ヴァンドレッド the second stage連載「Eternal Advance」
Chapter 24 "Men and Women"
Action56 −聯絡−
基本的に刑務作業は、刑務所が一般の会社から委託を受けて作業を行う。
原材料となるものを予め依頼会社側より提供されて、受刑者の方でがそれらを加工して作業する仕組みだ。
流刑地の場合だと外部からの委託ではなくなり、職業訓練やメジェールへの貢献の一環として刑務作業を行うことがある。
職業訓練と行っても社会復帰する為ではない。
「このメカニズムは旧型の構造を模していて、メジェール工学で学ぶ技術では通じないわ」
「地球産って奴かな。こういうのって苦手なんだよね」
「教えてあげる。ええと、まずここの部品を使って―― 」
職業訓練とはつまり、流刑地という閉鎖的社会の中における訓練である。
流刑地に収監される者達は重罪者ばかりで、メジェール社会より追放された者達である。
本来であれば死刑なのだが、様々な理由があって流刑地への終身刑を言い渡される。
そうした者達に対して、流刑地という社会で生きていく為の技術を提供するのである。
「私は主婦やってた時期もあるのだけれど、貴方のほうがよほど料理が上手ね」
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「海賊だから食材をより好みできないの。あらゆる食材を美味しく作るのが仕事よ」
「助かるわ。贅沢言えないけど、個々の料理って本当にまずくて、食べないよりマシってくらいだから」
一般的に、刑務作業をすれば報奨金がもらえる。
ただし報酬といっても社会で使用される通貨ではなく、あくまで流刑地で使える通貨代わりである。
娯楽品なんて与えられるものではないが、さりとて何もなく籠の鳥のまま腐らせたりはしない。
重罪人が死ぬこと自体は特に関与しないが、人間というのは押さえつけたままだと暴走してしまう。
「システムへの干渉は認められないのは分かるけど、手入れくらいしないの?」
「メンテナンスは政府筋の業者がやるんだけど、最近全然この流刑地へこないんだよ。
おかげであちこちガタが来ていて、刑務官側も困っているらしいわ」
終身刑の受刑者の生活は、死ぬまでの怠惰である。
終身刑ともなると刑務作業をする必要がなく、重労働させてもあまり意味はない。
その程度で苦しむ神経であれば重犯罪者になんてならないし、死刑にまで追い詰められたりもしない。
だからこそ、刑務側と受刑者側である意味で連動している。受刑者がなにもしないのであれば、刑務側も神経が緩んでしまう。
「それじゃあ陳情してみましょうか」
「触るなって拒否られるでしょ」
「あくまで修理を申し出るだけよ。刑務官様の環境改善も大切でしょう」
だからこそ――マグノ海賊団達にも介入する余地がある。
模範囚となっても社会復帰は出来ないし、刑務に励んだところで得るものがない。
真面目に頑張っても意味がないのに、積極的に頑張って刑務達や受刑者たちの力となる。
そうした活気の良さが、徐々に流刑地という闇を晴らしつつあった。
<to be continued>
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