ヴァンドレッド the second stage連載「Eternal Advance」




Chapter 24 "Men and Women"






Action53 −咲々−








 まず軍艦イカヅチの建造計画について詳しく調べてみる。

ソラが眠っていたオリジナルのペークシス・プラグマは、間違いなく軍艦イカヅチに保管されていた。

ならば建造していた段階で運ばれたのか、それとも建造前――軍艦の再利用などでたまたま眠っていたのか。


そこに何らかの意図があるかもしれないと、ブザム・A・カレッサこと浦霞天明が調査する。


「お蔵入りとなっているのか……ある種当然の措置かもしれないが、少し面倒だな」


 重要艦で秘匿扱いされているのではない――問答無用でお蔵入りされている。

理由は単純だ。大手を振って出港した新造艦があろうことか女海賊に奪われたのだ。

タラークとしては汚点になってしまう。それこそ建造していたことまで無かった事にしたいのだろう。


だからこそ建造計画を含めて、お蔵入りさせられている。


「乗艦していたことを理由に計画書を確認することは出来そうだな。スパイとはいえ、女海賊側として入り込んだのだが」


 二重スパイとして今動いているが、変にコソコソ嗅ぎ回っていては怪しまれる。

幸いにも浦霞天明はマグノ海賊団捕縛の一件で出世しており、名誉勲章まで授与している。

彼の権限を持ってすれば、適切な理由でお蔵入りしていた計画書を持ち出すことは出来た。


乗艦していた手前計画書を見直すというのは、タラーク軍人の立場からしても怪しいことではない。


「建造計画そのものに不審はないが、オリジナルは……むっ、タラークの戦艦イカヅチの旧艦区にあったのか」


 海賊側にいた浦霞天明は知る由もないが、カイが当時旧艦区側にいたのは偶然である。

海賊の襲来を受けてスタッフの一員でしかなかったカイは乗員として扱われず、行動はある程度行えた。

ヒーロー願望のあった彼は海賊打倒を目指して、駆けずり回っていたのである。


当時はソラも眠っていたが、あの時起きていればカイの味方をして海賊討伐も行えていたかもしれない。


「旧艦区に関する記載も、建造における追求もない。オリジナルに関する補足も何も書かれていない。
秘匿していた痕跡もないとすると、やはり国が持ち込んだわけではないのか」


 もしも国家による意図的な計画だったとすると、オリジナルの目覚めまで画策していた事になる。

タラークは地球と繋がっているので、地球からの指示によるものだとすれば大変な事態になっていたところだった。

浦霞天明は一つ息を吐いた。ソラの目覚めが意図的なものではないのであれば――


少なくとも純真に見える精霊の少女は、本心からカイを慕っている事になる。


(スパイの私が案じるというのも妙ではあるが、カイへの懸念が一つ晴れたのはプラス材料だな)


 何しろカイは今ソラと行動しているのだ。彼女が地球の手先だったなら大変なことになる。

精霊という存在は、スパイとしては理想的だ。何しろ人間が精霊を知覚するのが極めて難しい。

システム間を通じて何処にでも行けるので、自由気ままにやりたいようにやれる。


そんな少女がカイの味方であれば申し分なかった。


「しかし意図的なものではないのなら、何故オリジナルがあったのか……
戦艦イカヅチの旧艦区に保管されていたのなら、その点から辿ってみるか」


 タラークの戦艦イカヅチの計画書にないのであれば、建造工程に組み込まれていない。

ならば目先を追って、部品発注書から辿っていく。戦艦は巨大建造物なので、発注書は大量にある。

非常に地味な作業だが、スパイ家業は忍耐が寛容。加えて海賊の副長という立場は、ストレスの連続である。


人が嫌がる作業を浦霞天明は辛抱強くやり続け――ついに、辿り着いた。


「イカヅチ旧艦区は、元地球からの移民船が使われている!?」


 地球から出立してタラークへたどり着いた移民船を、軍艦に再利用したというのである。

これにはブザムも大層驚かされた。国が意図していないのであれば、軍部が強行したということだ。

移民船を使用するという思い切った発想に、イカヅチに対する期待が見て取れた。


国が大々的に行ったイカヅチの出港式には、それほどまでの意気込みがあったということだ。


(軍部にそれだけの力があるとすれば、国家の決定を覆せるかもしれない。
となると次は内部工作――地球との癒着を探り、表沙汰にする)


 元地球からの移民船という手がかりが放置されていたのであれば、他にも痕跡があるかもしれない。

そこまで考えて、浦霞天明は思い当たる。


地球からの移民船――当時乗員していた者達が全員、本当に地球の手先だったのだろうか?

















<to be continued>







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