ヴァンドレッド the second stage連載「Eternal Advance」
Chapter 24 "Men and Women"
Action59 −正色−
ユメという存在が地球側が所有するペークシス・プラグマであり、オリジナルのみに宿る精霊である事が判明。
ペークシス・プラグマ同士の交感を行うことは出来るが、行き来が可能なのはあくまで精霊のみ。
地球人がマグノ海賊団側のペークシス・プラグマを行き来して、直接乗り込んでくる真似はできないとまで分かった。
ここまで聞けたからには、きちんと問い質すことが出来る。
「ユメが交換させないようにしているのなら、逆にあたし達がペークシス・プラグマを行き来して向こうに行くことは出来るの?」
「無理。ますたぁーなら可能かもしれないけど」
「何でこいつだけならありえるのよ」
「交感しているといったでしょ、ソラの許可もいるよ。
一応言ってくけど、ユメよりソラのほうが、えーと……人間で言う、でりけーとなのよ」
ミスティの険しい顔にも、ユメは涼しい顔をして返答する。
ソラはユメと違って人間相手に邪険にこそしないが、これまでの行動を見ると確かにカイの仲間だから協力している節がある。
他人を邪険にこそしないが、ソラは徹底した観測者なのだろう。今もまだ、人の営みを探っている。
そんな彼女が、自分の深淵にまで他者を招いたりはしないということだ。
「まあペークシス・プラグマを使って相手の本拠地に乗り込むというのは無謀だな。
直接乗り込んでこないだけでも御の字だろう」
「それもそうね。じゃあ、こういうのは出来るの?
例えばあんたが地球側のペークシス・プラグマなら、相手にエネルギー供給するのは止めるとか」
「それやると、ユメも停止しちゃうんだけど」
「――あ」
これはミスティの失言というよりも、先走りである。
夢の正体が地球側のペークシス・プラグマである事が判明したため、焦って頼んでしまった。
ユメを精霊ではなく、ペークシス・プラグマという結晶体で扱わなければ、このような要望は出来ない。
自分の失言に気づいたミスティは、両手を合わせて謝罪する。ユメは鼻を鳴らしたが、特にそれ以上言わなかった。
「本体が向こうの船にあるから、鬱陶しいのよね。
あんな奴らの力になんかなりたくないんだけど、ペークシス・プラグマのオリジナルを地球が管理しちゃってるから」
「なるほど、お前が裏切った場合結晶体が破壊される危険があるのか」
ユメ本人は精霊だが、本体はあくまでペークシス・プラグマという結晶体である。
ソラはマグノ海賊団側が大切に管理されている為、今も安定してエネルギーを出力している。
ユメは戦力扱いされているとはいえ、オリジナルのペークシス・プラグマは貴重なエネルギー元。大事に管理はされていた。
だがオリジナルを司るユメという精霊が裏切っていることがわかれば、結晶体を破棄する可能性は確かにある。
「だからあいつらから早くユメを取り戻してね、ますたぁー!」
「ぐっ、この子お姫様気取りなんだけど……」
「助け出すには連中の船から結晶体を奪還する必要があるな。結構大変だぞ」
――なんと、決戦において新たなミッションが追加されてしまう。
これまで刈り取り兵器や母艦は、特に考えずに破壊すればよかった。
一隻母艦をダッシュは出来たが、あれはあくまでウイルスを使用した作戦の賜である。本来は刈り取り兵器は危険なので、破壊するべきなのだ。
だがユメが載せられている船を破壊すると、ペークシス・プラグマまで宇宙の藻屑となってしまう。
これで単純に倒すわけにはいかなくなった。
<to be continued>
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