ヴァンドレッド the second stage連載「Eternal Advance」




Chapter 24 "Men and Women"






Action54 −位記−








 ――刑務作業の申請は、正式に受理された。

流刑地の監獄に収容されたマグノ海賊団は、少なくとも表面上は無抵抗を貫き通している。

タラーク・メジェール両軍に包囲されて全面降伏、メジェールの最高裁判所でも自分たちの主張こそ述べたが、判決を受け入れて流刑された。


何か企んでいると疑っていても、マグノ・ビバンより刑務作業を申し出られたら受理するしかなかった。


「言うまでもないが、お前達には監視がつく。万が一にでも悪事が判明すれば覚悟しておけ」

「勿論さね。アタシらは十分反省しているからこそ、社会貢献しようってんだ。刑務官様に逆らう真似はしないよ」

「露骨にへりくだる真似はよせ……まあいい、刑務作業にあたって面談を行う」


 刑務作業は懲役受刑者と同様の作業を自ら申し出る事で、受刑者の適正に応じて割り振られる仕組みである。

作業内容は多岐にわたっており、木工や印刷、洋裁や金属、革細工などの種類がある。

どの作業を割り振るのか、看守達が各受刑者と面談して作業をさせる社会奉仕という事だ。


無論申し出たからと言って、減刑や待遇改善は行われない――面談の際、そこは徹底して言い聞かせるのだが。


「私、キッチンクルーです。料理、大得意です」

「クリーニングスタッフでした。ここの監房、汚くて参ってたんですよ」

「機関クルーだったので、システムメンテナンス出来ますよ。重要なシステムには触らないようにしますんで、機械整備とかお任せください!」


 本当に終身刑を言い渡されたのか怪しくなるほどに、マグノ海賊団のクルー達は揃いも揃って明るく手を挙げる。

勿論スキルがあるからと言って、彼女達に好きな仕事を与える訳にはいかない。

刑務作業は遊びではない。社会奉仕という名の労役であって、労働させることで刑罰を与えるのだ。


趣味の一環でやられては困るのだが――


「こいつら……海賊のくせに際立ったスキルと経験を持っているな」

「いかがしますか、看守長。正直やってもらいたいことがたくさんありまして」

「むむっ……」


 当たり前だが、流刑地の監房は決して快適な施設ではない。

避暑地や別荘ではないのだ、受刑者達に快適な空間など用意するはずがなかった。

しかしながら、流刑地には看守達も住在している。流刑地での労働環境も比例して、心地良いとはいえなかった。


しかも昨今のメジェール情勢が良くないのか、流刑地の施設は放置状態で目を覆わんばかりだった。


「ひとまず監視体制を見直し、刑務作業環境を整えさせろ。奴らの希望ではなく、あくまでスキルに応じた仕事を与えるんだ。
刑務作業で与える道具は常に管理を行い、奴らに持ち出しさせるな」

「承知いたしました、すぐ取り掛かります」


 看守長は苦虫を噛み潰した顔をする――ハッキリ言って、やり辛くて仕方ない。

マグノ海賊団は重犯罪者であり、死罪になっても不思議ではない。目障りであれば拷問でもなんでもして黙らせればいい。

だが同時に、マグノ海賊団は義賊である。受刑者達には大層受けが良く、国民的な人気も正直いって高い。


しかもお頭マグノ・ビバンは、メジェール最高統治者のファーマと同年代である。


「私刑にかけるわけにもいかんし、扱いを間違えれば殺してしまう」


 ファーマと同年代の人間を殺すのは、第二代以下の人間には禁忌である。

タラークほど身分は徹底されずとも、祖先である地球より旅立った先人達は偉人であった。

偉人に対して拳を振り上げるほど、刑務官達は野蛮人ではない。


皮肉にも、タラークやメジェールの洗脳教育がマグノという存在と、マグノ海賊団という組織に及び腰にさせてしまっていた。


「どうしたものか……とにかく奴らの狙いを探るしかないな。
大人しく刑務作業に勤しむ輩ではあるまいし、不備を見つけて追い詰めればいい」


 刑務官達は心を引き締めて、マグノ海賊団を警戒する。

きっといつか尻尾を出す、仕事だってサボるはずだ。だって彼女達は、海賊なのだから。

そういった考え方をマグノに見透かされてるとも知らず――彼らは、刑務作業を許してしまう。


流刑地での行動を制限付きとはいえ、認めてしまった。



















<to be continued>







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