VANDREAD連載「Eternal Advance」
Chapter 8 -Who are you-
Action39 −光子−
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<to be continues>
<フォトン>
現在人類は繁栄を閉ざし、進化の道は急速に狭まっている。
その為人類は粋を極めた科学技術を駆使して、地球から宇宙へと舞台を移しつつある――
「地球・・・?」
カイは画面を凝視する。
今我々の住む地球、さらには太陽系全体が変化を遂げている。
今は失われた歴史――西暦1996年の事だ、
宇宙空間に浮かぶ宇宙望遠鏡は、宇宙の遥か彼方に存在する<フォトン・ベルト>と呼ばれる現象を捉えた。
『フォトン・ベルト』は天文学的な光の質量に満ちており、そこを通過するのに2000年という気が遠くなる時間を要する。
確かなことはその領域は人類にとって全くの未知の空間だという事である。
西暦1991年一人の天文学者は人工衛星の観測データから、プレアデス星団付近にあるフォトン・ベルトの存在を科学的に突き止めた。
博士によると『フォトン』は銀河の中心から放射されている物質で、太陽系は1万1千年ごとに銀河系のこの部分に進入するという。
それから2000年かけて通過し、そして2万6千年の銀河の軌道を完結させると結論付けた。
この『フォトン』とは光エネルギーのことで、「光子」の意味を冠している。
いわゆる光は光の粒々としては光子(フォトン)であり、波としては電磁波と呼ばれる。
そして、この光子が電磁気的な力を媒介しており、そういう力の働いているところが<電磁場>と呼ばれているのである。
フォトンは反電子(陽電子)と電子との衝突の結果生ずるもので、
二つの粒子はこの一瞬の衝突によって互いに破壊し合い、この衝突の結果生じるものが、『フォトン』と言う光の粒子に完全に変換される。
それは素粒子の物理的崩壊によって得られる光以上のものとされ、多次元の振動数を持つ次元間エネルギーであるとされる。
さらにフォトンはきわめて高次元の電磁波エネルギーであり、そのエネルギーは全ての生命体を原子レベルから変成させる。
何しろ遺伝子レベルの変容も行い進化させるといわれる程である。 しかも寿命は無限大とされる・・・・・・
つまりフォトンとは―――
『無限なるエネルギー』を持った『混沌』そのものである。
「フォトン・・・・タイトルにある名前ね」
パルフェは続きを読んでいく。
地球の未来はもう――――絶望的だ。
しかし、それでも人類は生きなければいけない。
命ある限り、輝き続ける義務がある。
私は人類の為この力に注目し、資料を集め、データを膨大に揃え、太陽系の観測を続けた・・・・・
「・・・・・・・・」
何故だろう――?
どうして自分はこんなに胸を震わせているのだろう―――?
カイは呼吸も忘れたかのように、文章に心を奪われていた。
長きに渡る過去のデータを観ると、かの地球温暖化の原因との関係も、原因は太陽磁場の変化にあるようだ。
地球的規模、いやそれ以上に宇宙的規模で大異変が起こり始めている。
地球温暖化現象だけを観ても実は原因はCo2ではなく、このフォトンによる影響と考えられる。
宇宙の理はちっぽけな人類では永久に理解出来ない。
だが、フォトンの存在を無視しては説明できない現象が多々起きている。
調査を進めた結果、私はフォトンが『時空』に大きな影響を及ぼしている事が分かった。
長い歴史を誇る人類が成し遂げられなかった「時間」の解明。
心が沸き躍るのを感じずにはいられない―――
私は二つの関連性について、更なる追求を行った。
「時空・・・?」
「世界を構成する『空間』と『時間』のこと」
パルフェが解説を入れる。
時代とは、時の流れそのものを指す。
その時代だが進めば進む程、人間そのものの「時間」もどんどん速くなっているようだ。
たとえば 昔の恐竜の時代は何十万年というサイクルでいくつかの変化のパターンがあった。
それが今ではあっという間に一年かそれぐらいの短い時間で同じ変化のパターンが繰り返されている。
興味を持った私はこうした時間の流れのサイクルを分析、時間の加速の度合いを調べた。
その結果加速が極限に達すると、時間の流れが「0」になってしまう可能性があると判明した。
もしも本当ならば加速のみならず、遅速も停止すら可能となる。
流れをもたらしているのがフォトンであるならば、フォトンには時間の流れを操作するエネルギを持っていると結論付けられる。
「時の解析」を握る鍵はフォトンにある―――
当然のことながら、宇宙全体には太陽系と同じような構造を持つ星系がいくつも存在する。
これらがすべて、渦を巻きながら周回している。
宇宙は構造を描いているが、それが1つの時空 ―時間と空間― を現している。
その流れを辿れば、ある軌跡が見えてくる。
それは―――
螺旋である――
螺旋とは無限を象徴する軌跡。
螺旋状の1回転は1つの周期の完結であり、同時に新しい周期の出発点だといえる。
宇宙にはこの螺旋運動の繰り返しによる壮大な「宇宙暦」が存在すると、多くの学者たちはそう指摘する。
また無数の渦は計り知れない強烈なエネルギーを生じているが、このエネルギーによって時空連続体的な軌道が生まれているのだとされる。
フォトンもまた宇宙空間から、渦巻状のエネルギーを放出し続けているのだ。
フォトン・ベルトの厚さはおおよそ2000太陽年又は759兆8640億マイルに及ぶものと推定されている。
地球が属する太陽系は、一定の周期をもってこのフォトンの中へ出たり入ったりしていることも分かった。
さらに我々の太陽系は2万6千年の時間をかけて銀河の軌道を完結させている。
地球の生命体は、フォトン自体と太陽の変化、そして地球の変化の影響をすべて受ける。
フォトン・エネルギーはあらゆる生物にドラスティックな影響を与え続けている。
このフォトンをシャワーのように浴びることによって生命体の遺伝子(DNA)が変換するのである。
われわれ人間の生命体のDNAはもともと12本の紐があったという説がある。
それが現在2本となっているのだそうだ。
フォトンは物質すら変質させてしまうという程のすさまじいエネルギーの塊のようなもので、人体を変化してしまうといわれる程だ。
人体が覚醒すると、それまでとは一変し覚醒化により、無意識の浮遊――
俗に言う『夢の世界』を体験するようになるらしい。
さらにはこれまでは封印されていた能力も開花するのだともいわれる。
だがこの地球に生き進化の頂点にある我々だが、その地球は滅びかけている。
果たしてこの研究が実り、高次元への進化と時間への干渉が行える日が来るのだろうか―――?
所詮我々は生命体としての母なる地球を傷め、穢し続けて、死に至らしめるような行為に恥じる事もないような存在にまで落ちている。
私は近頃、地球のやり方に疑問を生じている・・・・・
人類は生きるべきか、死ぬべきか――?
フォトンを解明する事は、惑星としての地球やわれわれ人類が進化をするために必要な必然なのだと信じたい。
生き物が発生してからたどった進化の道のりのスピードは、螺旋(らせん)のパターンに従っている。
宇宙全体も時間と同じ構造、つまり渦巻状のフラクタル構造となっている。
そもそも宇宙空間は、中心から内部に引っぱる力が働く渦によって均衡を保っていてことが分かっている。
つまり原子のミクロレベルから銀河や星雲のマクロレベルまで、渦や螺旋が幾重にも重なった構造となっているのが宇宙そのものなのだ。
ならばフォトンを、もしくは――――
フォトンと同じ力を持つ物質を解明出来れば、時空の構造を解明出来るだろう。
私はこの理論を―――
「え・・・・・・!?」
「カイ・・・・?」
驚いた顔をするパルフェに目もくれず、カイはたった一つの単語に驚愕の眼差しを向けている―――
『時空螺旋転移理論』と名付けた―――
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