VANDREAD連載「Eternal Advance」
Chapter 1 −First encounter−
Action10 −対立−
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『気密隔壁、破損!!緊急用防壁、崩壊!!』
海賊によるイカヅチへの強襲後、次々と艦内放送が被害状況を艦全体に知らせる。
イカヅチ内のクルー達は一部を除いて情報が正確に知らされず、パニックになる一方であった。
情報の流出と混乱、緊急サイレンと赤色灯。
さらに絶え間ない攻撃による激しい振動と爆音とあっては、冷静にしていろという方が無理であろう。
「どうなってるんだよ!?出撃も満足にできないのか!!」
「俺達はこれからどうすればいいんだ!?」
パイロットスーツで身を固め、戦闘意欲を燃やしている活気ある若者達が旧艦区待機室でたむろしている。
蛮型も功を奏しなかった事実を知り、さらに上からの命令もないとあっては彼らは八方塞がりだった。
不安と焦燥が室内を包み、次々に士官候補生の口から不満の声が高まる。
「こうしている間にも仲間が次々とやられていっているんだ!!」
「俺らもこのままやられちまうのかな・・・・」
母船が一刻の猶予もない緊急事態である事は、軍人の端くれである彼らには理解できている。
しかし、上官の指揮がなくては彼らにも動きのとりようがない。
結局彼らにできる事は、仲間同士で愚痴を言い合う事ぐらいだった。
「操り人形に過ぎないか・・・」
傍らで彼らの様子を見つめるドゥエロは小声で呟いた。
刻一刻と状況が変化している今を自分で決めて行動を起こすには、決断力と勇気がいる。
一歩間違えた行動をとれば、軍部からの痛烈な処罰が待っているからだ。
常日頃自身の価値を自慢げに語っていた同期生達の情けない姿に、ドゥエロは哀れみしか感じなかった。
何故なら、彼らのウジウジした態度は彼の予想範囲内だったからだ。
所詮は口だけの集団。
ドゥエロが仲間意識すら感じないのは、ひょっとすると彼の聡明さにあるかもしれない。
「・・・・・・・・彼はどうするつもりだろうか」
式典会場で呆然としていたカイの姿が脳裏に浮かぶ。
軍人どころか、ただの給仕でしかない三等民。
それが何故こうも気になるのか?何をカイに期待しているのか?
ドゥエロは初めて自分自身の心が把握できない感覚に驚いていた・・・・・・・・・・
旧艦区格納庫―――式典会場であったその場所にもはや華やかさは消えていた。
度重なる襲撃に振動、一時的な無重力空間の展開。
それらに加えて、海賊達の本格的な侵攻が行われようとしていたからだ。
「い、一体何がどうなっているんだ・・・・」
不安そうな表情と声をあげて、バートは銅像からひょっこりと顔を出す。
元々は、グラン・パへの厚い感謝と恩情を込めて設置された銅像だった。
見かけを重視して中身は空洞化されていたために、今ではすっかりバートの隠れ蓑となっていた。
「さっきは蛮型と敵の船みたいなのが暴れまわってどこかに行ってしまったし・・・・・
本当に大丈夫なんだろうな、この船〜」
こみ上げてくる恐怖に泣きそうになりながらも、恐る恐る銅像から出てくるバートだった。
本来なら戦いに駆り出される身なのであるが、自ら危険を冒してまで戦おうとする気はまったくないようだ。
ある意味、現在いるこの艦のクルーの中で一番庶民的な男なのかもしれない。
「とにかく安全地帯まで非難しないとな・・・・」
すでにこの船全体が安全とは言えない状況なのだが、隠れてばかりいたバートには知る由もなかった。
無重力化されている室内を何とか態勢を保ちつつ避難しようとしたその時、艦内放送が流れる。
『旧艦区カタパルトより敵が侵入!主格納庫へ進路を進めている!!
格納庫重力を一定パーセンテージに回復後、敵の掃討にあたる様に!!』
非情なまでに淡々と伝えられた現実に、バートは凍りつく。
主格納庫に敵が向かっている?
つまりこの騒ぎを起こしている犯人達が次に来るのは・・・・
「ここに敵が来るのか!?いやだーーーー!!!!」
顔色を真っ青にさせて、バートはあたふたと格納庫内を行ったり来たりする。
その間に無重力も解除されて平常に戻っているのだが、パニックになっているバートは気がつかない。
「どうしよう、どうしよう・・・・死にたくない・・・・」
人間慌てると、どんな行動を起こせばいいのか全くわからなくなる。
追いつめられたバートを尻目に、事態は刻一刻と迫っていた。
主格納庫入り口に向かってくる複数の足音、そして蛮型発進口方向より激しい轟音が向かってくる。
「ひええ!?敵が来たーーーー!」
結局原点に立ち戻り、バートは銅像の空洞内に入り込む。
身軽に素早く入り込んだかと思うと、バートは敵が来ない内にそのまま閉ざす。
これで、外見はただの銅像となる仕組みである。
そしてバートが隠れたのと同時に、格納庫入り口より武装した候補生達が次々と雪崩れこんだ。
反対側からは強行突入した海賊達のドレッドが次々と乱入してくる。
「女達の船だ!!!ついにここまできやがったか!!」
怒りと殺気に満ちた表情をして、候補生達は手に持っている銃を次々にドレッドへと向ける。
ところがその直後、ドレッドより一斉に噴射された霧状の白い気体が格納庫内を満たし始める。
突然の視界の遮りと白い気体を吸い込んだ反動で、たまらず候補生達は次々と膝をついた。
「ごほ、ごほ・・・!!なんだ、こりゃあ・・・・!?
消毒剤じゃねーか、ごほ、ごほっ!!」
元々タラーク全土において、女性蔑視を目的とした教育の徹底を施されている。
同様に、メジェールにも幼い頃より教え込まれた男性害視の思想が埋め込まれている。
『男は薄汚いばい菌であり、自分勝手な最低の生き物である』
男への嫌悪は海賊達も例外ではなく、男全てが彼女達にはばい菌以下にしか見ていない。
よって、このような消毒剤をばら撒いての侵略となった訳である。
「男達はひるんでいるわ!仕事を始めるわよ!!」
噴煙で霞んでおり、誰が誰ときっちり判別できない状態で号令があがる。
その号令を合図に、次々とドレッドより海賊達が飛び出して母船の侵略を開始する。
そうはさせじと視界を遮られながらも必死で抵抗を試みる候補生達だったが、甲斐なく制圧されていく。
そんな海賊達の光景を恐る恐る銅像より観察したバートは、危うく悲鳴をあげそうになる。
「あ、あれが女・・・・・・・・」
バードが初めて見る女は、斑模様に覆われたスーツで覆っていた。
何より恐怖を感じたのは、鬼さながらの形相をした赤い瞳を持つ面だった。
それはまさに軍部が映像化した「鬼女」のイメージそのものの顔だった・・・・・・
その頃、旧艦区のメイン機関部において・・・・・・・・・・
「ぅ・・・・あ・・・・」
まだぼんやりとする頭を押さえながら、カイは座席より上半身を起こした。
墜落による激しいショックで、一時的に気を失っていたようだ。
先程まで煌々と照らされていた内部照明も消えており、コックピット内は恐ろしい程に暗かった。
機体の損傷を知らせる表示データも、外部を映し出すモニターも消えている。
「え、えーと・・・確か俺は・・・・」
あちこち痛む体を撫でながら、カイはこれまでの事を次々と思い出す。
脳裏に浮かぶのは宇宙へ強制射出された時の機体同士の激突、ドレッドとの接触、そして戦闘。
一体の白いドレッドと激しい攻め合いを行って旧艦区の隔壁をぶち破り、ドレッドと共倒れを・・・・
「そうだ!!!敵の船はどうなったんだ!?」
全てを思い出して、カイは慌てて操作類を起動させて各部をチェックしようとする。
だが、カイがいくら操作しても機体は反応を示す兆候すら見られなかった。
「お、おい・・・?どうしたんだよ、相棒!!しっかりしろよ!!」
ガンガンとモニターを叩いたり、手元のトリガーを押したり引いたりするがびくともしなかった。
嫌な予感に駆られたカイは緊急排出の命令を行う。
命令に伴って蛮型の左胸部分は大きく亀裂が走り、左腕ごと横にスライドしてコックピットが開いた。
「一体どうなって・・・・!?あ、相棒!?」
コックピットより飛び出たカイの視界に映るのは、無残な蛮型の姿だった。
ドレッドを懸命に押さえ込んでいた右腕は関節部分が完全に捻じれており、ドス黒いオイルが漏れている。
艦の隔壁と圧迫した摩擦を繰り返した結果、胴体部分よりキナ臭い煙が噴出していた。
懸命に搭乗者命令に従い、敵と戦い抜いたカイの相棒のなれの果てがそこにあった・・・・・・
「・・・・・俺・・・俺が不甲斐ないばっかりに・・・・・・・・すまねえ・・・すまねえ!!」
ギリギリと歯を食いしばり、目に涙をためてカイは何度も謝罪の言葉を漏らす。
自分自身の力の足りなさ、無茶な行動を繰り返した事による相棒のダメージに自分を責めるカイ。
コックピットより降りて、カイは相棒の各部分を思いを込めて擦る。
何度も、何度も・・・・・・・・
「相棒・・・・絶対に直してやるからな!!絶対にお前をこのままには・・・・
!?
あ・・・・・・・これは・・・・?」
下半身の左足にあたる部分、奇跡的にダメージが少ないその箇所にカイはある文字を見つける。
それは彼が式典開始前に自分の相棒に彫り付けた彼自身の誓いの証だった。
「『HERO』・・・・そうだよな・・・・
相棒、俺達はまだまだこれからだよな!」
あの時誓った自身自身への誓い。
それは己自身だけではない、自分の相棒と共にあるのだ。
カイは改めて決意を新たにし、目の前の蛮型にぐっと親指を立てる。
すると・・・・・・・・・
シュバッ!?
「!?」
背後から鋭い何かがカイの頬をかすり、蛮型の間接部分に当たって甲高い金属音を鳴らした。
「・・・動くな」
背後より冷徹な声が生まれ、カイの耳の奥に響く。
カイの頬から生暖かい感触の液体が流れ、身体全てに緊張が走った。
(しまった・・・・・敵がいたんだった・・・・・)
現状把握に気を取られすぎて、敵のドレッドも自分と一緒に墜落したことを失念していたカイだった。
「そのまま地面に寝転がれ。抵抗及び怪しい動作をすれば撃つ」
レーザーガンを構えて、メイアはカイの無防備な背中に銃口を向ける。
非情なまでの声質に強い圧迫間を感じ、カイは唾を一飲みする。
恐らく抵抗したら、容赦なく背後の敵は自分を射殺するだろう・・・・・
直感でそう感じて、カイは渋々ながら両手を上げる。
「それでいい。何もしなければ、命まではとる気はない」
高圧的な命令口調にムカッ腹がわき起こるが、背後を取られているこの状態では勝ち目がない。
自分の相棒をボロボロにされた憎き敵に屈服しなければいけない。
傷ついた拳を握り締めて、カイは心の葛藤と戦っていた。
「そのまま地面に。決して振り返るなよ」
(ちょ、調子に乗りやがって〜〜〜〜!!)
怒りと屈辱に、カイの拳はぶるぶる震える。
(どうせ相手は血も涙もない女だ。従って命が助かるかどうかなんて怪しいもんだぜ。
・・・一か八か、やってみるか)
カイは三等民とはいえ、タラ−クの民としての男の生き方を学んではいた。
すなわち「虜囚の辱めは受けず」、である。
生きるか死ぬかのギリギリの選択肢を選び抜き、思いきって行動を起こそうとしたその時―――
幸運の女神がカイに微笑んだ。
「ピピ、テキハッケン!テキハッケン!」
「!?何者だ!」
倒れているバンガードのコックピットより突如発生する機械の音声に、メイアの注意が逸れる。
カイは聞き覚えのある音声に、天の助けとばかりに表情を輝かせる。
「お前、無事だったんだな!!」
視線をコックピットに向けると、共に乗り込んだ比式六号が自分のモニターを赤く点滅して浮いている。
どうやらカイが襲われている様子を認識し、防衛プログラムが働き出したようだ。
「アナタノコウドウハフホウシンニュウナラビニショウガイ・キョウカツザイニアタリマス」
「ロボットか・・・・」
チャキっと金属音を立てて、敵は六号に銃を向ける。
その隙をカイは逃さなかった。
(今がチャンス!!)
素早く振り向いて、カイはメイアに向かってダッシュをかける。
視界にとらえた防護服姿のメイアに驚きと恐怖が混在するものの、カイの勢いは止まらなかった。
メイアは素早くカイに目標を変えて、引き金に力をこめる。
「言った筈だ。抵抗をすれば容赦はしないと」
冷静に勧告をして、メイアはそのままカイに発砲しようとする。
だが、彼女はひとつミスを犯した。
コックピットより出現した六号より目を離したことである。
六号はメイアを攻撃範囲に補足し、バチバチと帯電させる。
「ヨッテ・・・・チョウバツ!!」
六号より放たれたショックビームが散らばる瓦礫を超えて、メイアにストレートに突き刺さった。
「うがっ!?」
防護服越しとはいえまともに電気ショックをあびたメイアは、ふらふらと足元をもつれさせる。
その間に間合いをつめたカイは、メイアに勢いのままに体当たりをする。
「この野郎、くらえ!!」
思いっきりメイアを突き飛ばしたカイは、勢いあまってゴロゴロと彼女とともに地面に転がる。
何とかメイアも反撃を試みようとするが、先程のショックで全身が軽く麻痺をしていた。
カイはメイアを両手で押さえつけると、そのまま彼女に馬乗りをする。
「はあはあ・・・・・勝負あったな・・・」
「く・・・・・」
メイアは痺れる体に力をこめて、手にしているレーザーガンの引き金を引こうとする。
カイは腰元にぶら下げている銀色に輝く十手を引き抜いて、彼女のレーザーガンを弾き飛ばした。
「余計な事するんじゃねえよ。油断も隙もない奴だな・・・おっと、動くなよ」
十手の先を防護服の面に突きつけて、鋭くカイはメイアを睨み付ける。
「こっちは相棒をぼろぼろにされて気が立ってるんだ。その醜悪な面をぶっ潰してもいいんだぜ!」
気迫のこもったカイの脅迫に、メイアは面の奥で汗を一筋流す。
カイは油断なく十手を突きつけたまま、こちらに近づいてくる六号に笑いかける。
「よお、さっきはナイスタイミングだったぜ。おかげで助かったよ」
「ピピ、オヤクニタテテナニヨリデス」
六号は淡々と対応して、カイの横に並ぶ。
「さてと、こいつをどうするかだな・・・・・」
「・・・殺せ。むざむざ男にいい様にされるつもりはない」
馬乗りにされている状態であれ、メイアは敵に対して命乞いをするつもりはなかった。
責任感も強い彼女である、このまま舌を噛み切る事だって躊躇いはなかった。
だが、カイはメイアの言葉にせせら笑った。
「お生憎様。お前らみたいな野蛮人とは違ってね、俺は殺したりはしねえよ。
たとえ憎い敵であってもな」
今自分が組み伏せているのは、この艦を攻撃した憎い敵だった。
人とは思えない姿に恐ろしい鬼の顔。
さらに相棒をボロボロにされたのだ、腹が立たないわけではない。
相手は人間ではないのだ、殺したとしても何の罪にもならない。
理屈では分かっているのだが、何故かカイは目の前の相手に十手を振り下ろす気にはなれなかった。
「私に生き恥をかかせるつもりか・・・・ふざけるな!」
ばい菌以下の男に捕らえられた上に、さらに目の前の相手は自分を生かそうとしている。
これ以上はない屈辱に、メイアは怒鳴った。
「私を殺せ・・・・殺さなければ、お前を必ず殺す!」
じっと黙って聞いていたカイは、ふうっと溜息を吐いてメイアに語りかける。
「・・・・俺には理性がある、そして感情だってある。
泣いて笑って喜んで、怒って悲しんで恨んで、そしてまた笑う。
ずっと悩んで苦しんで、俺はそうしてここまでやってきた・・・・・・・・」
十手をそのままに、カイは表情を和らげる。
「お前なんぞには分からないかも知れないけどな、俺はやりたくない事は絶対にしない。
それに俺は誰の命令も聞かないし、誰にも命令をしない。
後で後悔するような事はしたくないからな」
「・・・・・・・・・・」
メイアはカイの言葉が理解できなかった。
男とは自分勝手な最低の生き物ではなかったのか?
そう教えられて、ずっとそう信じてきた。
ならば・・・・・・目の前の男の言葉は・・・・?
「さっきのあんたの言葉を繰り返そう。
抵抗をしないのなら、俺はこれ以上をするつもりはない。
争い事には慣れていないのでね、出来れば穏便にすませたい」
「・・・・・その言葉を信じろとでも言うのか」
無理な体勢から右手を振り上げ攻撃を繰り出すメイアに、カイは彼女の肩を押さえつける。
「ぐ!?は、離せ・・・・」
「・・・・やっぱり説得なんぞ無理だったか。
野蛮な生き方しかできねえてめえらに語った俺が馬鹿だったよ」
「ふん、害虫に言われれば私達もおしまいだな」
「何だと、この野郎!!」
胸倉を思いっきり掴んで、カイはメイアの上半身を引きずり起こす。
すると、手に妙な柔らかい感触が生まれた。
「うん?何だ、この変な感触は?」
男と女の体の違いを知らないカイは、無遠慮にメイアの胸を不思議そうに撫で回した。
「ど、どこを触って・・・・あうぅ!?」
胸から生まれる感覚に、たまらずメイアは仰け反った。
すると顔を覆っていた鬼面がずれて、隠れていた肌の色が鮮烈に浮かび上がる。
「ま、まさか!?この顔が素顔じゃないのかよ!?」
再び押さえ込んだカイはメイアの面の顎を掴み、勢いよく防護服の顔の部分を剥ぎ取る。
すると、メイアの素顔がありありとカイの瞳に映し出された。
「お、お前・・・・お前が・・・女・・・・?」
恐ろしい鬼の表情と・・・・隠されていたメイアの美貌。BR>
BR>
そのギャップに、カイは戸惑いを隠せなかった。
メイアも自分を見つめるカイの視線から何故か目が離せない。
一見すると男が女を押し倒したような体勢で、二人はお互いを見つめ合った。
何か言葉を紡ごうとはするのだが、お互いに何故か言葉が出ずにいた。
「え、えーと、その・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
二人が同時に口を開いたその時、カイの背後の隔壁がオレンジ色に染まる。
そして急激に膨れ上がったかと思うと、まばゆい閃光が隔壁ごと辺りの空間を蹴散らした。
「どわあああっ!!!」
結果、馬乗りになっていたカイは衝撃波に巻き込まれ、身体ごと跳ね飛ばされた。
自由になったメイアは身体を起こして、吹き飛んだ隔壁の方を見やる。
観察する事で視野に入ってきたのは、緊急着陸する一隻のドレッドだった。
「ディータか。また乱暴な操縦をしたものだ」
ドレッドのパイロットが誰か一目でわかり、メイアは小さく溜息を吐いた。
<First encounter その11に続く>
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