「う・・・・・うう」

 

 

ユーノは頭痛で響く頭をなんとか抑えながら、起き上がった。周りを見ると、どうやらアースラの医務室のように見えた。

 

 

「あれ・・・・僕はいったい・・・」

「ユーノくん!!」

「うわ!!」

 

 

まだハッキリとしない意識の中、突如誰かがユーノを押し倒した。よく見ると、涙をポロポロ零して泣いているなのはだった。

 

 

「な、なのは・・・」

「よかった・・・・ユーノくん・・・」

 

 

珍しいほどに、なのははユーノの胸で泣いていた。それを見て、ユーノはなのはを落ちつけようと頭を撫でる。

 

 

「大丈夫・・・僕は生きてるよ」

「うう・・・すごく心配したんだから」

「ごめん・・・あ、あのロストロギアは?」

「うん。私とフェイトちゃん、はやてちゃんで仕掛けたんだけど、倒れなかったの。そんな時・・・・凄いんだよ!!あの“ウルトラマン”が現れて、ロストロギアを倒しちゃったの!!」

「ウルトラ・・・・マン?」

 

 

ミットチルダ出身のユーノが知らないのも無理はない。なのはの世界でおよそ40数年前、侵略者の魔の手から人類を救うため、ウルトラマンがやってきたという事を。

 

 

「そんな凄い存在が、なのはの世界にいたんだ」

「うん・・・・と言っても、私が生まれるずっと前だけどね。私が生まれてからの時代には、出現していないみたいなの」

「そっか・・・」

 

 

そんな話をしていると、病室のドアが開いた。そこには、局員の制服に身を包んだフェイトとはやてが立っていた。

 

 

「あ、ユーノ」

「ユーノ君、気い付いたんやな」

「うん、心配かけてごめん」

「無事なら・・・よかった」

「そやで。あのバカでかいロストロギアにぶん殴られて、打撲だけですんだやなんて奇跡なんやから」

 

 

はやての言葉を聞き、ユーノは思考の海に入った。

 

 

 

 

(ありえない・・・・・僕はあの時、命にかかわるほどの重傷を負ったはず。なんで・・・)

 

 

 

 

その理由を、後で知る事になろうとは、今のユーノは思ってもなかった。それから数日後、ユーノたちの運命を大きく変える出来事が起きる事も・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日経ち、ユーノとなのは、フェイトとはやてはアースラに呼ばれていた。

 

 

「アースラに呼ばれるなんて、なんか久しぶりだな〜」

「フェイトちゃんは、アースラ直属だからいつも通り?」

「うん」

「げぇ・・・苦手だなクロノは・・・」

「ユーノくん、ダメだよそんな事言っちゃ」

「だってさ、会ったら間違いなく「あ、フェレットもどき」っていうのは目に見えてるんだよ・・・()

「・・・ははは(苦笑)

 

 

なんとなくその光景を察することができたのか、フェイトは苦笑していた。そんなこんなで、四人はブリッジへと入った。そこには、新生アースラスタッフ、そしてエイミィとクロノの姿があった。

 

 

「あ、フェレットもどき」

「言うと思ったよ・・・」

 

 

予想通りの回答に、溜息を洩らすユーノ。なのはたちも、これには苦笑するしかない。

 

 

「あ、クロノくん。私たちを呼んだ理由って何?」

「あ、そうだったな。エイミィ」

「はいはーい♪エイミィさんにお任せ♪」

 

 

エイミィはそう言うと、スクリーンにある映像を映し出した。そこには、数日前に戦ったあのロストロギア、そして・・・・・なのはの言うウルトラマンが映し出されていた。

 

 

 

 

「これって・・・ウルトラマン?」

「ん、知ってるのかなのは?」

「うん」

 

 

 

 

なのはは、クロノにも詳しく説明を行った。クロノはそれを踏まえると、言葉をつづけた。

 

 

「数日前に出現したこの巨大ロストロギア。実は、他の世界でも出現が確認されているんだ」

「なんだって!?」

「う、うそ・・・」

「あんなのが・・・」

「複数やて・・・」

 

 

それを聞き言葉が出ない四人。

 

 

「幸い、今回は管理局の戦艦によって撃滅できたが・・・・今後、こういう存在がまだまだ増えていく可能性を、上層部が判断した」

「こんなんが、また出てくるっていうんか・・・」

「そこで上層部は、管理局の規則に縛られない、“あらゆる状況に対応する部隊”【Guards for UtilitY Situation】を設立する事を決定した」

「それで・・・僕らとなんの関係が・・?」

「ユーノ・スクライア無限司書長。君を今日より、GUYS(ガイズ)のメンバーとして抜擢したい」

 

 

それを聞き、ユーノは思考が停止した。そして三十秒ほど経ち・・・。

 

 

 

 

 

 

「え・・・・・えええええええええええええええええええ!?」

 

 

 

 

 

 

叫び声を上げてしまった。

 

 

「ちょ、ちょっと待ってくれクロノ!!なんで僕が!?僕は戦闘向きじゃないのは君も先日の戦いで知ってるはずだ」

「前線とまでは言わない。だが、君はサポートに向いている。だから、なのは・フェイト・はやてのサポートをしてほしいんだ」

「え、私も!?」

「クロノ!?」

「う、ウチも!?」

「君たちに頼みたい。あ、出来る事ならフェイトにはアルフ、はやてには守護騎士たちがついてくれると助かる」

「で、でも・・・」

「私、執務官」

「ウチも、特別捜査官やし」

「上層部が、君たちエースを推薦している。できれば、頼みたいんだ」

 

 

そう言って、クロノは頭を下げた。それを見て、なのは達は表情を崩した。

 

 

「まぁ・・・・・やってみよっか」

「兄さんの頼みだし・・・・うん」

「クロノ君が頭下げるなんて珍しいしな〜」

 

 

三人が納得したのを見て、クロノは安堵した。そして、顔をユーノに向ける。

 

 

「受けてくれるか・・・・・ユーノ?」

 

 

自然と、皆の視線がユーノに集まる。そして・・・。

 

 

 

 

 

 

「わかった・・・・・・受けるよ」

 

 

 

 

 

 

こうして、時空管理局防衛チームCREW GUYSが誕生した。そしてそれから数か月後、ついに始動する・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

0071.ミットチルダ臨海第8空港。そこにおいて、一つの大火災が発生していた。理由は極秘裏に密輸しようとしていたロストロギアの暴走。

 

 

「くそ!これ以上はいけないぞ!!」

「この先に、子供が一人取り残されているっていうのに!!」

「さっき、GUYSの隊員が救助に向かったそうだ。彼女がやってくれる!!」

 

 

消化部隊がそのまま消化作業を続行する中、エントランスホールに一人の女の子が泣いていた。

 

 

「おとうさん・・・・・おねえちゃん・・・・」

 

 

蒼髪の少女は、泣きながら周りを歩いていた。そんな中、突如ホールの中央にあった銅像が倒れてきた。

 

 

「ひ!・・・・・た、たすけて・・・・」

 

 

少女が諦めかけた・・・次の瞬間。

 

 

 

 

 

 

『メテオールカートリッジロード。キャプチャーキューブ』

 

 

 

 

 

 

機械の声と共に、少女の身体を蒼色の結界が包む。それにより、倒れてきた銅像はその結界によって砕け散った。

 

 

「・・・へ?」

 

 

少女は何が起きたのかさっぱりな状態だった。そこへ、少女服に近いバリアジャケットに、オレンジ色のアームドジャケットを纏い、栗色の髪をツインテールにまとめた魔導師が空中から降りてきた。

 

 

「もう大丈夫・・・・助けにきたよ」

 

 

魔導師は少女の前に降り立つと、そっと少女の頭を優しく撫でた。

 

 

「よく頑張ったね、えらいよ」

「ひっく・・・ひっく」

「もう大丈夫だからね・・・・・・安全な場所まで、一直線だから」

 

 

そう言って、魔導師はデバイスを上空へと向けた。

 

 

『ロードカートリッジ』

「一気に貫くよ・・・・・ディバイーーーーン」

 

 

デバイスから、強力な魔力が収束しはじめた。そして、次の瞬間・・・。

 

 

 

 

 

 

バスターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

 

 

 

 

 

 

その桃色の輝きは、一瞬にして上空までの道を阻むものを突き破った。そしてそれを見て、魔導師は少女を抱えると、一気に上空まで飛び出した。魔導師が周囲を見回すと、そこには円盤型ロストロギアが暴走しており、周囲に被害を与えていた。

 

 

「あれが原因か・・・・・・シグナムさん、ユーノくん、お願い!!」

「「GIG」」

 

 

魔導師【なのは】がその場から離れると、一機の大型戦闘機が風を切り裂いて現れた。そしてそのまま、ロストロギアに向かって接近する。

 

 

「ユーノ、サポートを頼むぞ」

「分かってる」

「よし・・・・ガンフェニックス!スプリット!!」

 

 

前方のパイロットの桃色の髪の女性が叫ぶと、戦闘機は二機の小型戦闘機へと分かれた。

 

 

「頼むぞ、レヴァンティン」

『了解』

「ウイングレッドブラスター!!」

 

 

前方の機体【ガンウインガー】から、深紅の魔力砲が発射される。それを受け、円盤型デバイスは大きく揺れていた。

 

 

「喰らえ!!バリアブルパルサー!!」

 

 

その後方の機体【ガンローダー】の砲身からも、魔力砲が発射された。それにより、円盤型ロストロギアはコントロールを失い、地上へと墜落した。

 

 

「やったか?」

「いや・・・・まだです!!」

 

 

ユーノがそう言った次の瞬間、ロストロギアはいきなり形体を変化させた。円盤の部分を頭部とした、人型へと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「円盤型ロストロギア、人型へ移行!!」

 

 

異空間に浮かぶGUYSの移動要塞【フェニックスネスト】。そのオペレーションルームで、金髪に白衣のコートを着た女性が戦闘状況を報告した。

 

 

「ちっくしょ、変形なんて反則なロボじゃねえか」

「違うわヴィータちゃん。あれはロボットじゃないわ」

「どういう事やシャマル?」

「あの円盤型ロストロギアからは、生命反応が出ているんです」

 

 

それを聞き、騒然となる基地内。

 

 

「命を持ったロストロギアっていうのかよ!!」

「円盤生物とも解釈できるな」

 

 

ヴィータと呼ばれた少女と、蒼き狼が呟く。

 

 

「相手が明らかな敵意と驚異を持つ以上、このままやと被害が広がるばかりや!!シグナム、ユーノくん、メテオール解禁するし、デバイスと魔力の特性をしっかり使い〜や」

 

 

そう言って、GUYS隊長【八神はやて】は、メテオール使用認証のボタンを押したのだった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、行くぞユーノ!!」

「はい!!」

「「パーミッショントゥーシフト!!マニューバ!!」」

 

 

二人はコクピット内のレバーを引いた。すると、ガンウインガーに六枚の光の羽が出現、深紅の輝きを放ち始めた。それに対し、ガンローダーはウイング部分が変化し、周囲に翠色の光を放っていた。

 

 

「レヴァンティン、コネクト」

『接続完了』

「紫電瞬刃!!」

 

 

シグナムがそう言った瞬間、ガンウインガーはもの凄いスピードで加速を開始した。それこそ、残像が発生するほどの。そしてそのまま、ロストロギアの横を通過した。その瞬間、ロストロギアの身体からは火花が飛び散った。シグナムがそれを幾度と続けると、ロストロギアの身体にはたくさんの切り傷が生まれていた。

 

 

「よし、行け!!」

「分りました!!ストラグルチェーン・バインドオフ!!」

 

 

次の瞬間、ガンローダーから緑色の光の鎖が無数に出現し、ロストロギアに巻きついた。そしてそのまま、魔力ダメージを発生させる。

 

 

「どうだ・・・・僕の魔力残量だって限りがあるんだ・・・・・・早く倒れてくれよ・・・」

 

 

額から汗を流し、魔力を持続させるユーノ。しかし次の瞬間、ロストロギアは強引に鎖を引きちぎると、手から魔力弾を発射した。その弾丸は、運悪くガンローダーの左翼に被弾した。

 

 

「くっ!!このまま不時着するよ!!」

 

 

そう言って、ユーノは広い場所になんとか不時着した。そして、コクピットから降りると、皆が応戦する様子を見ていた。

 

 

「くそ・・・・マシンがこれじゃ・・・どうすれば・・・」

 

 

そんな時、ユーノの頭に声が響いた。

 

 

 

 

(貴方は、一人ではありません!!)

(この声・・・あの時の!)

(貴方には、仲間がいます。仲間たちの想いを、無駄にしてはいけません)

(・・・・どうすれば)

(僕と一つになってください。僕と一緒になれば、三分間だけなら、地上で戦えます)

(・・・分かった。戦うよ)

(ありがとうございます!!)

(君の・・・・名前は?)

(はい!僕の名前は・・・・・・・メビウスです)

(わかった・・・・・行こう、メビウス)

(はい!!)

 

 

 

 

そう言うと、ユーノの腕に【メビウスブレス】が出現した。ユーノが右手をかざすと、オレンジ色の光が放ち始めた。そして、その左腕を天へと掲げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

メビウーーーーーーーーーーース!!

 

 

 

 

 

 

 

 

そして再び、ウルトラマンが大地に降り立つ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

遂に始動したクルーガイズ。果たして、彼らが往く未来とは?そして、謎の円盤型ロストロギアを止められるのか?全ての運命は、無限の名を持つ少年に託された。

では、次回までw




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