7月21日 晴


8:30
 起床
 二日酔いで頭がガンガンしたが
 じーさんに貰った『秘伝の薬』とやらを飲むと嘘の様に治まった。

8:40
 朝食を取る
 一応、遠慮はしたが、是非と言われたので、馳走になる。

9:05
 じーさんに礼を言い出立する
 『真希の事を頼む』と真面目な顔で言われた。
 恐らく、昨日のうちに話を聞いていたのだろう。
 あと、餞別にとお守りを貰った。じーさんの話では魔除の効果があるらしい。
 『安産祈願』と書いてあるのが多少気にはなったが……

9:15
 武具屋に到着
 3200円で『胴丸』と『はちがね』を購入。
 昨日のお詫びだと言って割引して貰った。
 北川は良い奴だと思うが、よくあれで店が成り立つ物だ……
 ちなみに安全メットは売り払った。

9:35
 学校に到着
 時間が早かったので、闘技場に向かい、リベンジを試みる。
 昨日の教師に500円払い、『クレイゴーレム』を苦戦の末、撃破。
 アホ教師はにこにこしながら『おめでとう』といっていたが、
 得た称号は『へっぽこ侍』だった。
 …ちくしょう…

9:50
 校門付近
 闘技場から戻ると、七瀬と長森が待っていた。
 長森はどうやら見送りに来たらしい。







11  恋はいつだって唐突だ







「…で、なによ今のは…」
「オレの今朝の行動だが……なにか問題あるか?」
「手抜きだよ……」

七瀬と長森が文句を言ってきた。
良いんだよ。こんな所だらだら語っても仕方ないし。





   それはさておき
 〜閑話休題〜





「ところで広瀬の姿が見えないが?」
「あ、準備があるから少し遅れるかもしれないって言ってたわよ」
「そっか……それにしても七瀬はいつもと変わらない出で立ちだな」

七瀬はいつもどうりの制服姿だった。
もしかして他に服持ってないのか?

「この格好が一番しっくり来るのよ……なんか文句でもあんの?」
「やっぱり七瀬さんといったらその制服だよね」

長森、何気に失礼だぞ、それ……

「ありがとう瑞佳。やっぱりそう思う?」

七瀬もなんか喜んでるし……まぁ本人がそれで良いのなら別に構わないが。

「それよりアタシは折原のその格好の方が気になるけど……変よ、それ」
「なにっ!? 馬鹿なっ! 吟味に吟味を重ねて選んだこの装備の何処が変だと言うんだ?」
「いや、それ自体は別に悪くないけど……作業服の上から胴鎧着込むのは止めた方が良いわよ」
「ねぇ、浩平……暑くないの?」
「滅茶苦茶暑いが……そこは気合で勝負だ」
「そんなとこに気合入れてどうすんのよ……あきらかに使い所間違えてんでしょ……
 まぁ、良いけど。ところでアンタ、さっき学校の中から出てきたわよね、何やってたの?」
「あ、ああ……ちょっと、闘技場に――あ、そうだ、なぁ、あれってどうゆう基準で決まってるんだ?」
「あれ? えっと……昇級試験の事だよね?」
「ああ、なんかさっき1ランク上……って奴に勝ったんだが……」
「へぇ、やるじゃない……で、称号が変わった訳よね? どうなったの?」
「それがな……」

プレートを見せる。

「……珍しいわね」
「うん、こんなの初めて見たよ……いきなり『クラスチェンジ』するなんて……」
「『クラスチェンジ』? なんだ、それは?」
「あのね…」

二人の話だと、称号というのは、本人の力量や、戦闘スタイルなどを総合して、『クラス』分けがされているらしい。
『侍』は、『戦士』の上級クラスの一つで、ある程度の力量と、特化された戦闘スタイルが見とめられた時、
『クラスチェンジ』とやらをするらしいのだが…

「……こういっちゃなんだけど、あんたの力量でいきなり『侍』って、まず有り得ない事なのよねぇ……」
「防具がそれっぽかったんであの教師が面白がって適当につけたんじゃないのか?」
「称号に防具とかはあんまり関係無いよ。  それに、称号っていうのは正式な物だから…学校の教師が勝手に如何こうして良い物じゃないんだよ。」
「そうなのか? だったら、オレの実力だろ??」
「う〜ん…それだったら問題無いんだけど…」

「なにが?」
「あ、広瀬さん」
「おまたせ、ごめんね、ちょっと遅れちゃった」
「おう、広瀬、やっと来たか。昨日…は…」

七瀬と話していたオレは、広瀬の声が聞こえた方に振り向くと…

そこには、純白の単衣に緋袴…いわゆる『巫女装束』を身に纏い、
2m程の、布に包まれた長い棒のような物を持っている広瀬の姿があった。

「…………」
「ん、どうしたの、浩平?」
「な……なによ、じっと見て……この格好、そんなに変?」
「…………」
「ちょっと、折原?」
「……………」





プチッ…





「…広瀬」

「えっ? な、なによ…」






























「結婚してくれ」






























「えっ……?」

「「っえぇぇ〜〜〜〜〜!!?」」

「こ、浩平!?」

「ちょっと、アンタ! 正気!?」



「うるせぇ!!! 巫女服だぞ巫女服っ!!! 昨日からオレ内部の広瀬ランキングが 鰻登りに上がってる所に加えて、こんな素敵な…いや、むしろ神々しさすらも感じさせるこの姿を見せられた暁には…そりゃもう結婚するしかないだろうっっっっっっ !!!!!!!!!!!」



「落ち着け阿呆」

ごすっ!

「ぐえっ…」

七瀬の踵が後頭部に決まり、オレの意識は闇に沈んでいった…




















―――5分後―――



「すまん、少し錯乱してた…」
「全くよ…真希も何とか言ってやったら…?」
「そう、ね………ねぇ折原、今の言葉、本気なの?」
「あ…? まぁ…本気というか何というか…魂の叫びだったからな。」
「そう…」
「…真希?」

広瀬は、暫く何か考え込んでいる様子だったが、おもむろに顔をあげ……

「考えとくわ」

「「え゛……」」

「但し、魔王を倒すのが先よ」
「お、おう」

七瀬と、長森はアホみたいに口を半開きにして呆然としていた。
恐らく、あまりに唐突過ぎる展開が、脳の処理能力を上回ってしまったのだろう。

その後我に返った七瀬が長森と共に、広瀬を連れて何処かへ行ってしまった。
付いて行こうとしたら、『アンタはここに居なさい』との事だったので、素直に従う。





ぼけ〜〜〜〜〜…





で、10分程ぼけっとしてたら、3人が戻ってきた。





「何、話してたんだ?」
「アンタにはまだ関係無いことよ…」
「そうなのか?」

七瀬は何やら、非常に複雑な表情でオレを見ていた……
…一体何なんだ…?



「ま、いいや…じゃ、そろそろ行くか」
「いってらっしゃい。七瀬さん、広瀬さん……浩平の事、お願いね」
「ええ」
「まかせといて」
「浩平……頑張ってね」
「おう、任せとけ!」










こうして、魔王討伐の旅は始まった…




輝く陽光をその身に受け




オレ達はその一歩を踏み出す




例えそれが


「…ねぇ、折原…」

絶望へと続く道だとしても


「…ねぇってば…」

オレ達は…


「折原っ!!!」

「…なんだよ七瀬…今、見せ場なんだから邪魔すんな」

「見せ場って、アンタねぇ……」

「折原……モノローグに浸ってる所、悪いんだけど……まず、何処に向かうか教えてくれない?」

「へ? 何処って、そりゃぁ……魔王の城とかだろ?」

「だから、それって何処にあるのよ?」

「え゛……お前達、知ってるんじゃないのか……?」

「知らないわよ?」

「……ま・さ・か・あてが無い……とか言わないわよねぇ……?」

「あ……えっと……その……」



そう、オレ達は諦めない…




この世界の平和を…


「ごまかすなっ!!!」

がすっ!!

「ぐあっ……」






インフィニティ ロンド
infinity ronde

偽典

まおう くえすと


First Episoed

『Echo』

END



Next Episoed

『She Is Waiting In The Air?』






「折原!? ちょっと何、気絶してんのよ!」
「…きゅぅ………」
「どうすんの?」
「………」
「………」
「…帰ろっか…?」
「……そうね…」

…続く








  【折原 浩平】  へっぽこ侍 Lv.6

HP  0/112   力 知 魔 体 速 運
MP  0/0     11 5  2 12 14  5
   
攻撃  17(22)       防御  14(19)
魔攻  6(6)       魔防  7(17)
命中  88%       回避  13%

装備  みずかのつるはし
      はちがね
     胴丸

所持金  2378円






  【七瀬 留美】   拳皇  Lv.68

HP  928/928    力  知  魔 体 速 運
MP  184/184   85  38  39 82 51 34

攻撃  116(194)       防御  98(123)
魔攻  70(63)        魔防  67(86)
命中  147%        回避  53%

装備  乙女のリボン
     乙女セーラー服






  【広瀬 真希】  薙刀士  Lv.34

HP  392/392    力  知  魔 体 速 運
MP  154/154   34  46  37 32 37 20

攻撃  51(64)        防御  38(53)
魔攻  75(75)        魔防  75(96)
命中  106%        回避  40%

装備  瑠璃の薙刀
     巫女装束
     勾玉の首飾り





2003/07/06  黒川
 


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