とらいあんぐるハート3 To a you side 第八楽章 戦争レクイエム 第七十話





 リスティ・矢沢は、海鳴大学病院に入院することになった。俺が病院送りにしたように聞こえるが、剣による怪我ではなくHGS――高機能性遺伝子障害病の悪化が原因だ。

怪我なら他所の病院でも治療出来るが、高機能性遺伝子障害病は公にされていない病気だ。治療出来る施設は国内でも限られており、海鳴大学病院はHGS治療の権威である。

俺の推測通りフィアッセとフィリスの事故が原因で心のバランスが乱れ、高機能性遺伝子障害病が悪化。あのまま放置していたら、鬱屈した精神が破壊衝動に変わっていたと言う。

憎しみの対象が俺一人に向けられていたからこそ恐慌に出ず、私闘を演じた事で恨み辛みの全てを発散出来た。復讐そのものは果たされなかったが、八つ当たりくらいにはなったのだ。

戦いの全てに高潔な理由や、称賛されるべき動機があるとは限らない。男と女の関係ともなればまた複雑で、つまらない事でも喧嘩になったりするものだ。


「那美から話があったと思うが、今晩フィリスを目覚めさせる」

「……僕が治療で動けない隙に好き勝手にやるつもりか」

「ああ、そうだとも。お前が負けたのが悪い」

「寝ている隙に女の心を無断で覗き見るつもりだな、卑怯者め」

「何とでも言え。言っただろう、どんな事をしても俺はあいつを治す」


 リスティには妄言であれど憎むべき原因があり、俺には許せない理由があった。お互い自分の正しさを主張せず、ただ相手を罵倒して殺し合っただけ。正当性なんぞ必要としなかった。

ゆえに殺し合ったその後も、相手に謝ったりはしない。人間関係とはそれほど、都合良くはない。許せない事は戦いの勝敗に限らず、どうにもならない。

雨が降っても、必ず地が固まることは限らない。


「僕だって……諦めたくて、諦めたんじゃないんだ。あいつが死んだなんて、思いたくなかった。当たり前だろうが!
海外で好き勝手にやってた奴に、何で色々言われなければいけないんだ。ちくしょう……」

「……分かってるよ。お前がそういう奴なのは、分かってる。だから――だからこそ、許せなかった」

「僕だって、お前を許さない。どんな理由があっても、お前が原因であいつは事故に遭ったんだ」


「……」

「……」


「絶対に、あいつを治せよ。そしたら、許してやる。どうせ僕が許したって、あいつ本人が海外で無茶したお前を許さないだろうからな」

「お前は本当に、嫌な女だよ」


 リスティとの戦いでは精神面ではあいつが痛手を被ったが、肉体面ではむしろ勝った俺の方が傷は酷い。大怪我こそないが、超能力によって全身が痛んでいる。

それでもいつもと比べれば軽傷だと関係者全員に安堵されるのは、俺としても複雑だった。リスティとの私闘後すぐにフィリスの治療を強行しても、反対意見が出ないのもどうかと思う。

治療を急ぐ第一の理由は、勿論リスティだ。高機能性遺伝子障害病の悪化と軽く言っているが、事態としては深刻だ。メンタルが持ち直さないと、悪化の一途を辿る。

今はシェリーとフィアッセで押さえ込めているが、彼女達だって限界はある。フィアッセだって、今の精神状態は健全とは言い難い。不安定な心では、力も安定しないのだ。

俺への復讐によって何とか落ち着きを見せているが、明日明後日になればどうなるか分からない。一時的な処置ではなく、根本的な改善が必要だ。


フィアッセとリスティ、二人の心を救うには――信頼のある、医者が必要だ。


「ちっ、むかつくがバトンタッチだ。てめえ、しくじったら許さねえからな」

「準備は万端です。後は任せて下さい、アギトちゃん!」


 リスティとの戦いで魔力は底をつき、超能力による重力で傷を負ったアギトはミヤと交代。別室で、シャマルの治療を受けることになった。

海鳴大学病院、別棟の夜。この棟は隔離が必要な患者、関係者以外立入禁止の区画。魔法という非常識な治療を行うにあたって、カレンを通じて病院側に承認を得ている。

海外より来訪してくれたシェリーのおかげで、家族側への了解も取れた。彼女が立ち会いとなり、他関係者を締め出すことに成功。これも治療を急いだ理由だった。

秘密とは長く、保っていられない。勘繰られる前に一刻も早く治し、早々に過去としなければならない。俺達に必要なのは、結果だけであった。

夜天の魔導書を持ち、フィリスが寝かされている病室へと入る。立会人であるシェリーは、眠り続けるフィリスを痛々しく見下ろしていた。


「いつも忙しそうに働いているから、少しは休んだ方がいいといつも言ってたんだ」

「ああ、俺も気にはしていた」

「でも、駄目だね。この子が寝ているのを見ていると、起こしたくなる。らしくはないと、叱りたくなっちゃうよ」

「……そうだな。本当に、こいつらしくないよな」

「助けてあげてね。きっとこの子、君が来るのを今でも待ってる」

「随分、心配させたからな。挨拶に行ってくるよ」


 立ち会いにあたり、これからの処置について一切言及しないようにシェリーと約束させている。フィリスの目覚めを絶対条件として、彼女に受け入れさせた。

医療関係者は、シャマル。正規の医療免許を持っていないが、ディアーナによる身元の偽造とカレン・ウィリアムズの名による紹介より今日の執刀医に任命された。

クラールヴィントを装備。俺を使った人体実験では、シュテル達の強制介入というアクシデントが起きた。多分もう何もないとは思うが、何かあればクラールヴィントが知らせてくれる。

夜天の魔導書のメンテナンスも終わり、主であるはやてと守護騎士達全員の承認も得ている。今日この時、今だけはこの魔導書を使わせてもらおう。


手術を、開始する――!


「リョウスケ。フィリス先生に、この魔導書を持たせて下さい」

「魔導書を……? ああ、そういう事か」


 お伽噺の妖精そのもののミヤに驚愕と興味で見つめるシェリーを目にして、俺は納得する。夜天の人が、彼女に姿を見せたくないのだろう。

対象の精神に直接アクセスして、深層意識で望んでいる夢を見せる魔法。捕獲魔法の一種であるこの術式を利用して、フィリス・矢沢の精神に飛び込む。

俺の精神をミヤがフィリスの精神まで導き、夜天の人が眠り続けるフィリスの心にアクセスする。両者の精神を結び付けるのに、二人の儒者が必要となる。

フィリスに直接夜天の魔導書を持たせる事で、実体化せずに本から直接フィリスの精神へ繋げる作業を行うのだろう。自身の隠蔽には、徹底しているようだ。

ベットの上のフィリスに魔導書を持たせ、俺は彼女の額に手を当てる。準備は、完了だ。


「治療中は受け答え出来ないから、もし何かあれば俺じゃなくてこいつに言ってくれ」

「よく分からないけど、分かったわ。今は、フィリスに集中して」

「よし、始めるぞ!」


 この手術に、麻酔は必要ない。患者は眠っているし、治療を行う俺自身も強制的に眠らせる。身構える時間も与えられず、強引かつ安らかに意識を落とされた。

人体実験を行ったあの時と同じく、特段奇妙な感覚はない。他人の意識に飛び込む過程は全て、彼女達が請け負う。目が覚めたら、彼女の心の中だ。


どんな事が起きても必ず、フィリスを目覚めさせる――俺は、彼女の中へ飛び込んだ。















「……む?」

「成功しましたよ、リョウスケ。此処はもう、フィリス先生の中です」


 人体実験では夜の町に落とされたが、実際の本番では真っ暗な空間に浮かんでいた。左右上下を見渡すが、本当に何もない。閉ざされた闇の中で、俺は一人立たされている。

夜よりも深い暗黒の空間で、仄かな光を放つミヤが俺の前を飛んでいる。真っ暗な空間の中では灯台のような道標で、こいつを見た瞬間安堵させられた。

何もない空間といえば拍子抜けなイメージを持つが、実際暗闇の中で一人立たされると不安と焦燥に狂わされる。閉ざされた空間に、人の心は適応しないのだ。

もしもこんな中に延々とフィリスが居続けているのなら――目覚めないのも、無理はない。起きる気力も、生きようとする気持ちも見失ってしまう。


「こんな中にずっと一人で居て、あいつは大丈夫なのですか」

「忘れたのですか、リョウスケ。先生はずっと、眠ったままなのです」

「あっ、そうか。そりゃそうだ」


 馬鹿な心配をした自分に、苦笑いしてしまう。予想以上に、この空間に取り込まれていたようだ。他人の精神を覗きこむ行為に、夜天の人が警告するのも頷ける。

他人の心を見るという力は便利に見えるが、所詮は他人であり、自分ではないのだ。自分とは違う精神構造は、どうやっても適応出来ない。

血や臓器でも他人と適合するのは難しいのに、一人一人違う心と一致させるのは大変極まりない。何をどうやってもきっと、本当の意味で一つになれないだろう。


――あれ、ということは……?


「フィリスの精神に長居していると、俺もやばいのか?」

「皆さんがずっと反対されていた理由を理解していないのですか!? 覗かれるフィリス先生の事だけじゃなく、リョウスケの事も心配していたんですよ!」


 怒られてしまった。うぐぐ、そうだったのか。アリサだけじゃなく、俺には全面的に肯定する妹さんまで反対していた理由が分かってしまった。ごめんなさい、皆さん。

夜天の人がこの魔法を使うのはあくまで、対象の精神を捕獲するのが目的だ。攻撃ならまだしも、回復には向いていない。夜天の人が呆れるのも頷ける。

フィリスの精神に呼び掛けるだけじゃなく、フィリスの精神に居ること自体も危険。この手術の厄介さを、今更ながらに思い知らされた。


フィリスと同化してしまう前に、一刻も早くフィリスを起こさなければならない。


「ミヤが今から、フィリス先生の心へ案内します。それとお姉様に感謝してくださいね、リョウスケ」

「何だ、藪から棒に」

「真っ暗に見えるでしょう、この空間。本来人間の精神は、暗闇ではありません。精神を司る記憶、その記憶の媒体となる情報が色付いているのです。
もしも先生の精神を"そのまま"見せていたら、リョウスケは今頃既に取り込まれてしまっていました。今お姉様が意図的に遮断しているから、何も見えていないだけです」

「うげげ、そうなのか!?」


 考えてみれば、当たり前だ。人間の脳は一つであり、人生の記憶は人間一人しか備わっていない。二人分も貯め込んでしまったら、自分の精神が容量オーバーで破裂してしまう。

脳の情報演算力がどれほど膨大でも、精神の許容量までは増築されない。夜天の人が遮断してくれなかったら、フィリスの精神をダイレクトに覗き込む結果となっていただろう。

魔導書のメンテナンスには、許容量の確保もあったに違いない。抜かりのない作業に、感心させられる。


「だったらフィリスの心へ急ぐぞ。取り込まれる前に、呼びかけて目を覚まさせる」

「了解、レッツゴーですぅ!」


 単純ではないのは分かっていたが、予想以上に猶予のない危ない仕事だったようだ。危険度の高い仕事を行う為に、超能力者に殺されかけた我が身が悲しい。

ミヤの案内に従って、フィリスの心へと向かう。心の在り処は宇宙まで飛ぶ現在の技術を持ってしても、正確な座標は分かっていない。人の内に在る、ただそれだけの認識。

新聞や雑誌で深遠なる精神という表現をよく用いられているが、他人の心へ向かうのは崖の下へ飛び込む行為に似ている。どこまで深く、落下していく感覚があった。


飛び降り自殺すると、着地する前にショック死している――その多くが迷信とされている自殺例だが、例外はある。高さに際限が無ければ、激突するイメージだけで死ぬのだ。


延々と、ただ落下し続ける。真っ暗な空間に、底は見えない。地面がないとは、これほどの不安を生むのか。落ちていくだけで楽な筈なのに、自分の心はむしろ追い詰められている。

暗闇が怖いのではない。何もないのが、怖い。何もないようにみえるのが、怖い。激突して死ぬことはないと分かっていても、弱い心は最悪のイメージを生む。


死ぬのかもしれない――どうしても、そのイメージが拭えない。摩耗する精神を、他人の精神が取り込もうとしている。


「リョウスケ、大丈夫ですか!? しっかりしてください!」

「っ……安心しろ、ミヤ。この程度、何でもねえよ」

「でも、顔色が……!?」


「フィリスだってきっと、同じ気持ちだったんだ」


 死ぬかもしれない、恐怖。あいつは毎日、この不安と戦っていたのだ。傷付いた患者と向かい、常に心を痛めながら治療を続けている。

あいつからすれば、俺は最悪の患者だったのだろう。いつも危険に巻き込まれ、何度も死にかけて、それでも反省もせずに剣を振り回して、心配ばかりさせる。

分かっているつもりだった。でも、つもりになっていただけだった。自分が同じ不安に晒された途端、こんなにもみっともなく震えている。死ぬかもしれないと、怯えている。

リスティの言う通りだ。俺の為に膨れ上がった不安が、階段事故により破裂してしまったのだ。心まで、潰れてしまうほどに。


「俺は、耐える。あいつのように、耐え続けてみせる。耐えられずに引き返したら、二度と自分を許せなくなる」


 延々と落ち続けるだけの作業、底も見えず恐怖に晒されるだけ。戦うよりもずっとキツイが、歯を食いしばって耐える。ただ、耐え続ける。

一人だったらきっと、耐えられなかっただろう。今の俺にはミヤがいる、帰りを待つアリサ達がいる。信じてくれたシェリーやフィアッセがいる。

そして逃げ道を断った敵、リスティもいる――が。


「……ぅ、ぐ……」


 息が出来なくなる。声が出なくなる。心が閉ざされていく。肺が圧迫される。苦しい、それでいて苦しい。楽になりたいという気持ちだけで、いっぱいになる。

引き返そう――その言葉が、使命感より先に何度も浮かぶ。どれほど理想や綺麗事を並べても、本音は苦しい。死にたくない、弱音が先に飛び出してしまう。

俺は、ヒーローじゃない。人を斬るしか出来ない、無能者。人を救うよりも先に、自分が斬られるのを恐れる。悍ましき弱さ、醜さ、浅ましさ。こんな人間が、どうして生きている。


「これ以上は危険です、リョウスケ!? もう止めましょう!」


 苦しい、死にたくない……フィリスを見捨てても、俺は生きたい。最低だと分かっても、泣いて喚いて命乞いしたくなる……!


「……し……しに、死にたくない……」

「分かりました。お姉様に呼びかければ、引き返せます。また日を改めて、やり直せますよ!」


「――死なせたく、ない」


「リョウスケ……!?」

「死なせたくないんだ、あいつを」


 死にたくはない、そしてそれ以上に――死なせたくなかった。リスティも、フィアッセも、フィリスは死んだと言っている。このまま死んだことに、したくはない。

泣きながら、落ち続ける。なんて無様な男なのだろうか。人命救助、シェリーと同じことをしているのにこの違いは何なのか。映画だったら、観客が幻滅しているだろう。

もがき苦しみながら、落ちている。死にたくないと足掻きながら、死に向かって飛び込んでいる。死にたくない、死なせたくない。その気持ちは、両立している。

自分と他人が、今の俺の中では等しいのだ。これでは、選べない――だったら。


「だったら、助けに行くしかないだろう! 自分の娘に、幻滅されたくないからな!!」















「娘ってどういう事ですか、良介さん!!」















 ――闇が、砕け散った。周囲を閉ざしていた暗闇がガラスのように粉々になり、光が溢れだしていく。落下が嘘のように止まり、俺達は着地した。

ミヤがキョトンとしている。無理もない、きっと心はもっと奥底だったのだろう。急に止まり、閉ざされていた空間が晴れて、むしろ戸惑ってしまっている。

俺に何が何だか、分からない。さっきの声に、聞き間違えはない。しかし、何故――と思った、その瞬間。


胸倉が掴まれ――急速に、引き上げられた。


「良介さん!」

「わっ!?」


 眼前にある、見慣れた女の顔。夢から覚めたように、現実へ戻っている。夜中の病院、隔離病棟。落下し続けていたあの空間より、戻されている。

いつの間にか、膝をついている。見上げるベットの上は、空っぽ。夜天の魔導書は転がり落ちており、立会人のシェリーは茫然自失のまま見つめている。


実に怖い顔をして俺に迫り来る、フィリス先生のご尊顔に。


「フィ、フィリス……?」

「フィリス、じゃありません! 子供とはどういう事ですか、良介さん!!」

「え、えーと……」


 何がどうなっているのか分からない俺に、実に端的に――夜天の人が溜息混じりに、念話で最悪を伝えてくれた。


"彼女の精神の中にいたんだ。お前の声は、彼女に丸聞こえだぞ"

"あっ……!?"


 フィリスに呼び掛けるべき言葉は、予め考えてはいた。事前に準備していたのだ、皆で話し合って添削までした。映画の脚本同様、ヒロインに伝えるべき言葉をまとめていたのだ。

土壇場ですぐヒロインを救えるのは、ヒーローのみ。一般人に、その場で美辞麗句は述べられない。まして人命救助とあれば、失敗は許されない。

アリサ達のそうした努力は――アッサリと、無駄になった。


実にどうしようもない発言で、アッサリと彼女は覚醒めてしまった。


「こ、これには深い事情がありまして」

「聞きましょう。ええ、それはもう、じっくりと」

「そ、それよりも、お前は大丈夫なのか!?」

「私の心配よりも、貴方の子供の心配をするべきでしょう!」

「おかしいだろう、その優先順位!?」

「産ませたとは思っていません、常識的にも時期的にもありえませんから。貴方のことですから、また引き取った可能性があります」

「またとは何だ、またとは!?」

「アリサちゃんをメイドにした人は、誰ですか!」

「あ、あいつは、幽霊だろう!?」

「幽霊だったら、可愛い女の子を拾ってメイドにするんですか!」

「うっ、そう言われると、返答に困るが」

「返答に困ることはしないでくださいと、何度注意させるんですか!」

「そんなにカッカするなよ。頭を怪我しているんだぞ、お前!」

「……そういえば何ですか、この怪我? 身体中、傷だらけじゃないですか!」

「あっ、しまった。そのままだった」

「怪我で思い出しました。海外で撃たれて死んだというニュースは、どういう事ですか!? どうして手の治療で海外に行った貴方が、テロリストと戦っているんですか!」

「こ、これにも深い事情がありまして」

「あ、な、た、と、いう人はーー!! もう絶対に、病院から出しませんからね! 剣も返しませんから!」

「返せよ!? 海外から帰ったら、渡す約束だろうが!」

「無事に帰るという約束を破っておいて何を言ってるんですか、貴方は!」



 頭を大怪我している女と、全身傷だらけの男の口喧嘩。それはもうあまりにも、色々と台無しにしていた。



「……案外、心配することはなかったのかもしれないね」

「……はいです! この二人なら、魔法に頼らなくてもよかったかもしれません」


 魔法だの、奇跡だの、超能力だの――人を救うのに、そんな大それた力は必要ないのかもしれない。

ただこうして、声をかける勇気があればいいのだから。





「いいですか、良介さん。人というのは――」

「だから、悪かったって!」










<続く>








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