注意>このSSは、読者がkanonをALLクリアしている事を前提に書いています。
よって、出来ればkanonをオールクリアしてから読まれることをお勧めします。
ラグナスが祐一の勝利を宣言したまさにその時、ものみの丘に向かっていた者達がちょうど到着した。
ラグナスはそれを気にすることなく、
「人間よ。お前は我に勝利した。我はお前との約束を守ろう。」
ラグナスのその言葉を聞くと、祐一の顔に笑顔が浮かんだ。
「よかっ・・・、た・・・。これで・・・、皆・・・、助かったんだな・・・。」
「それにしても、まさか精神崩壊寸前の状態から立ち直ったばかりか神をその身に宿すとはな・・・。大切な者を思う
気持ちの強さというものを思い知らされた。」
ラグナスがそう呟くと祐一の背後に金色の龍が現れ、
「人間の想いというのは時として大きな力となる。この者の純粋な想いが我を呼び寄せた。」
祐一の背後に現れた龍はそう言った。
「いったち何がどうなってるのよー?」
秋子の後ろに隠れていた真琴がそう言うと、
「ラグナス様、どうなさいますか?皆に事情を説明しますか?」
京香がラグナスにそう尋ねた。
「そうだな。この者のためにも説明しておいた方がいいだろうな。」
SCAPEGOAT
第十一話
「その前にこの者の傷を治す必要があるな。このままでは確実に死んでしまうぞ。」
金色の龍、天龍神がそう言った。
祐一は今どういう状態かというと、もはや皆の会話を聞くことすら出来ない状態になっていた。
もう何も聞こえないな・・・。俺はこのまま死ぬのかな・・・?
「そうだな。この者は今死なせるにはあまりにも惜しい人間だからな。では早速始めるとするか。」
ラグナスはそう言うと、祐一に向かって右手をかざした。
すると祐一の体が中に浮かんでいき、三メートルくらい浮かんだところで止まると、祐一の体を金色と銀色の光の粒子が包み込んでいった。
すると祐一の傷が徐々に治っていった。
そして怪我がある程度治った後、
「ふむ、ここまでか・・・。これ以上は自然治癒に任せるしかないな。あとは・・・。」
天龍神がそう呟くと、天竜神の両手から小さな光球が発生し、祐一の右目と左肩の部分に吸い込まれていった。
そして一瞬激しくひかり、光が収まった後には祐一の右目と左腕が再生されていた。
その後、祐一は地面まで降ろされ横たえられた。
「さて、私はそろそろ戻るとしよう。後は任せたぞ、ラグナス。」
天龍神はそう言うと、光の粒子となって消えていった。
「さて、そろそろ何がどうなっているのかを説明してもらえませんか?」
久瀬がそう言うと、
「いいだろう。上級天使よ、我がこの者達に説明をしている間この人間の介抱でもしているがいい。お前達は聞く必要の無い話だからな。」
「はい、わかりました。」
京香はラグナスにそう言うと、祐一を抱き上げて少し離れた場所に祐一の体を横たえ、膝枕をした。
「さて、では全てを話してやろう。」
ラグナスが全てを話した後、
「にわかには信じられない話ですね・・・。」
「・・・でも嘘を言っているとは思えない。」
「私達が本来は死んでいるはずの人間だなんて・・・。」
「・・・美汐。」
「あうー、そんな話信じられないわよー。」
「あの人が本来はとっくに死んでいるだなんて・・・。」
「お前達が信じようと信じまいと、私の言ったことは真実だ。あの者が己の全てをかけて戦ったことが証拠の一つとなろう。」
「とりあえずこれで相沢さんの事についてはわかりましたね。」
「さて、ではそろそろ奇跡を起こすとしようか。偽りの奇跡ではなく本当の奇跡を。」
ラグナスがそう言うと、ラグナスから銀色のオーラが発生し、次の瞬間辺りは銀色の光に包まれた。
そして光が収まった時、そこにラグナスの姿は無かった。
「・・・消えた?」
「人間達よ。今我がお前達ににしてやれるのはここまでだ。あの者に、相沢祐一によろしく言っておいてくれ。」
舞の呟きの後、ラグナスの声だけがものみの丘に響いた。
こうして、相沢祐一の闇が終わった。
一人の天使の気まぐれによって仮初の奇跡を体験し、己の全てをかけて戦い仮初を真実に変えることによって・・・。
しかしまだ全てが終わったわけではない。
祐一にはこの後更に試練が待ち受けているのであるが、その事を予測できたのはラグナスと天龍神だけだった。
なにはともあれ、祐一は一時の平穏を迎えようとしていた。
ものみの丘での闘いから暫くが過ぎた。
あの戦いの後俺は一週間眠り続け、皆を心配させたらしかった。
そして、俺は目が覚めると、すぐに佐祐理さんの家に連れて行かれた。
佐祐理さんの家には皆が揃っていた。
そして皆は俺に今までの事を謝ってくれた。
俺は当然皆の事を許した。別に皆が悪いわけじゃなかったからな・・・。
俺を蝕んでいた奇跡の代償が消えた事で、皆から忌み嫌われる事も無くなった。
ただし、まだ皆の記憶は戻っていなかったが・・・。
まあとりあえず、俺は食事で困る事はなくなった。
昼は佐祐理さんや栞の弁当にありつけるし、夜は京香が毎日飯を作りにきてくれるからな。
そして、期末テストが終わり俺達は高校最後の夏休みを迎える事となった。
第十二話へ続く
あとがき
どうもこんにちは。第十一話はいかがだったでしょうか?
これでこの話は一応一区切りがつきました。とりあえずは第一部が完結して次回からは第二部といったところでしょうか。
それにしても今回の話は今まで以上に出来が悪い・・・。
本当にまだまだだなあ・・・。とほほ・・・。
次回以降の話についてはまだ構想があまり出来ていないので多少時間がかかりますが、もしよかったらこれからも
お付き合いいただけたらと思います。
あと、出来れば感想などを送ってくれたりすると嬉しいです。感想が来るとやる気がでるし。
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感想が来たら返事はよほどの事が無い限り書きます。
とりあえず今回はこれで。
それではまた。
あとがき 終わり