ヴァンドレッド the second stage連載「Eternal Advance」
Chapter 24 "Men and Women"
Action71 −亜土−
次の目標が決まったところで、今回の行動成果を互いに報告し合う。
謎の存在だったユメの正体と目的が判明、ミスティの行動目標としてタラークとメジェールの秘密を公にすることを決意。
母艦に関するシステムと兵装は現在も稼働、次なる目的として海賊のアジトへ戻りかつての仲間達と合流する。
少し無理をして母艦へ潜り込んだが、予想以上の成果を出せたと言えそうだ。
「どうなることかと思ったけど、マグノばあさん達と別行動した甲斐があったな」
「ああ、我々が出したこの成果が今後の戦いの鍵を握っていると言える」
カイとメイアが頷き合った。
タラークとメジェール両軍を相手に無条件降伏した状況だが、事態はまだ瀕してはいない。
無条件降伏したからこそ両者に犠牲は出ずに済み、状況を整理して態勢を立て直す時間を稼ぐことが出来た。
思い切った判断ではあったが、お頭マグノが出した決断が次に生きた。
「現状ニル・ヴァーナと母艦は見張られている状況ではあるが、ガスコさんの船を使えばステルス機能で脱出することは出来る。
私はアジトへ戻るつもりだが、お前達はどうする」
メイア・ギズボーンは積極的な策を進言したが、命令はしなかった。
カイやミスティ達は海賊ではないという点を差し引いても、メイアはカイ達に意志を確認する。
お互いに持ち寄った情報により、明るみになったのだ。
自分達は共に行動しているが、意志は共有していないのだと。
「お姉様の故郷にはすごく興味がありますし、一緒に行きたいけど……あたしはここに残ろうと思います」
「……ジャーナリズムとやらか」
「はい、この母艦には刈り取りに関するネタがある。
ここから持ち出せば地球の悪意が明るみとなり、タラークとメジェールの矛盾を正すことが出来る」
タラークとメジェールの思想は、創設者である第1世代によって成り立っている。
彼らの教えが絶対であるからこそ、どれほど歪つであろうとも真実として成り立っていた。
しかし地球が狂っているのであれば、第一世代もまた間違えていることになる。
真実が明るみになれば、虚飾は剥がれ落ちるだろう。
「あいつらの洗脳は徹底しているぞ。俺達だって男女のことを知るのに一年かかった。
お前が全てを明るみに出したとしても、ひっくり返せるのか」
「刈り取りなんて悪魔の所業よ。男が女を鬼だと思い、女は男をバケモノだと思っている。
その実態は地球の姿なのだと分かれば、彼らの敵意は地球に集中する」
「なるほど、両国の洗脳を無理に正さずに是正するということか」
タラークとメジェールは何もかも間違えていたと否定するのではなく、何が間違えているのか証明する。
カイの指摘通り、今まで信じていたことが何もかも違っていたと言われても、急には受け入れられない。
人は正論を言われても、素直に聞き入れられる者ばかりではない。信じていたことを否定されるのは辛い。
だから今まで敵だと思っていたのが何だったのか、その点を明らかとするのだ。
「あんたはどうするのよ」
「青髪の仲間に興味はあるけど、いきなり男が押しかけると混乱させそうだからな……
ニル・ヴァーナに戻って何かあったら戦えるように準備しておく。
今身内でもめてるけど、刈り取りの連中が今もこっちへ来ているからな」
タラークとメジェールが敵対しているせいでそちらへ注意が行きがちだが、地球は今も大挙してこちらへ向かっている。
本来であれば一刻も早く結束しなければならないのに、身内で揉めている状態なのだ。
地球からすれば願ったり叶ったりの状況であり、カイ達からすればバカバカしい限りだった。
カイとミスティの決断に、メイアは満足そうに頷いて立ち上がる。
「ユメはミスティを、ソラはカイの支援を行ってやってくれ。
機関士のパルフェが母艦のシステムを調査と分析、エンジニアのアイがヴァンガードやドレッドの復旧を行う」
「お前一人で行くのかよ、大丈夫か」
「ガスコさんの船にも武装はあるので、いざとなっても大丈夫だ。単独行動はお手の物だからな」
メイアは珍しく冗談めかしていった。
単独行動、かつては率先して行っていたのに、今ではもう随分一人で行動していない。
カイやミスティと一緒にいても全く苦にもならず、頼もしささえ感じている。
自分にさえこういう変化が起きている。タラークやメジェールもきっと変えられる。
そう信じている。
<to be continued>
|
小説を読んでいただいてありがとうございました。
感想やご意見などを頂けると、とても嬉しいです。
メールアドレスをお書き下されば、必ずお返事したいと思います。
[ NEXT ]
[ BACK ]
[ INDEX ] |
Powered by FormMailer.