VANDREAD連載「Eternal Advance」




Chapter 6 -Promise-






Action16 −髪飾り−




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敵艦隊、殲滅。

ヴァンドレッド・ディータの主力兵器の応用変化とドレッドチームのチームワークにより、形勢は完全に逆転した。

主力のほとんどがビームの乱射に巻き込まれて消滅し、運良く生き延びた残存兵力も徹底した追撃により破壊される。

マグノ海賊団総戦力の実に半数もの被害を出したこの戦闘も、最後の最後で見事なる大勝利に終わった。

船内にいるクルー達は、その誰もが全滅間際まで追い込まれていた自分達が生き延びた事に実感が持てずに呆然としている。

それぞれの持ち場で仕事をしていた女性陣はカイの奇想天外な戦い方に目を奪われ、勝利をもたらした一瞬をモニターで見つめていた。

やがて無人兵器の全てが消滅し、戦場にドレッドチームとヴァンドレッド・ディータのみとなった時、どこからともかく歓声が上がる。

驚愕は実感へ、実感は浸透し、浸透は拡大して、クルーの誰もがカイ達が勝利した事を浮かれた。

感極まって涙を見せる者、仲間達と抱き合う者、心から安堵する者と様々だったが、船内にいる誰もが喜んだ事に変わりはない。

特にニル・ヴァーナの首脳部であるブリッジ内ではその喜びはひとしおだった。

敵戦力の強大さを全クルーの誰よりも把握し、味方戦力の半減を全クルーの誰よりも嘆いたブリッジクルーには。


「やった〜!!勝った、勝った!!」


 自分のコンソールから外部の状況を把握して、敵が一掃された事を知った途端に上げたベルヴェデールの第一声がこれだった。

本来は前線チームが母船内に待機するまでは状況把握に専念しなければいけないのだが、今回ばかりはベルヴェデールも職務を忘れた。

相棒のアマローネもベルヴェデールの滅多に見られないはしゃぎ様に苦笑しながらも、自分自身気持ちの高鳴りを抑えきれずにいる。


「作戦によるドレッドの被害数は0。やったわね・・・・」


 今回展開された作戦は、味方に何の被害も出さなかったのである。

局地戦からの反撃策としては正に理想的だったであろう。

怪我人こそ重軽傷者合わせて多数出してしまった今回の戦いだったが、無事に危機を乗り越えた事には素直に喜べた。


「・・・勝ったんだ、あたしたち・・・・」


 一向に姿を晒す事のないヌイグルミの中で、セルティックは呟きつつもその愛嬌のある仮面は外部モニターを見つめていた。

勝利の歓声が轟くブリッジ内の片隅で、小さきその声を耳にした人間は一人もいない。

自分達が勝った事に喜ぶべきなのか、忌むべき男が勝利を導いた事を悔やむべきなのか。

表情も仕草も見えないその奥で、セルティックの身体の芯から湧き出る気持ちは自分自身でも分からなかった。


「副長、お頭!カイちゃんが勝ちました!!
守ってくれたんです、私達を」


 もう疑いようのない今回のカイの活躍ぶり。

死に逝こうとしていたメイアを励まして、落ち込んでいた女達を激励して、パイロット達の協力を得て勝利を収めた。

誰がどう見てもカイの取った行為は賞賛に値し、それまで抱いていた男へのイメージを激変させるに十分だった。

初対面からディータと同じくカイに好印象を持っていたエズラにとって、本当に我が事のように嬉しかったに違いない。

いつも以上に満面の笑顔で報告するエズラに、ブザムもいつもの強面を崩して頷いた。


「何て奴だ・・・味方を反射に使うとは・・・」


 光力兵器の通常出力なら平気で跳ね返すシールドを利用したカイの戦術に、ブザムは舌を巻く。

軍事知識の基本から科学技術の一切まで把握している頭脳を持つブザムにも発想できない、常識外れの戦い方だったからである。

一見すると単純な思いつきに見えるが、シールドを反射に利用するという事は味方に対して攻撃を加えるのと同じである。

シールドとて万能ではない。

ドレッドの数倍の防御力を持つニル・ヴァーナの強固なシールドでも、今回の戦いで乱打戦に持ち込まれて破られてしまった。

反射できるエネルギー反動率には限界があり、リミッターを超えてしまうとシールドとて消失する。

ましてやヴァンドレッド・ディータのペークシスキャノンは、マグノ海賊団では最強の威力を誇っているのだ。

出力を拡散したとはいえ、ドレッドのシールドを破って味方を危険に巻き込む可能性だってあった。

危険を冒してでも勝利しなければいけなかったのは事実だったが、こんな博打は自分ならやらないだろう。

失敗すれば、味方の命が危なかったのだ。

ブザムは作戦内でのカイの取った行動分析と作戦によって生じた結果を見つめる。

自分ならやらなかった、今でもそう思う。

その結果、何もやらずにいた自分は味方を助ける事は出来ずに全滅していたであろう。

ブザムはカイを非難する気はない。

危険を考慮して結果を出さずに静観していただけの自分。

危険を顧みず結果を求めて活動していたカイ。

どちらがクルー達を救えたのか、比較するまでもなかった。

そしてブザムは他人を卑下して自分を確立するような器の狭い人物でもない。

今回の功績はもしカイが女であり海賊団に所属していたなら、メイアと同列のリーダーにブザムは抜擢していただろう。

クルー達を支えて守ってくれたカイに、ブザムは頭が下がる思いだった。


「ふふ・・・男の浅知恵にしては上出来だね・・・」


 独り言のような声にブザムが振り向くと、艦長席にてマグノがモニターを見つめながら嬉しそうにしている。

マグノもまた、カイが口だけの男ではなかった事を喜んでいる女性の一人だった。

ブザムはマグノの言葉に賛同し、視線を向けて口を開いた。


「あの男・・・本当に我々を助け、守り抜きました。
今回ばかりは見事としか言いようがありません」


 戦いが終わって、集結したドレッドが次々と帰還していく。

外部モニターに映るドレッドの乱れのない編成は美しく、勝利の凱旋のように輝いて見えた。


「BC、その言葉はあの子には言わない方がいいよ」


「何故ですか?」


 まさか男だから賞賛するなと言うほど、マグノは狭い度量の持ち主ではない筈だ。
心底不思議そうにしているブザムに、茶目っ気のある微笑みでマグノはコメントする。

「いい気になるに決まってるじゃないか。
あの子には半分褒めて半分けなすくらいがちょうどいいんだよ」


 カイの性格を把握しているマグノらしい指摘に、ブザムも表情が緩む。

緊張感がないといえばそれまでだが、戦いの連続だった今日と言う日が終わった事に二人共に安堵しているのだ。

かといって、ずっと喜んでばかりいられないのも事実だった。

目の前の敵を倒したからといって、自分達の戦いが本当の意味で終わった訳ではない。

敵の正体が何者なのか判明していない上に、故郷への道はまだまだ遠い。

あれほどの戦力が壊滅した後ですぐに襲ってくるとは考えにくいが、警戒しなくていいというのは間違いだろう。

それに何よりまだ、肝心の問題が一つ残っている。


『ばあさん、ばあさん!』


 突然ブリッジ内の中央モニターが切り替わって、外部観測図から一人の男の姿に切り替わる。

度重なる戦いの名残か、全身ボロボロにしているカイだった。 

マグノはブザムとの対話を切り上げて、今日一番の立役者に目を向けた。


「ここにいるよ。今日はごくろうだったね」

『え?ああ、俺にかかればあんな奴等雑魚よ雑魚。
もう歯向かう気も起こらん位完膚なきまでにぶっ飛ばしてやったぜ』


 作戦が無事に成功したのに気を良くしてか、浮かれた調子でカイは語る。

マグノはカイの言葉に肩を竦めてブザムを見ると、同じくブザムも嘆息していた。

見た目の怪我の具合を心配したベルヴェデールも聞きつけて、呆れた表情でカイに向かって話す。


「たまたま作戦がうまくいっただけでしょう。頭に乗らないの!」

『ふっふっふ、そんなでかい態度を取ってていいのかなぁ〜、君ぃ〜」

「な、何よ?その不敵な笑みは」


 少し後ずさるベルヴェデールに、カイはいかにも演技かかった仕草で腹を抑える。


『あ〜、腹減ったな・・・・
誰かさんと誰かさんの料理が食えるのが楽しみだ』


 初めこそきょとんとしていたベルヴェデールも、カイが何を示唆しているのかが分かった。


「あーーー!?」

「・・はあ〜、やっぱり覚えてた・・・・」


 動揺して絶叫するベルヴェデールとは裏腹に、アマローネは諦め切った表情でがっくりコンソールにもたれ掛かった。

どうやらアマローネはカイとの約束をしっかりと覚えていたようだ。

二人の様子に満足したのか、喜色満面の笑顔でカイは腕を組んでうんうん頷く。


『約束はきちんと守らんと駄目だよなぁ〜、二人とも』

「あぅ・・・・私、あんまり得意じゃないんだけど・・・」


 別にカイに作る事自体が嫌と言う訳ではない。

むしろ自分を元気付けてくれて、仲間を助けてくれたカイには好意すら抱き始めている。

そういう意味で不本意ではないが、自信のない料理を作ってカイに食べさせる事でどんな顔をされるか分からない事が引っ掛かっていた。

複雑な心境のベルヴェデールに、アマローネが一言言った。


「・・・諦めた方がいいわよ、ベル。あいつは一度言った事は覆さないから」

「・・・そう言えばそうだったわね」


 男は一度言ったことは守る、を明言にしているカイである。

その言葉の信頼性を保ちつつあるカイに、アマローネやベルヴェデールが信頼を見せてきているのも確かなのだ。

二人は互いに顔を合わせて小さく笑って、カイに承諾した。

カイはガッツポーズをして喜んでいたが、突如カイの背後からにゅっとディータが顔を出す。

どのような心因性や状態が原因なのかはまだ不明だが、二人の機体はまだ合体を維持出来ていた。


『宇宙人さん、ディータもご飯作ってあげるよ!』


 にこにこと笑顔で申し出るそんなディータに、カイは分かってないという風に首を振る。


『あのなあ、お前が作っても飯は美味いだけで面白くも何ともないだろうが』

『ご、ご飯は美味しい方がいいよ』

『そうじゃなくって!
・・・・ええい、お前ちょっとそこ座れ!!』

『座ってるよ?・・・・あ、痛い!
どうしてぶつの、宇宙人さん!?』

『俺は揚げ足を取るのは大好きだが、取られるのは大嫌いだ』

『うう、だからって殴らなくてもいいのに・・・』

『黙って聞け!いいか?
お前が飯を俺に作るのは当たり前の事だろう』

『うん、そうだよね』

「当たり前のことなの?あんた達にとって・・・・」


 丸聞こえのコックピット内の実況中継に、アマローネは疲れた調子で相づち代わりに言う。

マイペースな二人には届かない事は承知の上だったが。


『それに比べて、あいつらは俺が頼んでも嫌がるからな。
そういう奴等に作ってもらうのが醍醐味なんじゃないか。
どういう食べ物が出来上がるのかすごい気になるし、女の食い物は気に入っているからな』

『う、う〜ん・・・ディータにはちょっとよく分からないけど・・・』

『滅多に食べられないからこそ希少価値があるんじゃねーか。
例えば青髪が料理作る姿なんてお前・・・・・・・
って、青髪!?』


 得意げに語りに入っていたカイははっと顔を上げて、慌てて通信モニターに向く。

そもそもどうして通信を入れたのか、その目的を思い出したのだ。


『くっそ、赤髪のせいで一番聞きたかった事をまだ聞いてなかった』

『ええっ!?ディータ、何も悪くないよぉ!』

『ああ、うるさいうるさい。ばあさん、ばあさん!』

「その言葉はさっきも聞いたよ。
はあ・・・・あんたが頼もしいのかそうでないのか相変わらずよく分からないね」


 賑やかな騒動を黙って見つめていたマグノは、カイを真正面から見ながら言った。

表面上ではカイを嘆いている意があるが、言葉の裏にはカイに対しての興味は一層深まっていっていた。

ディータとはもう兄妹のような親密さを見せ、アマローネやベルヴェデールとも親しく会話している。

タラーク・メジェールの歴史をあっさり覆す男女模様に、雰囲気を作り出しているカイに、マグノは自分の昔を見ていた。

そんなマグノの様子にも、カイはどうとも思わずに身を乗り出して聞き迫った。


『んな事はどうでもいいんだよ!
それより青髪は?あいつはどうなったんだ!?』


 カイがメイアを見たのは、昏睡状態に陥っている姿が最後である。

戦いの間は常に目の前の敵や周りの仲間に集中していたのだ。

本当は気になって仕方がなかったのだが、必ず回復してくれると信じて敢えて振り返りはしなかった。

そして今自分の戦いが終わり、約束は果たされた。

後はメイアが無事に回復したか、それだけが気がかりの種なのだ。

カイの真剣な問いに、マグノも茶化す事はしないでぽつぽつと朗々と話していく。


「パルフェとドクターが手術に取り掛かってて、まだ終わってはいないよ。
たださっき聞いた報告だと、あの娘は危険な状態・・・・・」

『!?っ』


 途端、ブツンっと乱暴な音を立てて通信回線が遮断された。


「ヴァンドレッド・ディータ、分離。
カイ機が母船に急加速で帰還しました」


 ブイッジクルー一同が呆然とする中、ベルヴェデールがそっと報告する。

その声にはメイアを気遣うカイへの苦笑と、ちょっとした温かみがこめられていた。

マグノの説明を聞いてカイが慌てている様子が、その場にいる誰しも分かった。

説明をした当人はと言うと、そんなカイに対して意地悪そうに言った。


「危険な状態は脱したって言おうとしたんだけどね・・・・・」


 マグノのそんな言葉に、ブザムは一息吐きながらも口元が緩むのを押さえ切れそうになかった。















 緩やかに、ゆっくりと瞼が開いていく。















固く閉じられたままだった目が徐々に開かれていくに従って、長い睫が揺れる。

静かだった。

何も音を立てていない環境の中で、メイアは今ゆっくりと目覚めようとしていた。

残酷ながらに懐かしい夢から帰ってきて、現実を閉ざしていた瞳は穏やかに光が灯される。

空色をした優しい瞳に濁りが消えて正気になった時、視界は一斉に解放された。

眩しい医療室の照明に無機質な天井。

眠りから覚めてメイアは意識を取り戻した時に最初に映ったのはその光景・・・・ではない。



その前で自分を覗き込んでいる――



「・・・・なんて・・・・顔をしてるんだ・・・お前は・・・・・」



「・・・・うる・・・せえ・・・・・・・・」
 


 メイア同様に負傷の跡を残したまま、カイは身を震わせて泣いていた。

何とか必死で抑えようとはしているが込み上がる気持ちを我慢できないのか、俯いた顔が震えている。



「・・・・心配して・・・くれたのか・・・・」



「・・・・悪いかよ・・・・・・・」



 これまで自分のまで突っ張ってばかりいたカイが涙を流している。

それだけで、どのような気持ちで自分の傍らにいたのかが分かった。



「・・・・カイ・・・・・・」



「・・・・なんだよ・・・・」



 弱々しく表情を和らげて、メイアはそっとカイの頬に手を触れた。



「・・・・声、聞こえた・・・・」



「・・・・そっか・・・・・・・・・・」



「・・・・うん・・・・・・・・・・・」



 それだけで十分だった。


「・・・・・青髪・・・・・・・・・・」



「・・・・・なんだ・・・・・・・・・」



 頬を伝う涙を拭わずに、カイは泣き笑いの顔で言った。



「・・・・あいつらは・・・・俺が倒した・・・・」



「・・・・そうか・・・・・・・・・・」



「・・・・お前の仲間は・・・全員無事だ・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・そうか・・・・・・・・・・・・・」



 安心したように、メイアは瞳を閉じる。

瞼の奥から一滴の水滴を零して――



「・・・・カイ・・・・・・・・」



「・・・・なんだ・・・・・・・・」



 触れる頬のなんと温かいことか――



「・・・・母さんに・・・会った・・・・」



「・・・・そっか・・・・・・・・・・・・」



「・・・・うん・・・・・・・・・・・・・」



   メイアは目を細めて、カイをそっと見つめる。



「・・・自分の居場所を見つけなさいと・・・言われた・・・・」



「・・・・そっか・・・・・・・・・」



 触れる手のひらのなんと暖かいことか――

カイは、そっと横たわるメイアを見つめる。



「・・・なら・・・・見つけないとな・・・・・・・」



「・・・・見つかる・・・・・・・かな・・・・・」



「・・・・見つかるさ・・・・・」



 躊躇いのない言葉に、メイアは薄く微笑んだ。



「・・・・簡単に・・・言ってくれる・・・・・・」



「・・・・簡単だから・・・・言ったんだよ・・・・・」



「・・・・簡単・・・なのか・・・・・」



 不安そうな表情をするメイアに、カイは微笑んだ。

明るくも力強い男の笑みで――



「・・・・俺がいるからな・・・・・・・」



「・・・・お前が、か・・・・・・・・・」



「・・・・ああ・・・・・・・・・・・・・」



 メイアもまた、微笑んだ。

儚くもやさしい女の笑みで――



「・・・・拒否権は・・・ないみたいだな・・・・・」



「・・・・当然・・・・・・・・・・」



「・・・・そうか・・・・・・・・・・・」



 たどたどしいやり取り。

でも、何よりの心地良い空間だった。




「・・・・ドクターは・・・・・・・」



「・・・・俺がみてやれってよ・・・・」



「・・・・そうか・・・・・・・・・」



 二人しかいない医療室に沈黙がよぎる。



「・・・・カイ・・・・・・・・・」



「・・・・なんだ・・・・・・・・・」



「・・・・ひどい・・・怪我だな・・・」



「・・・・心配してくれるのか・・・・・・」



「・・・・・悪いか・・・・・」



「・・・・いや・・・・・」



 カイは額の血に触れる。



「・・・名誉の負傷ってやつだ・・・・・」



「・・・・自分で・・・言うな・・・・・・・・」



「・・・・やっぱり・・・・・・・・・・」



「・・・ああ・・・・・・・・・・・・・・」



 二人は見つめあい、そして笑った。



「・・・・・はは・・・・・・・・・・・・」



「・・・・・ふふ・・・・・・・・・・・・・」



   メイアはそうして少し疲れた様に身を横たえたまま、何気なく額に触れる。

っと、突如顔を強張らせた。

その様子をカイが見て、ふと思いついたように腕に手を伸ばした。




「・・・・これか・・・・・・・」



「・・・・・・・あ・・・・・・」



 軽く目を見開くメイアの視線の先に、カイの手に収まっている髪飾りがあった。

カイはそのままメイアに渡した。




「・・・・落し物だ・・・・・・大事にしろよ・・・・」



「・・・・うん・・・・・・・・・・」



 メイアはそのままじっと髪飾りを見つめる。

その瞳に浮かぶのはさまざまな感傷だった。




「・・・・それさ・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・なんだ・・・・・・・・・・・」



   傍らで見つめるカイは髪飾りが何なのかを聞こうとし、止める。

過去を詮索するのは性分ではない。




「・・・・・綺麗だな・・・・・・・・・・」



 何も聞かずにそう言ってくれたカイに、メイアは初めて心からこう言った。

今までの、色々な事に対しての精一杯の―――




「・・・・ありがとう・・・・・・・・・・・」























<LastAction −この素晴らしき世界−に続く>

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