ヴァンドレッド the second stage連載「Eternal Advance」




Chapter 24 "Men and Women"






Action41 −区々−








「これが我々に起きたこの一年間の全てだ」


 ドゥエロ・マクファイルという船医が物語る、男と女の旅路。

ワームホールにより彼方にまで飛ばされた男女が、刈り取りという驚異を乗り越えて至った、道程。

ドゥエロという士官学校のトップが、船医という客観的な立場から語る物語は極めて第三者的であり――


口を挟めないほどに、現実感に満ちていた。


「マジかよ……」

「女って生き物がそんな奴らだったなんて……」


 隣に聞いていたバート・ガルサスが感心せざるをえない、ドゥエロの話術。

それはメジェールの女を、単純に善良な人間であるとは語らなかった点だ。

良い人達なので仲良くしようという平和的な発想ではなく、あくまで軍人として女という生物を客観的に分析する。


もしも単に女性を讃える発言を繰り返していたら、ドゥエロは異端視されていただろう。


「マクファイルの話だと、メジェールの女というのは俺達男とそう変わらないということか」

「あくまで同じ人間であるというだけだ。例えば我々男の間でも、考え方や価値観の違いはある。全てを同一だと断じるつもりはない。
ただ少なくとも我らがタラークが語る、悪鬼羅刹の類ではなかった」

「……」


 士官学校の同僚達は、困惑した様子で互いを見合わせる。

彼らは若い、ゆえにこそ第3世代。血統を絶対とするタラークにとって若い世代は立場こそ低いが、思想は満たされていない。

無論故郷からの教えは絶対であり、彼らも頭に叩き込まれているが、洗脳に狂っている程ではないのだ。


少なくとも、同僚の話を聞く耳くらいは持っている。


「しかしだな、マクファイル。相手は海賊だろう、お前達だって襲われたじゃないか」

「ああ、それは君の言う通りだ。私は別に彼女達の海賊行為まで肯定するつもりはない。
我々が襲われたのは事実であり、被害も多数出ている。彼女達が危険視されるのは無理もない話だ」

「実際、タラークとメジェール軍で手を組んでまで討伐に出ているからな」


「私が強調したいのは彼女達は海賊ではあるが、非道ではない点。そして女もまた人間であるという点。

そして何よりも――我らの祖先、地球が敵であるというこの一点だ」


 ――ドゥエロ・マクファイルは何と、逆手に取った。

タラークとメジェールは海賊という共通の敵を浮き彫りにして、敵対していた両者が手を組む口実とした。

彼らの戦略に気付いたドゥエロが、ここぞとばかりにやり返したのである。


地球――"刈り取り"という共通の敵を知らしめて、女達と手を組めるのだという事を。


「こちらについては、明確な証拠がある。私は船医でね、患者に対するカルテの記録がある。
女達に関するデータは故郷の目もあって持ち出せなかったが――我々に関するカルテは持ち出せている。

こちらにいるバート・ガルサスは操舵主として、彼女達と共に戦った。その記録を見れば、明らかだ」


「えっ、ガルサス。お前、操舵手だったのか!?」

「驚く点はそこなのか!?」


 女海賊や地球のことよりも論議を呼んだ、バートの職業。

ある意味、彼が愛されている証拠なのかもしれない。

















<to be continued>







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