VANDREAD連載「Eternal Advance」




Chapter 9 -A beautiful female pirate-






Action4 −蒼星−




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水色の宝石――――その言葉が一番よく似合っていた。

高密の大気が全体を覆い、表面を蒼く浸している。

芳醇なる光を称えている輝きは、目にする者の瞳を眩しく彩る。

それは美しき水の星だった。


「すげえな・・・・この前の星とはえらい違いじゃねえか」


 艦長席の麓でゆったり座り込みながら、カイは画面をまじまじと見つめる。

男女共同の旅が始まって、最初に訪れた星―――

一面を砂で覆われたその星では、既に刈り取りが行われた後だった。

無残に血液を搾り取られ、人類は死に絶えていて、罠の巣窟でもあった。

上陸したマグノ海賊団は危機に見舞われたものの、カイの機転で無事に生還を果たした。

その時、一同は刈り取りの脅威と残酷さを思い知る結果となった。

そんな砂の惑星に対比するかのように、目の前に広がる星の姿は潤いに満ち溢れていた。


「気に入ってもらえたみたいね、カイちゃん」


 素直に感想を述べるカイに、紹介したエズラも嬉しそうだった。

砂の惑星での事もあって、生命感のある景色は見るだけで生きている実感が沸いてきそうだった。


「大気は極めて正常で、窒素・酸素その他気圧状態も人に適した環境になっている」


 ブザムが説明を入れる。

この星に到着した直後、すぐにブリッジクルー達に惑星の探査を命じた。

先の砂の惑星では罠を事前に察知する事が出来ず、いたずらに上陸班を危険に晒してしまった。

もしもカイがいなければメイア達は死に、情報も何も得られずに終わっていたかもしれない。

その責任は、まぎれもなく上陸の発案者であり責任者でもある自分にあるとブザムは思っている。

とはいえ、砂の星に貴重な情報が眠っていたのも確かだ。

目の前の水の星にも今後に有利になる情報が得られるかもしれない。

何よりもし人類がいるのだとすれば―――

ブザムは念入りに探査をさせ、水の星に関する調査を徹底させた。

話を聞き、カイは口にオニギリを咥えつつブザムに顔を向ける。


「はぐ・・・・つまり、ここに人が住んでいるかも知れねえって事か」

「可能性はある。人類に適した環境が偶然生まれるとは考えにくいからな」

「そういや、ばあさんが言ってたっけ。
地球から出た船が人が住めるように星を開拓したって」


 人類の時代を終えた地球―――

環境が駆逐され、人は自らの手によってその存在を滅亡させた。

飽和を迎えた総人口は半分以下に激減し、地球を見限った者達が新しい可能性を求めて宇宙へ船出したのである。

タラーク・メジェールはそんな人類が開拓した星々だが、その二つ限りではない。

殖民船団はペークシス・プラグマの未知なる力を用いて、幾つもの星に上陸し環境を活性化させたのである。

砂の惑星やミッションも、船団の手が掛かっている。

目の前の水の星はまだ人類が存在している可能性が充分にありそうだった。


「刈り取りの連中のターゲットにここも含まれているだろうよ。
楽観的な見方は禁物だよ」

「や、やな事言うな、ばあさん・・・無事を信じてみようぜ」

「ふふ、お前さんが気楽すぎるんだよ」


 そんな気軽な会話がある中、ブリッジクルー達は探査を続けていく。

あらゆる観点と座標地点の割り出しを元に、探査レーダーの引っ掛かりを丹念に調査する。

特に怪しい施設や飛来物、星表面を全体的に覆う水質についても調べる。

以前では砂そのものが敵となり、襲い掛かってきた例があるからだ。

過去を教訓とし、現在に役立てるのは基本である。

やがて、アマローネから報告が上がる。


「確認。水域2000、座標42・65より微弱に反応が出ています」

「モニターに映し出してくれ」

「ラジャー」


 てきぱきと、アマローネはブザムの指示通りに作業を行う。

画面は切り替わり、惑星内の約80%を覆う水域の海底一点に座標が固定されて映像化された。

モニターの中央には、各所に激しい損傷が見られる大型の船体が映し出される。


「ぼろっちい船だな・・・もう動かすのは無理そうか」

「なんに使うつもりだい、あんたは。
でも・・・懐かしいね。確かにあれはアタシらが乗っていた船の一つだよ」


 感心して船を見つめるカイに、マグノは懐かしそうな顔で植民船の名残りを語った。

損傷が激しいとはいえ、かつて地球からこの星まで大勢の人達を運んできた船である。

その長きに渡る航海の歴史を感じるだけで、船体に重みすら感じられた。


「船があるって事は人がいるって事だよな?」

「今も生きていればの話だがな」

「・・・さりげに人間嫌いか、お前らは!?」


 ブザムまで否定的な可能性を示唆し、カイは苦笑いを浮かべるしかない。

人の手が入った証拠は見つけられた。

これで星への上陸が決定されたようなものだが、やはり住民がいるのといないとでは張り合いが違う。

砂の惑星での殺風景な調査など、もうごめんだった。

それにラバットの例もある。

タラーク・メジェール以外の人間と出会い、その価値観に触れるだけでもいい勉強になる。

人間経験の足りなさは、ミッションとニル・ヴァーナでの事件で嫌と言うほど思い知らされた。

今度はベルヴェデールが報告を入れる。


「植民船より8000の距離に都市部が見えます。
生体反応を多数確認。惑星の住民だと思われます」


 これで確実となった。

この星はまだ刈り取りの脅威に晒されていない―――

今も人間が大勢居て、日々の生活を過ごしているのだ。

報告を聞いたマグノもその事実に嬉しさを抑えきれないように、表情を緩めて言った。


「それじゃあ、お仲間に一目会いに行くとするかね」

「こちらからコンタクトを取りましょうか?」

「そうしておくれ。
敵意がないのを示さないと、向こうさんも警戒するだろう」


 話は正式にまとまり、この星の調査と住民へのコンタクトが決定された。

砂の惑星から数える事一ヶ月、二度目の上陸である。

ブリッジクル−達は引き続き上陸への念密な事前調査に戻り、重鎮二人は具体的な上陸計画を話し合う。


「カイ、お前に頼みたい事がある」

「・・・ん?ちょっと待って、はぐもぐ・・・・ごくん。
何だ、改まって」


 一気にオニギリを飲み込んで、カイは指を嘗める。

行儀の悪い態度のカイに今更気にするまでもなく、ブザムは話す。


「この星に情報収集と物資補給を兼ねて上陸する。
その際、お前にも同行してもらいたい」

「へ・・・?俺に?」


 意外な申し出に、目を丸くするカイ。

ブザムは頷き、真剣な顔で事の概要を述べる。


「現時点であの星に敵の気配がない。
信頼の置ける探査の結果ではあるが、それでも絶対ではない。
護衛を兼ねて、ヴァンガードで同行して欲しい」

「何かまどろっこしい言い方だな・・・・」

「お前はクルーではないだろう?
これはあくまで私個人のお前への依頼だ」

「は?あ・・・・
あーあー、なるほどね」


 ようやく話の筋が見えて、カイは得心がいった。

以前砂の惑星へ調査に向かった時、あくまでカイには命令という形で話が行った。

あの時カイはあくまで捕虜であり、拒否出来る立場ではなかったからだ。

勿論カイはそれでも否定する時は否定しただろうが、結局メイア達と共に砂の惑星で戦いを繰り広げた。

しかし、今のカイはもうマグノ海賊団ではない。

あくまで個人であり、目的が同じなのでマグノ海賊団と共にしているだけである。

一人で自立した生活を送っている以上、ブザムが副長でも命令は出来ない。

ニル・ヴァーナに居座っているといえばそれまでだが、それを差し引いてもこれまでのカイの功績は大きい。

ブザムはカイを一人の男と認め、このように申し出てきたのだ。

ならば、カイとて対等に答える義務がある。


「いいぜ、船にいても退屈だからな。
何でも屋開業初の依頼だ、目一杯頑張らせてもらうよ。
報酬はそうだな・・・食料一週間分で」

「ふ・・・了解した」


 建前と本音を切り分けて、二人は互いに含み笑いを浮かべた。

カイとしては言われなくても同行はするつもりだった。

人が生存する惑星に興味があったし、他の人間とも触れ合える機会でもある。

船内にいても、ただぼんやりと時間を潰すだけだ。


「今回はそうするとあんたも同行するのか?」


 ブザムを指摘して聞くと、


「アタシだって行くさね。護衛、しっかり頼んだよ」


 マグノ直々に上陸と聞き、カイは少し驚いた顔を見せるがすぐ考え直す。

考えてみれば、今回の上陸では砂の惑星とは違って人類の生存が確認されている。

そんな彼らが住む星に、こんなでかい船が突然降りて来たら向こうも混乱するだろう。

友好的に歓迎してくれるとは限らない。

むしろ、こんな正体不明の巨大戦艦を見れば警戒して当たり前だ。

刈り取り相手ならともかく、余計ないざこざはただ時間の無駄である。

お頭のマグノが挨拶に出向くのも、礼儀面では当然といえた。


「護衛は俺一人?」

「多人数で出向くのは、相手を無益に警戒させるだけだ。
お前とメイアの二人を連れて行く」

「あ、あいつとか・・・・」


 メイアとはあの後会っていない。

メールを見る限り心配してくれているのは分かっている。

―――だからこそ、どう接していいか分からない。





『お前の復帰を心から待っている』





「いいコンビじゃないか、あんたら二人は」

「な・・・何言ってやがんだ、このばばあは!?」


 思案していた内容を見破られたかと焦りつつ、カイは悪態を吐く。

マグノもマグノで動じるタイプではない。


「この前も二人一緒に頑張ってたんだろう。今回もしっかり頼むよ」

「うーん・・・・」 


 そういわれれば、尻込みする訳にもいかない。

第一、いずれにしても会わなければいけない相手である。

今回のは案外いいきっかけになるかもしれない。

カイは渋々ながらも、けだるそうに手を振って了解する。

と―――





『惑星の裏側に敵機、発見!?
キューブタイプ数十機、こちらに向かってきます!』


 


 「・・・嫌がらせか、このタイミング」


 カイはげんなりとした顔を見せた。

































































<to be continues>

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