注意>このSSは、読者がkanonをALLクリアしている事を前提に書いています。
よって、出来ればkanonをオールクリアしてから読まれることをお勧めします。
戦いが始まって少しの間、俺とラグナスは動くことなく睨みあっていた。
くそっ、まるで隙が無い。それに強さの底が読めない・・・。
「どうした、人間よ。かかってこないのか?」
「・・・・・・。」
俺はラグナスの挑発に耳を貸すことなく、どうやったらラグナスに勝てるかを必死に考えた。
やはり、方法は一つしかないか・・・。
俺は覚悟を決めると、集中を高めた。
それに伴い、俺は体に白いオーラを纏っていった。
俺は極限まで集中力を高め、切り札を発動させた。
「うおおおっ!!」
俺が雄叫びを上げた瞬間、普段とは比べ物にならないくらい大量の龍気が俺の体に流れ込んできた。
俺は一人の人間が持つにしてはあまりにも多すぎる龍気を何とか制御すると、ラグナスに向かって構えた。
「ほう・・・。」
竜神降臨、それが俺の切り札だった。
竜神降臨とは一時的に龍脈から普段数十倍もの龍気を引き出し、一時的に竜神にも匹敵せんばかりの力を得る奥義の一つだ。
ぶっつけ本番だったけど、何とかできたな・・・。後は時間との勝負か・・・。
竜神降臨は発動した後、自分で龍気を制御できなくなるまで効果は続き、効果が切れた後は凄まじい反動が発動者を襲う。
俺の実力だとせいぜい五分が限界だな・・・。竜神降臨が切れるまでに決着をつけないと俺の勝ちはない。
「いくぞ・・・。」
俺はそう言った次の瞬間、ラグナスに凄まじい勢いで飛び掛った。
ラグナスは正面からつっこんでくる俺に向かって衝撃波を放ち、それは俺を捕らえた。
俺は衝撃波を食らった瞬間に、跡形もなく吹き飛んだ。そう、跡形も無く。
「分身か・・・。」
ラグナスがそう呟いた時、俺は既にラグナスの背後をとっていた。
これで終わりにする。食らえっ!!
俺は右の掌底をラグナスの背中に叩き込むと、技を発動させた。
龍剄掌、俺が最も得意とする技をフルパワーで。
ドガアッ
龍剄掌は、龍気を破壊の力に代えて敵の体内に叩き込み敵を内から破壊する技で、敵がどれほど硬い装甲を持っていようと関係が無かった。
ラグナスは俺の龍剄掌を食らっても微動だにしなかったが、俺はそれに動じることなく左の掌底もラグナスに叩き込み、追い討ちで技を発動させた。
ドガアアッ
双龍豪爆掌、龍剄掌を左右の腕から同時に叩き込み敵の体内で共鳴させて、爆発的な破壊力を生む奥義の一つで俺の攻撃技の中では最大の威力を持つ技だ。
その威力は龍剄掌の数倍にもなる。今の俺がフルパワーでこれを打ち込めばいくらラグナスとは言えど・・・。
ラグナスは今度はさすがに吹っ飛ばされた。頼む、これで決まってくれよ・・・。
SCAPEGOAT
第八話
祐一がラグナスと戦い始めた頃、ものみの丘での異変に気がつき始める者達が何人かいた。
天野家では、
「どうしたのですか、命?」
一緒に寝ていた命が突然起き出したので、美汐も目を覚まして命に何事かと尋ねた。
「ものみの丘で・・・、何かが起きてる・・・。」
命の言葉に美汐の意識は完全に覚醒し、
「何かとはいったい何なんですか?」
「わからない・・・。けど・・・。」
「気になるのなら今からものみの丘に行きますか?」
「うん!」
こうして、命と美汐はこっそり家を抜け出して、ものみの丘に向かうこととなった。
そして、水瀬家では
秋子が何かを感じて起き出して、出かける準備をして玄関に向かう頃、
「あうー、秋子さんどこ行くの?」
「ものみの丘よ。真琴ちゃんも一緒に行く?」
「うんっ!」
ちなみに真琴は玄関まで降りてきた時に既に着替えていた。
こうして、秋子と真琴はものみの丘に向かうことになった。
そして、舞と久瀬もまたものみの丘での異変を感じ取り、ものみの丘に向かっていた。
ものみの丘では、京香だけでなくものみの丘に古くから住まう妖の者達や、野生の獣達が結界の外から祐一とラグナスの戦いを見守っていた。
「相沢さん、勝ってくれとは言いません・・・。お願いですから・・・、生きて・・・、生きて戻ってきてください・・・。」
京香は涙を流しながらそう呟き、結界を見つめた。
そして結界の中では、
双龍豪爆掌を受けて吹っ飛んだラグナスは瞬時に体制を整えると、祐一めがけて突っ込んでパンチを放った。
「ぐはあっ!」
祐一はラグナスのパンチをまともに腹に受け、二十メートルくらい吹っ飛んだ。
ラグナスは祐一が何とか立ち上がって、自分に向かって歩いてきたのを見ると、
「ほう、あれでまだ倒れないか。並の天使長クラスならあれ一発で決まっていたのだがな。お前の攻撃もなかなかのものだった。天使長クラスが相手だったなら、あれで
決まっていただろうな。だが、それでは私には届かない。」
ラグナスはそう言うと、自分の気を解放した。
それはあまりにも圧倒的で、祐一に絶望感を与えるには十分すぎた。
なんて気だ・・・。俺とは比べ物にならない・・・。桁が違いすぎる・・・。
「人間よ。これで己の限界と格の違いというものが分かったであろう。それでもまだ戦いを止めぬのか?」
ラグナスにそう問いかけられた祐一は、顔に絶望の色を浮かべていた。
やはり俺には無理なのか・・・?俺には運命を変えることは出来ないのか・・・?俺のしてきたことは無駄だったのか・・・?
そして、祐一の脳裏をあの冬の悲劇がよぎった。
そしてそれが、祐一を奮い立たせることとなった。
いや、まだだ。俺はまだ終わってはいない。あれの・・・、あれの繰り返しだけは絶対に避けないといけない。俺はあの時の絶望をもう味わいたくはない!
あの時の絶望に比べたら、こんなものなどっ!
祐一は再び龍気を高めると、臨戦態勢に入った。
「ほう、まだあきらめぬか。いいだろう。ならばお前の心が折れるまで私はお前と闘うことにしよう。」
そして、闘いは再会された。
第九話へ続く
あとがき
どうもこんにちは。第八話はいかがだったでしょうか?
今回に関しては、まあ特に言うことはありません。相変わらず文が下手なのをのぞいて・・・。
物語は少しづつ収束に向かっていますが、どうか最後まで付き合っていただけたらと思います。
まあとりあえず、よかったら感想などを送ってくれたりすると嬉しいです。
私のメールアドレスはharuhiko@venus.sannet.ne.jpです。
なお、いたずら、誹謗、中傷のメールは止めてください。お願いします。
とりあえず今回はこれで。
それではまた。
あとがき 終わり