I Love・・・?
注:このSSはネタばれを含みますので、まだゲ―ムをプレイしていない方には
読むことをお勧めしません!!
名雪がメインのSSです。これは・・・シリアスなんでしょうか、それともほのぼの系・・・?(汗)
――――――あの事件からもう一週間がすぎようとしていた。
いろんな人が私の所に来て、そしてこう言い残していった。
「お気の毒だけど・・・気を落とさないでね・・・。」
でも私は何も言わなかった。言えるわけがなかった。
だって、私が一番好きな人が―――――祐一が―――――死んじゃったんだから。
原因は交通事故だった。
「ちょっと出かけてくる」って商店街に出かけてから、何時間経っても帰ってこなくて心配していたら病院から電話があって――――。
それからの事はあんまり覚えてない。
お母さんがしきりに「大丈夫よ、名雪。」って言ってたみたいだけど私は聞いてなかった。
ただ祐一の事だけを考えてた。神様にもお願いした。なのに・・・・祐一は死んでしまった。
お医者さんは「打ち所が悪かったんです・・・。」とか色々言ってたけど、私には単なる言い訳にしか聞こえなかった。
何もかも呪いたかった。祐一を奪った張本人も、お医者さんも、そして―――――私自身も。
いっそ死にたかった。祐一のいない世界なんて生きていても仕方がない・・・そう考えた私は手首を切ろうとしたけど
お母さんに見つかって出来なかった。私はてっきりお母さんに怒られると思った、でもお母さんは・・・・
「名雪、あなたは祐一さんに愛されていたんでしょう?だったらなぜ祐一さんの分まで生きようとしないの?」
そう言われて私は思い出した。私がうん、と小さい時にお母さんが一人で泣いていたことを。
今ならわかる気がする。お母さんもお父さんがいなくなった時は今の私と同じ気持ちだったんだ――――って。
「・・・・ごめん・・・なさい、おか・・あ・・さん・・・・。」
私は泣きつづけた。お母さんの胸の中で。
あれから私は日常の生活に戻ることが出来た。
部活も再開したし、香里や北川君達と一緒に遊びに行ったりもした。
でも、やっぱり・・・・・・楽しいことをしてても祐一のことが頭の中に浮かんでくる・・・・・。ダメだよね、こんなんじゃ。
きっと祐一なら、
「そんなこと考える暇があるなら寝坊しないようにするにはどうすればいいか考えろ。」
とか言うんだろうね。
家に帰ってきて、お母さんと二人きりでご飯食べて、お風呂に入って、勉強しに部屋に戻って、
9時頃には眠くなるから、目覚ましをセットしてお布団に入って・・・・・・。
でもね、最近寝る前に必ずすることがあるんだよ。それはね・・・目覚ましのメッセ―ジを聞くことなんだ。
あの日・・・お母さんが事故に遭って私が落ちこんでた時に祐一がくれたメッセ―ジだよ、覚えてるよね?
今日も私は目覚ましのスイッチを押す。少し間が開いてから、祐一の何処か恥ずかしげな声が聞こえてきた―――――。
『名雪・・・』
『俺には奇跡は起こせないけど・・・』
『でも、名雪のそばにいることは出来る』
『約束する』
『名雪が、悲しい時には、俺がなぐさめてやる』
『楽しい時には、一緒に笑ってやる』
『白い雪に覆われる冬も・・・』
『街中に桜の舞う冬も・・・』
『静かな夏も・・・』
『目の覚めるような紅葉に包まれた秋も・・・』
『そしてまた雪が降り始めても・・・』
『俺は、ずっとここにいる』
『もう、どこにも行かない』
『俺は・・・』
『名雪のことが、本当に好きみたいだから』
その言葉を最後に私の部屋に、また静寂が戻ってきた。
それと同時に私は涙を流していた。止めどなく流れ続ける涙を、私は止めることが出来なかった。
「祐一・・・私、やっぱりダメだよ・・・祐一がいないと・・・私は・・・・・・。」
―――――――そんなこと言ってると百花屋のイチゴサンデ―、おごってやらないぜ?
「え・・・・?」
空耳・・・かな?
―――――――馬鹿、空耳じゃないっ。
やっぱり聞こえてくる。それに声も出してないのに・・・・。
―――――――いい加減気づいてくれ。頼むから。
「祐一・・・なの?」
―――――――ああ、そうだ。わかんないか?
「だ、だって祐一は・・・!!」
―――――――ん?ああ、死んだはずの人間がどうしてこんなとこにいるのかってことか?
「そ、そうだよ!」
―――――――ん〜話せば長くなるんだけどな・・・・。
そう言って祐一が話した内容は私には信じられない話しだった。
なんでも、あの事故が起こってから俗に言うところの「天国」に行って何かの裁判を受けたらしくてその時に裁判官みたいな人が、
「お前が生きてきた世界に未練はあるか?」って聞いてきて、
「好きな人がいるんだ・・・・・それ以上の理由なんて必要無いだろ?」
―――――――で、今こうしてここにいるわけだ。
「う〜やっぱり信じられないよ・・・。」
―――――――信じてくれないと俺が困る。現に目の前にいるだろ?
「そうだけど・・・あ、そうだ、お母さんにも祐一の姿が見えるのかな?」
―――――――そうだな・・・試してみるか。
「うんっ!」
そう言うと私は転びそうになりながら、階段を慌しく降りていった。
「お母さんっ!!」
お母さんはまだ起きていて、今からお風呂にでも入ろうかと考えていたらしかった。
「どうしたの、なゆ・・・・・あら?」
「お母さん、私・・・・。」
「こんばんは、祐一さん。」
―――――――こ、こんばんは・・・・秋子さん。
「どうしたんですか?こんな夜遅くに二人とも。」
「お、お母さんにも祐一が見えるの!?」
「ええ。それがどうかしたかしら?」
―――――――あの、俺が言うのも変なんですけど・・・驚いたりしないんですか?
「了承。」
―――――――へ?
「何があったにせよ祐一さんが今、ここにいる。それでいいじゃないですか。そうでしょ、名雪?」
「・・・・・・・うんっ、そう・・・だよね・・・・そうだよ!!」
久しぶりに――――たった一週間ほどだったけど―――――私は笑っていた。多分これまで以上に最高の笑顔で。
―――――――これでいいのかな・・・・?
「いいんだよっ、祐一!ふぁいと、だよ!」
―――――――なにがふぁいと、だよ・・・・。はあ・・・一応幽霊なんだけどな、俺・・・。
「さあ、二人とも。今日はもう遅いから寝なさい。」
「は〜い。」
―――――――おやすみなさい、秋子さん。
「祐一さんもおやすみなさい。明日ゆっくり話しを聞かせてくださいね?」
―――――――もちろんです。
それだけを言って私は部屋に戻った。
「ねぇ、祐一・・・・。」
―――――――なんだ?
「ありがとね・・・・。」
―――――――なんのことだ?
「私のこと好きでいてくれて・・・・。やっぱり祐一は私が好きになった人だよ・・・・。」
―――――――バカなこと言ってないで早く寝ろ。明日も学校だろ?
「うん・・・そうだね・・・。」
―――――――じゃあ、お休み・・・。
「うん・・・・祐一・・・・だいすき・・・だよ・・・・。」
―――――――・・・・心配するな。俺も名雪のことが――――――。
最後に祐一がなんて言ったかは判らなかった。私が寝ちゃったから。
それから何回聞いても祐一はあの後なんて言ったのか教えてくれなかった。ただ一言、こう言ってくれた。
―――――――俺はずっと名雪のそばにいる・・・・そう言っただろ?
―――――――祐一が事故に遭う前になにかのニュ―スで見たことがあった。
最近になって、不治の病の女の子や、7年間ずっと眠りつづけていた、これも女の子が次々に回復していった、て。
それからは、この町はこう呼ばれるようになったんだよ・・・・「奇跡の降る街」って・・・・・。
〜作者後書き〜
皆さん初めまして、作者のzenithです。
前回の作品が短めだったんで今回は少々長めにしようと思ったら・・・・無駄に長くなっちゃいました。(爆)
おまけに内容もすでにSSの先輩方が書いているような作品になってしまい、反省してます。
それでもやっぱり感想なんか頂けるとものすごく嬉しいわけで・・・。(笑)
色々と書きたいことはありますが、やっぱり無駄に長くなりそうなんでここら辺にしときます。
それでは、感想、その他、お待ちしています。