とらいあんぐるハート3 To a you side 第十三楽章 村のロメオとジュリエット 第百六十一話



 うちの家族をディナーに誘われて、渋々ユーリ達を呼び出すことにした。フィアッセの護衛が居なくなるのはまずいので、ディードとオットーにお願いしている。

夜の一族の連中も私的理由で俺を不在にさせるのは憚れると、調整と人材派遣は行ってくれている。豊富な資金と人材は揃えていやがるからな。

ディードやオットーも俺の子供ではあるが、俺の遺伝子を余裕で継いでいる為、説明がはてしなくややこしくなる為、護衛を理由にしている。


留守にでもしてくれていれば話は簡単だったが、シュテル達は全員良い子で呼び出しに応じてくれた。これで断れなくなってしまった。


「貴様が、"我が"下僕の子を名乗る娘か」

「ロード・ディアーチェです。"我が"父がお世話になっています」


 不機嫌そうに鼻を鳴らすカーミラ・マンシュタインと、鋭く見つめ返して名乗りあげるロード・ディアーチェ。

初対面なのにお互い、鼻持ちならなそうに睨み合っている。相性でも悪いのだろうか、こいつら。

ディアーチェも立場上俺の主を名乗る夜の一族に、露骨には見せていないが不満そうにしていた。


そもそも何故機嫌が悪いのか、よく分からない。俺への好意があったとしても、対立し合っていても生産性がないだろうに。


「……随分と太々しい小娘だ。
血の繋がりはないと聞いているが、妙に下僕に似ていて気に入らぬ」

「父に似ているというのであれば、我にとってこの上ない称賛です」


 ディアーチェは確かに俺に似て誰に対しても物怖じしない子だが、聖地を統治するにあって礼儀作法を丁寧に身に着けるようになった。

元々威厳のある子ではあったが、最近は気品も備わってきていて、本当に王としてのカリスマも生まれつつある。

へりくだらず、さりとて不遜に陥ず。この子は恐れられるのではなく、愛される王へと転身しつつある。


俺の後継者だと胸を張って、生きていた。


「ふむ……孤児を不憫に思ったなどとらしからぬ理由を口にしていたが、なかなかどうして見所ある小娘を迎え入れたものだ。
そこまで見る目のある男ではない筈だが、考えてみれば我を最初に見初めたのも下僕だった。

ふふん、そう考えると納得がいく」

「お前との出会いも大概だったがな」


 ディアーチェに何を見出したのか定かではないが、少し考えて納得がいったかのように頷きを見せるカーミラ。

二人の出会いを口に告げられて、ディアーチェは俺を興味ありげに見つめる。俺の武勇伝が何より好きな子である。

こいつが口にした以上は、仕方がない。折角なので、ドイツで起きたカーミラに関する事件を説明してやる。


改めて口にするとひどい思い出の数々なのだが、カーミラはとても懐かしげに機嫌良く聞いていた。


「異国で起きた事件のことは聞いていたが、流石は我が父だ。
劣勢でありながら不幸の中で幸運を掴み、人との縁を大切に紡いでいる。

かつての我には無かった絆の強さを、改めて感じさせられる」

「我もこれまで人間というものに関心さえ示さなかったが、下僕との出会いを通じて世界の広さを見せつけられた。
こうして今我らは領土を広げておるが、それも全て世界を見据えているからこそだ。

娘よ。下僕を親とするのであれば、良縁を紡いだことを忘れるでないぞ」


 何がどう分かりあえているのかさっぱり分からんが、通じあえているのか握手を交わしている。

自分に自信があるという共通点と、自分に地震を持てたという軌跡。

強大な力を持ちながらも孤独だった過去と、強大な影響力を持って世界を広げていく両者。


似ているのは生き様か、それとも生きてきたこれまでか。


「何処ぞと知れぬ童であれば他所へやることも検討していたが、問題はなさそうか」

「どこへやるつもりだったんだ、うちの子を」

「何を言っておる。同情一つで子を育てる解消なんぞないであろう、貴様は。
重荷にならぬ内に里親へやるのも、情というものではないか」

「うっ……」


 ――正直に言おう。ディアーチェが手のかかる子供であったならば、俺は引き取っても育てられなかっただろう。

そもそもアリサと出会えなければ、俺は今も浮浪者でしか無かった。子供どころか、自分も明日をも知れぬ身だったのだ。

拾い食いさえしていた有り様で、子供なんぞ育てられる筈がない。全てディアーチェ達が立派に自立しているから、親子関係は成り立っている。


自分自身、まだ十代の子供でしかないからだ。


「お前が切り離せぬのであれば、我がやるしかない。だからこうして断罪してやろうとも思っていた。
まあこの娘ならば心配はなさそうだが」

「無理やり引き離したら俺に恨まれると思わなかったのか」

「たとえ恨まれようとも、自分の下僕を第一に考えるのが主としての責任だ。
お前がドイツで我を救ったことは、生涯忘れぬ」


 くだらないことをいちいち聞くなと言わんばかりに、カーミラはそっぽを向いた。

まさかそこまで考えてくれているとは、夢にも思わなかった。

俺の子供を呼び出す時に機嫌が悪かったのも、あるいは俺に恨まれることを覚悟していたのかも知れない。


その後カーミラとディアーチェはふてぶてしさこそあったが、お互いの尊厳を尊重して新しい縁を結んでいた。














<続く>








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