VANDREAD連載「Eternal Advance」




Chapter XX "Combat at Christmas2023 the second stage"







 クリスマス。


海賊という家業であれど、季節側の行事は大切に扱っている。

息抜きは必要。荒くれ者達であっても女性であり、クリスマスを祝う気持ちはきちんと胸の中にあった。


そして新時代。男との和解と、異星人との共存を得て、クリスマスは補正されつつある。


「やはりというべきか、メジェールのクリスマス文化はきちんと伝わっていないわね」

「地球もクリスマスを祝うどころではなかっただろうしな」


 ジャーナリストを目指す異星人、ミスティ・コーンウェルはイベントスタッフのお手伝いをしている。

そんな彼女が今提唱しているのが、文化の再現。

刈り取りという狂気に至ってしまった地久に代わって、昔の良き文化を再興するべく励んでいる。


そうした活動はイベントに通じる部分もあり、彼女の存在は重宝されていた。


「お前って冥王星出身だろう。地球の文化が正しく伝わっているかどうかは懐疑的じゃないか」

「大丈夫よ。タラークやメジェールより、冥王星は地球に近いから」

「そ、そうかな……?」


 いきなり宇宙規模の距離感を熱心に語られて、カイは首を傾げる。

彼は以前マグノ海賊団を知るべく、各部署の新人研修を務めた経験がある。

男でありながらその活動は熱心で、いつしかどの部署にも顔をきく存在となっている。


クリスマスが近づいて、彼もまた手伝いに駆り出されていた。


「サンタクロースも何故かおばあさんになってるし」

「そりゃ白い髯をはやしたジジイはまずいだろう」


 サンタクロースは伝説上の人物で、赤い服を着て白い髯をはやした老人の姿。

この老人というのがネックで、人の姿を模している以上性別を明らかにしなければならない。

そしてメジェールは女性国家、過去には男性蔑視の教育がされていた。


サンタクロースも例外ではなく、女性となっている。


「おばあさんがトナカイに乗ってきたら怖いでしょう!」

「ジジイが乗ってきても怖いと思うぞ」


 しかし、この文化の再興は意外と難しい。

何故なら地球で広まっている文化も、起源を見直すと怪しい点が出てくるからだ。

サンタクロースの存在も夢こそあるが、掘り起こしてしまうとどういう存在なのか分からない。


恐らく地球人だって、サンタクロースの存在を性格に証明できる人間は居ないだろう。


「そもそもサンタクロースの正体は」

「それ以上言ったら引っ叩く」

「怖っ」


 元地球人のカイと、元冥王星人のミスティ。

彼らの関係はメジェールの女性たちが注目するほど、複雑である。

仲がいいけど喧嘩もする。男と女であっても、距離は近い。


特別な絆は、クリスマスにおいても賑やかに輝いている。






























<END>







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