とらいあんぐるハート3 To a you side 第十三楽章 村のロメオとジュリエット 第百六十二話



「ボクはレヴィ・ザ・スラッシャー、よろしくねおねーちゃん達」


 ワインレッドの瞳を輝かせて、レヴィは元気良く挨拶する。これでも礼儀については随分改善されている。

俺の法術によって存在が確立されたこの子は、非常にノリが良く遊びたい盛りの子供。考えてみれば、俺も初対面の頃からこうして懐かれた。

こんな子供だが、「力」のマテリアルと呼ばれた存在であるようで、AMF環境下でも行動可能な脅威の魔力と実力を誇っている。うちの企業でも良く実験に付き合ってくれている。


基本的に人当たりの良くない俺に全く似ていないボクっ娘に、ロシアンマフィアの姉妹は眉を顰めている。


「……元気の良い子ですね。
経緯は伺いましたが、年頃の少女を子育てするのは大変ではありませんか」


 言葉だけ見ると気遣っているように聞こえるが、ロシアンマフィアのボスは暗にお荷物ではないかと勘ぐっている。

言いたいことは分からなくはない。少なくとも、アリサの経済やクイント達大人の支援がなければ、子育てなんてとても出来ない。

まして自分には全くにない陽気な女の子は、傍にいるだけで芽を焼かれそうな元気さがある。


別に俺自身性格が暗いわけではないが、日陰の生活が長かったので光を受け入れがたい気性はたしかにある。


「何でこんな子を引き取ったの、ウサギ。
ペットが欲しいなら、クリスに行ってくれれば拾ってきてあげたのに」

「いいよねー、ペット。ボクも犬とか飼いたいかも」

「……ウサギ。この子、クリスを馬鹿にしてる?」

「額面通り受け取っているだけだ。怒るだけで疲れるぞ」


 ここは日本だが中でも取り出しそうな殺人姫に、俺は元気なく手を振ってやる。

レヴィも殺気に気づいていない訳ではないが、これでも歴戦の戦士だ。冗談のように受け止める強さを持っている。

実際お互いに戦うとロシアンマフィア最強の殺し屋といえど、魔法を使えるレヴィが相手では分が悪いように見える。


真剣勝負は何でもありなので、ルール無用の殺し合いとなればどうなるかは分からないが。


「あのね、クリスはウサギの飼い主なの。キミのような子を拾っていいかどうかは、クリスが決めることだよ。
ウサギの子供のような顔をしないでくれる、血も繋がっていないのに」

「えー、でもパパはボクのパパだし。
パパの飼い主というのがよく分からないけど、パパの家族なの?」


 レヴィが純真無垢な眼差しでディアーナを見ると、シルバーブロンドの髪の美女は頬を染める。


「い、いえ、そんな……でもその、いずれはそのような関係になれればと思っているわ」

「おー、パパの家族ならボクの家族だね!
にしし、おっぱいの大きいおねーちゃんって憧れるなー」

「どういう基準で憧れているんだ、お前」

「ボクもいずれはレディになるんだしさ。そうなったらおっぱいだって大きくなるよ!」


 ディアーナの胸をモミモミして無邪気に笑っているレヴィを突き放せず、ディアーナは身悶えしている。

こういう距離感の詰め方は俺もそうだが、家族に恵まれなかったディアーナも慣れていないようだ。

父親は愛人を侍らせていた挙げ句、我が娘のディアーナの体まで狙っていた鬼畜である。


ましてロシアンマフィアの環境とあれば、家族や女の子としての生を望めなかったはずだ。


「何勝手に決めてるの、クリスの許可がいるって言ってるでしょ」

「じゃあクリスおねーちゃん、よろしくね!」

「おねーちゃん……クリスが!?」


 無遠慮に手をニギニギしているレヴィを前にして、クリスチーナは目を丸くしている。

他の人間が同じ行為をすれば問答無用で射殺されるだろうし、そもそも間合いに近寄らせないだろう。

レヴィの実力があってこそ出来る行為と、レヴィの人柄があってできる好意。


2つの合わせ技だからこそ、クリスチーナは対応に困っている。


「……貴方様、あの子のああいう強引さに押し切られていませんよね」

「残念ながら、引き取ると決めた時に初めて分かった」

「それはそれでどうかと思いますが……
いざとなればこちらで引き取るつもりでしたが、この調子ですとクリスも絆されそうですね。

対応に困る子なのであまり親切には出来ないかも知れませんが、親戚の子くらいの関係でご援助させて頂きます」

「悪いな、気を使わせて。少なくとも負担にはなってないから安心してくれ」

「いえ、貴方様を支えるのが私の生き甲斐ですから」


 ロシアンマフィアのボスは決して他人は見せない微笑みを浮かべて、レヴィやクリスチーナを見守っている。

どういう会話による結果なのか、二人は何故か相撲を取ってぶつかり合っていた。


気が合うことはないにしろ、気性が合うのであればそれに越したことはない。














<続く>








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