とらいあんぐるハート3 To a you side 第九楽章 英雄ポロネーズ 第四十五話




 セレナさんの単独行動。不穏な気配を感じるが、あまり考え込んでいても仕方がないので接触を図る事にする。馬鹿正直に堂々と会うのではなく、ひとまず彼女の様子を物陰から探る。

子供の頃メイドとは家庭内労働を行う女性の使用人というイメージを持っていたのだが、セレナさんは単純な使用人に当て嵌まらない。気配くらい感じ取りそうなので、最低限距離を取っておく。

幸いにもこちらには妹さんというレーダーがあるので、精密な距離感を取る事が出来る。行動に出た俺達をポップコーンを食べながらガキンチョが追ってくるので、ファリンに面倒を任せる。

復活祭という一大行事でも、メイド服を着ているセレナさんは流石の一言だった。が――


「不審な点は、特にないな。町中を探索していると言えば、確かにその通りだけど」

「徹夜祭が始まりつつあるので、ご見学されているように見えますね」


 探索行動を取っていると妹さんが言っていたが、どちらかと言えば物見遊山に近い。ファリンのヒーローショーで活気付いた徹夜祭を覗きながら、民衆の中を一人で歩いている。

シルバーブロンドの髪をした、目を見張るような美人。男性に声の一つもかけられそうなものだが、知的な眼差しと冷静沈着な物腰が人並みでしかない男を一切寄せ付けない。

メイド服というある種際立った服装でも、あの人が着ると違和感がないのが怖い。アリサもいずれあの人のレベルになるのだと思うと、雇っておいてなんだがちょっと怖い気がする。

俺とファリンでどうでもいい事を呑気に話しているが、妹さんが進言した理由も分かっている。あの人がカリーナ姫様を置いて、物見遊山なんてする筈がない。一人で居る事自体、不審だった。


「剣士さん、尾行されています」

「ファリンを取り戻した俺達の行動を知って、再び網を張ってきたのか」

「いえ、剣士さんではなく、セレナさんが尾行されています。尾行範囲と人数から察するに、チーム単位で監視されているようです」


 ギョッとして顔を上げようとした衝動を必死で抑え、物陰に隠れて息を殺す。挙動不審な行動を取ってしまえば、妹さんが言う尾行者に気付かれてしまう。自重しなければならない。

セレナさんに監視がついている、一人で行動しているのは尾行者に気付いている為なのか。いや、それでもカリーナ姫様から離れる理由としては弱い気がする。尾行者の目的によるけど。

何とも難しい局面に立ち合ってしまった。復活祭という白旗と聖地の今度が関わった行事の最中、厄介事には絶対に関わりたくない。本人の事情であれば尚の事、関わってはいけない。

ただセレナさんはカリーナ姫様の付き人という立場を超えて、資本面や企業面でお世話になっている。俺が白旗の活動に邁進出来るのも、あの人が社長秘書として業務を行ってくれているからだ。


義理と人形で悩んでいると、物陰でポリポリと緊張感のない音が響き渡る。親権に考えている自分が馬鹿馬鹿しくなり、肩を落とした。


「ファリン、このガキンチョを連れて行け」

「やはりわるものなんですか、ふっけばいんさん」

「やはりってどういう意味だ!?」

「うちをつれさり、あのきれいなおねえさんをねらう――めっちゃ、わるものやないですか」

「連れて行けとは言ったが、連れ去るとは言ってねえよ!?」


「――もしかして、ふっけばいんさんがうちのともだちをゆーかいしたんやないですか?」


「お前の友達って、待ち合わせしていた子?」

「もうとっくにじかんすぎてるのに、ぜんぜんけーへんのです。かえしてください」

「……何の証拠があって、俺を犯人だと決め付けるんだ?」

「ひーろーしょー」

「お前を攫ったのは、ファリンじゃねえか!?」


 どうやら付いてきたのではなく、俺を不審に思って追って来たらしい。今まで数多くの女に初対面から嫌われてきたが、初対面の子供に誘拐犯とまで決めつけられる我が身に泣きたくなる。

ファリンを正義の魂に目覚めさせる為に演じた悪役が、こんな形で尾を引くとは夢にも思っていなかった。他人に関わる事による影響力というのは、なかなか侮れない。

酷い言い掛かりだが、ほんの少し気持ちは分かる気がする。なのはよりも小さい子供だし、友達が来ない不安と恐怖を未成熟な心では整理出来ないのだ。分かりやすい悪役を、犯人にしたくなる。


――人が奢ってやったポップコーンは、平気な顔で食っているけどな!


「ふっけばいんさんがはんにんやないしょーこがあるんですか」

「近頃のガキはすぐに証拠だの何だのと、生意気を言いやがる。それで大人を黙らせられると思ったら大間違いだぞ、愚か者め」

「おおごえ、あげますよ」

「いいだろう、見せつけてやろうじゃないか。我々が誘拐などというくだらない悪事を行わない、正当なる悪の組織であるということを!」


「――すずか様。あの子と良介様、すっかり仲良くなっていますね」

「――ヒーローだと名乗らなくていいのかな」


 おのれ、これで強制的に厄介事に関わらなければならなくなった。セレナさんの場合何があっても自分で解決出来そうなんだけど、助けに行かないと誘拐犯扱いされて管理局を呼ばれてしまう。

渋々先程ヒーローショーで使った黒の覆面を装着し、妹さんやファリンにも装備させた。ヒーローショーの第二幕を、まさか幼女一人を観客に行わなければならなくなるとは一生の不覚。

本音を言うと、少しばかりホッとしている。セレナさんにはお世話になった事もあり、あの人を一人にしておくのは気掛かりではあったのだ。


白旗を掲げるリーダーとしての立場なら軽はずみな行動は慎むべきだが、悪の組織であれば何を知ろうと問題ない。


「いかがいたしますか、剣士さん」

「行動に移す前に、確かめておきたい。セレナさんを監視している連中の"声"に、聞き覚えはあるか?」


「個人の判別は行えませんが、"声"そのものには聞き覚えがあります。オルティア・イーグレットが率いるマリアージュの傭兵です」


 オルティアの連中がセレナさんを監視している!? 話が一気にきな臭くなって、顔を顰める。どうしてオルティア・イーグレットが、セレナさんを監視しているんだ!?

青い髪の麗人、オルティア・イーグレット。首脳会談で見せた手腕は群を抜いており、頭脳の冴えは際立っていた。カリーナ姫様の助力がなければ、確実に蹴落とされていただろう。

復活祭の開催も、徹底して反対していた政治姿勢。聖地を不穏に陥れるだけでは飽きたらず、第二、第三の手を着実に打っている。組織単位で徹底する恐ろしさに、戦慄させられる。


――いや聖地を不穏にした最初の一手さえも、この事態への布石だったのかもしれない。復活祭開催の抑制と同時に、組織の暗躍を隠す為の舞台演出だったのだ。大掛かりな手腕に、舌を巻いた。


「マリアージュの傭兵か、敵勢力ならば話は早いな。監視している連中を無力化して、セレナさんに直接接触する」

「事情をセレナ様ご本人から直接お聞きするのですか!?」

「鐘が鳴る前に聞き出さないと、カリーナ姫様の挨拶が始まってしまうからな。多少強引でも、手っ取り早く行動する――人数は?」

「三名です」

「敵に気付かれると非常に厄介だ、同時に仕掛ける。妹さん、監視の配置を教えてくれ」

「三名同時ということは、私と、すずか様と――」


「俺だ」


「お止め下さい、剣士さん。死んでしまいます」

「意外と辛辣だな、妹さん!?」


 俺をヒーローだと誤認しているファリンは全幅の信頼を寄せているが、真の実力を知る妹さんから猛烈に反対された。護衛の立場からすれば当然だけど、無性に泣けてくる。

仮にも相手はプロの傭兵、戦いに慣れている本場の職人だ。天下無双という偶像に憧れて、無邪気に剣を振るだけの素人では実力に明らかな隔たりがある。

妹さんの反対は実感を持って理解しているが、応援を要請するのは難しい。戦力が激減している上に、教会組は全員十字行に参列しているのだ。手持ちの札は限られている。


妹さんが俺の実力を知るように、俺もまた妹さんやファリンの実力を知っている。


「映画じゃないんだ、一人一殺を目標にする必要はない。同時に仕掛けるとはいったが、同時に仕留める必要は必ずしもない。
足止めと時間稼ぎをしておくから、二人は仕留め終わったらこちらに救援に来てくれればいい」

「……分かりました、すぐに――すぐに、向かいます。絶対に、無理をしないで下さい。本当に、無茶をなさらないで下さい」

「ものすごい念押しだな!?」

「大丈夫ですよ、すずか様。訳あって言えませんけど、良介様はとってもお強いのです。人々を助け、世界を救える力があるのですよ!」


 ライダー二号というありもしない一面を目を輝かせて語るライダー一号を、妹さんは無感情に見つめ返している。全く信じていない目だった、とても悲しい。

一瞬でも俺を危険に晒す作戦を、全身全霊で不本意だと態度と言動で物語る妹さん。俺の実力に関してだけは全く信用されておらず、剣士としての矜持が傷付いてしまった。


さて、後はこのガキンチョだ。


「いいか、ガキンチョ。何があっても、ここから動くんじゃないぞ」

「いよいよあのきれーなおんなのひとをさらうんですね」

「人の話を少しも聞いていないな、こいつ!? 小娘、覚えておけ。我々こそ世界を征服する悪の組織、人攫いという悪を倒す巨悪であることを!」


 妹さんより監視体制と配置を確認、彼らの挙動と行動を予測した上で――行動に、移した。最善かつ最適なルートを辿って、急襲をかけて有無を言わさず無力化する。

相手は傭兵、素人が奇襲を仕掛けても気配で簡単に気取られる。だからこそ妹さんの指示に従って、気配を察する間もなく倒せるタイミングで襲う。

聖王オリヴィエを解放すると奇襲も何もあったものではないので、袋に入れたままの竹刀を取り出す。物陰に潜んでいる傭兵を背後から襲い、頭を殴打。


これで相手は気を失って――いない!?


「ぐっ――誰、だ!」


 背後から襲ってきた相手を単純に問い質すような、甘い連中ではない。言葉と同時に飛んでくるナイフを、半身をずらして避けた。見えたのではない、驚愕した上での反射でしかなかった。

脳天から確実に竹刀を振り下ろしたのに、気絶させられない。映画と現実の違いを、容赦なく見せつけられた。その驚きが、反射行動を取らせた。

ナイフが刺さっていれば、下手をすれば死んでいたかもしれない。人殺しに微塵の躊躇もない恐ろしさに冷や汗が噴き出るが――身体は硬直しなかった。


不発に終わったナイフに未練を残さず、傭兵は拳で反撃。俺は蹴りを入れて相手をよろつかせ、距離を取る。この一連の行動に、自分で目を見張った。


強くなっているのではない、身体が動くようになっている。仮想シュミレーションによるリニスの特訓、何度も味わった仮想の死。何度も殺された恐怖の経験が、体を動かしてくれた。

ようやく理解する。リニスの訓練は、俺を強くする為ではなかった。強くなれるのは才能がある人間、才能がない人間に英才教育を施しても金と労力の無駄。

教育係として出来の悪い教え子の『成長』を冷徹に切り捨て、リニスは教え子の『生存』を選択した。武においての基本であり――真理を、身体に刻みつけた。



敵を倒すのではなく、敵に倒されない訓練を行ってくれたのだ。



「まさか――カレイドウルフの手の者か。取引を違えるつもりならば、こちらも容赦はしない」

「取引だと……?」


「手始めにあの運転手、マイア・アルメーラという女を殺す」


 ――今、何て言った……? その疑問に浸る余裕もなく、敵は新しいナイフを取り出して襲い掛かってくる。俺は身を低くして剣を振るうが、狭い路地では存分に振るえない。

なるほど、ナイフに拘るのは地形を考慮した戦法なのか。ナイフを振り回さず、刺す事だけに専念。単純だが精密機械のような攻撃に、俺は死の恐怖と勝利の誘惑に必死で抗った。

剣を振るう隙もなく、逃げ回るのみ。一か八かに出たいが、必死で押さえつける。自分の技量を考えれば、勝機は一さえもない。特攻しても、返り討ちになって終わりだ。

ナイフと竹刀では実質、斬り結ぶなんて出来ない。目先で争う勝負では、技量だけが物を言う。つまり小手先の技術に疎い俺が、これ以上ないほどに不利だった。

服が切られ、肌が斬られ、肉が血飛沫を上げる。傷が増えていく中で、焦燥と安堵が交互に沸き起こる。殺されそうな不安と生き残っている安心が同時に襲われるのは、弱者ならではだった。


業を煮やした相手は、一旦距離を取った。この瞬間を狙って、一歩前に――出ない。ようやく現れた一瞬の隙を好機だと捉えるのは強者のみ、弱者はこの隙に後退する。


逃げられると思った傭兵はこの時、強引に詰め寄ってくる。この時が弱者の足掻き、上半身のバネを駆使して突きを繰り出す。ナイフより竹刀の方が長く、カウンター気味に突き刺さった。

傭兵が苦痛の呻きを上げるが、すぐさま反撃。更なる一歩で手傷を与えられた感覚はあるが、すぐに身体を引いた。勝ち戦に未練を残せば、命取りになる。俺のような弱者は、経験で知っている。

逃げ腰でありながら、勝負の場から離れない。中途半端な物腰は相手を苛つかせるだけだが、知ったことではない。徹底して時間を稼ぎ、足止めする。

勝つことは諦めても、負ける事だけは絶対に許さない。他人を、背負っているのだから!




「"しゅぺーあ・ふぁうすと"」



 声もなく、傭兵が崩れ落ちた――


背後からの奇襲、俺がイメージしていた理想の急襲が今鮮やかに行われた。非常な現実を容易く打ち砕く、鉄の如き腕の一撃。理想の武が、拳打の一撃を持って実現されたのだ。

片手でポップコーンの袋を持ち、片手で傭兵の背中を殴った、黒髪の少女。無感情に、無機質に、無目的に、プロの傭兵を轟沈せしめた。ポリポリとお菓子を噛む音が、暗い通路に響き渡る。


少女はこの時、初めて笑った。歪で、禍々しく――とても、弱々しい微笑みを。


「よわいですね、ふっけばいんさん。わるものをたおすんやなかったんですか」

「……お前」

「ああ、ふっけばいんさんもわるものでしたね。じゃあここでこわしても、もんだいないですね」


 手にしていたポップコーンが、握り潰された。文字通り、潰された。粉々になったのではない、砕かれて塵になったのだ。尋常ではない握力、骨すら潰せる鉄腕。

プロの傭兵を倒したというのに、どうでも良さそうだった。力を持て余しているといった具合に、俺を見つめている。俺の挙動次第で、躊躇なく拳を突き刺すだろう。


全身から漂う、悪辣なる空気。計り知れない武は――弱者からすれば、純然たる暴力でしかない。


「そいつ、倒したのか」

「そうです。こどものうちが、おとなをたおしたんです。すごいでしょう――こわい、でしょう」


「うむ、よくやったぞ」


「……は?」

「よくやったと、褒めているんだ。いいだろう、お前を我々悪の組織の一員と認めよう」

「な、なんですか、それ!? うちはいま、おとなをたおしたんですよ! なんともおもわないんですか!?」

「先程言っただろう、我々は悪を倒す、巨悪であると。我々は――力を振るう事を、恐れたりはしない」

「ちからを――おそれない……?」


「助けてくれてありがとう、エレミア。力を振るう者同士、今日からお前は我々の仲間だ」


 ポップコーンの袋を、落とす。ガキンチョは呆然とした顔で、俺を見つめている。何を言われたのか分からない、そんな顔だった。圧倒的な武の気配が、消えてしまっている。

どうやら力を振るった自分を恐れない事に逆に驚いているようだが、子供が大人より強いなんて俺にとっては日常茶飯事である。むしろ俺よりも弱い子供が、一人もいない。

何しろ我が子達が世界を震撼させる実力者達なのだ、幼女が大人を倒しても不思議でも何でもない。異世界どころか俺の世界でも、子供が魔法を撃つ時代なのだ。常識の範囲内である。

助けられたお礼をしたいが、子供が喜びそうな物がよく分からんので適当に言ってやった。友達百人できるかな、という歌もあるしな。


「……あの」

「何だ?」

「てを、にぎってもらえますか」

「手? ほれ」

「……あっさり、にぎりましたね。みてたでしょう、うちのちから」

「ポップコーンくらい、俺でも握りつぶせるぞ」

「うち、いわでもつぶせるんですけど」

「残念だったな、俺はメロンも潰せる」

「たべもの、そまつにしちゃあかんやないですか」

「愚か者め、我々は悪の組織だぞ。悪いことも平気だ」

「うちもそのなかまなんですよね」

「そうだ、お前も仲間だ」

「……あーあ、わるものになってしもうたわ、うち……ふふふ――あ、そうや。
おなじなかまとして、ふっけばいんさんはうちがまもってあげますよ」

「何でお前みたいなガキンチョに、守ってもらわなければならんのだ」

「だってふっけばいんさん、よわよわやないですか。あんなよわいんじゃ、せかいせーふくできませんよ。うちが"ごえー"してあげる!」

「好き放題言っているな、この野郎!?」


 俺の手をブンブンと振って、ガキンチョははにかむように笑っている。子供ってのは不良に憧れるものだからな、無邪気なもんだ。煙草とか吸わないだろうな、こいつ。

やれやれ、とりあえずこいつを縛り上げて背後関係を吐かせるか。いや、それよりもセレナさんと接触を――と、通信が入った。


通信先は――リーゼアリア? ガキンチョに聞こえないように空間モニターを展開せず、個別回線に切り替える。ローゼと博士の通信技術により秘匿性は非常に高く、盗聴もない。


「どうした」

『どうか、落ち着いて聞いて下さい。貴方の婚約者が、誘拐されました』

「誰が攫われたんだ!?」

『ですから、貴方の婚約者です!』

「だから、婚約者って誰だよ!?」

『貴方の婚約者といえば、一人しかいないでしょう』

「いいや」


『……』

「……」


『ナハトヴァールの親権問題について、裁判所に訴えますので覚悟していて下さい』

「俺だって望んで増やしているんじゃねえ!?」


『取引を持ちかけられました。貴方の婚約者と――貴方が所有する剣との交換です。今晩中の取引を迫られています、至急戻って下さい』


 俺の竹刀との取引!? こんな物、何処にでも売っている竹刀だぞ――聖王オリヴィエの祟り霊が、取り憑いていなければ。

徹夜祭を明けた後はいよいよ、復活祭の式典が行われる。神の降臨を祝う大切な式典が、明日行われるのだ。今晩中に取引して剣を渡してしまうと、明日聖王は不在となってしまう。

気が狂った祟り霊を公開するつもりなんぞ最初からなかったが、神が居るのと居ないのとでは話が全く異なる。万が一神様を出せと詰め寄られた時、空手では対応出来ない。

くそっ、一体誰が仕組んでいやがる。今晩、一体何が起きているんだ。とにかく、残っているメンバーで早急に対策を――あれ?



妹さんとファリン、遅いな。










<続く>








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