『〜リセット&NEWスタート〜 4話 ヴァンドレッドの力 〜下編〜』



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今、新米パイロットのディータとナビゲーターのエズラは植物園に居た。

所々にクリスタルがあるが、この場所では美しく感じられる。


「ふうぅ〜・・・・・・・・・・・私達は今ドコにいるのかしら・・・・・・・・」


エズラは観測器を覗き自分達の現在地を知ろうとするが、 システムが起動しない。しかし何とかしようと頑張っている。


「どうして一致しないの・・・・・・わかんないなァ・・・・・」


「そうだよねェ・・・・・・何で皆わかってくれないいのかな・・・・・・」


顎を手に乗せディータはボンヤリと呟いた。


「宇宙人に遭遇するって、スゴイことなのに・・・・・」


「あ―――――――――ッ!!」


ボンヤリと眺めていたディ―タが大声を上げた。  


「え、何?」


「ホラ、あそこだよ、あそこ!」


ディ―タの指差すモニターには見た事も無い物体が放つ無数の光だった


「やだァ・・・・・・・何かしら・・・・・」


「決まってるよ!UFOよ!」














  「で?そっちのロン髪くんはドクターで、こっちの坊やがアタッカーだね」


「はい。あの”黒い悪魔”です。」


メイアが付け加えた。


「まぁ、あんたの事を知っているよ。なんてたって”黒い悪魔”だからねェ・・・・・・・」


「それほどでもないよ。」


 バン! バン!


いきなりヒビキの肩をこずかれた。バートである。


「またまた〜大尉謙遜しちゃって〜♪」


「別にそんなつもりじゃねえよ!それにオレのことはヒビキでいいぜ。」


ヒビキはポロポリと頭を掻きながら言った。


「本題に入るよ。あんた達の処分だけど・・・・・・・・・・・」


『何かがこちらに向かって接近中です!!』


突然エズラからブザムに不明確な報告が入る。


「何かとはどういう意味だ!?もっとキチンと報告しろ」


『・・・・・それが……』


『UFOです!!スゴイんですよ!ジグザグにビュンビュン飛んでるんですよ!』


エズラの声を遮りディータが素っ頓狂な声を上げる。




ドコォォ――――――ンッ!!!



キュ―ブ型に素早く包囲されると次の瞬間に激しい衝撃が走った。

謎の敵の攻撃に風呂場の壁に亀裂が入る。



「くっ・・・・・・・・敵襲か!?」


「ドレッドチーム、迎撃に向かいます!」


混乱の中誰よりも早く動き出したのはメイアである。

ブザムも我に返り通信機に向かって叫ぶ


「パルフェ、船は動かせそうか?」


  『ダメです!コントロールできません!今は辛うじてオートディフェンスが起動しているのみです。』


確かにパルフェの報告どうりシールドは展開されているものの、 あまり長く保ちそうになかった。



激しい衝撃で揺れる艦の中をメイアは格納庫に向かって走っていた。 走りつつも通信機でパイロットに召集を掛けている。


「バーネット!何処にいる!」


『隔離室よ!ほとんどのパイロットが医療室に閉じ込められているわ!』


「チッ・・・・・・ガスコさん!そっちは!?」


『ガスコじゃないよ、ガスコーニュ!!今動けるのはアンタ達の三機だけだよ!』


「ジュラ、バーネット!!何処だ、応答しろ!」




通信を受けたジュラは一足先に格納庫に着いた所だった



「・・・・・・・な、何よ、これ・・・・・・・・・・・」


入ってきたジュラの足が止まり、その異様な光景に呆然としてしまう。
格納庫のと自分達のドレッドが全く違う物へと造り替えられていたのである。


「わぁ〜ォ!何これ、スゴォ――――イッ!!」


遅れて駆け込んできたディータは何故か喜んでいる。


「二人とも、早く機体のチェックしろ!」


最後に入ってきたメイアがそう叫ぶ。


「中のシステムは外見ほど変ってないな・・・・・」


「全ての安全が確認できた訳ではない!安心するな!」


『了解!!』


メイアの命令を受け二人が同時に叫ぶ。




出撃した三機は攻撃態勢を取る。
しかしドレッドに反応してキューブはドレッドにターゲットをすぐさま切り替えた。

キューブは確実にドレッドにまとわりついてきた。


「ディータ達はピースフルレースなのよぉ!」


「ディータ、攻撃しなさい相手は敵よ!……あのコ、あんなに操縦上手かったっけ?」


思わず呟くジュラだった。


「クッ……なんだ!? このレスポンスは!?」


今まで感じた事のないGがメイアにかかる。
もともと機動力が特化していたメイアの機体が更に速くなったようだ。


『確かにコイツ等未知の敵だわ。男じゃないよ!』


メイアのコクッピットのモニターにジュラが映り叫ぶ。

となりのモニターでディ―タも叫ぶ。


『リーダー、判りました!あいつらは悪い宇宙人です!』


そんな台詞に呆れるメイアだが、次の瞬間その表情は驚愕のものに変った。



       ズズズズズズ・・・・・・・・・・



ゆっくりとキューブの母艦らしき物が接近し、援軍を送り出した。

一瞬にして、戦況が不利になりキューブの群れが襲い掛かる。



「何だあのシステムは!?本当にエイリアンだとでも言うのか!?」


苦々しくメイアはキューブの群れを睨めつけながら呟いた。



ドォォォ――――――――ンッ!!

 
 

轟音と共に風呂場の壁が崩れ保安クルーの一人の上に落ちてきた。

誰もが瓦礫の下敷きになると思ったが、瓦礫の下には誰もいなかった。


「おい、怪我は無いか?」


すると瓦礫から少し離れた所でヒビキが保安クルーの一人を抱えていた。

ヒビキは瓦礫が落ちる瞬間、保安クルーの一人に飛びつき助けていたのである。


「大丈夫!?変な事されなかった?」


「あっ・・・・・・う、うん・・・・・・・」


慌てて駆け寄った一人が声を掛ける。


「おいおい!心配するとこが違うだろが!普通は『大丈夫!?怪我は無い?』だろうが!」


「うるさ――――い!男に触られたら何されるか判んないじゃないか!
 ねぇ、ホントに大丈夫?」


「う、うん大丈夫よフリージア・・・・・・・・あの、助けてくれてありがとう・・・・・・・・」


あまりの出来事に呆然としていた保安クルーだが助けてもらった事に素直に礼を言った。

しかしヒビキと言い合っていたフリージアという少女はどこか納得していないようだ。

その光景をジッと見ていたバートは狡猾な微笑みを浮かべるとゆっくりと話し出した。


「フフ・・・・・・・・・どうやら、我々の力が必要なようですねぇ・・・・・・・・」


その態度にマグノも耳を傾ける。   


「確かに我々は敵同士だ。憎み合うのも当然です。いえね、何を隠そうこの僕は操舵士でして・・・・・・・・・」


「ホォ、お前さんが、操舵士ねぇ・・・・・・・・・」


バートの言う事はウソっぽいが操舵士には興味があり続きを聞こうと身を乗り出す。


「警告!警告!ウソっぽいピ――ッ!」


「黙っといで!」


「ま、一言で言うなら、ここは一時休戦して・・・・・・一致団結してこの危機を乗り越えるのが賢明かと・・・・・・・・・」


「・・・・・・・なるほど、悪くないねぇ・・・・・」


それを聞き調子に乗ったバートは右手を出し握手を求めた。


「はは、ご英断感謝します。では和解の印に・・・・・・・・・・・」




ゴン!










  「痛ッ!」


右手を出すバートであったが、マグノに杖で思いっきり叩かれる。


「自惚れるんじゃないよ。あくまでも捕虜で扱うんだからね!」


「……ハハ・・・・・・ごもっともで・・・・・・・・」


「君は念のため医療室に行った方がいいだろう。」


保安クルーに外傷はなかったがドゥエロはそう言った。


「よし!それじぁ一仕事してもらおうか!ロン髪の兄ちゃんは医療室を手伝っておくれ。あんたは一緒にブリッジに来な。BCはアタッカーを格納庫へ」


  「ああ、任しとけって!」


「ホホホ!、頼もしいね。”漆黒の天使”の力見せて貰うよ。」 


マグノはわざわざ”漆黒の天使”と言うタラークの呼び方で言い笑って答えた。



百機を超えるキューブを相手にたった三機で応戦し続けている。

いくら機体性能が上がっているとはいえ、一向に数が減っていない

この状況は確実に戦況を不利にしていった。


『これじゃキリがないわ!』


ジュラのヒステリックな通信が、メイアに飛び込んでくる。


「わかっている!しかし、母艦が動かない今ここから離れる訳には・・・・・・・・・・」














  非常事態を示す赤色灯が点滅する薄暗い艦内通路をブザムとヒビキを連行しているフリージアが歩いている。


「・・・・おい」


「何よ。」


ヒビキが両手に手錠を掛けられながら、隣の少女フリージアに声を掛ける。

呼ばれたフリージアはフゥと溜め息をつくと気ダルそうに答えた。


「どうして風呂場から出た途端に手錠を掛けられるんだ!?オレは今から戦うんだぞ!」


「あんたが逃げる可能性があるでしょ!」


「一体どこに逃げるんだ、どこに!?」


途中言い争いをしながらもあと少しで格納庫という所でフリージアが突然足を止めた。


「あのブザムさん・・・・・・」


「・・・・・・・なんだ?」


ヒビキを連行しているフリージアがブザムに声を掛ける。


「本当に男をパイロットとして雇うんですか!?」


ブザムは足を止め向きを変える。


「そうだ。お前も先程の話を聞いていただろう。」


「蛮型しか戦力がない・・・・・・・・それはわかリます。」


フリージアはゆっくりと腕を上げてくる。


「でも何故男の力を借りないといけないんですか!?」


リングガンをヒビキに向け構える。 指がトリガーに掛かり今にも撃たれそうな状況だ。


「この状況では男も女も関係ない。この危機を乗り越えるためには
 一人の人間として協力しなければならない。
 ・・・・・・・・そうではないのか?」



ブザムはフリージアを見据えたまま動かずに言った。

長い沈黙が続く・・・・・・・・

それまで静観していたヒビキがゆっくりと口を開いた。



「・・・・・・まあ、マトモな女ならそう思うだろうな。」


ヒビキはリングガンを向けられているにも関わらず

しっかりと相手を見据えて話している


「お前はなんで男と戦うんだ・・・・・・・・・・・別に戦う理由なんてねえだろう。
 お前は一体なんのために戦ってんだ!?」


「・・・・・・・・・私は・・・・・・!」














  その頃バートはブリッジに連れて行かれて、マグノに促されクリスタル

と接触した瞬間クリスタル内部へと引きずり込まれてしまった。


「うわ〜〜〜〜ッ!?」


誰よりも驚いたのはバートだった。

そして為す術もなくそのままクリスタルの中へと消えていった。


「・・・・・・・確かにスゴイ兵器だねぇ・・・・・・・・」


中に入った途端、体中にチクチクと痛みが走る。


「イテッ!・・・・・イテテ!や、やめてくれェ〜〜〜〜〜ッ!!」


反射的に右腕を振り上げると、艦が左後方に大きく進路を変えた。 何の前触れもなしに突然動き出し、マグノは驚きの表情で呟いた。


「おや!?動いたじゃないか・・・・・・」






グゴォ―――――――ンッ!








 
いきなり艦が動き出した。



グラッ



「!?」


突然の揺れにバランスを崩して倒れてくるフリージアをヒビキが受け止めた。


「なんだ!?艦が動き出したのか・・・・・・・!」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


ヒビキに支えられたフリージアは突然の出来事に呆然としていた。

顔をヒビキの胸に埋め、思わず掴んだヒビキの服を握り締めた。

眼の焦点は定まらず、その顔の頬に赤みを帯びていた。


「艦が動き出したか・・・・・・・我々もブリッジに行くぞ!」


毅然とした表情のブザムはフリージアに叫んだ。


「あ・・・・は,はい!」


それを受けたクルーは我に返りヒビキから急いで離れる。


「格納庫はこの先を真っ直ぐ進んだ所だ・・・・・・・・・・・頼んだぞ。」


「ああ・・・・・・・・任せとけ!と、その前に手錠外してくれよな。」

「あ、うん・・・・・・・」


               ピッ・・・・・・ガチャ・・・・・・・・・・・


フリージアがスイッチを押し手錠を外す。

先程までの威勢がなく変に思ったがそれほど気にも止めず

ヒビキは格納庫に走っていき闇の中へと消えていった。














  ヒビキが見えなくなった通路でブザムがフリージアに問い掛けた。


「アイツが男であるということ・・・・・・・・それだけで戦う理由は十分の筈だ。なぜ何も言わなかったんだフリージア?」


フリージアは顔を伏せ肩を震わせながら呟いた。


「・・・・・・・・自分でも良く判らないんです。何も・・・・・・何も答えられなかったんです・・・・・・・・・・・」


フリージアをジッと見ていたブザムはフッと彼女から視線を外し溜め息を吐きながら言った。


「・・・・・・・・・・・・・・・どうやら余計なお世話だったようだな・・・・・・・・・・」


独り言のように小さく呟くとブザムはブリッジへと一人で歩き出した。

フリージアは歩いていくブザムに声も掛けれず下に顔をうつ伏せながら

しばらくの間ずっと立ち尽くしていた・・・・・・・・・・・







「……こいつは」


ヒビキが格納庫に到着したとき、 彼の蛮型は昔とまったく変っていなかった。 いや、実際は昔と違ってカラーリングが黒だが、 ただそれだけだった。


「相棒・・・おめぇだよな。今日からよろしく頼むぜ!」


気合を入れるように言うと、コックピットに滑り込んだ。


「負けねぇぞ、この船は沈ませねぇぜ!」


システムを起動させたヒビキの漆黒の蛮型が姿を見せる。

発射用ブースターに乗り込んだヒビキは

急激なGに耐えつつ外に飛び出す。



バートと艦がリンクしているためバートの動きに反応して艦が無茶苦茶な動きを取る。

そして思わずバートが振り上げた右腕が大きく弧を描いた時ある。



 ギュイ――――――――ン・・・・・・・・・ジュバァァァァァァ!!



艦は大きく反転し、猛スピードで離脱し出した。

そこへブザムが帰って来た。


「すいません遅くなりました・・・・・・・・逃げ切れそうですか?」


「さあね・・・・・・・・・見当もつかないよ。」


その会話の間にも敵は容赦なく攻撃を仕掛けてくる。


「左舷エンジン被弾!エンジン出力67%までダウンしました!」


クルーの悲痛な叫び声に流石のブザムとマグノにも動揺が走る。


「いよいよ年貢の納め時かねェ・・・・・・・・・・」


マグノの口からとうとう悲観的な言葉が漏れた。

ブザムも掛ける言葉が見つからず、重苦しい沈黙がブリッジを包む。

その時である。


「!?・・・・・・・え!・・・・・何なのこれ!」


クルーの驚きの声に二人は何事かと顔を上げる。

そのクルーの異常な驚きにブザム何事かと声を掛ける。



「一体どうしたんだ!?」


「・・・・・・・・・・・・敵戦力が物凄いスピードで減っているんです・・・・・・・・」


「何だと!?」


『おい!聞こえるか!?』


正面のモニターにヒビキの顔が大きく映し出された。

ヒビキを見てブザムは、何故急に敵戦力が減ったのか理解した。


「フッ・・・・・・・・・・・・これほどとは知らなかったな・・・・・・・・・・」  


ブザムは小さく笑うと呆れたようの呟いた。

ブザムだけでなく、マグノもブリッジクルーもあまりの出来事に呆然としている。

先程まで自分達を苦しめていた敵を簡単に倒しているのだ。

しかもそのスピードが尋常ではない。

なぜなら蛮型がキューブ型を通り過ぎると爆発している様に見えるのだ。

その時メイアから悲壮な報告が入った。



「敵の動きが少しずつ正確になってきています!我々だけでは防御が精一杯です。」


その通信にマグノは普段のしたり顔で答えた。


『今、援軍が行ったよ!凄腕のアタッカーがね。』


メイアが母艦のほうに視線をめぐらせれば、

確かに一機の蛮型が高速で接近してきていた。

宇宙空間に溶け込んだ漆黒の蛮型は

次々と敵をなぎ倒している。


『何よアレ!?誰が乗ってるの?」


突然戦場に乱入してきて次々と倒していく蛮型を見て、ジュラは信じられないという顔で言った。


『リーダ!アレ絶対あの宇宙人さんですよ!』


メイアのコクピットに嬉々としたディータの通信が飛び込んでくる。


「あれが、……援軍だというのか?」


流石のメイアも困惑を隠せずにいる。

いくら非常時でも、男を使うマグノをメイアは理解できなかった。

しかしヒビキが戦闘に参加してから戦況は一気に有利になった。

ヒビキの戦闘能力はズバ抜けている。

高速で移動しながら正確無比な射撃で敵を落とし。

一気に相手のふところに、潜り込みブレードで叩き切る。

襲い掛かるキューブを次々と薙ぎ倒しながらヒビキはピロシキ型に向かっていた。

そんなヒビキに触発されてディータは興奮してヒビキの後を追う。


「スゴォォ――――イッ!!宇宙人さんカッコイ―なぁ♪」


『ディータ!何をしている!今のうちにフォ―メーションを立て直すんだ。』


そんなディータを諌めるようにメイアが呼び掛ける。

しかしディータは確信に満ちた表情でメイアを見つめ返すと力強く言い放った。


「大丈夫ですよ、リーダー!宇宙人さんがきっとやってくれます。」


『ディータ!血迷うな!』


メイアの制止も聞かずディータは進路を変えなかった。



 ヒビキは群がるキューブの群れに目もくれず、一直線にピロシキ型に向かって行った。


「敵の本体動きを止めました!男のヴァンガードに向かっています!!」


ブリッジクルーが驚いて報告する。

しかし、巨大なピロシキ型にとって蟻虫程度にしかない蛮型を相手にするとは思えないが防御プログラムを優先させたとも考えられる。

つまり、目の前の敵を倒す事を優先させるということである。

または、単純に戦力を分析して一番強力な敵と思われるものに攻撃をするというのも考えられる。

しかし今はそれを確かめる方法はない。

「これしきの攻撃で今のオレを止めれるわけないだろ、一気に決めさせてもらうぜ!!」





ヒビキは爆発的な加速をすると一気にピロシキ型との距離を詰めていった。

蛮型は徐々にスピードを増していく。

キューブの群れがヒビキの突入を阻止しようと取り付こうとするが、

ヒビキはスピードを落とさずにそれを紙一重で避けていく。

ピロシキ型の射程距離に入るとピロシキ型の口が大きく開き、

無数の槍状の触手が放たれるがそれすらも避けて加速していく。

そしてピロシキ型のエンジン部と思われる周辺にブレードを突き刺し滑らすように走らせていった。




すると、



ズワァァ―――――――ンッ!!!!














   轟音と共にブレードで切り裂いた箇所から膨大なエネルギー波が広がり激しい閃光が宇宙空間を走り抜けた。

しかし、ピロシキ型は一体だけではなかった。

別の方向からも向かっていたのである。

その方向にはヒビキを追いかけていたディータが、一人孤立していた。


「あのバカ!何やってるんだ!」


それを見たヒビキが、ディータの救助に向かう。



「敵の本体がディータ機をロックしました!」



ブリッジのモニターにもその状況が映し出されていた。

その状況は絶望的だった。

ピロシキ型は次々と援軍を送り出しアッというまにキューブがディータを囲んでしまった。


「え〜ん、囲まれちゃったよ〜助けて宇宙人さ〜ん。」


ディータの周りを完全に囲み集中砲火を行っている。

そんな様子を見てマグノは苦い顔して呟いた。


「クッ・・・・・・・・・・・あれは囮だったのかい・・・・・・・・・・」


その横でモニターを見ていたブザムはすぐさまメイアに通信を入れた。


「メイア、聞こえているな!ディータのフォローへ回ってくれ!」


「言われなくても向かっています!」


しかしキューブの群れに阻まれて、なかなか突破出来ない。

その間もディータは容赦なく攻撃を受けている。

そんな中ブリッジではクルーが驚愕の声を上げた。



「何なの・・・・・・・・・!」


「何事だ!」


何の解決策もないままただ見てるだけしか出来ないブザムが少しイラ立った声で聞いた。


「蛮型からペークシス・プラズマの急激なエネルギー上昇を確認!!

で・・・・・・でも信じられませんこんな・・・・・・・・!

この上昇値は明らかに異常です!!

現在、高速でディ―タ機に向かって行ます!」







 目を逸らすことなくモニターに見入っていたマグノは誰に問い掛けるわけでもなく静かに呟いた。


「・・・・・・・・・・・どうやらあの坊やに期待するしかなさそうだね・・・・・・・・・」


しかしマグノの言葉にはまるで希望が込められていなかった。

なぜならあまりにもディ―タとヒビキの距離が離れていたからである。

とてもじゃないが間に合いそうにない。



「くそ!絶対助けるからな!勝手に死ぬなよ!」



『宇宙人さん!』






ディ―タの叫びもむなしく無情にも最後の一撃がピロシキ型から放たれてしまった。







  「キャァァァ―――――ッ!!!!」



そんなディータの悲鳴を掻き消すほどの轟音が轟いた。

ピロシキ型から放たれた触手がディータのドレッドに突き刺さる。

激しい閃光と共に大きな爆発が生じた。

そして後一歩のとこまで接近していたヒビキの蛮型も巻き込んでいったのである。








『ディ―タ!!」



悲痛な表情で呼びかけるメイアだが、返事はない・・・・・・・


「・・・・・・・・・・・・あの大馬鹿!!」


見つめるジュラの目に涙が浮かぶ。


誰が見ても明らかであった。

爆発により、周辺の宇宙空間は黒から赤へと染め上げられていた。



ブリッジに重苦しい雰囲気が漂いマグノが重たい口を開けた。


「・・・・・・・・・・・奇跡は、起きなかったようだね・・・・・・・」


残ったメイアとジュラだけでピロシキ型を倒せるわけもなく

彼女達の運命はもう決まってしまっていた。


ブザムも小さな溜め息をつくと、


「・・・・・・・・・・・クルーに脱出命令をだします……」


コンソールに手を伸ばした、その時である。


「ピョロ!?」


今まで影の薄かった比式六号(ピョロ)が何かに反応した[笑]

それにつられてモニターに顔を向け直したマグノとブザムは、

自分の目を疑った。


爆煙の中から蒼い巨大な人型ロボットが姿を現したのである。

各パーツの部分部分にディータ機の面影が残っているとこを見ると

ヒビキの蛮型とディータのドレッドが変形、融合したと思われる。



「あ、あれは何だ!?」


流石のメイアも何が起こったか理解できず呆然と見つめていた。

するとクリスタルの巨人はゆっくりと反転すると

肩に付いているキャノン砲を起動させる。

砲身にエネルギーが収縮されていく。



ズワァァァ――――――ンッ!!!



轟音と共に壮絶なエネルギーが発射された。

青緑色の閃光が宇宙空間に直線を描きキューブを巻き込みながらピロシキ型に直撃した。

命令を送信するピロシキ型本体を倒したので、キューブ達も機能を停止したようだ。

しかし、メイアはクリスタルの巨人の方が気になるようだ。



「・・・・・・ディータ・・・・・・・・そこにいるのか・・・・・・・・」



メイアは警戒態勢のままゆっくりと近づいていった。






「へへ、……何とか間に合ったみたいだな。」


うつろな表情のヒビキがもたれたながら呟いた。

その前には赤い髪が見える。

ディータである。

お腹と背中がピッタリと密着している。

その触れ合っている部分からディータの温もりと鼻をくすぐる柔らかい香りで改めてディータの無事を確認した。



   「まったく、心配掛けやがるぜェ」


幸せそうな微笑みを浮かべながら眠っているディータを見つめながら、

ヒビキは頭を優しく撫でながら呟いた。


 「あんまり、無茶するんじゃねえぞ・・・・・」








  結局、その後巨人はドレッドと蛮型に分離して回収された。

なんとか危機を乗り越えた三人の男と女海賊達

今後更なる展開を迎えるのか、

また同じ歴史をたどって行くのかそれは誰にもわからない・・・・・・・

とりあえず男と女の最初の共同戦線は無事に終了した。















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オリキャラ紹介

名前 フリージア・オレアリア ≪花言葉は無邪気・清純≫
 
役職 保安クルー

年齢 15歳

血液型 A型

誕生日 11月23日

身長 156cm
 
体重 45kg

B.W.H 83.55.85

純真無垢、明朗快活、元気溌剌、とにかく無邪気で単純で騙されやすい純真な女の子

腰まで届く長い青い髪そして猫のような大きな瞳している。

普段は悩むことなど全くないが、1度悩みはじめるととことん悩んでしまうこともある。

保安クルーに所属しているが、意外と器用でパイロット適正も高い。

ディ―タよりもパイロット適正は上だったが、パイロットになるか悩んでいる内にディータがパイロットになってしまった。




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