注意>このSSは、読者がkanonをALLクリアしている事を前提に書いています。
よって、出来ればkanonをオールクリアしてから読まれることをお勧めします。
俺は他の連中の視線を気にすることなく教室に向かった。
そして教室に入った俺を待っていたものは・・・、まあ他の奴らと同じような反応とだけ言っておこう。
にしてももう少し何とかならないもんかね、この反応は。
俺が席に座ってボーっとしてると担任がやって来て朝のHRが始まった。
SCAPEGOAT
第二話
俺は今更ながら、今の時点でこの世界についてわかっていることを、頭の中で整理し始めた。
まず、この世界ではあいつらにとって都合の悪いことは、全部なかったことになってるみたいなんだよな。
だから、佐祐理さんの弟の一弥や美汐の親友だった少女の・・・命が生きている。
あと、なぜか久瀬が舞や佐祐理さんと仲が良かったり舞達が俺と同学年だったりするんだが・・・、まあこれはどうでもいいことだな。
そして、俺が今までにあいつらとした経験は全て無かった事になってるらしいんだよな。
とは言っても、これは直接本人から確認を取ったわけではないから、なんとも言えないけど。
まああいつらの反応を見たら、少なくとも俺のことを覚えてるとは思えんが・・・。
それにしても、舞はともかく名雪達までなんか妙な力を身に付けてるのはなんでなんだ?。
これも奇跡のおかげなのか?
さすがに名雪たちの力に気づいている奴はいないみたいだけど。
前の世界との違いは他には・・・、名雪達に関してはこの学校に転入してきた時からあいつらとはクラスが違ってたってとこぐらいか?
まあ、あいつらが幸せに暮らしているのなら何の問題もないんだがな。
さてと、とりあえず真面目に授業でも受けときますかね。ちっとは真面目に勉強しておいた方がいいだろうし。
そして、俺は意識を授業に集中させた。
――昼休み、おれは購買でカツサンドと牛乳を買って教室へと戻ってきた。
俺の近くには当然のことながら誰もいない。
まあ別に構わないけど
あいつらはいつも皆で屋上で昼食を取っているみたいだけど、当然俺がそこに行くわけにはいかない。
今の俺は皆に嫌われてるからな。
俺が昼食を食べ終わってボーっとしていると、
どくんっ
俺の心臓の鼓動が突然高まった。
「・・・きたか。」
俺は小さな声でそう呟くと、校舎裏の方へと駆け出した。
走っている途中で俺の体を激痛が襲い始めた。
だが、俺はそれでも走り続けた。
『頼むから校舎裏に誰もいないでくれよ。』
俺はそんなことを考えつつ、激痛に耐えながら校舎裏へと急いだ。
俺が校舎裏に何とか辿り付くと一際激しい苦痛が俺を襲った。
「ぐっ・・・、があ・・・。」
俺はただひたすら苦痛に耐え続けた。
そして、五分ぐらいしてようやっと苦痛が治まった。
「これで今日の分は終わりか・・・。」
俺はもう一つの奇跡の代償として、常に苦痛を受け続けることを課されていた。
そして、一日一回発作のような形で俺を一際激しい苦痛が襲うようになっていた。
この苦痛は普通の人間には到底耐え続けられるものではないのだが、俺はまあ色々鍛えているので耐え続けることが出来ている。
とは言っても、やはり決して楽な物ではないが。
「さてと、戻るか。」
俺はそう呟くと教室に戻っていった。
――放課後、商店街をぶらついてると知り合いを見つけた。
とは言ってもあいつらではない。
とりあえず俺はそいつに声をかけた。
「よう。」
「こんにちは、相沢さん。何か用ですか?」
「いや、別に。なんとなくだ。」
「そうですか。」
俺が今声をかけたのは篠宮京香っていう女の子で名雪たちのクラスメートだ。
その正体は俺に奇跡を起こしてくれた少女である。
彼女は本来この世界の住人ではないのだが、俺の監視と言う名目でこの世界に下りてきたようだ。
ちなみに、最初彼女は俺にも正体を隠していたのだが、俺にはすぐにわかった。
俺がそのことを言った時の彼女の顔は、結構面白かったな。しかも、その後ごまかそうとするし。あの時の彼女の様子は本当に面白かったな。
「・・・恥ずかしいことを思い出させないでください。」
「・・・心を読んだのか?」
「口に出してましたよ。」
どうやら思っていることを口に出してしまう癖はどんなになっても治らないらしい。
「私は待ち合わせがあるのでこれで。」
「ああ、またな。」
俺と京香はこうして別れた。
「さてと、帰るか。」
俺はそう呟くと家路に着いた。
ちなみに、俺の今住んでいる所は当然ながら水瀬家ではない。
俺は、この世界ではぼろアパートに一人で住んでいた。
これについての詳しい経緯は俺にもよくわからなかったりするんだよな、これが。
まあよくあるご都合主義ということにしておくか。
こんなこといくら考えても時間の無駄だし。
さっさと帰って飯でも食うかね。
俺は夕食を食べた後、暫くの間予習復習をし、その後日課としているトレーニングをした。
このトレーニングはかなり独特なものなのだが、まあ詳しいことは省かせてもらう。
俺はトレーニングをしながら師匠のことを思い出していた。
『師匠は今ごろどうしてるんだろうなあ・・・。やっぱりあちこちを放浪してるのかな?』
俺は七年前の悪夢の後師匠に出会い、2年程師匠に武術を教えてもらった。
まあ俺が師匠に教えてもらったのは、武術と言うより仙術に近いものなんだけどな。
俺が師匠に教えてもらったのは、この世界に網の目のように張り巡らされている龍脈と呼ばれる物の中を流れる龍気というものを操る術だった。
師匠がどこかに行ってしまった後は一人で修行を続けたんだけど、そのせいか使える力に偏りが生じてしまったんだよなあ。
どういうことかというと、俺は戦闘と自分の傷を治す事以外には殆ど龍気を使えないんだよな。
俺が他人を癒す為に龍気を使うことが出来たら、皆を助けることも出来たかもしれないんだがな・・・。
まあ、もともと他人を癒す為の術は俺には不向きだって師匠が言ってたから、仮に師匠に教えてもらっていたとしてもそんなに大した術は使えない可能性が高いんだけどな・・・。
とにかく、今ある力で何とかあいつらを守っていくしかないか。
まあ、俺の力が必要になるような事態なんてそうそう無いだろうし、あいつら自身も力をもっているみたいだからそう心配することも無いか。
俺は、トレーニングを終えると体を拭いて床についた。
あいつらの身にこれから何も起きなければいいんだがな・・・。
俺はなんとなく感じた不安にそんなことを考えているうちに、眠りに落ちていった。
第三話へ続く
あとがき
どうもこんにちは。SCAPEGOATの第二話はいかがだったでしょうか。
今回は説明のような話になってつまらなかったかもしれませんが、まあ勘弁してください。
次回以降はちゃんとKanonのヒロインを出します。
とりあえず、詳しいことについては次回以降ということで。
細かい設定はまだちゃんと考えてはいないもので。
つまらないものですが、最後まで読んでくださった方々にこの場でお礼を申し上げたいと思います。
もしよろしかったら一言でもいいですので感想をください。
それではまた次回にお会いしましょう。
あとがき 終わり