ヴァンドレッド the second stage連載「Eternal Advance」
Chapter 24 "Men and Women"
Action15 −原級−
――太陽系から遠く離れた宙域の、ある銀河。
「貴殿らがもたらしてくれた、メジェール内部の情報」
男性だけで君臨する軍事国家、タラークと呼ばれる惑星が存在する。
女性だけの船団国家メジェールを嫌悪し激しく憎み合いながら、長年に渡る星間戦争を続けていた。
果てなき闘争の果てに、大いなる転機が訪れる。
「今後の対メジェール政策において実に価値あるものになるだろうと、グラン・パ様も殊の外お喜びだ」
軍事国家タラークは大いなる決戦に備えて、かつて移民船であったイカヅチを宇宙戦艦へ改造した。
並々ならぬ執念により完成された軍艦は、九十九式蛮型撲撃機と呼ばれる新兵器の模擬演習も兼ねて、初船出となった。
将来を約束された軍事学校の卒業生達、エリート揃いの軍人を載せて。
「ありがとうございます」
華やかな船出となったその日、マグノ・ビバン率いる宇宙海賊「メジェール・パイレーツ」の海賊船がイカヅチを強襲。
圧倒的に不利な戦況となってしまい、タラーク側はあろうことかイカヅチを乗っ取られてしまいそうになる。
苦渋の果てに軍部が下した決断は、イカヅチの旧艦区を切り離す事であった。
「報告は受けている、君達も士官候補生の身でありながら実によくやってくれた」
空間魚雷「村正」により旧艦区諸共、メジェール・パイレーツを殲滅しようと目論んだ軍部。
海賊達との白兵戦の混乱に乗じて、取り残された士官候補生達は独力で海賊達と戦いながら、軍部の立てた作戦を実現へ移す。
そのやり方とは、動力源である『ペークシス・プラグマ』を暴走「させる」事であった。
「我々は教官殿の教えと、偉大なる首相が掲げる哲学に沿ったまでです」
「海賊達を相手に生き残ることが出来たのは、ひとえにグラン・パ様の栄光があってこそでしょう」
そもそもペークシスとは通常、エネルギー発生源となる青緑色の巨大なクリスタルである。
かつての移民船で残されていた結晶体は使用されずに放置されたままであり、埃が積もったままであった。
このクリスタルを利用して暴走をさせた結果、ペークシス・プラグマは覚醒して予期せぬ空間転移を発生させた。
「実に頼もしき言葉だ。君達の若さで手にしたその勲章は、グラン・パ様より与えられた栄誉というだけではない。
我々が君達へ向ける、かつてない期待と言っていい。
今日与えられた栄誉を将来への糧とし、このタラークを輝かしき未来へと導いて欲しい」
「「はっ、必ずや!」」
海賊船はイカヅチとの融合を起こし、合体して新しき船へと生まれ変わった。
こうして主導権を握った男たちは海賊達を捕虜とし、呉越同舟によって男の素晴らしさを理解させて屈服させた。
悪辣なる海賊達を従えた男達は栄光の道を歩んで、故郷へと凱旋したのである――
(――という台本だったんだけど、見事に信じているね。流石ドゥエロ君だ)
(事実関係を繋ぎ合わせた即興だ。突き詰めれば穴だらけなのだが、聞かせたカイが笑っていたので我ながら気に入っている)
こうして男達はちゃっかりと、勲章と地位を獲得したのである。
<to be continued>
|
小説を読んでいただいてありがとうございました。
感想やご意見などを頂けると、とても嬉しいです。
メールアドレスをお書き下されば、必ずお返事したいと思います。
[ NEXT ]
[ BACK ]
[ INDEX ] |
Powered by FormMailer.