VANDREAD連載「Eternal Advance」




Chapter 7 -Confidential relation-






Action19 −宣伝−




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『お仕事、大募集!
貴方の身の回りで困っている事はありませんか?
今なら格安料金で、どのようなお仕事でも常時受け付けています。
その他身の上相談や悩み事も随時解決。
何時でも何処でも頼りになる男が、ご要望があればいつでも駆け付けます!
何かありましたらこちらまで!

ニル・ヴァーナ第一監房 カイ=ピュアウインド』















「よしっ!これでいいだろう」



 今の今まで真剣だった手元から顔を上げて、カイは満足そうな顔をする。

集中していたのか額からは汗が流れ、顔にひんやりとした感触を与えた。

室内に完備されている空調の風がカイの頬にあたる。


「顔が真っ黒になっているぴょろよ」

「げっ!?墨がついた手で顔を拭いちまったからか」


 隣にいたピョロが自分の画面に映し出しているデジタルの瞳をジト目に表示させて、カイを凝視する。

カイは慌てて手で擦るが、元々真っ黒に汚れている手で拭いても全く取れない。


「もうっ!しょうがない奴ぴょろね」


 悪戦苦闘しているカイに埒があかなくなったのか、ピョロはそのまま宙を浮いて隅へと向かう。

二人がいるカイの自室は元監房であり、一応最低限の施設は用意されている。

監房は罪人を捕らえて監視する為に用意された部屋であり、決して死なせる為ではない。

ゆえに人間が生きていく上で不可欠な水道設備があり、ピョロは室内の布を濡らしてカイに渡した。


「お、気が利くじゃねえか。
ようやく家来の自覚が出てきたみたいだな。う〜、気持ちいい」


 透明度の高い水で濡れる布でカイが顔を拭くと、見る見るうちに汚れが取れていく。

気持ち良さそうに顔を拭くカイを尻目に、ピョロは中空に浮かんでカイの手元を覗き見る。

カイがピョロを連れて自室に戻り、熱心にやっていたモノ。


「いきなり筆と紙を用意しろって言ったから何かと思えば、『お仕事大募集』?
これは一体何ぴょろか?」


 ピョロが船内を散々駆けずり回って用意した筆と紙を使って、カイは文章を書いたのである。

内容は簡潔に言えば仕事の募集を示した文だった。

文章内容を見ても事情が把握できないピョロは、不思議そうにしている。

カイは拭き終わった布を床に置いて、浮かぶピョロを見上げて言った。


「見て分かるとおり、仕事の募集を書いたんだ。
これからこの紙を船内のどっかに張る」


 平然と述べるカイに、ピョロは分っていないとばかりに怒鳴った。


「そうじゃないぴょろよ!
そもそも何でこんな事始めたのかって聞いているぴょろ!!」


 もともとピョロは旧艦区に眠っていた旧型のナビゲーションロボであり、ペークシスの暴走に巻き込まれて規格外の存在となった。

無機質だったピョロが人格を持ち、カイとの出会いと戦いの日々により感情表現まで表に出すようになったのである。

加えてピョロはロボットであり、タラーク・メジェールの国家間の抗争や性別蔑視に縁のない身。

早々とマグノ海賊団に受け入れられ、船内ではもうのびのびと活動出来るようになっている。

とはいえピョロはナビゲーションロボットであり、作業ロボットではない。

カイはパイロット、ドゥエロはドクター、バートは操舵手と仕事分担されたが、ピョロに出来る専門業というと実はなかった。

今日も今日でセキュリティに関係なく船内をぶらぶらしていた所、カイから連絡が入ったのである。

暇を持て余していたピョロがカイの頼みを快く引き受けたのはいいものの、事情は全く聞かされてなかった。

ピョロの疑問に、カイは苦笑して答えた。


「そうだな・・・・ま、今度お前にも頑張ってもらうつもりだし、ちゃんと説明するか」

「・・・偉そうなのが気になるぴょろ」


 器用にピョロが睥睨すると、カイは何故か胸を張る。


「俺は偉いから当然だ」

「・・・・・・・・・」

「黙るなよ、こら」


 ピョロが冷たい視線を送るのを真っ向から睨み返して、カイは肩を竦める。


「もったいぶる話でもないけどな。
お前、俺やドゥエロ達が正式にクルーの一員になったのは知っているか?」


 カイの質問に、ピョロは何を今更と言った目で答える。


「お頭から聞いているぴょろ。
お前みたいな無茶ばっかりする奴まで入れるなんて、お頭もどうかしてるぴょろよ」


 ピョロの声に嫌味の色はなく、純粋にカイをからかっているだけの明るさがある。

昔のピョロを知っているカイは、からかわれた事よりむしろ人をからかえるようになったピョロの言動に驚いていた。

暴走語は確かにピョロは憎まれ口を叩いたり、カイの言う事に反抗する口ぶりは発揮している。

だがこうして、カイを正面からからかうのは初めての経験だった。

ピョロ本人は気づいていないようだが、カイは改めてピョロが少しずつ機能面よりむしろファジーな面を成長させているのを実感する。

ほんの二ヶ月ほど前、メイアに銃を襲われた時にサポートしてくれた当時のピョロはただの事務的に命令をきく機械に過ぎなかった。

カイはピョロの成長に当時の様子を思い出す。

あの時自分が、ピョロが、メイアがこうなっていると想像出来ただろうか?

月日が流れたのをしみじみ感じつつ、カイは続きを話した。


「実は、さっき辞めてきた」

「・・・・・・・・・・。
も、もう一度言ってほしいぴょろ。よく聞こえなかったぴょろ」


 ピョロに汗を流す機能はないが、流れているように相手に見せるようには出来る。

バーチャルシステムの一環だが、ピョロは自身の内部機能を駆使し『汗を流して』カイに尋ねた。


「だから、今さっきクルーを辞めてきた」


 カイの言葉が室内に響き消える。

カイはピョロを、ピョロはカイの頭上を見つめながら互いに無言のままその場にいた。

ピョロはカイの言葉を吟味するようにじっとし、やがてぎょッとした顔をしてカイに向いた。


「辞めた!?今、辞めたって言ったぴょろか!?」

「くどいな、お前も。そうだって言っているだろう」

「何考えてるぴょろ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」


 カイの言った内容が理解不能だったのか、ピョロの瞳を映す画面が点滅する。

小さなボディを苦悶するように揺らし、監房内を右往左往してカイに詰め寄った。


「ひょ、ひょっとして、この仕事募集って言うのは・・・」

「仲間入りするのを拒んだ奴の面倒を見てくれると思うか?
あいつ等はそんなお人好しじゃねえし、俺は元々嫌われている身だからな。
自分の食い扶持は自分で稼がないと駄目だろう」


 カイは今日で三日何も口にしていない。

マグノ海賊団入団を拒んで正式に脱退したのはいいが、それで腹は満たされない。

タラークで食していたペレットはバートとの約束が有効な限り、二度と口にする事は出来ない。

メジェールで海賊達が食していた料理はクル−だった当時はまだ食べられるメニューはあったが、今はもうクルーではない。

カイの援助をしてくれる人間はこの船にはもういなくなかったのである。

仲間入りする事を拒否した以上、海賊達の力を借りる事は出来ない。

そこでカイが考えたのが、この仕事募集だった。


「ようするに、だ。
俺があいつ等の仕事の手伝いをする。
で、手伝った分の報酬をもらって、その報酬で飯を奢って貰うって訳よ。
別に飯じゃなくても、ポイントを支給してもらってもいいしな」


 カイの考案したこのやり方は、以前パイロットを一時的に辞めた時に女達の全職場見習いをした時の経験を生かしている。

女達が行う仕事量は思っていたよりも多く、カイは見習いだった当時も散々働かされた。

人手不足とまでは言わないにしても、一日の分担された持ち場の仕事を行う上でどの職場も大変なのは事実だった。

見習いだったその時、カイは全職場の仕事を一度だけだが行った。

その経験を生かし、マグノ海賊団の全仕事を捕虜としてでもクルーとしてでもなく、フリーの立場から仕事を手伝おうというのである。


「どうよ?このシステム。
俺は飯が食える。あいつらは自分の仕事を手伝ってもらえる。
どっちもにこにこって訳だ!
いや〜、俺って商売人の才能があるかもしれないな、はっはっは」


 もしもカイが以前の捕虜の身のままだったなら、仕事は当然タダ働きである。

実際パイロットを辞めて見習いになった時、カイの仕事量に反映される報酬は何もなかった。

捕虜は「生かされている」事そのものが報酬だからだ。

ではクルーの身だったここ三日間での立場なら、当然報酬は支給されるがあくまでポイントだった。

言ってみればマグノ海賊団という枠組みでの報酬であり、枠組みの中でしか自由には出来ない。

捕虜ではない分クル−としての待遇はあるが、あくまでもマグノ海賊団クルーとしてである。

そのクルーになるのに抵抗があったカイは、現時点をもって辞めてしまっていた。

捕虜でもクルーでもない一個人。

カイは個人の立場から独力で生き、海賊達の仕事を手伝う事で生活を成り立たせようと考えたのである。

自分のアイデアに得意満面なカイだったが、ピョロのジト目は強まる一方だった。

ピョロはそのままカイの正面に浮かび、カイに視線を合わせる。


「カイ・・・・自分が取り返しのつかない事をしたのを自覚しているぴょろか?」

「な、何だよ。取り返しがつかないって」


 カイが訝しげな顔をして聞き返すと、ピョロはがっくりしたように肩を落とした。


「ここまで馬鹿だったとは思わなかったぴょろ」

「何だと、この野郎!随分嘗めた口をきくようになったじゃねえか!」


 ピョロの胴体をむんずと掴んで、カイは上下左右に乱暴を揺すった。


「わわわわわわわわっ〜〜〜〜!?こ、壊れるぴょろ!止めてぴょろ!!」

「俺は取り返しがつかない事をしただと?
そこまで言うからには根拠があるんだろうな、このポンコツロボット!」


 無造作に放り投げて、カイは床に座り込んだまま目を回して転がるピョロを睨む。

ピョロはバランス感覚を失ってよろよろとしながら、胴体に接続されている小さな手足を上下に動かす。


「当然だぴょろ!よく聞くぴょろよ?
カイが今まで好き勝手できたのは、お頭や女達が妥協していたからだぴょろ」

「妥協だぁ?」

「そうだぴょろ!
タラーク・メジェールを救うって決めた時のお頭の言葉を覚えているぴょろか?」

「ばあさんの言葉・・・・」


 カイは眉間に皺を寄せて考え、以前のマグノの艦内放送を思い出した。



『そのためにも男の力は必要だ。
よって捕虜となっている三人を今後クルーの一員として取り入れようと思う』



 故郷を救うと決めた時のマグノの決断。

男女共同生活はこの言葉から始まったといっても過言ではない。


「確かばあさんは俺達をクル−の一員にするって言ってたな。
それがどうしたんだよ」


 呑気なカイの返答に、ピョロは身体をいきり立たせる。


「まだ分からないぴょろか!
タラーク生まれの男であるカイが自由に行動出来たのは、お頭がクル−だって認めていたからだぴょろ!
女達は皆男は嫌いなんだぴょろ。
でもお頭の命令だったから、渋々皆我慢してたんだぴょろよ」


 ピョロの深刻そうな表情を、カイは鼻で笑った。


「嘘付けよ。今までだってあいつらは俺を散々馬鹿にしたり、仲間外れにしたりしてたぞ」

「でも、殴られたり迫害されたりはしてなかったぴょろ?」

「い、いや・・・そうだけどよ・・・・」


 ここ二ヶ月余り、自分は女達と旅を続けてきた。

その間さまざまなトラブルや事件を起こしたが、自分に女達が危害を加える事はなかった。

言葉や態度での暴力はあったにせよ、直接的な暴力に出られた事は一度もない。

実力行使の迫害やあからさまな弊害を起こされた事もない。

もしもそれが嫌々であるにせよ、一時的な「仲間」だと判別されての事なら・・・・

カイはようやくピョロの言いたい事が理解し始めてきた。

「カイもバートもドゥエロもちゃんと仕事はしてたから、女達だって理解はしてたんだぴょろ。
何か問題を起こしたり自分勝手な行動を取られても、故郷を救うまでの連帯だと認識されたからこそ我慢できたんだぴょろよ。
今回お頭が男三人を正式にクルー入りすると決めたのは、今までで一番功績を残したからだぴょろ」

「つまり・・・・不満を上げる連中を黙らせるのに一番いい時期だったから?」

「そうだぴょろ」


 ピョロは頷く。


「今でも女達は・・・・男を嫌ってるんだぴょろよ。
特にカイは良くも悪くも目立つから、余計に注目されるんだぴょろ。
そんなカイをクル−達総員の不満を抑えてきちんと仲間入りさせるには、今が一番だったんだぴょろ。
この前の戦いで一番手柄を立てて、メイアを助けた今が。
お前はそんなお頭の配慮を無下にしたんだぴょろ!!」

「ちょ、ちょっと待てよ!」


 内心の動揺を抑えて、カイのピョロの剣幕を押し留める。


「それにしちゃおかしいだろう!
バートやドゥエロはまだいい。俺のあの待遇はなんだよ!
それにセキュリティだって最悪の数値なんだぞ。0だぞ、0!」


 カイは聞き返すと、ピョロは少し落ち着いた様子で声を萎ませる。


「それはピョロにもよく分からないぴょろ・・・・
でも、お頭がカイに何の理由もなくひどい目にあわせるとは思えないぴょろ」


 ピョロの意見は、カイの疑問でもあった。

自分一人がどうしてあのような待遇だったのか?

辞める身で聞く必要はないと思い何も聞かなかったので、マグノからその真意を聞かされてはいない。

考え込むカイを見つめつつ、ピョロは床に着地する。


「それに問題はそれだけじゃないぴょろ」

「え・・・?」


 腕を組んで耳を傾けるカイに、ピョロは静かに指摘する。


「さっきも言った通り、カイは一時的でも仲間と認識されてたから表立って何もされなかったんだぴょろよ。
そのカイが辞めた以上、もうクル−達は何も遠慮する必要はなくなったぴょろ。
きっと辞めた事実が広まれば、カイは今度こそ相手にされなくなるぴょろ」

「う・・・・・」

「それにセキュリティだってそうだぴょろ。
あのセキュリティはカイが辞めて解除されたりはしないぴょろ。
今後もしセキュリティがカイに反応すれば、不審者と認識するぴょろよ」


 口篭るカイに、ピョロはここぞとばかりに問題点を指摘する。

セキュリティがカイの行動を制限していたのはここ三日間そうだが、今度はその度合いが違う。

何しろカイはもうマグノ海賊団クル−ではない。

セキュリティレベル0のクル−ではなく、認証されていない男という事になる。

さすがに過激な対応をされる事はなににしても、今まで以上に行動がきつくなるのは間違いない。

そして、何より仲間はもう一人としていない。

バートもドゥエロもマグノ海賊団に所属し、もう同じ境遇の者ではなくなったのだ。

マグノ海賊団から、セキュリティから。

船内の全てから風当たりが強くなってしまう――


「・・・・これで分かったぴょろか・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 黙りこんでしまったカイに、ピョロは些か決まりの悪い顔をする。

ピョロとしてはカイを苛めるつもりはなく、ただ折角クル−入り出来た筈のカイが仲間入りを拒絶したのに憤りを感じたからの責めだった。

初対面から共に行動して来た仲として、ピョロはここ最近のカイの活躍に自分なりに誇らしさを感じ始めていたのだ。

本人は意識していなかったが――

沈黙の両者の均衡を最初に破ったのはカイだった。


「・・・困ったな・・・・」


 ピョロの話を聞いて、カイは顔を俯かせて頭を掻く。

深刻に悩み始めたカイに、ピョロは慌てて笑顔を作る。


「だ、大丈夫ぴょろ!今すぐお頭のところに行って・・・」

「この宣伝用紙、コピー出来なかったんだよな。
艦内放送は利用出来ないのは分かってたけど、言われてみれば船内の施設も使えなかったんだっけな」

「もう一度クルーに入れてもらえるように頼んだら―――え?」


 カイの言葉がピョロに届き、ピョロは言葉途中で顔を上げる。

困惑顔を浮かべるピョロに、カイは畳み掛けるように笑顔で言った。

「めんどくさいけど、自分で書くか。
手書きで百枚くらい書いて主だった区域に張れば大丈夫だろう。
おし、お前も手伝え」

「ちょ・・・・」

「あ、筆は一つしかなかったな。お前、もう一回探してもう一本見つけて来てくれ」

「ちょっと待つぴょろ!」


 ピョロは怒鳴り声を上げて、命令するカイに迫る。


「お前、人の話を聞いてたぴょろか!」

「あんだよ?今から忙しくなるんだぞ。
話なら後で聞いてやるから」

「何にも聞いてないぴょろね、今までの話!!」


 怒り目で怒鳴り散らすピョロを相手に、カイは指で耳栓をしながら答えた。


「ちゃんと聞いてたよ。
ようするに、今後は俺一人で何でもやらないといけないって事だろう」

「わかっているんなら、こんな事もう止めるぴょろ!
こんな紙を何百枚作っても、女はお前に仕事なんて頼むわけないぴょろ!」


 ピョロの話からすれば、カイは今後徹底的に嫌われる羽目にある。

そんなカイに自分たちの仕事を任せようと考えるクルーが一人でもいるだろうか?

可能性は圧倒的に低かった。

ピョロの話も、指摘も、決して的外れではない。

むしろ、今からやろうとしているカイの行動こそが無駄な労力としか言いようがなかった。

カイは興奮するピョロをじっと見る。


「元々覚悟の上だよ、俺は」

「ぴょろ?」


 不思議そうにするピョロに、カイは優しく頭を撫でる。


「心配してくれてありがとな。
でも、もう決めた事だからな。変えるつもりはない」


 カイはそのままどこか遠くを見つめるようにして言った。


「無駄だから諦めるってのは、俺は嫌だからな。
何事もやってみないとわからんだろう。
それに・・・・」


 カイはそのまま言う。

何の、躊躇いもないように―――


「むかつく奴等だけど、それでも俺はあいつらが嫌いじゃないからな」


 それは、本当に失いかけた時に気づいた思い。

傷つき倒れてしまった青い髪の女を見て爆ぜた心の内―

カイはそれ以上何も言わず、にかっと笑ってピョロを見る。


「って事で悪いけど、お前にはとことん付き合ってもらうぜ」


 カイはピョロを指差して言った。


「お前は、俺の大切な家来だからな」

「・・・・・・・・・・・・・・・」


 何の邪気もない無垢なカイの言動と表情に、ピョロは黙り込んでいた・・・・・















 その時。















監房内の無機質なボディの奥底に、















ほのかな光が灯り――















機関部内の有機質な結晶体の内部に、
















青緑色に薄く光る少女が映り、消えていった――――
























<続く>

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