とらいあんぐるハート3 To a you side 第十三楽章 村のロメオとジュリエット 第百五十六話



次に案内した場所は海脇に沿って柵が敷かれており、夜には輝くであろう街灯が並んでいる。

柵の前には歩道が綺麗に舗装されており、人口の森林に並んでいるベンチと、憩いの場が用意されている。

陽射しを反射している海からの風が来訪者に優しく触れて、気持ちがいい感覚を与えていた。


海鳴自然公園。思えばここが因縁の場所だった。


「王子様、忍さんと出会った場所がここだったのですか」

「思い出してみれば、ここで飯を食おうと思わなければ、お前らとの因縁もなかったのではないか」

「うふふ、過去はもう変えられませんわよ王子様」


 コンビニでレンと揉めて逃走した後、ドサクサに紛れて拾ったコンビニの廃棄弁当を抱えて、この公園に辿り着いた。

あの時は全然気にしていなかったが、平日でも結構人通りがある場所だった。

まあ国際都市化して人口は爆発的に増えたので、一年前と厳密に比較できないが、それでもよくこんなところで飯が食えたものだ。


ベンチに座って廃棄弁当を食べようとしていた自分が、哀れに感じる。


「話によると忍は当時怪我をしていたそうだな、下僕よ」

「一年前は――というか別に今もアイツに興味があるわけじゃないけど。
当時、車のタイヤ音とあいつの悲鳴が聞こえて来たから、嫌がらせをされていたかもしれないな」

「世界会議で陰謀を企てていた連中か、忌々しい」


 因果関係を立証することは不可能だが、あいつは月村安次郎に金目的で狙われていた。

あいつ自身裕福だし、自動人形であるノエルも仕えている。月村の財産をわざわざ狙っていた訳だ。

本当に車で轢けば余裕で人殺しになるので、多分ギリギリを狙って心理的圧迫を行っていたのだろう。


セコいことをする奴である。今はもう破滅してしまったが。


「……当時私の父と組んでいた者ですね。貴方様にご迷惑をおかけして申し訳ありません」

「いや、お前が悪い訳ではないのから謝る必要はないよ」

「関係者も含めて全員追い込んでやったから安心してね、ウサギ」

「本人だけじゃなく、関係者も含めて……?」


「ええ、実の父といえど容赦する必要もありませんので」


 壮絶に微笑むロシアンマフィアの姉妹に、背筋が凍る。どこまでやったんだ、こいつら。

考えてみれば世界会議の後、月村安二郎達がどうなったのか、聞いていない。

安次郎はローゼの裏切りに腹を立てた当時のマフィアボスが思いっきり発砲しまくったせいで、生死不明の重傷だったはずだ。


お似合いの末路で何一つ同情なんぞしていないが、この様子では生きていてもロクな末路は待っていないだろう。


「忍ちゃんもキミも初対面の人と気軽に話すタイプではないように見えるんだけど、どうして仲良くなれたの?」

「まるで俺があいつと仲が良いように聞こえる」

「そこはもう諦めようよ……」


 フランスの貴公子カミーユより、呆れた顔を向けられる。嫌だ、人間の尊厳がかかっているんだ。

怪我した忍に話しかけた時、流麗な紫の髪を揺らして見つめるあの瞳には、俺への最低限の配慮と感謝の意がこめられていた。

だが同時に壁を感じていたのも事実で、俺も単に女の悲鳴に驚いて弁当落としたから、文句ついでに話しかけただけだった。


当時を振り返って答える。


「あいつは足を怪我して歩きづらそうにしてたから、仕方なく応急処置してやっただけだ」

「まあ、お優しい」

「今となっては過去最大のお節介だった……反省している」

「王子様、本当にあの人には風当たりが強いですわね……」


 余計なお節介をしたせいで、今日に至るまであいつとの縁が切れなかったんだぞ。

今では内縁の妻とか名乗って俺の人生に我が物顔で介入してくるし、大学なんぞ行かんとばかりに永久就職しようとしてきやがる。

もう一年経過して、あいつも今年の春に卒業。大学受験なんぞもはや間に合わないし、勉強もしていないという体たらく。

技術力だけは一人前以上にあるので、うちの組織に内定を決めていやがる。


俺がどれほどあいつを嫌っているか力説しているが、女達の目は生暖かかった。なんでやねん。














<続く>








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