ヴァンドレッド the second stage連載「Eternal Advance」




Chapter 24 "Men and Women"






Action64 −波根−








カイとの出会いから始まった旅は、男女関係の始まりでもあった。

苦労の多い日々ではあったが、輝いていた。命懸けであったからこそ、日々の時間が尊かった。

道中何度も刈取兵器に襲われていたが、今になって思うと敵というより障害といった方がいいかもしれない。


命令されるだけの兵器よりも、敵か味方か分からなかった女の存在の方が強烈だったから。


「……なるほど、とりあえず話は分かった。
正直理解はまだ追いつかねえだが、俺の所に持ってきたのは正解だったな。

一応聞いとくが、政府には話を通してないんだろうな」

「政府側も敵に通じているというのが、我々の見解です」

「地球人だからな、当然だろうよ」


 マーカスのある種ふてぶてしい態度を目の当たりにして、ドゥエロは賭けに勝った事を自覚した。

記憶喪失だったカイを拾った、年配の男性――カイの話通りの年齢であれば、第2世代の存在だろう。

第1世代はグラン・パを始めとした政府中枢の者達で、固められている。


地球の出身者であり、タラーク・メジェールの創生者――だが、地球からの植民船に乗っていたのは、第一世代だけではない。


「お前らはどうやらピンときているようだから話すが、見ての通り俺は第2世代の人間だ。
第1世代の関係者――であればデカい面も出来るんだが、俺はいわゆる遺児というやつだ」

「遺児――まさか植民船に眠っていたという、コールドスリープの?」

「俺以外にも何人かいたみてえだが、生憎と把握はしてねえな。
地球の連中は種を残すことができなくなっちまった分、種の存続ってのに拘っていてな。

地球のために働く連中とは別に――地球の存続の為に遺伝子を残す目的で、船に載せられた者がいる。それが俺だ」

「なるほど、種の保存用に誕生した世代。それが第2世代の生まれた意味ですか」


 地球は自力で種の存続が行えない。だから刈り取りという凶行を犯して、他者から奪い取ろうとする。

植民船団より誕生した数多の惑星は臓器培養の為にあったが、一方で別の目的のために世代を用意した。

いわゆる種馬目的であり、地球人という存在を残すべく生成された世代。


第一世代は支配側、第三世代以降は支配される側――そして第2世代は存続側の立場。


「第二世代はいわゆる地球の洗脳は受けてねえ。
生きていれば、というより存在していればいいからな、教育ってのがそもそも必要ねえのよ。

地球による刷り込みも意味ねえから、あくまでタラークに根付くのが目的になっているな」

「なるほど、我々第三世代は消耗品。地球のため、タラークのために教育が必要。
だが第二世代は存続が目的、第一世代に近いのもあって下手な教育は逆効果となるのですね。

あなた方は自由が許されているのですか」

「自由というのは語弊がある。
あくまで宛てがわれた惑星に生きてさえいればいいんだから、放し飼いに近いな。

余計な事をしないように、俺らを飼い殺しにしている」


 地球に近しい世代なので邪険に出来ない。

けれど重用する目的で生み出した世代ではない。


その結果が自由という処置であった。


「第一世代が地球の言いなりなのは知ってたが、まさか地球までそんな暴挙に出るとはな」

「ご存じなかった、と?」

「いや、少なくとも第1世代がこの惑星を発展させる気がないってのは掴んでた。
タラークはメジェールを討伐することに躍起になり、内政を含めてテラフォーミング関連にも全然着手しねえ。
自分の足元がおぼつかねえのにやる気を出さねえってんなら、それこそ地球に帰属するか何かだとは勘ぐってたよ。

ただお前らが掴んだ刈り取りなんて言う暴挙にまで出るなんて、流石に思わねえよ」


 第二世代ならではの感性に、ドゥエロは感心する。

外側ではなく内側、タラークという国の内情を顧みての考え方。

たしかにこの軍事国家には発展性というものがない。メジェールを倒すことばかり考えていて、タラークを発展させようという気がない。


第三世代では想像が付きづらい見方――改めてこの世代の協力が必要だと、思い知る。

















<to be continued>







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