women"






Action74 −阿瀬−








第一世代は支配側、第三世代以降は支配される側――そして第ニ世代は存続側の立場。

カイの育ての親であるマーカスは、この第2世代に位置している。

タラークで反地球活動を行うべく、協力者を求めるドゥエロとバートはカイが生まれ育った酒場を訪ねていた。


この一年間の旅を経て経験した事項、手に入れた情報を共有している。


「第ニ世代の事は分かりました。ここから先は表立って出来ない話となりますが、よろしいですか」

「祖先の星についてやべえ話を聞いたばかりだ、今更遠慮はいらねえよ。
ここは趣味でやってる酒場だ、馴染の客や物好きな連中しか来ねえ」

「ありがとうございます。お聞きしたいのは第一世代の事です」


「ド、ドゥエロ君、それは……」

「たとえ親といえど、神に近しい存在であれど、誤っているのであれば正さなければならない」


 固唾を呑んで口にするバートに対して、ドゥエロは決然とした顔をしている。

最高権力者グラン・パを含む第一世代。

士官候補生ある彼らからしても仰ぎ見るしかない存在であり、タラークにおいては象徴とも言えた。


カイの父親であるマーカスは第ニ世代だが、それでもおいそれと話題にできない。


「――タラークにおける第一世代は創始者であり、グラン・パを含む八名がいる」

「"八聖翁"、ですね」

「そうだ。お前らは士官学校出身という事は一等民だな。
一等民は、最高権力者グラン・パを含む八名の第一世代「八聖翁」の遺伝子を正式に受け継いでいる」


 バート・ガルサスは祖父を尊敬しているが、人格面以外にも血筋による栄光も大きい。

第一世代「八聖翁」の遺伝子を正式に受け継いでいる者たちは、血統から優れているとされている。

軍事国家であるため軍人の身分が高く、士官学校出身の軍人は一等民のみで固めている最たる理由であった。


マーカスはカップに酒を注いで話す。


「このタラークは軍事国家として成り立っているが、帝国主義に基いた身分制度が存在している。
カイの奴は三等民だが、労働階級は居住区の出入りから制限されており、生産・製造業を始めとする作業に生涯従事させられる。
タラークの全国民は身分証明用のID携帯が義務付けされており、一等民は短剣を模した構造、三等民はカード構造といった具合で区別する。

こうした社会体制が、地球からの教育を徹底する土台となっている訳だ」

「その仕組を形成したのは第一世代「八聖翁」なのですね」

「どこまで地球と通じているかまでは分からんが、タラーク建国時に男女の区分けを行ったのは地球からの指示だろうよ」


 国民全員を洗脳するには、国家の土台から整えなければならない。

そもそも地球人は男女の環境で成り立っていた為、男と女を断絶するのは本能的にも厳しい。

生物の根幹を否定する形となるので、世界観からして逸脱しなければならない。


異常な価値観を成り立たせるには、異常な環境を正常に運営しなければならないのだ。


「男性だけの軍事帝国を成立させるべく、子供は意気統合した男性同士が遺伝子を掛け合わせた後で保育プラントから誕生する。
こういった環境を整える意味で、第一世代もまた最たるものとしなければならない。

お前らはカイの存在を知っているのであれば、疑問に思ったことはないか」

「……カイが地球人であると仮定すると――『コールドスリープ』」

「その通りだ。「八聖翁」の他にタラークに辿り着いた移民船団当時の連中は、コールドスリープで眠りについている」

「! まさか、それって……」

「地球のやり方に賛同する者達が集った世代、それが第一世代「八聖翁」の正体と俺は見ている。
他の連中は今も眠りについている理由は、植民船で地球を出て他の惑星へ向かったことからも推察出来るだろう。

お前らがもしこのタラークをひっくり返し、八聖翁を相手に戦うのであれば――味方になってくれるかもしれないぞ」


 「八聖翁」の他にタラークに辿り着いた移民船団当時の人々は、コールドスリープで眠りについている。

その理由がもし本人達やコールドスリープ装置によるものではなく――


眠らされているのであれば、どうだろうか。

















<to be continued>







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