とらいあんぐるハート3 To a you side 第四楽章 月影の華桜 第三十三話







 俺が誘った面子は全員揃い、次は恭也達が誘った連中を拾いに。

俺の知らない、彼らだけの付き合いの人間。

何の興味も無いが、鬱陶しい奴だと困る。

久遠を肩に乗せながら、俺は助手席から声をかけた。


「高町の兄貴――言い辛いから、恭也。
恭也って、友達とかいたんだな」

「失礼な奴だな・・・と言いたいが、付き合いは確かに少ないな」


 苦笑が混じる言い草で、恭也は自分を語る。

自嘲に聞こえないのは、現状で充分満足して生きているからだろう。

友人の多さが、幸福の可能性を高めるとは限らない。


「具体的に、何人誘ったんだ?」

「一人だ」

「一人・・・? 
おいおい、もしかして――お前の恋人?」

「なっ――!?」


 車内に広がる動揺。

一人だけ誘ったって聞けば、普通そう考えるだろう?

恭也は寡黙な男だが、根暗ではない。

俺とは違って人格者であり、口数が少ないだけだ。

通り魔事件で出くわした時も、町の治安の為に危険を顧みず俺を追った。

――思い出したら、むかついてきた。


「そうなの、恭也? 
もう・・・そう言う事は、お母さんにちゃんと相談して欲しかったわ」

「・・・御願いだから、良介の言う事を簡単に信じないでくれ・・・」

「どういう意味だ!?」

「あははー」


 とりあえず笑ってるなのはに、チョップ。

フィリスに睨まれたが、舌を出して誤魔化した。

恭也は疲れた声で事実を伝える。


「赤星だよ。
日が変わる前に帰れればいいからって、本人が乗り気だったから」

「何だ・・・勇吾クンなの。母さん、残念」

「あのね・・・」


 赤星――勇吾?

男の名前である。

・・・何故か安堵してしまうのは、女への拒否反応だろうか?

男としてそれはどうかと思うが、女に振り回される俺として増員が男なのは癒される。

恭也の友人が勤まるのだ、粗暴な奴ではないだろう。


「そいつって・・・一般人だよな?」

「・・・? 何だ、突然」

「この町で会った連中に、その単語に当てはまる奴は少ないから」

「ボクを除いてね」

「お前は先陣を切ってるわ!」


 得意げに口を挟むリスティを、すかさず否定する。

フィリスが少し引き攣った顔をしているのは、俺に異論があるからだろう。

畜生、俺もそうだって言いたいのか。

恭也は嘆息して答える。


「どういう人間を指しているのか分からないが――赤星は俺のクラスメートだ。
付き合いも長い」

「女生徒からの人気は高いんですよー、ね? 恭ちゃん」

「・・・否定はしない」


 明るく話し掛ける美由希に、恭也は言葉少なく返答する。

女に人気がある男って、ナンパなイメージがある。

恭也と仲良くやれるとは思えないが、そいつなりの良さでもあるだろうか。

男友達に縁の無い俺には分からない話だった。


「友人ね・・・レンとか城島は?」

「おそなりそうやし、ウチは今日は別に――」

「俺もです」

「なのはは――

友達いないだろうし、別に聞かなくていいか」

「ひ、酷いですよ!? 私にだって、友達はいます!」

「はいはい。
画面の向こうのお友達は、お花見には誘えませんからねー」

「ゲームじゃないです!
うー、分かりました・・・いつか絶対に紹介しますから!」


 どういう対抗意識だよ、それ。

今日来ない時点で、俺との関連性0じゃないか。

高町家だっていつまでいるか分からんのに、のんきな奴だ。


「リョウスケはお友達多いもんね。羨ましいなー」

「何馬鹿言ってるんだ、フィアッセ。
それよりお前こそどうなんだよ」

「私?」

「人の事あれこれ口に出すけど、お前自身について聞いたこと無いぞ。
友達くらいいるだろ、お前だって」

「うん。大切な――人達が居るよ。
この国にも・・・海の向こうにも」


 ――フィアッセの故郷。

生まれや育ちは人の事言えないので、聞かずにいる。

毎日ニコニコ明るいし、友達も多そうだ。

心を支えてくれる多くの味方がいるのだろう。

ただ――


「お前の場合、友達は選ぶべきだと思うぞ」

「どうしてそこで、私を見るんですか!?」

「フッ・・・」

「わ、笑いました!? 今、笑いましたね!」


 こっちを向いて下さいと、怒るフィリスを笑って俺は前を向き直る。

フィアッセやリスティ、それにフィリス。

海外には行った事は無いが、世界には常に憧れは持っている。

気が向いたら、こいつらの故郷を訪ねるのも悪くは無いかもしれない。

左右に流れる景色――

フロントガラスの景色を前に、俺は静かに目を閉じた。














 赤星 勇吾。

熟睡していたので、会話は割愛。

ちなみにハンサムでした、つまんねー。






んで、肝心のこいつ。








「おっそーい! 夕方って言ってたのに―!」

「ばーか、嘘に決まってるだろ」

「どうしてそういう意地悪するかな、侍君は」

「いだだだだっ!? 耳を引っ張るな!」

「こんな夜に来るって分かってたら、もっと寝てたのに」

「昼間っから寝るな! ドラキュラか、お前は」

「っ――!?」

「・・・? 何だ、うろたえて」

「う、ううん!? え、えーと・・・

ふっふっふ・・・侍君の血を吸っちゃおうかなー」

「カロリー低いからまずいぞ」

「なっ――生々しいよ、侍君・・・」

「っけ、金持ちだからっていい気になりやがって。
そんな奴には・・・こうだー!」

「あー!? 車に十円傷つけないでよ!」

「そもそも新車なんて買うな!」

「やっぱり、侍君もゲームソフトのほうが良かったと思う?」

「知るかぁー!」



  「・・・つ、月村さんって明るい人だったんだな・・・高町」

「・・・俺も最近知った」


 尻込みする男達の会話が、少し癇に障った。



































































<続く>







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