ハンター業界屈指の最強名門家、相沢家の家の主、相沢聖一（あいざわせいいち）の妻である相沢瑠海（あいざわるみ）は
子供が産めない身体だった。
昔聖一と共に上級魔族と戦ったときに受けたダメージで子宮をやられ、二度と子供の埋めない身体になってしまったのだ。
二人はもちろん、周りの人間も悲しみに暮れた。瑠海は一晩中聖一に謝り続けた。
結局その状態のまま、相沢家は子供が居ないまま日々を過ごした。
 

しかし、もっと重要な事があった。
相沢の血が途絶えるという事だ。それは相沢家の破滅にも等しいほどの出来事だ。
子供の出来ない瑠海の代わりに誰か違う妻に身ごもらせると言う事ができるにはできるが、それを聖一は頑なに拒んだ。
聖一にとって瑠海以外の子供など要らないわけで、他の妻に産ませるくらいならば居ない方がましだと考えたのだ。
このままでもいいと思っていた。
相沢の家にはそれなりの実力がなければ子供とさえ認めてもらえないのだから、養子を取る訳にもいかなかったから、
大きな屋敷には使用人と相沢夫婦しかいなかったのだが、それでも充分だと思った。
しかしその考えは、あるひとつの出来事により一変する。
 

瑠海の妹である秋子が結婚したのは一年前のことだ。
その頃には瑠海も聖一と結婚しており、相沢家総出で秋子達を祝った。
ハンターを引退し、北の街でひっそりと暮らしていると聞いていたが、その秋子が、子供を身篭ったと聞いた。
 

瑠海も聖一も二人して喜んだ。もう名前も決まっているそうで、男の子ならば祐一、女の子ならば名雪だそうだ。
聖一も瑠海も喜んだ。喜んだのだが、その代わりに、自分達も子供が欲しいという抑えていた感情がまた溢れ出した。
しかし瑠海は子供を産むことが出来ない。かなりの実力を持っていなければ相沢家の子供として認められないから養子も出来ない。
かといって他の女に産ませる訳にもいかない。
つまり、ある程度の力を持った自分達だけの子供、それが条件なのだ。
 

そしてその方法は、ひとつだけ、存在した。
 

ガーディアン・スペル・フォース。
複数の人間の命を使い違う生命を作り出す最上級召喚魔法。
作ろうと思えばその性格も人格も姿も能力も作る事が出来る、『心を持った人形』なのだ。
それが瑠海と聖一が選んだ方法だ。
ガーディアンを造るのにも資格がいるが、そんなものはすぐに取得し、秘密裏にその計画は進められていた。
ある程度の実力をつけなければならないので、触媒である人間もそれなりの力がなければならないのだ
（人数を合わせれば強くする事はできるが、それでは桁違いに人間を使う）。
その頃は戦争などで手足を失ったり、植物状態の人間が腐るほど存在した。
そういう人間はハンターとしての仕事を失い、自ら死を選ぶ者も少なくなかった。
二人はそういった人間をかき集め（金に物を言わせれば同と言う事はなかった）、
そしてその間にガーディアンの知識を覚えれるだけ覚えた。
 

性格や人格、それに姿も能力も、全てを作っては意味がないので、なるようにならせた。
しかもそうすれば使う人数が少なくてすみ、二人が集めた人間だけで５０人近いガーディアンを作ることができる（予定）のだ。
 

そして、ガーディアンは造られた。
 

４８人のガーディアンが造られ、成功したのはたったの７人だけだった。
あとの４１人は無残なものだった。人の形をしていなかったりそのまま消滅してしまったり、
その４１人だけで軽く２００人近い命が無残に散った。
しかも、その七人の中でも、人の形をしているものの、普通の人間として生きていける状態でなかったり。
 

そんな中で、一人の子が生まれた。
 

七人の中で、最も、圧倒的に最高の出来のその子供は、間違いなく『完成品』だった。
 

その一ヵ月後秋子の子供が生まれた。女の子だったので名前は名雪に決まった。
瑠海と聖一の子供が男の子だったので、秋子の名前候補の男の子の名前を貰い、名前を相沢祐一と名付けた。
他の六人の内の三人は始末され、残りの三人はなんとか人間として生きていける状態だったので、とりあえず分家に預けておいた。
そして、祐一はそのまま、自分がガーディアンだと言う事も知らないまま、相沢家で育てられる事になった。
 

かくして、相沢祐一というガーディアンが世に生まれたのだった。
 

後書き
 

三時間で書き上げたプロローグです（笑
今回から第二部という事になりますね。話はほとんど（っていうか全部？）祐一などの過去の話になります。
リアはもう全然出てきません。哀れメインヒロイン。
本当はリアも祐一ぐらい強くしようと思ったんですが、
そういうSSは案外読んだことあるので、ちょっと変わった設定にしてみようと思いました。
それに、リアが強いと色々と合わない設定とかもありますので（リアが親に捨てられなかったり）。
まあそういうわけで、リアは設定に負けたキャラだという事でｗ
 

ということで、これからも応援よろしくお願いします！