注意>このSSは、読者がkanonをALLクリアしている事を前提に書いています。
よって、出来ればkanonをオールクリアしてから読まれることをお勧めします。
真琴姉さんを見かけ、師匠と思わぬ再会をした翌日の放課後、なぜか俺は呼び出しを食らって応接室に向かう羽目になった。
応接室に呼び出されたと言うことは、おそらく面談があるということなんだろうけどなんか呼び出されるようなことをしたっけか?
よくわからないけど、まあ行ってみればどういうことかわかるか。
そして、俺が応接室に入るとそこには真琴姉さんと師匠がいた。
うーむ、意外な組み合わせだな・・・。にしてもなんでこの二人が?
俺が入り口のところで立ったままでいると、
「そんなところに突っ立ってないで座ったら?心配しなくても別にあなたをしかるために呼び出したわけじゃないわよ。」
「は、はあ。それじゃ。」
俺は師匠の言葉に応えて椅子に腰掛けた。
「それで、いったい何の用で呼び出したんですか?」
「ちょっと聞きたい事があるんだけど応えてくれるかしら、相沢祐一君?」
真琴姉さんの言葉に内心ちょっとドキッとしつつも俺は平静を装い、
「何ですか、初対面の俺に聞きたいことって?」
俺のその言葉に今度は師匠が、
「私たちが聞きたいのはあなたが何者なのかって言うことよ。」
と真剣な顔で言った。
SCAPEGOAT
第六話
「何者かって言われても・・・、俺は相沢祐一。この高校の三年生ですけど。俺はそれ以上の存在でもそれ以下の存在でもないですよ。」
「そう、でもただの高校生なら私と同じ力をその身に宿したりなんかしていないわよ。」
あちゃー、しまったな。あいつらが皆何かしらの力を持ってるから、一応念のために俺の龍気は抑えておいたんだけどな。抑え方が足りなかったか。こりゃごまかすのは無理だな。
そういえば真琴姉さんもなんかの力を持ってるみたいだしな。しかも師匠の力も昔に比べて大分上がってるな。俺の龍気を感づいたのはそのおかげか。
俺はため息をつくと、
「・・・確かに、俺は龍気を操る術を持っていますけど、だからどうだと言うんですか?」
「そうね。確かに龍気を操る術を持っているだけなら、わざわざあなたを呼び出したりはしなかったでしょうね。ここには沢渡先生も含めて、何かしらの力を持っている人が
たくさんいるから。」
と、ここで今度は真琴姉さんが、
「私と獅堂先生がわざわざあなたを呼び出したのは、あなたからよくわからないけど何か不思議なものを感じるからなのよ。それが何なのか気になってね。」
「まあそういうこと。そういえば自己紹介がまだだったわね。私は獅堂薫よ。」
「私は沢渡真琴よ。さあ、自己紹介も終わったことだし私たちの質問に答えてくれるかしら?・・・ちょっと、聞いてるの、相沢君?」
実はこのとき俺は師匠と真琴姉さんの話をろくに聞いてなかったりする。なぜかと言うと、ちょっと気になる事があったからだ。
妙だな。真琴姉さんにはあんな力はなかったはずだ。師匠にしても俺と会った時はまだ修行の途中で未熟だったとはいえ、これほどまでの潜在能力はなかった筈だ。
今の師匠は俺と互角とまではいかないまでも、俺とそれなりに戦えるだけの力を持っている。もしかして、真琴姉さんや師匠も・・・・・・。
「ちょっと、相沢君。考え事をするのもいいけど、私と沢渡先生の質問にも答えてもらえるかしら?」
俺は師匠の言葉で我に帰り、
「あ、はい。俺が何者かですよね。うーん、答えろと言われても・・・。」
「どうしても答えられない事なの?」
師匠の言葉に俺は、
「少なくとも、言っても信じてもらえることじゃないし、言う必要もないことですから・・・。」
「・・・わかったわ。このことについてはもうこれ以上聞かないことにするわ。」
「ありがとうございます。」
俺は師匠の言葉に安堵のため息をついた。
ふう、どうにか引き下がってくれたか。でもよく考えてみればこれって黙っておかないといけないことなのか?うーん、今度京香に相談してみるか。
「さて、話は終わったからもう帰っていいわよ。」
「あ、はい。それじゃ俺は帰らせてもらうことにしま・・・。」
そこまで言ったところで、俺を発作的な激痛が襲った。
「ぐ・・・、が・・・。」
それを見た真琴姉さんと師匠が慌てて、
「ちょっと、どうしたの?大丈夫?」
「すぐ保健室に連れて行きましょう。沢渡先生、手伝ってください。」
「はい、わかりました。」
この二人の言葉に俺は、
「だ、大丈夫です・・・。これは病気とかじゃないですから・・・。放っておけば勝手に収まりますから・・・。」
「生徒が苦しんでるのを見て放っておけるわけないでしょう。さあ、保健室に行くわよ。」
こうして、俺は師匠と真琴姉さんに肩を支えられ保健室に行くこととなった。苦痛のせいで周りに気を配ってる余裕はないけど、多分注目の的になってるんだろうなあ・・・。
とほほ・・・。
ちなみに保健室にたどり着いた頃には何とか苦痛は収まってので、
「あの、もう大丈夫ですから・・・。」
そう言ったのだが聞き入れてもらえるわけもなく、結局ベッドに寝かされることとなった。
そして、
「ふむ・・・。特に異常はないみたいね。」
「だから言ったでしょう。もう大丈夫だって。」
「どうやらそうみたいね。それじゃ気をつけて帰るのよ。」
こうして、俺はようやっと学校から帰ることが出来た。やれやれ・・・。
ちなみに真琴姉さんは仕事があったらしく、俺を保健室に送り届けるとどこかに行ってしまった。
さて、俺はいつものように商店街をぶらついてから帰ることにしたのだが、どうもよくない事というのは続くものらしい。
まず、校庭で部活中だった名雪をなんとなくチラッと見ると、名雪に気づかれ女子陸上部のメンバー全員から睨まれることとなり、商店街ではなぜかあゆ、秋子さん、栞、香里、北川、
真琴、命、美汐、舞、佐祐理さん、久瀬、一弥といった連中に会うこととなり、睨まれたり怯えられたりするということとなった・・・。
やれやれ、本当に今日はついてないな・・・。
そして、今日も京香が夕食を作りに来てくれたので、京香に今日のことを話すと、
「・・・まあ本当のことを言ってはいけないというわけじゃないけど、出来るだけ言わない方がいいと思います。」
「やっぱりそうか・・・。」
「それに・・・。いいえ、なんでもないです。」
「・・・・・・?」
「もうこの話は止めましょう。せっかくのご飯がまずくなります。」
「あ、ああ・・・。」
こうして、これ以降は普通に雑談をしてこの日の夕食は終わった。
この後暫くは、俺の受ける苦痛が日増しに酷くなっていくということ以外は何事もなく時間は過ぎていった。
そういえば結局花見いかなかったな・・・。
そして六月の中旬のある晩、俺はとある場所に向かって走っていた。
その場所とはものみの丘、古くから妖狐の住まう場所とされてきた丘だ。
恐ろしく嫌な予感がする・・・。頼む、間に合ってくれよ・・・。
俺は、人間の限界を遥かに超えたスピードをだしてものみの丘に急いだ。
もし誰かに見られたら騒ぎになる可能性があったが、今の俺はそんなことを考えている余裕はなかった。
なぜなら、すぐにものみの丘に行かないと二度とあいつらにあえなくなる、そんな予感がしたからだ。
そして、俺はものみの丘にたどり着いた・・・。
第七話へ続く
あとがき
どうもこんにちは。第六話はいかがだったでしょうか?
なんかいいかげんな話になってしまったような気が・・・。
なかなか自分で納得のいく話って作れないものですねえ・・・。
ちなみに、真琴姉さんと師匠が今回祐一の名前を知っていたのは、あらかじめ他の先生に聞くなどして調べておいたからです。
このSSでは祐一の外見はかなり特徴的ですからねえ。
さらに真琴姉さんが祐一のことを気になったのは、前回祐一が真琴姉さんを見かけたときに実は祐一のことに気がついていたからです。
話が強引なのは修行不足ということで勘弁してください、本当に・・・。
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とりあえず今回はこれで。
それではまた。
あとがき 終わり