とらいあんぐるハート3 To a you side 第七楽章 暁は光と闇とを分かつ 第六十話





 『虫の知らせ』とは日本の言葉だが、外国でも似たような言葉があるのだろうか? 今この瞬間、その虫の知らせがあった。

順調に事を進められているのに、胸がざわついている。平和なのに危険を感じるなんて、よほど心が怯えているのだろうか?

負けがこんでいて、勝てるのか不安になっている。女帝を陥落させる策、カレンを失墜させる戦略、協力体制まで結べたというのに。

残念ながら、先月徹底的に負けた俺の感性を信じ抜くのは無理だった。なので、俺の危機管理をしてくれる護衛に聞いてみる。


「妹さん、クリスチーナは?」

「城には戻っていません」

「ディアーナも?」

「はい」


 落ち着かない。今は狙われていないのに、余計に落ち着かない。一体何なんだろう、漠然とした不安がある。

奴らはロシアンマフィア、暴力を使う可能性も当然危惧している。心配はしているが、この切り札はブタに等しい手だ。


暴走族の頭や極道の組長を決めるのとは次元が違う。夜の一族の後継者、選ばれた者は世界の頂点に立つ。


暴力で相手を倒してしまえば、法で罰せられる。一般人なら知られず抹殺出来るかもしれないが、同格の権力者相手では不可能。

彼らは俺のように、一個人ではない。俺が死んでも誰も困らないが、欧州の覇者達が死ねば最悪戦争に発展してしまう。

裏社会の権力とは存在するだけで、刃となる。暴力とは匂わす事で畏怖されるのであって、使ってしまえば犯罪となるだけだ。 唯一、クリスチーナだけは例外。あの子は狂人、常識や立場など顧みず人を殺せる。だが、真っ先に狙うのは俺一人のはずだ。


「……ひとまず、部屋に戻ろう」

「はい」


 本当は味方となった陣営を回って情報収集するつもりだったが、全て取り止めて部屋に戻った。飾らずに言えば、"逃げ帰った"。

もし五体満足だったり、自分を過大評価していれば、恐れずに立ち向かっただろう。それが勇気か無謀かは、別にして。 

――後から顧みればゾッとする話だったが、俺はこの時知らず命の綱渡りをしていた。本当に何も知らず、渡り始めていた。


「逃げる」という選択肢が、この幸運を引き寄せられた。


「あら、"偶然"ね。これから貴方の部屋に行こうと思っていたの」

「ルーテシア、その手荷物はもしかして」

「おかげさまで、左遷させられたわ」


 手荷物一つで俺の陣営に正式に加わったルーテシア・アルピーノ、カミーユが手配してくれたようだ。仕事が早くて助かる。

これでアメリカ陣営も、自動人形の秘密を握ったルーテシアの抹殺は行えない。まあ、抹殺なんて俺の考え過ぎかもしれないけど。

俺は元々善意とは思っていなかったが、ルーテシアは俺の顔を見るなり叱りつけるように言った。


「まったく……貴方との関係は秘密だと言ったでしょう。ここまであからさまにしたらバレたも同然よ」

「あの後の会議で状況が激変してね、俺の身辺が危うくなってきたので護衛を増やすことにしたんだ」


「"貴方の命"が、危うくなったの?」

「そう、"俺が"危なくなった」


「……ふふ、妙にカッコつけたがるところはそっくりね」

「誰にだよ!?」


 くそっ、見破りやがった。俺の周りの大人は勘が良すぎるだろう、言葉通りに素直に受け取れよ!

身の安全は確保してやったんだ、その分こき使ってやる。せめてもの負け惜しみに、固く決意する。

どうにも照れ臭いのでさっさと部屋に戻ろうとするが――妹さんが突然俺に制止して、ルーテシアが歩いてきた方向を一瞥する。


「……」

「どうしたんだ、妹さん?」

「いえ、もう大丈夫です」

「だから、何が?」


「カレン・ウィリアムズ様の護衛が、ルーテシア・アルピーノさんを追跡しておりました」


「! 私を狙っているの!?」

「剣士さんとの合流に気付いて断念しました。心配ありません」


 カレンの護衛、確かトーレと言ったか。一度挨拶しただけだが、一見して強者だと分かった。あの女が、彼女を狙っていた!?

トーレを知っているのか、ルーテシアが柄にもなく表情を張り詰めている。こいつがこれほど恐れる相手なのか、彼女は。


……この城では何が起ころうと、基本誰も関知はしない。護衛の一人や二人、いなくなろうとも。


「彼女、気配が分かるの?」

「自慢の護衛だ」

「恐縮です」


 それにしてもあの女、刺客を送るのが早すぎるだろう!? 俺がカミーユに頼んだのは、第二回世界会議の終盤なんだぞ。

会議が終わった後で悠長にカミーユに頼んでいたら、間に合わなかっただろう。一瞬一秒の遅れが命取りになる、冷や汗が流れた。

この戦争の凄まじさに、戦慄する。どれほど今までが上手く行っても、次の瞬間に殺される事も珍しくはないのだ。

やはりカレンは危険だ。甘い顔など見せず、確実に倒さなければならない。


「先の会議で何があったのか、聞かせてくれる? 安穏と進めていたら危ないわ」

「同感だ。さくらに頼んで、会議の資料は全て内密に回してもらっている。万が一を考えて妹さんに預けているから、確認してくれ」

「私の部屋へどうぞ。私からも、ルーテシアさんに是非ご教授して頂きたいことがあります」

「ええ、かまわないわよ。しばらくの間だけど、お世話になるわね」


 これで俺の護衛は二人一組のチームになった。妹さんもルーテシアに格闘技や護衛のノウハウを教わるらしい。心強い限りだ。

ルーテシアは隣の部屋で会議の資料をチェック、彼女の話ではヴァイオラも婚約準備を進めているらしい。こっちの動きも早いな!?


事態が不確定に揺れ動く中、脳味噌の動きが遅い奴が俺の部屋でうどんを勝手に食っていた。おのれー!


「おかえりなさいませ、主」

「てめえは何をのんきに啜ってやがる」

「冷めたうどんというのも、なかなかオツですね」


 二度炊きなど邪道、汁をたらふく吸った麺を啜るのが日本人の心意気よ――って、やかましいわ!

人がせっかく楽しみに残していたうどんを食べるとは、なんという鬼畜。こやつは鬼子よ。


「留守番ご苦労、誰か来たか?」

「貴方を訪ねる物好きはおりません」

「お前は的確に人の心を抉るよな!?」

「ずずー」

「うどん啜っていないで帰れ」

「きちんと主の部屋を守った使用人に、なんという暴言」

「主に暴言を吐く使用人もいるけどな」

「ローゼを貴方の従者と認めましたね。今後とも宜しくお願いいたします」

「しまった!?」


 こいつがしつこく主と呼ぶから、釣られてしまった。迂闊すぎるぞ、俺。


「いいから早く出ていけ。この城の使用人だろう、お前」

「男にはやらねばならないことがあるのです」

「どう見ても男には見えないし」

「ベットの上で確かめてみますか?」

「男だったらトラウマになるわ!」

「男の娘という存在が、この世にはあってですね――」


 ええい、こいつと話していると気が狂いそうになってくる。海鳴に居た頃の空気を、優しくも騒がしいあの感覚が蘇ってくる。

思えばこの城の中で、こいつだけがどの色にも染まっていない。欲が渦巻くこの戦場で、真っ白な存在は異端だ。


ま、何も考えていないアホというだけなのだが。


「お前ね、城の仕事をサボっていたらクビになるぞ」

「雇い主がいますので、ご心配なく」

「なんだ、いい相手がいるのか」

「自分好みの名をつける変態ですが」

「おい、0番」

「二人っきりの時はローゼと呼んで下さい」

「気に入ってるんじゃねえか、その名前!」


 利き腕が完璧に治ったら、こいつの脳天気な頭を思いっきりぶん殴っている。お仕置きリストに、新しい名前が加わった。


「魅力的な働き先を探しているなら、マンシュタイン家はどうだ? 主は良家のお嬢様だぞ」

「ありがたいお話ですが、ブサ専なので」

「俺がブサイクだと、ハッキリ言っているぞ!?」


「ローゼは、貴方がいいです」


 ……分かった、何でこいつが受け入れられないのか。こいつは何の疑いもなく、俺を肯定している。赤子が無条件に、親を求めるように。

無償の愛なんて、俺には信じられない。桃子やリンディ、フィリスにだって経緯がある。過程のない愛なんて、物語にしか存在しない。

他人を拒絶し、他人に嫌われた俺の人生が――こいつを、拒否している。こいつは、何にも悪くないのに。


「剣士さん、逃げて下さい!」


 扉を蹴破るように、妹さんが乱入してくる。見たこともない、焦燥に満ちた妹さんの顔。俺は慌てて問いかけると、



「ボルドィレフ家が、大勢のテロリストを引き連れて城に向かっています!!」



 ……何を言われているのか、分からなかった。ロシアンマフィア、クリスチーナ、テロリスト、そのどれもがデットゾーンを超えている。

我に返れたのは心の強さでもなんでもなく、妹さんが必死に俺に掴みかかってきたからだ。必死で、逃がそうとしている。

みっともない限りだが――顔色を変えたルーテシアも飛び込んできた瞬間、ようやく俺は頭が働いた。


「お、俺はクリスチーナと話をつける。これはきっと、何かの間違いなんだ」

「駄目です、剣士さん。他の誰よりも、あの子が一番剣士さんを殺したがっているんです」

「は、話せばきっと分かってくれるさ。妹さんは忍達とさくらを、ルーテシアはアリサ達を逃してくれ!」

「何を言っているの、落ち着きなさい!」


 何て底の浅い対応なのか、話し合いなんかで済むはずがない。パニクってしまって、思考が全然まとまらなかった。

実力行使には出れないと高を括っていた矢先の、襲撃。テロリストと結び付けられなかった、己の思慮の浅さ。


挙句の果てに、大事なものだけ守ろうとして――震え上がっている。


「私が出るわ。貴方は、逃げなさい」

「この身体じゃ、逃げられない! それにあんた一人を置いて行けない!?」

「私なら大丈夫。貴方を守るのが、私の仕事よ。大人に任せなさい」


 綺麗な、笑顔だった。優しくて温かい、微笑み――本当の親のように微笑みかけられて、不覚にも安心してしまう。

安堵したことで、少しは平静になれた。分かったのだ、自分の愚鈍さを。ヒントはあったのに見過ごしてしまった、俺の愚かさを。

俺は――俺だけは、気付かなかければならなかったのだ。


『"明日"には、全部片付けるから』



 今日は、クリスチーナ・ボルドィレフの誕生日だったんだ……!!



(俺が……俺のせいで、皆が殺されてしまう……!!)


 世界でただ一人あいつだけが今日この日、人を殺すのを赦される。殺人姫が待ち望んでいた、殺戮の宴が催される。

真っ先に、俺を殺しに来るだろう。邪魔する者達を一人残らず、血に染めるだろう。全てを破壊して、マフィアとなるであろう。


行動に移した時点で、なぜ警戒しなかったのか。ついに、俺は失敗してしまった。うぅぅぅぅぅぅーーー!


「泣かないの、男の子でしょう。この子達を、守りなさい」

「……あんたを置いて、行けるか……」

「気持ちだけ受け取っておくわ。死ぬつもりなんてないから、安心しなさい。

こう見えても、私はね――人々の平和を守る、正義の味方なのよ」


 嘘だ、すぐに分かった。相手はロシアンマフィアとテロリスト、そして殺人姫。一人では、絶対に勝てない。

恐怖と絶望、そして後悔に震え上がっている俺を嘘で慰めてくれている。とても、とても優しい嘘をついて。


どうしようもない事に――逃げろと言われて、安心している。こんな嘘に、心から慰められている。


血染めの真実よりも、薄っぺらな嘘に縋り付いて何が悪い。ここで彼女を置いて逃げる事に、一体誰が責められる!?

手も足も動かない、戦うことも禁じられている。こんな状態で生き残れない。誰かを犠牲にしなければ、無理なのだ。

相手はテロリストとロシアンマフィアなんだ、俺なんか勝てる筈がない。逃げよう、どれほど惨めであろうと今は逃げよう。


「可愛い護穎さん、この人をしっかり守ってあげてね」

「――私も」

「護衛は、対象を護る事を第一に考えなさい」

「……分かり、ました――後の事は、よろしくお願い致します」

「色々教えてあげたかったけど、ごめんなさい」

「私も、貴方に教わりたかったです」


 やめてくれ、やめてくれよ、そんな人情劇――逃げる俺が悪いみたいじゃねえか。逃げるしかないじゃないか、こんな状況!

ルーテシアは、慈しむように妹さんの頭を撫でている。妹さんも顔には出していないけど、無念に俯かせていた。

これが、現実なんだ。弱かったら、何にも守れないんだ。奪われてしまって、当然なんだ。


「主、参りましょう」

「ローゼ……みっともないよな、俺。おめおめと、逃げ出すなんて」

「ご命令頂ければ、敵を排除いたしますが?」

「……命令があればお前は戦えるのか、銃を持った連中に」

「主のためならば、喜んで」


 う、うう……こんな少女でも、主の為に戦える。じゃあ、俺は? 他人の為にも、自分の為にも戦えない俺は何なんだ!?

後悔したくないと、奪われたくないと、ずっとずっと思っていた。でも俺はまた間違えて、失敗して、皆を傷付けてしまう。

我が身大事で那美を傷つけて、あれほど悔やんだのに――俺はまた、逃げ出すのだ。

逃げたくない、でも死にたくない。じゃあ、どうすればいい? 皆は一体どうやって、勇気を出せるんだ?


高町なのは。あの子は何度落ち込んでも、立ち上がって杖を握った、
フェイト・テスタロッサ。あの子は親に捨てられたのに、必死でしがみついて愛を勝ち取った。
八神はやて。あの子はずっと一人だったのに、孤独に負けず家族を得られた。

三人の、魔法少女。あの子達なら、こんな状況でも戦えるのだろう。

クロノ・ハラオウン、リンディ・ハラオウン、エイミィリミエッタ。再会を約束した、三人。
彼らがいれば、異世界の危険な事件でも介入するだろう。皆を護るために。
アリシアやプレシア、アルフ。あの三人も大切なものを取り戻すべく、懸命になっていた。

ヴィータ、シグナム、シャマル、ザフィーラ。強き騎士であるはずの彼らが、何とか変わろうと必死だった。
他の誰でもない主の為に、彼らの崇高な決意が命より大事な武器を置かせた。平和に溶けこむべく。



俺は――やっぱり、駄目だ。すまない、皆。俺は本当に、どうしようもない馬鹿だった。



「……あんた一人が立ち向かって、なんとかなる相手なのか?」

「だから大丈――」

「答えてくれ」

「……正直に言うわ。貴方達の身の安全は、確実に保証できる。護る事に徹すれば、この場に居る皆くらいは平気よ。
ただこの城にいる全員となると――私一人では、難しいわね。今から救援を呼んでも、間に合わないわ」

「なんだ、それを早く言ってくれよ。俺が時間を稼ぐから、とっとと応援を呼んでくれ」


 俺はきっと、あいつらの仲間となる資格なんかないのだろう。この期に及んで、自分一人で立ち向かえないのだから。

他人が居ないと、勇気が出せない。他人に救いを求めて、ようやく活路を見いだせる。

情けないけど、今も足が震えている。涙を拭っても、恐怖が心から零れ落ちてくる。そんな男に、ルーテシアが詰め寄る。


「貴方達だけならば、確実に助けられるのよ!?」

「そのプランは却下だ、あんたが死ぬ」

「何を言っているのよ、そんなに震え上がって! カッコつけている場合じゃないのよ!?」


「俺が一番怖いのは、俺のような人間に優しくしてくれた奴が傷つくことなんだ」


「……!?」

「他人に優しくできる連中が他人の為に傷つくなんて、間違っている。おかしいだろう、絶対に……!?
何が、正義の味方だ。自分も幸せに出来ないのなら、そんなのやめちまえ。
あんたのような奴はな、幸せにならなければいけないんだ。たとえ自分勝手でも、俺は護るぞ。

今日雇ったばかりのあんたを、使い潰すつもりはない」


 他人を道具にするつもりはない。そう断言した俺をルーテシアだけではなく、ローゼが言い様のない表情を浮かべて見つめている。

皆、本当に悪いな。誤報でも何でもなく、テロリストに殺されて死ぬかもしれない。悲しませると分かっているのに、俺は本当に馬鹿だ。


俺はな、皆を悲しませるよりも、皆の期待を裏切るのが嫌なんだ――そんな、自分勝手な奴なんだよ……ごめんな。


「会議室に、全員を集めよう。あそこならば広いし、籠城しやすい」

「集めることが出来ても、逃げ場が一切なくなるわよ。追い詰められてしまうわ」

「逆だよ、連中をあそこに追い詰めるんだ」

「どういう事……? 作戦があるのなら聞かせて」

「最初に語ったプラン通りだよ、俺が連中に交渉する。弁論で、戦ってみせるさ」

「話し合いなんかに応じる相手じゃないわ!?」

「分かっている、だからこそあんたの救援頼みだ。俺が死ぬのも、あんたが死ぬのも、無しだ。
俺が皆を助ける、あんたが俺を守る。これで、全員救われる。そうだろう?」

「……本当は、怖いんでしょう……? 無理して戦わなくてもいいのよ」

「怖がってはいるけど、無理はしていないさ。いつも傍にいてくれる妹さんが居る。あんただって守ってくれる。
すっげえ情けないこと言ってるけど、皆がいれば何とか戦える」

「……確かに情けないわね、男の子だったらもっとビシっとしてほしいわ」

「マフィアとテロリスト相手に、無茶いうな!」

「ふふ、でも――そういうヒーローが一人くらいいてもいいと、思うわよ」


 誰がヒーローだ、誰が。今でも縮み上がっているのに、よく言うぜ。呆れつつ、俺はこの場に居る全員に作戦を伝える。

戦国において小国が一番してはいけないのが、大国との全面戦争。まともにぶつかり合えば呆気無く潰されて、蹂躙される。


そうはさせじとあれこれ手を尽くしたのだが、常識外れの狂人には通じなかった。逸脱しているというのは、恐ろしいものだ。


だが、俺のやってきたことも無駄ではない。ロシアがテロリストと手を組んだのは、明らかにこちらを恐れている証拠。

彼らが一体何を恐れているのか、皮肉にもこの暴挙で分かった。暴力を使うのなら、初めからロシアンマフィアのみで実行するべきだった。

これはロシアンマフィアの傷であり、こちらの光明だった。


拭えない闇に射し込む、一筋の光――明日を探して、いくつもの夜であろうと越えていく。


「とにかく、連絡を急いでくれ。ドイツとフランスには俺から伝える」

「了解、貴方もくれぐれも気をつけて」

「妹さんは、テロリスト達とぶつからないルートを探してほしい」

「分かりました」

「主、ローゼにも御命令を。敵の殲滅であれば出撃します」

「作戦をちゃんと聞いていたのか、お前。俺の命令を復唱してみろ」

「人殺しは、禁止」

「分かってるなら、松葉杖は黙って俺を支えていろ」

「――主。一言起動を命じて下されば、"イレイン"となり敵を討つ事も――」

「はいはい、すごいすごい」


 ついに、マフィアやテロリストとも戦う羽目になってしまった。魔導師や巨人兵とは別の意味で、怖い。

負けっぱなしというのは、本当に人を臆病にさせるものらしい。俺は本当に、ヴィータ達のように強くなれるのだろうか?


それは分からないが――強くなれると信じてくれる人達がいるから、俺は俯かない。















<続く>








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