VANDREAD連載「Eternal Advance」
Chapter 3 −The good and wrong−
Action7 −答え−
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戦況は劣勢に傾きつつあった。
メイア、ジュラによるベテランの起動操作能力をもってしても、ディータの懸命の頑張りにも、
百機を越すキューブの猛攻にはとても対抗する術はなかった。
ペークシスによる自機の改良が成されていなければ、既にやられていたかも知れない。
『このままじゃやられちゃうわ!何とかして本体を叩かないと!』
悔しそうにモニターを見つめるジュラの瞳には、悠々と構えているピロシキの姿が見える。
キューブに敵の殲滅を任せ、自身は司令塔として安全圏より待機しているのだ。
これでは、ディータ達三機だけでキューブを潜り抜けてピロシキを倒すのは到底無理だった。
必死で敵の光のシャワーを回避しながら、ジュラはメイアに打開策を求める。
だが、リーダーを務めるメイアにもこの戦況は圧倒的で覆すのは難しいようだ。
『分かっている。せめて母艦が動いてくれれば・・・・・』
苛ただしげに、メイアは至近距離にいたキューブを破壊する。
だが、一体二体を倒しても全体的にはまるで影響を及ぼさない。
何しろメイア側はレジシステムの停止ゆえに増援はほぼ不可能に近いのに、
敵側は次から次へとキューブを繰り出し、融合戦艦の破壊の手を緩めてはいないのだ。
これではいくら戦えどキリがなかった・・・・・・・
「うえーんっ!?どうすればいいの〜!」
機体の性能が飛躍的に向上しているとはいえ、実戦経験が乏しい新入りにしては、
ディータは本当によく戦っていた。
半ばパニックにはなってはいるが、決して逃げ出す事もなくキューブ達への攻防もこなしている。
彼女自身、不安も恐怖もあった。逃げ出したい気持ちもまた存在していた。
だがその気持ちとは裏腹に、もう一つ確固たる気持ちがあった。
「宇宙人さん・・・・・」
母艦も、そしてカイもいまだに動きは見せてはいない・・・・・・・・・
メイア達による懸命の艦への守りの中、艦内も少しずつ希望の兆しが見え始めていた。
大浴場での男と女の密約が結ばれた後、バートはマグノの案内でメインブリッジへと来ていた。
「こ、ここがブリッジ・・・・ですか」
「ペークシスの影響で形は変わってしまったがね。操舵席は向こう側だよ」
杖をコツコツ突きながら歩き始めるマグノに、バートは恐る恐るついていく。
ブリッジは融合による変貌で、ナビゲーションルームのみがせり出す形へとなっていた。
ディータ達が少し前に待機していたバイオパークの上方に歪曲な弓形のブリッジが位置し、
中央に艦長席、全体的な周囲にオペレーション、ブリッジクルー各席が鎮座している。
現在はブザム達の普及作業によりほぼオペレーションシステムは稼動しており、
周囲から襲い掛かる至近弾による閃光の火花がブリッジウインドウより見渡せた。
マグノとバードは無言で歩き、やがて先端のナビゲーション席へと続くゲート前に辿り着いた。
「あれがそうだよ。アタシらにはさっぱりでね・・・・・・・
あんたには期待しているよ」
言葉に含みを持たせて、マグノはバートに話し掛ける。
どうやらナビゲーションに関しては、海賊達の技術をもってしても動かす事は叶わなかった様だ。
バートとて仕官候補生の一人である。
戦法、戦闘技術、心得、そして機体に対しての一通りの基礎知識は学んでいた。
だからこそ彼は自分にはポテンシャルがないにもかかわらず、自分を操舵士と名乗ったのだ。
今まで学んだ知識をどうにか応用してやりくりしようと考えていたようだ。
だが、そのバートも目の前のナビゲーションを見るのは初めてだった。
「ま、任せてくださいよ!ご期待には答えて見せます」
内心の焦りと動揺を必死で噛み殺して、バートは一歩一歩揺れた足取りでゲートを渡り始める。
せり出した形は後にひけない道を示しているがごとく、真っ直ぐに伸びていた。
やがてナビゲーションルーム前に辿り着いたバートは、改めて見慣れないシステムに戸惑う。
そこは泉のようにブルーライトに表面が揺れるクリスタルがはまっており、
座る事すらできないまったく未知なる形になっていた。
右に左にと視線を巡らせて見つめるバートだったが、結局どうしていいか分からなかった。
そんな彼の動揺を知ってか知らずか、マグノは追い討ちをかける。
「どうした?まさか分からない訳じゃないだろう?」
「と、当然ですよ!!僕にかかればこれぐらいは・・・・はは・・・」
背中から刃のように食い込んでくるマグノの言葉に、バートは意を決してクリスタルへと足を突き出す。
「え、え〜と・・・こ、これはわが軍の秘密兵器でして・・・・
こ、ここをこうしてですね・・・その・・・」
どうすればいいのか分からず、バートはつま先でクリスタルをちょいちょいとつっついた。
彼にしてみれば考えがあっての行動ではなかったが、事態は彼に味方をした。
突然クリスタルが筒状に光り輝いて、バートを中へと引きずり込んだのである。
「のわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
一瞬のバートの悲鳴がこだまして、ナビゲーション席は再び静寂を取り戻す。
マグノが呆然としてその成り行きを見つめていたが、はっと気がついた時にはバートの姿がなかった。
「こりゃまたすごい秘密兵器だね・・・・・・」
まさかこうなるとは思っていなかったのか、驚愕に満ちた呟きをマグノは漏らした。
一方、取り込まれたバートは落ちついてなどいられない。
目も眩むクリスタルの輝きに全身を呑まれながら、バートは必死で光に抗った。
やがて変動も収まり光も消滅すると、バートは恐る恐る目を開けた。
「ふう・・・・何がどうなって・・・・え、えええっ!!!!」
ぱっちりとした瞳を開けると、突如一体のキューブが視界に飛び込んでくる。
キューブはそのまま「バート」に攻撃を仕掛け、ダメージを与える。
「うわ、いててっ!?何がどうなってるんだぁ!?」
痛みはバートの感覚を瞬時に通常レベルに引き戻し、彼に逆に落ち着きを取り戻させた。
バートはそのままゆっくりと辺りを見渡して、改めて自分の周りの異常性に気がついた。
彼の周りは正六角形の青緑に輝くクリスタルが網目状に広がっており、彼はその中心に浮かんでいる。
光の中で変化があったのか身に付けていた服は全て剥ぎ取られており、全裸になっていた。
動揺するバートの目の前にモニターがいくつも展開し、一つ一つが正確に情報を伝えてくる。
それはキューブの全体的特長であったり、攻防するメイア達のドレッドの姿でもあった。
先程襲ってきたキューブはどうやら船から見た視点であり、痛みは船のダメージでもあったようだ。
つまり取り込まれたこの瞬間、彼は船の「目」であり「耳」でありそのものであった。
となると、当然キューブ達の攻撃の全てを全身で彼は受け止めなければならなくなる。
「うわ、イテテ!?こら!こっちに来るな!!あっちにいけっ!!」
それは生物としての本能的動作であったが、バートの命令に船は着実に答えた。
今まで停止していた船は突如動き出し、キューブ達から逃れようと回避行動をとり始めたのだ。
「きゃっ!?な、何!?」
どれだけ作業をこなしても動かなかった船が動き出した事に、
ブリッジにいたアマローネ達は戸惑いの声をあげる。
マグノもここまでの変動を及ぼすとは思っていなかったのか、驚きの表情になっている。
「あの坊や、口だけじゃないようだね・・・・」
混乱しているバートにつられるように、船は激しく揺れ動き始める・・・・・・
「艦が動き始めたようだぴょろ・・・・」
旧艦区側の大浴場にて、六号は所在無さげにふわふわ浮きながら呟いた。
事実、六号は自分でどうしていいかまるで分からなかった。
あのままお頭についていこうとしたのだが、一人悩める男をほってはおけなかったのだ。
六号はちらりとモニター内の瞳をその男に向ける。
その先には床のひび割れたタイルにじっと座り、黙って湯桶の上を見つめているカイがいた。
そこには先程までマグノ達が状況を確認していたディスプレイが置かれたままになっており、
艦内に流れる命令、メイア達からの通信、ブリッジ内を飛び交う会話等その全てが傍受されている。
マグノ達の意図的か、それとも忘れたままになっていたのか。
カイはその事に興味はなく、ただじっとディスプレイより流れる映像を見つめ、通信を聞いていた。
「・・・・・・・・・・・・・・」
戦況はいまだ劣勢。
このままの状態が続くと、最悪のパターンも考えなければいけない。
カイは苛々しながらも動けずにいた。
自分がここで加勢すれば何とかなるかもしれない。
襲い掛かる敵を薙ぎ倒しさえすれば、少なくとも生き残れる。皆、誰もが。
だが、その結果・・・・・・海賊達は生き残る。
自分は海賊相手に加担した事になる。あれほどまで敵対し、散々やりあった相手を助ける事になる。
タラークを翻弄し、仲間意識はなかったとはいえ自分と同じ男達を捕まえた奴等を・・・・・・
「そうだ、そうだよ・・・・」
割り切ればいい。所詮、連中は海賊なのだ。
今まで散々他人を陥れ、迷惑をかけ、路頭に追い込んできたような連中だ。
あの女達が今後も生き残り海賊家業を開始すれば、必ずまた誰かに被害は出る。
女達が、海賊達が生きている限り・・・・・・・
タラークの首相も、そして国民達も声を揃えて言っていたではないか。
女は「悪」だと。
今まで散々人を嬲りものにし、誇りを傷つけてきた最悪の生き物なのだと。
自分だってこれまで見てきたはずだ。
容赦なくイカヅチに襲い掛かるドレッドの数々。。
候補生達に銃をつきつけ、力任せに人質にした海賊達。
海賊は自分達さえよければそれでいいのだ。
誰かが傷つこうが、誰かが悲しもうが、誰かが死のうが知った事ではないのだ。
そんな奴等を助ける義理がどこにある?何故救わねばならない?何故力をかさなければいけない?
割り切ればいい。ほっておけ。助ける事に意味などない。
だが・・・・・・・・・
『アタシらは泥棒だよ。
人の者を盗って、それで生きてきたんだ。言い訳はするつもりはないよ』
「・・・・くそっ!!」
『アタシらは立派な犯罪者だ。メジェールでもはみ出し者だよ』
このやりきれない気持ちはなんだろう?
『そうしなければ生きてはいけなかった』
自分は間違っていない。
『この船に乗る皆は誰もがそうだよ。誰だって最初から海賊を望んだ人間はいない』
彼女達は悪人だ。
『まっとうな道を外れても、それでもアタシらは生きなければいけなかったんだ』
なのに、どうして・・・・・・・・・
『お前さんにその全ての命を否定できるのかい?』
カイは床のタイルを力任せに殴りつけた。
『お頭はクル−全員を大切に思い、皆に生きてほしいと願った上でこの道を選んだのだ』
どうして・・・・・・・・・・・・
『やむをえない選択だった』
俺は・・・・・・・・・
「カイ、大丈夫ぴょろ?」
「・・・うるせえな・・・・・・」
「血が出ているぴょろ。ドクターに見てもらったほうがいいぴょろ」
「うるせえな!!俺の事なんてほっとけよ!!」
カイは投げやりに、六号に激しい罵声をぶつけた。
六号は瞳をまん丸にして、どこか小さく縮こまった。
「・・・ごめんぴょろ・・・・余計なこと言ったぴょろ」
シュンとなり、六号は頼りなく浮きながら離れていこうとする。
どこから見ても人間らしい落ち込んだ仕草に、カイは自分の発言を恥じた。
これではただの八つ当たりだ・・・・・・
「・・・悪りい・・・・ちょっといらいらしてた」
一つ呼吸をして、カイは心身ともに落ち着けようとする。
だが、胸の奥につかえるわだかまりはまるで消えようとしなかった・・・・・・・・
『それだけは分かってほしい』
去り際のブザムの言葉と哀しい表情。
彼女達は・・・・・自分が正しい生き方をしていないと悟っている。
でも、続けなければいけなかった。
生きるために・・・・・・・・・
『アタシらは死んだほうが良かったのかい?』
殴りつけた床はひび割れて、半ば埋まった拳からは夥しい血が流れる。
どうすればいい?俺は一体どうすればいい?
痛みも、拳全体を覆う生暖かい感触もカイの思考は妨げられなかった。
なぜこんなにも悩むのか?なぜこんなにも見捨てる事に躊躇うのか?
カイはもう自分自身の奥底の気持ちにも気がつかないほどに、悩み苦しんでいた。
「これで応急処置は終わりだ」
何気ない声に振り向くと、そこには治療を終えたドゥエロの姿があった。
怪我をしたクルーは包帯が巻かれて静かに眠っている。
「あ、あの・・・助かりそうですか?」
付っきりで看病の手伝いをしていた保安クルーが不安そうに尋ねる。
「心配ない。命に関わる怪我ではなかった。
応急処置に過ぎないので安心はできないが、死ぬことはないだろう」
ドゥエロの自信のこもった診断に、保安クルーは安心したように一息ついた。
「とにかく本格的な手当てが必要だ。医務室へ運ぶぞ」
「は、はい!」
ドゥエロの指示に従って、保安クルーは慌てて怪我をしている彼女を運ぼうとする。
そんな一連のやり取りを黙って見ていたカイは言葉を漏らした。
「・・・どうしてそんなに一生懸命になるんだ?」
「?どういう事だ?」
カイの言葉を聞きとがめて、ドゥエロは鋭い視線をカイにぶつける。
カイはどこか弱々しい態度で言葉を続ける。
「そいつ、女だろう?しかも海賊だ。
何でそこまでして助けようとするんだ?ほっとけばいいじゃねえか」
「うわ、ひどいぴょろ!死んでもいいぴょろか!!」
「そうよ!!私の大切な友達なのよ!!何勝手なことを言ってるの!?」
口々にカイを罵る二人だったが、カイは無視した。
「義理があるわけでもねえ。それどころか、この体たらくだ。
さっきの兄ちゃんの話にしたって、あいつらが約束を守るとは限らないだろう。
助け合いとか言っておいて、用がすんだら殺すかもしれないぜ?」
ありえない話ではなかった。少なくとも、タラークが言う「女」であるならば。
ドゥエロは暫しの時熟考していたが、やがて静かにカイを見下ろして口を開いた。
「ならば、君に聞こう。
何故あの時女達を殺さなかった?君が火を放てば終わりだったはずだ」
「え・・・・?そ、そりゃあ・・・・」
女が、海賊達が憎いのであるならば、疎ましいと本気で思っているのなら、
あの時取引など守らずに火を放てばそれで済んだ筈だ。
人質はあの時解放されていた。足枷となるものは何一つなかった。
カイ次第で海賊達に引導を渡すことも不可能ではなかったはずだ。
だが、カイは約束を守った。
女達が裏切るかもしれないあの状況で、彼はブザム達を信じた。
何故だ・・・・・・・・?
「今にしてもそうだ。何をそんなに迷っている?
我々はこうして捕らえられている。彼女達は自分達を捕虜としてしか見ていない。
君が彼女達を見捨てても当然だ」
「ま、まあそうだけどよ・・・・・」
そうだ。ドゥエロの言う事はまったく正しい。
なのに・・・・・なぜはっきりと答えられないのだ・・・・・
「カイ・・・・本当は助けに行きたいぴょろか?」
「な、何だと!?」
「だって、カイはずっと悩んでいる。ずっと迷ってばかりいる。
本当に助けたくないんなら、すぐに答えが出るはずだぴょろ!」
「てめえ、べらべらとふざけた事を・・・・」
怒りのこもった目で、カイは六号を睨みつけた。
両者のさまざまな思いが視線の中でぶつかり合う中、そっとドゥエロは言葉を継ぎ足す。
「あの格納庫でも話したが、私は医者だ。
患者がいる限り、誰であろうが助ける。たとえ患者が男でも女でも、だ。」
ドゥエロの言葉に先ほどの質問の答えが秘められているのを知り、カイは目を見開いた。
無論ドゥエロとてバーネットの時と同じく、女性への肉体の構造に興味があるのも事実だ。
そしてその好奇心には、男や女の価値観の違いなど存在していない。
「男も女も関係ない。それは君とて同じではないのか?」
「俺が・・・あんたと同じ?」
「君はあの時も、そして今も思っているのではないか?
女でも・・・・死なせたくはないのだと」
「!?」
初めて女と出会ったのは機関部。
熱気に揺らぐ機関部内で激しい喧嘩を行い、防護服を剥ぎ取った際に覗かせたメイアの美貌。
メイアの第一印象は鮮烈で、タラークでの教わった仮初めの事実を打ち砕いた。
そして格納庫でのやり取り、ブザムとの取引。
ミサイル発射の通告を聞いての脱出。女との始めての共同行動。
あの時も・・・・・・・・・・
『宇宙人さんが一緒じゃないとディータは嫌!』
宿敵の男に対しても天真爛漫に接してくるディータ。
『何を言っても無駄そうだ。不本意だが、私も待つしかないだろう』
見た目はクールながらも、仲間への思いやりを見せるメイア。
『足掻いてもらわないとジュラ達が危ないんだからね。早くしなさいよ』
文句を言いながらも、命をかけたギリギリまで自分を待ってくれたジュラ。
彼女達を・・・・自分はあの最中どう思った?
あの時、俺は、俺は・・・・・・・・・
『死なせる訳にはいかねえんだよぉぉぉぉぉ!!!!』
そうだ・・・・そうだった・・・・・・・
「・・・・そうか・・・・やっと分かった。
ははは、何を悩んでたんだろうな、俺は・・・・・
俺は俺じゃねえか。てめえのやりたいようにすればよかったんだ!」
瞳に活力が戻り、カイは勢いよく立ち上がった。
その姿に先程までの悩みも迷いも感じられなかった。
「ドゥエロ、ありがとうな。お前のおかげで、俺はやっと気がつけた」
「いや、かまわない。患者のケアは医者の勤めだ」
珍しく冗談交じりにそういって、ドゥエロは口元を小さく緩めた。
「ボクも心配したんだぴょろ!!」
「あー、分かった分かった。お前にも感謝しているよ」
カイは苦笑して、六号のボディをぽんぽん叩く。
血がこぼれる拳に解けた包帯を巻きなおし、カイはそのまま足を動かし始める。
澱みのない歩みの果てに、積まれた風呂桶の上のディスプレイがあった。
カイはディスプレイの前に立ったかと思うと、置かれたままの通信機をオンにする。
『おーい、聞こえるか?』
映像化されたディスプレイには中央に大きくメインブリッジの光景が、
小さな別ウインドウにはあちこちの部署が映し出されていた。
元々は大浴場よりマグノが命令を送れるように設置したものであり、カイの声も全区域に渡って響いていた。
元気のいい声に反応するように、中央のモニターより反応が返ってくる。
『おや、坊やじゃないか。何のようだい?』
中央の艦長席に座って、マグノがこちらへ視線を向けているのがディスプレイ越しにも感知できる。
カイは映像化されたマグノに手首を見せて叫んだ。
『これ、はずせ!いいかげん邪魔だ!!』
『ほう、何をするつもりだい?』
『決まっているだろう・・・・・』
一呼吸分の間を置いて、カイは迷いのない力強い笑みを浮かべた。
『俺も戦うんだよ!』
その声に、その決意に全海賊クルーが反応した・・・・・・・・
<Chapter 2 −The good and wrong− Action8へ続く>
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