とらいあんぐるハート3 To a you side 第八楽章 戦争レクイエム 第五十八話





 時間というのは出来るのではなく、作るものだという。海外から戻ってからというもの、毎日に余裕は一切ないが、その一日一日は驚くほど重厚に有意義な時間を過ごしている。

仁村真雪との話し合いを終えて夕刻、月村の屋敷へ戻った後は日課となっている鍛錬。空き時間は常に仮想トレーニングは欠かせていないが、この時間帯は騎士達との実戦訓練となる。

護衛を務める妹さんも参戦しての本格的なトレーニングは、数時間と言えど濃密な修行が行える。アギトやミヤは魔法を、俺は剣を主軸に、強者達を相手に腕を磨く。

学ぶ者の姿勢として積極的であり受け身、師である騎士達の言う事は絶対として受け止めて疑問を抱かず、さりとて自分の頭で考えながら存分に修行を行う。そうした時間を、日が沈むまで続ける。


そして夜の時間、妖怪達との晩餐会――天狗一族との、会談が取り行われた。


「お初にお目にかかる、とひとまず言っておこうか」

「確かに、お主本人とは相対してはおらぬ。礼を失したのもこちら、無礼には値せぬよ」


 天狗一族の長を務める御老人、ダイバと名乗りを上げた。堂々たるその気性は、先の敗戦を些かも感じ取れない。不遜にして傲慢、それでいて威厳正しくドッシリと構えている。

赤ら顔で鼻が長く、一本歯の高下駄を履いた山伏の装束。懐に葉団扇をぶら下げた、山の輝く鳥。敗戦処理を行う会談の場には、その服装も態度も一切相応しくない。

仲介役を務める綺堂さくらは、この点に何の苦情も申し立てない。心情的には味方である彼女が静観を保っている事こそ、この場の立ち位置を如実に示していると言えた。


霊山の神格者、天狗一族の長。敗残者ではあっても、俺とは比較にもならぬ格上の相手であった。


「宮本と言ったか。儂の孫娘が面倒をかけてしまったな」

「今回の件、あんたの孫の独断専行だと言いたいのか」

「あの賢しさには、儂も難儀しておる。一体誰に似たのやら」


 我知らず眉間に皺を寄せてしまうが、暴言を正すほど心は揺れてはいない。飄々としたその態度は余裕の現れというより、相手の反応を伺っているに過ぎない。

自分の身内に責任を押し付ける小さき器に、神格は決して宿らない。勝者と敗者、絶対の落差がありながらも蹴落とされているのは俺。試されている側と、なっている。

敵意も殺意もなく、単に存在しているだけで威圧されている。見かけこそ白髭豊かな好々爺だが、少しの可愛げもない。ただただ、恐れ多かった。

由緒正しき神社にある、神聖な空気。会談の場にあるのは、そうした清浄なる雰囲気だった。愚かな人間は、ひれ伏すしかない。


「確かに頭の良いお嬢さんだったよ、あんたの孫は。人質を取りながらも、狡猾に交渉を行っていた」

「武力で脅すのは、外交の基本じゃろう。定石に過ぎぬよ」

「一人の人間相手に人質なんて、日本古来の妖怪を名乗る天狗の格が問われると思うんだがね」

「たかが人間一人に、このような真似はせぬよ。お主を正当に評価していると、受け止めてもらいたいもんじゃ」


 帝王教育と称して、カレンやディアーナから無理やり教育させられた哲学かつ基本。国と国、人と人、どれほどの規模の外交であろうと、その成否は保有する力によって決まる。

武力で脅すと天狗の長は言ったが、別に武力のみならず権力や財力でも同じだ。恫喝こそ、外交の基本。これが出来なければ、友好関係も維持出来ない。平和という概念のみでは、成立しないのだ。

けれどこの理念を知らなければ、人質は単なる卑怯でしかない。恫喝なぞ以ての外と、相手を怒らせる結果にしかならない。子供に、大人の哲学は通じない。


つまり俺という人間を個人ではなく、勢力と――国と見なして、彼らは攻めて来たのだ。


「俺を評価しているのはあんたか、それとも孫娘か」

「孫娘はお主をいたく気に入ったようじゃぞ、ほっほっほ。もとより人の世界に興味を示す変わり者での、取材と言っては人里に降りて遊び回っておるのじゃよ」


 さくらを一瞥すると、軽く息を吐かれてしまった。舐められている、のではない。国と評価しながらも、蟻のように踏み潰せると確信している。蟻を相手に、舐めるも何もない。

ここまでされると、怒る気にもならなかった。蟻がどれほど自分の正当性を訴えても、恐竜は一顧だにせず踏み潰すのみ。話し合うどころか、関心も何も示さない。

相手の態度は、これでハッキリしたと言える。だったら、何の遠慮もしない。世界会議と同じく、恐竜の足を噛み付くだけだ。


「その孫娘は今、俺に囚われている身だ。人質に脅迫、未成年誘拐の容疑をおまけして警察に引き渡すぞ」

「証拠は何もない、などとつまらぬ言い訳を並べるつもりはない。お主の好きにすればよい。儂も、好きなようにさせてもらうだけじゃ」


 ――考えてみる。罪に問うのは簡単だが、罰を与えるのは難しい。昨晩の襲撃は天狗の伝承を用いた怪異であり、天変地異を立証するなんて最新科学を用いても不可能だろう。

城島晶の誘拐や人質は本人の証言で何とかなるかもしれないが、その場合厚遇されていた経緯が厄介となる。晶の馬鹿が家に連絡しなかったせいで、あいつ本人にも非があるからだ。

未成年の権利にはうるさいこの国だが、未成年の犯罪にはどういう訳か寛容である。天狗とはいえ、見た目は少女の孫娘。罪に問うのは多分、難しい。


それに、俺にもリスク生じる。こいつはそれを知っているから、これほど余裕でいられる。


「何しろ事件に巻き込まれたのは、今世界を騒がせているドイツの英雄殿じゃからのう。行方不明とされていた英雄の、祖国への帰還――さぞ、騒がれるじゃろうよ」

「事件に巻き込んだ俺を、報道するつもりか」

「無論、被害者としてじゃ。儂もこのような事件を起こしてしまって心苦しい、お主の被害を涙ながらに全国に伝えることを約束しよう」


 歯軋りする。俺も未成年ではあるが、秘匿の権利を主張するのは限りなく無意味だろう。何しろ先月、国際ニュースで思いっきり世界中に顔と名前を売ったのだから。

売国だと揶揄される大手新聞社、そのスタイルが隠れ蓑かどうかは定かではないが、俺を面白おかしく報道しても多分痛くも痒くもないはずだ。

個人の権利を蹂躙する真似は許されない、当然だ。問題なのは、いざとなればそれが出来るという事だ。だったら、これ以上ない脅しの道具になる。

何しろ、マフィアの残党やテロ組織に躍起になって追われているのだ。居場所が明確になれば、あらゆる手段を用いて攻め込んでくるだろう。報道されるのは、まずい。



――という想定で脅迫しているのだろうが、甘い。俺はもう、他人を背負う覚悟を決めている。



「いいぞ、好きにやってくれ。俺も被害者面して言ってやるさ、天狗を名乗る集団に身内を攫われたと」

「天狗などと、お主の正気を疑われるぞ」

「正気を疑うのは、人間だけだ。人間じゃない連中はどう思うだろうな、今のこの情勢で。
夜の一族の地で卑劣な真似を働いてまで人間を襲った挙句、敗北した。揺るがしようがないこの結果を是非、世界中に広めてくれよ」


 この時初めて、天狗の長が表情を引き締めた。綺堂さくらも若干の驚きを込めて、腰を浮かせている。何しろ自分の首を差し出して、相手を恫喝したのだから。

このやり方は相手を追い詰められるが、同時に自分も追い詰められる。人外共に天狗の悪評を知らしめられる分、人々に俺の醜態を晒す事にもなってしまう。

天狗だの何だのと喚き立てれば、一般市民はまず正気を疑うだろう。英雄とか救世主とは持て囃されていた名声を、汚してしまう。自分をこれ以上ないほど、陥れてしまう結果となる。

どうでもいい、とは言わない。世間の評判なんて今更気にしないが、仲間を守る立場となった今は別だ。リーダーの評判が悪ければ、部下の評判も悪くなる。


それは分かっているが、笑って見過ごせはしなかった。城島晶を、身内を人質に取られて許せるはずがない。


「……なるほどの、"座敷の神"が選んだ家の主としての器はあるようじゃ。まだまだ、未成熟ではあるが」

「"座敷の神"――チョウラピコの事か」

「会うのははたして何時以来か、懐かしいものよ。昔は人から愛された存在であったというのに、今では認識もされん。
住まう家も減っていき、人からも無視されて、存在そのものさえ危ぶまれていた。神といえど、今の世は非常に住みづらいのじゃ」


 昔は、人と妖かしの共存が成立した時代もあったという。数多くの伝承が生まれたのもその時期であり、妖怪達にとっても隆盛期だったようだ。

やがて時代が過ぎ、人が活発となり、技術が生まれて、世界が広まっていくにつれて、妖かしは住処を追われていった。人が増えたせいで、住む地を追われたのだ。

魔女狩りの如く、特段の差別を受けたわけではない。躍起になって、狩られたりもしなかった。単純に必要とされなくなり、無視されていった。


好きでも嫌いでもなく、無関心――肌や瞳、髪の色でも差別する人の忌まわしき業であった。


「儂らとて同じ、住処というべき山々を駆られて居所を失っておる。人の世に生きるには、人の地で縄張りを作るしかなかった」

「それが、あの新聞社か。隠れ蓑としては、大きすぎるんじゃないか」

「世界を知るには、人を知る必要がある。情報の重要性は、今に限った話ではない。認識されない辛さは、儂らが思い知っとるからの」


 長の言う情報の重要度とは単に金銭の価値ではなく、その本質を示しているのだろう。情報とは、知られてこそ価値がある。認識の大切さを熟知して、新聞社を作り上げた。

知られなくなれば、衰退する。本質がどうとかではなく、理解は出来る気がした。独りだった俺は誰からも認識されず、独りよがりのどうしようもない無価値な男であっただろうから。

誰かに知られたくて、誰かを知る職業を選んだというのは適職であるが、皮肉でもあると思う。人を知るということは、必ずしもいい事ばかりではないだろうから。


途方も無いほど長きに渡って人の世を生き、人を知る老人は結論を出した。信念とも言える、解答を。


「儂らは、人の世には生きられん。さりとて、人に後塵を拝するのも良しとせん。ならば、どうすればいいと思う」

「――人を排し、妖かしの世を作り上げる」

「その通りじゃ、ゆえに我らは決起する」

「第一の標的を俺に選んだのは、夜の一族と――人外と、関わったからか」

「先手を打ったまでじゃ。仮に儂らが動かずとも、他の勢力が決起したじゃろうよ。夜の一族は新しき長となり、人との更なる共存を望んで一致団結しておる。
忌まわしき血の源流、乱れし血流を纏め上げたのはお主じゃろう。お主の存在ある限り、人との共存は避けられん」


 カーミラ、ディアーナ、クリスチーナ、カミーユ、ヴァイオラ、カイザー、カレン。彼女達は大小あれど、人との共存は否定的だった。

あの夜の一族の会議も後継者選びではあったが、人の存在は特別意識されていなかった。人の世界でどのように生きるのか、台頭する事を前提に会議が進められていた。

新しい長となったカーミラは、その急先鋒だったように思える。あいつは人を嫌い、人を支配するべく長を切望していた。あいつにとって人は食料であり、家畜でしかなかったのだ。

そんなあいつが今人との共存を望んでいる理由に、俺の存在があるのは決して自惚れではないと思う。大手にまで成長させた新聞社の情報分析は、鋭かった。


「どうして今さら、そんな結論に至る。大手新聞社として今、人の世に確かな居場所を形成しているじゃないか。
世界の情報を最前線で知るその分析力があれば、武力なんて行使しなくても人の世を動かすことは出来るはずだ」

「マスメディアとして、世を揺るがすことは出来るじゃろう。じゃが、あくまでも人の世に過ぎん」

「! まさか、お前らは――」

「そうじゃ。儂は天狗として今こそ先頭に立ち、非遇を受けた妖かしの全てを救う。世界中に散る彼らが決起すれば、世界は変わる」


 妄言である、と言い切れないのは彼らの勢力が把握出来ていないからだ。そもそも昨日まで天狗なんてお伽噺の存在でしかないと思っていたのだ、世界規模でなんて見れない。

世界征服であれば、鼻で笑っていただろう。でも、そうではない。こいつは、白黒を反転させようとしているだけだ。表と裏、人と人外、その勢力図を反転させる。

人外の恐ろしさは、先月思い知ったばかりだ。少なくとも夜の一族は、欧州の覇者として大陸を支配している。もしその全てが、動けば――


「夜の一族が、黙っていないぞ。あんたも知っての通り、夜の一族は人との共存を望んでいる」

「それも、お主の存在があるからじゃ。お主さえ居なければ、再び元の木阿弥よ」

「ならば、どうする。あくまで、俺と戦うつもりか」


 不穏な空気が漂い、仲介役のさくらが気を引き締める。彼女は今日言わば俺の保護者役ではあるが、交渉決裂を憂慮して仲介役を買って出ている。

俺が交渉に失敗する心配もあっての参席だが、その通りになりそうで落胆を隠せなかった。恫喝には屈しなかったが、交渉が成立しなければ意味が無い。

失敗は正直悔しかったが、良い経験にはなった。交渉決裂となったからには、もう戦うしかない。こいつの理念は、他者との関係を肯定した今の俺とは全く合わない。

決裂とはなったが、即剣を振るう気はない。関係は劣悪となっても、交渉はまだ行えるのだから。俺は打って出ようとして――



「お主、孫娘の婿となれ」



 ――逆に、打たれてしまった。



「何……?」

「先ほど言ったじゃろう。孫娘は、お主という人間を気に入った。契りを結んで我が麾下に入れ、人間よ」


 仲直り、では断じてない。形は変われど、明白な恫喝であった。むしろ正面から戦うのではないだけに、昨晩の襲撃よりも性質が悪い。

交渉という対面だけは保っているだけに、尚更苛立ちがつのる。まさかこう来るとは思っていなかっただけに、流石に面食らってしまった。

だからうっかり国主ではなく、個人として返答してしまう。


「断る。身内を襲った犯罪者と、夫婦になんぞなれるか」

「ならば、戦争じゃな」

「当ぜ――うっ」


 さくらが、睨んでいる。怒りなどといった、浅はかな感情ではない。誤った決断を安易に下す、愚か者を叱責する視線であった。

断るのは簡単だ、感情に任せて殴ってしまえばいい。だが、それでいいのか。相手は、"戦争"だと言ったんだぞ。

破談ではない、戦争である。戦争になれば、民を駆りださなければならない。国を守るべく戦えと、他でもない俺が号令を下さなければならない。

その理由は――俺個人の感情に、過ぎないというのに。


「……人との共存は、望んでいないのではないのか」

「望んではおらぬよ。だからお主という人間を、一族に入れるんじゃ」

「俺を夫とするのではなく、孫娘の婿として取り込んで人の血を消すつもりか。対面だけを繕った、単なる詭弁だ。
どんな形であろうと、契る限り人の血は取り込まれる。人の関与を完全に消すことなんて、出来はしない」

「そうとも、これは交渉じゃ。相手への妥協も、必要であろう。一族に入れば、お主らは家族じゃ。この先の世に、生きる場所を与えてやろう」

「あんたの馬鹿げた夢が成立すれば、の話でしかない。今はまだ、人の世だ」

「言ったじゃろう、儂らは決起すると。人との共存を望んだ夜の一族はもう、立派な裏切り者じゃ。妖かしの居場所を自ら、奪おうとする所業に他ならん。
彼らはまだ良いじゃろう、戦争になろうと一族は守れる。戦う力も、覇を唱える権力も、人の世に生きる存在も、確立しておる。


じゃが――お主は、どうかな」


「ぐっ……」

「お主は人か、それとも妖かしか。個であれば、人のままで居られよう。じゃが、お主は今人の上に立つ長となろうとしておる。
立場を明らかにせねば、お主らは何処にも居場所をなくしてしまうぞ。

人か、妖かしか――お主は、どちらを敵に回す?」


 即答、出来なかった。個人であれば、戦う道を選べただろう。敵に取り込まれるなんて、冗談じゃない。言いように扱われるのは、目に見えている。

だが、敵対すればどうなる。天狗一族だけならば、まだいい。何回戦おうと、シグナム達と一緒ならば負けはしない。俺の仲間は、こいつらなんかに負けない。

言い換えれば、シグナム達が居なければ簡単に崩壊する勢力でしかないのだ。小国中の小国、こんな規模で世界中の妖かし達と戦えるのか?


「夜の一族が提供する人間との融和、それを阻止する為だけに妥協してまで人間の俺を取り込むつもりか」

「お主は、お主が考えている以上に夜の一族に強い影響を与えておる。儂が奴らから旗印のお主を奪えばどうなるか、見物よのう」


 まずい。そんな事になれば、折角収めた後継者争いが蒸し返される危険性がある。カレンやカーミラ、ディアーナやクリスチーナがどう動くか未知数だ。

寝た子を起こすどころの話じゃない。私情では動かないとは思うが、俺を奪われたら――あいつらはどうするつもりだろうか。


「いずれにしても、儂らは既に決起した。さて、お主はどうする。答えよ」

「お、俺は――」


「――無理強いが過ぎるのではありませんか、ダイバ様」


「むっ……」

「御存知の通り、その者は我ら夜の一族の大切な賓客。横から攫う真似はやめて頂きたいですわね」

「ほっほっほ、叱られてしもうたか。確かに此処はお主らの縄張り、今は従おう。会談は、ここまでとさせていただく。後は、お主の返答次第じゃ」


 その通り、さくらが口を挟めるのはここまでだ。夜の一族が頭ごなしに交渉を止めさせたとしても、俺が態度を曖昧にしたままではどうしようもない。

会談は終わり、天狗の長は席を立った。重要な決断だけを迫られた形、交渉はほぼ向こうのペースで終わってしまった。役者が、違いすぎる。

さくらは俺に何も言わず、天狗の長を見送る。此処は月村の地、彼らの処遇を決めるのはさくらにかかっている。俺ばかりにかまけてはいられない。

結局、彼女に助けられてしまった。さくらに、ますます頭が上がらなくなる。あいつに男として認められたいというのに、恥ずかしい限りだ。


「天狗一族への婿入り――政略結婚、か」


 ヴァイオラの顔が、思い浮かぶ。夜の一族の女性であり、俺の今の婚約者。もし彼らの交渉を飲めば一方的な破談となり、夜の一族は体面上であっても敵となるだろう。

その交渉を綺堂さくらの前で堂々とするのだから、恐れ入る。覚悟を決めている証拠だ。俺を相手に勝とうと負けようと、決起した以上もう止まらないのだろう。


夜の一族を再び敵に回すか、天狗一族と反人間を掲げる妖怪達と戦うか――どちらにしても、苦難は必至。はやて達も盛大に巻き込んだ、戦争になってしまう。


婚約を破棄すれば、ヴァイオラはきっと悲しむ。関係上は婚約だが、彼女はもう俺の妻のつもりでいる。破棄すれば、下手をすれば人生を見失うかもしれない。

天狗一族との関係を白紙にすれば、連中は本格的に侵攻するだろう。彼らとの関係の否定は人と妖かしの共存を宣言するのと同じ、他の妖怪達も黙ってはいない。


人の上に立つ俺に、重大な選択肢が突きつけられた。










<続く>








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