俺はいつも戦っていた・・・
魔物と・・・時には同じ人間とも戦い生きてきた。
そして・・今ここにいる。
Unreal・World 第3話「能力者」
真樹「十・・・・・」
俺は校庭で独り、蜘蛛の群れと戦っている。
唯は校舎内に生存者が居ないか探しに行った。
どうせ生存者など居ないと思っているから、俺は行かなかった。
真樹「それにしても、数が多いな」
少なく見積もっても30匹はいる、だがこの程度の雑魚・・相手ではない。
シュッ
蜘蛛が一匹、足で攻撃をしてきた。
真樹「無駄な事を・・・・」
足を回避し、武器である剣を振り下ろす。
ザンッ
蜘蛛を真っ二つにし、数を確認する。
真樹「残り約30匹・・・・・面倒だな、力を使うか」
剣を地面に突き刺し、イメージする。
俺は氷の槍が蜘蛛を貫くイメージをした。
イメージがまとまった所で強く念じる。
真樹「氷の華と散るがいい!」
あたり一面に氷の槍が突き出し、次々と蜘蛛を貫き凍らせてゆく。
真樹「所詮雑魚か・・・・・」
そして・・・砕け散る。
周囲を見渡し敵がいない事を確認すると、地面に腰を下ろす。
唯「さすがは真樹君ね、あれだけの数を一撃で終わらせるなんて」
唯が後ろに来ていた。
真樹「誉めても何もでないぞ、で生存者は?」
唯「残念なことに2人だけ」
真樹「2人もいたのか!でその2人は?」
生存者がいたことに驚いた、絶望的だと思っていたのにな。
唯「あなたのよく知ってる2人よ、今来るから待ってて」
言われた通り待つことにした、あたりの敵は一通り倒したから、とりあえずは安全だろう。
唯「生存者の到着よ」
言われた方を見ると、よく見慣れた2人の姿が目に付く。
真樹「おい!生存者ってあの2人か!」
唯「そうよ、竹内君と古坂さんよ」
2人がこっちに向かって歩いてくる、こっちも近づいていき、声をかける。
真樹「よう淳哉、どうやら死神の誘いを断ったな」
その言葉に竹内はニヤリと笑い、軽口で返す。
淳哉「残念だったよ、死神が美人だったら考えても良かったんだが、男の誘いはお断りだからな」
真樹「とりあえず、無事で良かったな」
その言葉にほっとしたのか、2人が座り込む。
淳哉「今度ばっかりは駄目かと思ったよ、でもミリィも無事だったしな」
ミリィ「淳哉のおかげで助かったヨ、命の恩人ネ」
その言葉に、竹内が照れている。
淳哉「ところで、俺達以外に生存者はいないのか?」
照れ隠しに聞いてきた。
真樹「試験の影響で先に帰ったグループは無事だ、居残り組は全滅」
淳哉「俺達2人だけか・・・・」
事態の深刻さを知って顔が真面目になる。
真樹「ああ、だけどこの事件については一切、外部に喋るなよ」
淳哉「別に構わないが、俺達に説明ぐらいしてくれよな」
理由も聞かずに納得してくれるのはありがたかった。
ミリィ「私も気になるネ」
俺はうなずき、説明を始めた。
真樹「とりあえず、2人が出会ったのは俺達は魔物と呼んでいるが、その正体は不明だ」
淳哉「何でそんなのがここにいるんだ?」
もっともな質問をしてくる。
真樹「それはわからない、だがここ最近活動が活発化している」
ミリィ「ここみたいな事が他でも起きてるノ?」
唯「ええそうよ、公にはされてないけどね」
淳哉「でもこんな事件なら、遺族とかが黙ってないんじゃないのか?」
唯「遺族には可哀想だけど、情報操作をしているの」
淳哉「しょうがないか、こんな事誰も信じないさ・・・・・現実に見ない限り・・・・」
竹内の奴、そこまで考えてるなんて・・・
ミリィ「デモ・・・・・」
古坂さんが納得のいかない表情をしている、まぁこの反応が普通だろう。
真樹「簡単な説明はこんなところだ、今日のところは帰った方がいい」
淳哉「ああ、そうさせてもらうよ、ところで伊藤さんこれ・・・もらっていいかな」
竹内が銃を指差して聞く。
唯「好きにしてくれて構わないわ、でも扱いには注意してね」
その言葉を聞き嬉しそうにする。
淳哉「わかってるから安心してくれ、じゃあミリィは俺が送ってくよ」
唯「何が起こるかわからないから気をつけてね」
真樹「さっきも言った通り、活動が活発化してるから、何かあったらためらうなよ」
ミリィ「どういう事ナノ?」
いまいち理解していないようだが、後でわかることだろう。
真樹「言葉通りだ、用心しとく事だ」
淳哉「ご忠告ありがとう、ミリィ帰るか」
ミリィ「うん」
古坂さんが竹内と腕を組む。
淳哉「おいミリィ・・・」
ミリィ「家までよろしくネ♪」
そうして2人は帰っていった
唯「あれは・・竹内君に惚れたわね」
真樹「そういうものか?」
何か納得したような顔で2人の後姿を見る唯。
唯「そういうものよ、まぁ竹内君って、結構人気あるからね」
それは以外だった、竹内が人気者だったなんて。
真樹「まあ、そんな事はいいか、俺達も後始末をして帰るか」
唯「そうね、そうしましょう」
俺達は学校を全部見回り、死体などを全て抹消した。
昔は嫌だったんだが・・・今では何も感じなくなっている。
死んでしまった者の事を考えても、何もありはしない・・俺はそう考える事にしている。
唯「あの2人、もしかして・・・私達みたいな能力者なのかしら?」
後始末が終わって、撤収しようかという時に唯が口を開く。
真樹「その可能性はある、今までの事件の生き残りは結果から言って・・・ほとんどが能力者だからな」
俺がこれまで担当した事件には生存者がいなかったが、今までの資料を見るとわかる。
事件に巻き込まれた後、能力に目覚める場合と、力を隠していて事件の時に力を使い、生き残る事があったらしい。
唯「あの2人を巻き込んじゃったわね、教団に狙われないといいけど」
真樹「後で2人に護衛を送ろう、教団側が動かないとこちらも動きようが無い」
教団側に捕まると厄介な事になるからな。
唯「私は先に報告に行ってるから、護衛の件の手配よろしくね」
真樹「ああ、手配できなかったら俺が行くから、もしかしたらそっちには行けないかも知れない」
唯「わかったわ、それじゃあまた」
唯は報告のため、事務所に戻って行った。
俺はこれから大変な事になりそうな気がした・・・・・
第3話 終了
NEXT Unreal・World InterMission1「映画館に行こう」
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後書き
夢幻「いよいよこの物語も面白くなってまいりました(?)」
真樹「作者、俺には理解できんな・・・・」
夢幻「ウダウダ言わず、次回予告しろ」
真樹「しょうがない、次回はタイトルから想像しろ・・・以上」
夢幻「InterMissionは、ほのぼのって感じでお送りします」
真樹「主役はセイナだ、楽しみに待て」
夢幻「今回もここらへんでお別れです」
真樹「次の出番まで、さよならだ」
夢幻「さようならー」