とらいあんぐるハート3 To a you side 第五楽章 生命の灯火 第五十三話







 アリサの儀式前に、月村とノエルには今回起きた事件について話してある。

説明不足だった点やその後の経過を加えて、俺は一から二人に説明した。

儀式の夜皆に驚かれた融合や、プレシアやアリシアについても――

二人は口を挟まず真剣に聞き入って――話を終えた直後、間髪入れずに言い放った。


「……話を聞いてると、侍君の意思はもう決まってるように聞こえるんだけど?」

「私もそう感じました」


 俺の迷いを見透かした上で、率直に話す二人。

傷だらけの身体を横たえて、俺は真面目な顔の二人を見上げる。


「俺だってフェイトやアリシアを助けに行きたいよ、そりゃ。
今更一人だどうだの、ウダウダ言うつもりはねえ」


 孤独を求める気持ちを捨てた覚えは無い。

フェイトやアリシアが特別だと言っているだけだ。

二人には恩義があり、今後の人生を考えさせるきっかけを与えてくれた。


――だからこそ、俺は二人にも新しい人生を歩んで欲しい。


ムカムカするけど……プレシアだって立ち直って欲しいと思ってる。

他人事じゃないのだ、あの女の悲しみは――

月村はトントンと自分の額に指で叩き、綺麗なリズムを刻みながら考え込むように瞳を閉じる。


「侍君はほんと、悩むと駄目になるよね。

――自ら率先して助けたい人が出来るって、長い人生でもそうそうないよ?

特に、侍君は他人事に関わる性格じゃないし。
機会がある内にやっとかないと、後悔するだけだよ」


 ……今気付いたが、こいつってデジタルな考え方をするんだな。


問題の基点を選択肢のように例えている。

ゲームの女王の名は伊達ではない。

学問を重んじる女には見えないが、案外理系とか合っているかもしれない。

月村の傍らで、珍しくノエルが率先して話しかける。


「宮本様より御電話を頂いて八神様を御迎えに上がった時――家屋は荒れ果て、庭は血と泥で汚れておりました。
あのような戦いにその御身体で出向かれるのでしたら、私は反対です。


……ですが。


本当に宮本様が気にしておられるのは、自身の御身体ではなく――八神様ではありませんか?」

「……」


 西洋人形のような綺麗な瞳が、真正面から俺を映し出す。

感情を一切排除した客観的な意見が、静かに病室内に響き渡った。


――これ以上戦えば死ぬ可能性が高い。


覚悟は出来ている、とは言わない。

決戦前に覚悟を固める場面はある種の御約束だが、俺から見れば嘘臭い。

死への恐怖は本能だ。

どれほど心を決めていても、目の前に訪れれば脳が勝手に恐怖を生み出す。

生きている以上、誰だって幸福と不幸を胸に抱えている。

未練を残したまま死にたくないという気持ちこそ自然だと、俺は思える。

俺だって死にたくない。

アリサもやっと帰って来て、自分の弱さを知り、今後の人生における目標も出来た。

レンの手術が成功するかどうかも気になるし、アリサを殺した犯人をぶん殴りたい。


厄介極まりないが――俺が死ねば、フィリスや月村達も悲しむらしい。


生きる理由があり、死ぬ理由は何一つない。

覚悟なんぞ決められない、もがき足掻いても生きようと思ってる。


だが、俺が戦う事で――八神はやてが常に、命の危機に晒されている。


この事実は重い、重すぎる。

仮に生きて帰っても、はやてが死んでいれば流石の俺も落ち込むだろう。

アイツは何も言わなかったけど、多分――ミヤも消滅する。

俺は超ド級の馬鹿だが、それぐらいは今まで知った事実から察する事くらいは出来る。

ノエルの意見こそ、正に今の俺の足を止めている最大の要素だ。

椅子に座ったまま、月村も指摘する。


「侍君が悩んでいるポイントは自分の死と、はやてちゃんの死――この二つでしょう?」

「まあな」


 元々実力不足なポンコツボディも、修理に修理を重ねてツギハギが目立っている。

損傷が酷いのに、無理やり働かせている為だ。

きちんと休ませた上で、整備を行わなければいけない。

八神はやての問題はもっと深刻だ、改善策が思い付かない。


いや正確に言えば解決は簡単だ――二度と融合しなければいい。


二度と融合せず、身体を休ませる。

――考えれば考えるほど、リンディの忠告通りに向かう。


「だったら、もう悩む事は無いよ。問題を解決すれば助けにいけるでしょ?」


 実に簡単に、このアマは言いやがりました。

美人で金持ちだからって、調子に乗っていると思います。

これ見よがしに豪快に嘆息して、俺は言ってやった。


「それが出来ないから悩んでいるんですよ、月村さん」

「むむ……侍君にさん付けされると、どうしてこんなに腹が立つんだろう……

ああ……もう! 
侍君はいいところまで気付いているのに、何で肝心な所で考えが止まっちゃうのかな」

「宮本様の本能が拒否しているからではないでしょうか?」

「馬鹿にしてるだろ、お前ら!?」


 なかなか良い連携をする美女二人に、俺は痛んだ身体を鞭打って罵声を浴びせる。

勿論怯む二人ではない。

涼しい顔をしながらも、月村は俺を睨んで言った。


「侍君は自分で解決出来ない事は、他人に相談するべきだとようやく悟った。


なら、どうすればいいのか分からないなら――専門家に聞くべきでしょう」


「専門家……?」















「それが出来るのなら、ミヤがこんなに困ったりしませんです!」

「……だよねー」


 御馴染みの休憩室にて、俺は小さな専門家と相談中である。

はやてとアリサの散歩を影から見守っていた可愛いストーカーさんは、プンスカだった。

空中で器用に腕を組んで、俺を睨んでいる。


「図々しいにも程があります! 
ミヤの主はマイスターはやてであって、貴方ではありませんです。
本来なら、ミヤが――夜天の書が貴方を助ける義理なんて無いんですよ!?

認めたくないですが、貴方はマイスターはやてにとって大切な人のようですから、渋々助けていたんです」

「うーん……それはまあ、そうなんだけど……」


 俺の相談内容は単純。

はやてに迷惑をかけない融合化の手段――これである。

専門家に聞けとは、月村もなかなかいい事を言ってくれたものだ。

二人に礼を言って帰した後、ちょうどいい具合に怒り狂いながら帰って来たチビスケを掴んで、休憩室で対処法を聞いてみた。

答えは、あるかボケだった。


「ようするに、はやてが主だから影響を受けてるんだろ? 
ならさ――」

「自分が主になればいい――ですか? 
馬鹿馬鹿な貴方が考えそうな、著しく低脳なアイデアです」

「最近遠慮が無いぞ、お前!?」


 お前の悪口がきっかけで、グレたらどうするんだ!

児童相談所に訴えるぞ、この野郎。

ミヤは剣呑な眼差しを俺に向ける。


「書がマイスターはやてを無作為に選んだとでも思ってるんですか?
666頁に記された英知の結晶は、並みの魔導師では扱えない強大な力です。

……何処かの誰かさんが勝手に頁を書き換えていますが、本来書に記される頁の一枚一枚に膨大な知識が刻まれています。

歴史に名を残す偉大な魔導師の研究の成果であり、魔導師にとって貴重な財産です。
ゆえに書の主は、古代魔法を使用出来る才ある人間が選ばれるのです」

「それが――あんな車椅子のガキなのか?」


 話を聞けば聞くほど、信じられない。


――早朝の公園で出逢った、一人ぼっちの少女。


車椅子に一人寂しく座って、精彩のない表情で俯いていた。

俺の疑問に、チビはしっかりと頷いた。


「マイスターはやては、貴方よりずっと強い人です。才能だけの話ではありません。
身に覚えが無いとは言わせませんです。

――貴方がマイスターを受け入れたのがその証拠です」


 ミヤに誤魔化しは通じない。

俺の心の変化やはやてを見つめる目を感じ取り、真っ正直に伝えてくる。

家族の存在を否定していた俺も、いつしかはやてに歩み寄っていた。

凛とした強さに心さえ奪われた――明白な証拠だった。


「大体ミヤに助けられてやっと魔法を使っている状態の貴方に、書に記された魔法を使える訳無いです。
マイスターはやてと貴方の魔力差は、天と地です」

「へいへい、諦めましたよ。くそ……」


 やはり回避する術は無いようだ。

使わずに済めば一番いいのだが、融合しなければ法術が使えない。

プレシアの宮殿にはまたあの巨人兵が待ち構えている可能性もある。

あの時はアリシアの籠手とミヤの補助、血に濡らした竹刀で何とか――


――あっ!


「ガッデム、リンディに竹刀を返して貰うのを忘れてた……」

「に、二度も同じ事はしないで下さいよ!?」

「二度とやりたくないわ、あんな真似!」


 戦闘時の興奮と芽生えた使命、自分への不甲斐なさと勝利への執念で実行した荒業。

食い千切った血管から噴水のように溢れ出た血の臭いは、まだ鼻に残っている。

歯に染み付いた血肉の感触は、思い出しただけで吐き気がした。

あの竹刀には思い入れもある、リンディかクロノに頼んで返して貰うしかない。

どの道もう一度会う必要があるのだ。

その為にも、結論を早く出さなければならない。


「とにかく、はやてに全部話すしかないな」


 融合化する上で、はやてへの脅威を取り除けない事は分かった。

他人の命ならば容赦なく犠牲に出来るが――はやてはもう、他人とはとても言えない。


儀式の夜、誤魔化し続けた俺を罵倒したはやて――


泣かせてばかりだった少女に、今度こそ本当の事を教えよう。

俺は休憩室のソファーから立ち上がる。

多分まだアリサと一緒に中庭を散歩中だろう、今から出れば鉢合わせ出来る。


「ま、待ってくださいーー!!」

「うおっ!? 危ねえだろ、てめえ!」


 休憩室からそのまま出ようとすると、眼前にミヤが突如割り込んで来た。

激突しかけて慌てて飛び退くと、チビスケは泣きそうな顔をして俺に懇願する。


「マ、マイスターに……マイスターにだけは、ミヤの事は何も言わないで下さい!」

「お前の事を話さなかったら、はやてに話を通す意味がなくなるだろ!?」


 ミヤとの融合を行う事で、俺は自分の100の魔力を有効利用出来る。

加えて他者の願いを叶える法術を行使するには、ミヤの調節と書に記載された頁が不可欠なのだ。

ところがあの本を主以外の人間が使えば、書のセキュリティ(?)が働いて主本人が転生してしまう。


――この解釈だって、ミヤ本人と俺の推測で成り立っている。


ミヤの存在を伝えなければ、はやてが俺の話を信じない可能性――はないけど、理解に困るだろう。

チビもその辺は理解しているのだろうが、頑なに首を振る。


「ミヤがきちんと貴方に説明しますから、貴方がマイスターに説明して下さい。
ほんとの、本当に――どうか、御願いしますです!」

「あのな……あの本はそもそも、はやての持ち物だろ?
さっき自分で言ってただろ、本に記載される知識や魔法ははやてにしか使えないものだって。

あいつがいずれ真の主として本を使う時、お前の存在は絶対にばれるぞ。
早いか、遅いかの違いだ」

「い、今じゃなくてもいいじゃないですかぁ〜!?
いずれその時が来るのでしたら、その時はミヤの心の準備が整っていると思います。


でも、今はちょっと……」


 ゴニョゴニョ呟くチビに、俺は心がざわつくのを感じた。

やばい……これは、やばい。



家の前で寂しく待っていたなのはを、力強く抱き締めた衝動。
泣きながら俺に縋ったはやてに、手を差し伸べた想い。
牢獄の中で、心が壊れたフェイト・テスタロッサに叫んだ真の気持ち。



――孤独を求める旅人が持ってはいけない、感情。

冷え切った心が、自分以外の誰かの為に無意味に熱く燃え上がる。


やめろ……言うな……クールに、クールに……



「本当は、ミヤなんてこの世に存在してはいけなかったんです。
書の一部として、主の為の機能としてただ働けばよかった――

なのに、ミヤは浅ましく心を持ってしまって……主以外の誰かに、力を……


……グス……ミヤは――マイスターにとって、裏切り者です」





 ――ざっけんな。





「逃げてる、だけじゃねえか」


 冷静さを求める心より早く、頭が沸騰する。

自分自身の意思とは無関係に、逆上せた血が叫んだ。


「お前、俺には偉そうに説教したくせに――自分の番になったら、逃げるのか!

なのはから! フェイトから! はやてから!
大事な人間から目を背けるなって言ったのに、お前は自分の主から目を逸らすのか!?

お前だけ、今更逃げるなんて許さねえぞ!!」


 一階休憩室の外は待合室と受付があり、患者や病院関係者が沢山いる。

みっともない真似はするなと自分のくだらんプライドが囁くが、大いに無視してやった。

不思議と、殴ってやろうとは思わなかった。


――暴力で解消されるのは自分の卑しい心だけ。


泣きたくなるほど痛感した、力の限界。

心に訴えるには、結局心しかない――

海鳴町の穏やかな自然と、生きる人々の優しさが俺にクソったれな正論を与えてくれた。


「お前は俺を助けて、導いてくれた。だから、今度は俺がお前の背中を押してやる。
はやてに真正面から向き合え。

――自分の運命から、逃げようとするな。

この俺を見ろ。
逃げ続けて――目を逸らした、馬鹿な男の惨めな姿をよく見ろ!

アリサを死なせて……フェイトの心を殺して……なのはやはやてを、悲しませてしまった。
思いっきり後悔して、嫌になるほど泣き喚いた。


俺は……お前に、そんな気持ちを味わって欲しくないんだよ」


 この事件で、俺は沢山の大事なものを失った。

事態がここまでややこしくなり、事件が複雑化したのは間違いなく俺の責任だ。


――なのはやユーノだけならば、ジュエルシードの回収は簡単に済んだだろう。


フェイトともきっと仲良くなって、かけがえのない絆が母に捨てられた少女の心を救ったに違いない。

時空管理局――リンディやクロノが介入すれば、プレシアの凶行も防げた。

  俺が弱くて、何度も間違えたせいで……はやてやレン、他の人間まで巻き込んでしまったんだ。

アリサだって死なずに済んだ。

フィリスも、俺なんかの為に苦しまずに医療に専念出来たはずだ。


「今出来る事をしておかないと――絶対に、後悔するぞ。
今のお前の悩みの原因は、俺にある。
俺がお前に力を求めたから、お前が無意味に苦しむ羽目になった。
それは悪かったって思ってる。


――でもな。


それでも……今ちゃんと言っておかないと、お前だけじゃない――はやてだって苦しむ事になる」

「――ど、どうしてですか!?」


 出来の悪い頭を必死で働かせて、熱暴走した感情と共に俺は叫び続ける。

訴え続ける。


何が良くて悪いのか、これからどうすればいいのか――


あれほど悩んでいた事が、口から簡単に滑り落ちた。


「古代魔法だかなんだか知らないが……あの本には絶大な威力の魔法の数々と、高度な魔法の知識が眠ってる。
並みの魔導師では使いこなすどころか、持て余すだけの強大な力でも――はやてなら使える。
八神はやてこそが主に相応しいと、お前は言ったな?


どんな力だか知らないけどよ……はやてが使いこなせるとして、何に使うんだそんなもん?」

「――っ、そ、それは……」

「世界でも征服するのか? それとも、戦争を失くす為に平和利用するか?
はやては善人だ、自分の欲望の為には使わないだろうな。


でも――強大な力は、良くも悪くも人間を狂わせるぞ。


あいつの人生だって変わる。
そんな力を持っている事を、後になってから――お前の心の準備とやらがついてから、言うのかよ」

「……」


 ミヤに必死で話しかけながら、俺も気付かされた。


――なのはだって今、同じ気持ちなんじゃないのか?


フェイトとの戦いが終わって、入院したなのはを思い出す。

俺ほどじゃないにしろ、なのはは怪我をしていた。

今まで優しい家庭で平和に育った女の子が、突然戦場に放り込まれて平気な顔して戦えるのか。

なのはは晶やレンが喧嘩するだけで怒り出すほど、争いを嫌う女の子だ。


プレシア宮殿で死に掛けた俺を見舞いに来た時、なのはは大声を上げて泣いていたっけ……


才能があるから、心まで急に強くなれるとは限らない。

本当にあいつが俺の百倍以上の魔力と才能を有しているとして――そんなもの、あいつは本当に必要としているのだろうか?

ある日突然ミサイルのスイッチを渡されれば、誰だって扱いに困るだろう。


――はやてだって同じだ。


「あの本の力を使えることは、はやての幸せに繋がるかどうかは分からない。
少なくとも、日常を過ごす上では必要無い。便利ではあるけどな。

俺やお前が好き勝手にやって、あいつから選択肢を奪う事だけはやめよう。
今ならまだ、間に合う。


お前と一緒で――あいつにだって強大な力を持つ本を所有するかどうか、心の準備が必要なんだ」


 俺はもう逃げられない、逃げるつもりもない。

はやてはまだ逃げられる――今のまま、時を過ごす事だって出来る。

だけど後になれば、逃げられなくなるかもしれない。

俺がもしミヤの力を使って問題を起こせば、はやても多大に責任を感じてしまうだろう。


あいつは――八神はやては、不出来な家族でも愛してくれるから。


罪を背負わせる前に、宿命を与える前に、あいつに真実を話すべきだ。

問題が起きていない今なら、一緒に話し合う事だって出来るはずだから。

――俺の言葉を聞いてグスグス泣き始めたミヤを、俺は苦笑いして言ってやった。



「あの時言った事は嘘じゃないぞ。俺とお前は、ずっと一緒だ。
一緒に戦って……一緒に謝ろうぜ、ミヤ」

「……うぐ……やっぱり、馬鹿です。貴方は、大馬鹿ですぅ……」


 泣きべそをかきながらも、ミヤはちゃんと頷く。

自分の宿命から逃げず、主と向き合う決心をしてくれたのだ。


  安堵すると同時に――猛烈に恥ずかしくなった。


ぐあっ、俺って奴はチビなんぞに何を熱く語ってやがるんだ!?

途中から何が言いたいのか、分からなくなってきてるし!

怜悧冷徹が売りの剣士が、熱血君になってどうする。

やっべえな……この町の空気に染まってきてるんじゃねえのか、俺。



ここは病院だぞ、誰かに見られたら非常に――にぃぃぃぃぃぃぃ!?



「ふぇ……? どうしたんですか、良介?

何を見て固まって――はわぁぁぁぁ!?」


 流石は心の友、俺と一緒に絶叫を上げまくる。

俺はガクガク膝を震わせながらも、一応にこやかに尋ねてみた。 










「――あ……あはは、は……



……その……



聞いてた?」



「あんな大声出して、今更何を言うとるんや。
ちゃ〜んと、全部聞かせてもらったよ。

ふーん……わたしが魔法使いね……」

「……アホだわ、このコンビ」










 病院の正面玄関――

中庭から戻ってきたはやてと、車椅子を押すアリサが剣呑な目を向けている。

俺と、俺の背後に隠れたミヤを。

しかも悩めるミヤだけではなく、運命はあろう事か俺にまで余計な試練を与える。


病院へ戻る途中にでも出逢ったのか――二人はお客さんを連れてきていた。



「今の御話――本当ですか……?」



 大きな籠を提げた少女――神咲那美が、目を丸くして俺を見つめていた。

や、ややこしい時にややこしい奴が!?

籠の中に入っているのは……言うまでも無いだろう。

動物禁止の病院に連れてくるな、馬鹿たれ!





魔法の本の主八神はやて。
IQ200を超える天才少女アリサ・ローウェル。
霊感少女神咲那美。





――心優しい美少女トリオ+一匹の異色の登場に、俺はその場で頭を抱えたくなった。


























































<第五十四話へ続く>







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