・・・・・白い。

 

  果ての見えなく何もない、白い空間。

  俺はそこに一人たたずんでいた。

 

 『何処だ・・・?』

 

  返ってくる言葉はない。

  ただ俺の声が虚しく響くだけ。

 

  ―――いや、俺の声すら、そもそもこの空間に響いているのか解らない。

 

 『俺は―――』

 

  何故、此処に居るのだろうか。

 

  俺は今まで、余情屈折はあったが平穏な暮らしを送ってきた。

  それが覆ったのは、感覚にしてついさっき。

  常識を逸脱した現象を次々とやってのける者達が現れて、俺の日常は崩壊した。

 

  知ってしまった非日常。

  知りたくもなかった、異常と言われる自分の力。

 

  俺は―――俺自身が解らない。

  俺の知らないナニカが―――オレが―――恐い。

 

 『目が覚めたか―――宿主』

 

  後ろから、声が響く。

空間ではなく、俺の頭に直接。

 

  ああ、そうだ。

  この場所は―――この声は―――

 

  俺は振り向き、見覚えのあるそいつに返事を返す。

 

 『よう。また会ったな』

 

 

  魔法少女リリカルなのはA’s 〜もう一つの魔導書〜

                        第三章「魔導師達との会合」

 

 

 「失礼します」

 

  ウィー、と音を立ててドアが閉じる。

  それを見ていると、こう、本当に違うんだなと実感したり。

 

 「ふう」

 「だいじょうぶ? なのは」

 「あっ、ううん。大丈夫だよ」

 

  いけないいけない。フェイトちゃんを心配させちゃった。

 

 「疲れが出ているんだろう。あそこまでやられた上にリンカーコアまでダメージを受けて、疲れが出ない方がおかしい」

 「無理しないでね、なのは」

 「にゃはは、大丈夫大丈夫」

 

  笑って誤魔化すけど、やっぱりちょっと内心元気がなかったり。

  原因は疲れじゃないんだけどね。

 

 「ああ。フェイト、なのは、クロノ」

 

  呼ばれたので振り返ってみると、アルフさんが手を振ってユーノ君とこっちに向かってきていた。

 

 「アルフさん、ユーノ君」

 「迎えに来てくれたの?」

 「それもあるんだけどね。アイツ―――陣耶って言ったっけ。目を覚ましたよ」

 「!! 本当ですか!?」

 

  良かった。

 

  私の所為で大けがをしちゃったクラスメイト―――皇陣耶君。

  正直、皇君の怪我を見たときは泣きそうになった。

 

 「会いに行って―――良いですか?」

 「その為に来たんだよ。さっ、行こうか」

 

  そう言って先頭を歩いていくアルフさん。

  それについて行く私とフェイトちゃんにユーノ君。

  クロノ君も仕事があるとか何とか。

 

  皇君―――大丈夫かな・・・・・

 

◇ ◇ ◇

 

  一人窓の外を眺める。

  あてがわれた部屋はどう見ても病室だった。実際に先生居たし。

  さっき先生も出て行ったので、気分転換に窓の外でも眺めようかと思ったのだが―――

 

 「今度は―――何なんだ?」

 

  窓から見える景色は明らかに海鳴、いや、地球上の何処だろうとあり得ない。

  まか不思議な色をした空間に色々と飛んでいるし。

  マジで状況説明求む。

 

 「失礼します―――」

 

  ぬ、誰か入ってきた?

  振り返るとそこには―――

 

 「いよう! 見舞いに来たぞ!!」

 

  ・・・犬耳にしっぽ生やした女性が立っていた。

  訂正、その女性と更に高町、フェイト、ユーノと―――また一人増えとる・・・・・

  黒髪の少年。外見からして俺と同年代か?

  ああもう、様々な意味で現実逃避したいなー。

 

 「あ、あの・・・皇君―――」

 

  今にも消え入りそうな声で高町が話しかけてきた。

  なんていうか、怯えた小動物みたいに見えてかわいいと思ってしまう俺はおかしいのだろうか?

  ・・・イカンイカン。本格的に頭がおかしくなってきたか? 高町を逃げ道にしてどうする。

 

 「その、怪我の方は・・・・・」

 「ああ、大丈夫だぞ。目が覚めたら治ってた。医師が言うには、一日安静にしていれば完治するそうだ」

 「良かった―――」

 

  ほぅ、と溜息を吐く高町。

  何をそんなに心配していたのか?

 

 「それで、そっちの黒いのは?」

 「時空管理局所属、執務管クロノ・ハラウオンだ」

 

  また時空管理局とやらか。

  いい加減混乱してきたぞ。

情報整理のためにもそこの所を聞かして貰うか。

 

 「質問。時空管理局ってのは?」

 「数多の異次元世界に存在する政府と警察の集まり、とでも考えて貰えばいい」

 

  わー、わっかりやすー。

  警察じみたじゃなくてまさにそれだった訳か。

  ていうか何でそんなのが海鳴に? あ、そういやヴィータって犯罪者って言われてたっけ。

  ヴィータ達を追っかけてきたのか? いやいや、高町とかこいつらと知り合いっぽいし・・・ああもう! ますます訳分からん!!

  とりあえず、今できた質問その二!!

 

 「異次元世界って?」

 「まあ、率直に言って異世界だな」

 

  ・・・・いや、ホントもう驚けねえ。

 

  まさか自分がこんなファンタジーに遭遇するなんて。人生何が起こるかわかんないな。

  スケールが壮大すぎて俺の頭じゃ追いつかないよ。ハハハハ。

 

 「事情や経緯はなのはから聞いた。巻き込んでしまって済まなかった」

 「いいさ。俺が望んで巻き込まれたんだからな」

 

  それについては区切りがついてる。

 

  何故か目が覚めたらすっきりしていた。

  何か、重要なモノを見たような気がするんだけど・・・・・

 

 「とりあえず、これ以降君が襲われないとは限らない。管理局の保護課に一時的に入って貰いたいんだが―――」

 

  これ以降―――

  ええっと、つまりは、

 

 「―――高町を襲ったあいつらは?」

 「―――逃げられた。現在、全力で行方を追っている」

 

  行方は分からず、か。

  人を巻きこんどいて何処行ったんだ。

  愚痴らないとやってらんないよ。ホント。

 

 「それで、その保護というのは?」

 「そのままの意味だ。別にこちらにずっと居て貰うわけではない。いくらかの護衛を付けさせて貰う」

 

  護衛って物騒な・・・・けどまあ納得。

 

 「分かった。考えとく」

 「? まあいいが・・・・・」

 

  あいつは一般人の俺を巻き込むまいと言ったんだろうが、生憎と考え事があるんでその提案は保留だ。

  というより、先にこのこんがらがった頭をどうにかしたい。

 

 「質問その三。俺のあの力はいったい何なんだ?」

 

  一番の疑問はそれだ。

  俺のあの時の異常なまでの戦闘能力。

  いくら人外に等しい奴等から少々格闘技をかじったとはいえあそこまでのことなど到底出来ない。

  ホントに俺の体はどうなってしまったのだろうか・・・

 

 「魔力というのは知っているか?」

 「聞いただけだが・・・あれがそうだってか?」

 「そうだ。見たところ、あれは魔力暴走で偶然起こった魔力を身に纏うことでの身体能力の強化だ」

 

  そんな小難しそうなのをやった覚えはこれっぽっちもないんですが?

  だいたい、何で俺の記憶がとぎれたりするんだ。

 

 「だとしたら、何で俺の記憶がとぎれとぎれ、それも決まってその身体能力の強化中の記憶がとぎれるんだ?」

 「―――それは、本当か?」

 

  うっ!? なんかいきなり声が固くなったぞ・・・

  ありのままを話しているだけなのにそこまで恐くならなくても・・・

  わめきちらしたい気分だがここはぐっと我慢。

 

 「普通じゃあ、そんな事はないのか?」

 「魔力暴走などでのショックでその時の記憶が曖昧になるというのはあるが・・・軽く検査したところ、君にそこまでのショックはない」

 

  完璧に謎ですか。

  こうまでも謎だらけだと、逆に開き直ってくるな。

  けど、自分が自分でないような錯覚に襲われるかのようだ・・・

  自分のことが分からないって、もの凄く不安なんだな。

 

 「とりあえず、今の所はこれでいい」

 「そうか、じゃあ僕は先に行くから。フェイト、なのは、アルフ、ユーノ。また後で」

 「うん。また後で」

 

  クロノが部屋から出て行った。

  残されたのはさっきから暗い顔している高町、それを心配しているユーノにフェイトと・・・消去法で恐らくアルフ。

  前は遠目からだったからよく見えなかったがこんな人だったか。

 

  それはともかく、さっきから暗い顔をしている高町をどうにかしたい。

  話が全然進まないし、第一俺が蚊帳の外で居心地悪い。

 

 「さて―――高町」

 

  俺の若干低い声にビクッ、と体を震わせてからおずおず顔を上げる高町。

  何言われるか不安だって顔に書いてあるぞ。

 

 「後でたっぷり聞かせて貰うと言ったよな? まあその前に言いたいことが一つ」

 「う・・・ん」

 

  うわお。なんか一気に暗くなった。誰かどうにかしてくれこいつのネガティブ思考。

  俺が言いたいのは別に罵倒の類じゃないんだからそう身構えられても困る。

  ・・・だから皆さん。そのキッツイ視線止めてくれません? 正直恐い。

 

  とりあえず口を開いて息を吸い込む。

  怒鳴られるとでも思ったのか、高町は身を縮みこませる。

  それで盛大に―――

 

 「メシを食わせてくれ!!」

 

  ―――場が、凍り付いた。

  いやもう比喩とかじゃなくてホントに。

  なんか皆様方は突然のことにフリーズしている。

  一番に動き出したのがアルフさん。

  なんか体をぷるぷる震わせ始めた。

 

・・・・・この後の展開が限りなくリアルに想像できたが?

 

 「だあっはははははははははははははは!!!」

 

  アルフさん、腹を抱えて大爆笑。

  他の三人もフリーズが解けるやいなや豪快に沈んだし。

  俺、そこまでおかしいこと言ったか?

 

◇ ◇ ◇

 

 「ふー。腹一杯だ」

 「た、たくさん食べたね・・・・・」

 

  現在、俺の目の前には屍(食器)が山のように積み重なっている。

  ざっと十五人前。何故かとても腹が減っていたので食い始めたらこんな事に・・・・・

  俺ここまで食わないぞ? 普段。

  とりあえず、少しは気分が晴れた。

 

 「皇君って・・・見かけによらず食いしん坊?」

 「失礼な。俺だってビックリだよ」

 

  いやもう俺の食事五日分くらい食ったぞ?

  なんか、今度は別の意味で俺が恐い・・・・・

 

 「クロノ君から魔力暴走って聞いたけど・・・大丈夫?」

 「ああ。不思議と元気なもんだよ」

 

  高町は俺があんまりその気がないと解ったのか、少しは表情が明るくなっていた。

  さて、このまま勢いに乗せて俺と高町の暗い気分を吹っ飛ばしてやろう。

 

 「あの時は悠長に自己紹介している暇なんて無かったな。改めて自己紹介と行こうじゃないか」

 「いいね。あたしはアルフだ。フェイトの使い魔やってる」

 「じゃあ次は僕で。改めて、ユーノ・スクライアって言うんだ。よろしく、陣耶」

 「私はフェイト・テスタロッサ。なのはの友達なんだ。よろしくね」

 「ああ、よろしくな」

 「えっと―――」

 

  ―――まあ、今更だっていう感はあるがな。

  それでも付き合い始めっていうのは大事だろう。

  少々恐縮している高町に変わって、先に俺が自己紹介でもしようか。

 

 「さて、もう承知かと思うが俺の名前は皇陣耶。高町と同じ私立聖祥大附属小学校に通う三年生だ。これから宜しく頼むな」

 「うん、よろしく」

 「任せとけって!」

 「よろしくね」

 

  さて―――

  未だにおどおどしている高町に視線が集まる。

 

 「えっと―――」

 「なのは、頑張って」

 「大丈夫だって」

 「なのは」

 「えう―――」

 

  次々に詰め寄られて追い詰められる高町。

  いやあ、素晴らしきかな友情。実に逆効果だ。

  まあそれでも効果はある。高町はおどおどは抜けないが口を開いた。

 

 「えっと、高町なのは―――って同じクラスだから知っているよね。その―――」

 

  ? また沈んだよ。ネガティブ入ったか?

 

 「その、さっきは、ごめんね。こんな事に巻き込んで―――大怪我までさせちゃって。わ、私、の所為で―――ごめ、ごめん、なさい」

 「だあああああ!? 泣くな泣くな! 頼むから泣くな!?」

 

  言いながらついに高町が泣き出した。

  高町ってとことんため込むタイプかよ!!

  一度泣きだしたら手に負えんぞ!?

  せっかく良い方向行ったと思ったのに全部パアですがな!!

  全員いきなりの事にオロオロしているし。

 

  ど、どうする――――――!?

 

 「ごめん。ごめッ、ごめん。本当に、ごめん」

 「ああ、もう!!」

 

  思考時間一秒にも満たず。そんな中で思いついたのなんて、昔お母さんにして貰った慰め方くらいで―――

 

  俺は―――とりあえず高町の頭を撫でた。

 

 「ふぇ―――?」

 「それはもういいって。別に気にしてないからさ」

 「でっ、でも―――」

 「それにお前―――言葉を間違っている」

 

  え? と呆けた顔をする高町。

  こういう時に一番に言う言葉は普通―――

 

 「こういう時は―――ありがとうだろう?」

 「あ―――」

 「せっかく助けたんだからお礼の一つくらいは言って欲しいな」

 

  しばらく呆けた顔をしていたがまた目に涙を溜めて―――っておおい!?

 

 「えっ、俺何かマズイこと言った?」

 「〜〜〜〜〜〜!!」

 

  急にボスッ、と顔を埋めてきた。

  まあそこでやっぱり泣くわけで―――

 

 「ごめん、ね―――ありがとう。ありが、とう」

 

  ―――仕方ないので頭を撫でてやる。

  腕の中でひたすら謝罪と礼を繰り返す高町は、いくら常識外れな事をしていると言ってもやはり女の子だった。

  そうだな。高町がこうして女の子であるように、俺も俺なんだ。

  くだらない考えは、その問題と直面したときに考えればいい。

  それまでは、胸を張って、“俺”として生きてやるさ。

 

  それから、高町が泣き止むまでおよそ十分くらいかかった。

 

 「さて、じゃあそろそろ様子を見に行こうか」

 「は?」

 

  俺以外に重傷者でもいるのかユーノよ。

  それを聞いた高町とフェイトはどこか沈鬱な表情だし。

  まあとにかく行ってみよう。

 

◇ ◇ ◇

 

  そこは、奥に何やら大きな機械がおいてある部屋だった。

  奥の装置の中でボロボロの紅い宝石と黄色いアクセサリーのような物が浮いている。

 

 「これは―――?」

 「レイジングハートとバルディッシュだ」

 「クロノ」

 

  奥から出て来たのはクロノだった。

  えっと、レイジングハートって確か―――高町の持っていたあの杖?

  と、フェイトが奥の機械に近づき、そっと語りかける。

 

 「バルディッシュ、ごめんね。私の力不足で・・・」

 

  語りかける様子はとても悲しそうで、恐らく高町のレイジングハートのような物なのだろう、あのバルデッシュとやらは。

 

 「破損状況は正直良くない。基礎フレームの自己修復が終わったら一度起動して部品交換をしないといけない」

 「魔法な割には嫌に機械的だな―――」

 

  高町がフェイトの横に立つ。

  その目は赤い宝玉―――レイジングハートを捉えて。

  やはりその目には深い悲しみが見て取れる。

 

 「なあ、あいつ等の魔法ってなんか変じゃなかったかい?」

 「ああ。あれはたぶん、ベルカ式だ」

 

  何だそれ? 魔法については全く知らない俺にとってこやつ等の会話は外国語に等しい。

 

 「その昔、ミッド式と勢力を二分した体型だよ」

 「遠距離や広範囲攻撃をある程度度外視して、その分近接戦闘や個人戦、対人戦に優れているんだ。そして、優れた術者は騎士と呼ばれる」

 「確かに。あの人はベルカの騎士って言っていた」

 「最大の特徴は、デバイスに組み込まれたカートリッジシステムって言う武装なんだ。儀式で圧縮した魔力を込めた弾丸をデバイスに組み込んで、瞬間
 的に爆発的な破壊力を得る事が出来るんだ」

 

  ぬう、全く話しについて行けない。

  誰かへるぷぷりーず!!

 

 「あら、此処に居たのね」

 「艦長」

 「リンディ提督」

 

  む? 今度は誰だ。

 

  振り向くと、翠の髪をした綺麗な女性が、入り口に立っていた。

 

◇ ◇ ◇

 

 「なるほど。魔法についてはだいたい解りました」

 

  先程現れたリンディと名乗った女性に色々と聞いたが、せいぜい魔法についての知識を得た程度だった。

  正直、口ではそういってても未だに思考が追いつかなかったりする。

  だって現実的にあり得ないことだらけだし。かといってそれを体験したから否定のしようがないし。

  こどこれで話に取り残されることも減るだろう!!

  さてさて、それでは今後の方針を決めるとしますか。

 

 「保護の件についてですが―――」

 「それについては、優遇することを約束するわ」

 

  にっこりと微笑むリンディさん。

  それじゃああと一つ―――

 

 「今後、またあいつらと衝突する可能性は―――?」

 「―――高いでしょうね。私達はあの子達を止める。その為に敵対することになるからね」

 「そうですか―――」

 

  ふいっと、高町の方を向く。

  ちょっとした確認だ。

 

 「なあ高町。お前はどんな思いで魔法をその手に取ったんだ?」

 「えっ? 何でそんな事―――」

 「いいから」

 

  とりあえず聞かせてくれい。

 

 「えっと、ちょっと大変なことがあって、それで二度とこんな事にならないようにって―――」

 「そうか、ありがとう。十分だ」

 

  もう一度、リンディさんに向き直る。

  その目は何もかもお見通しですよって目をしてる。

 

  ・・・・思考でも読まれてんのか? 俺。

 

  まあそれはともかく、一つ決めたことがある。

 

 「リンディさん。頼みがあります」

 「何かしら?」

 

  ホントににっこりしたまま応えるリンディさん。

  本当にこの先の俺の台詞が解ってるらしいな。何者?

 

 「俺はさっきの事件でこんな世界があることを知った。自分に力があることを知った。そしてクラスメイトが戦っていることを知った。俺は、それをた
 だ放っておくことなんて出来ません。だから―――」

 「だから、自分にも協力させて欲しい、とでも言うのかしら?」

 「はい」

 

  出される声は厳しい。

  それもそうだ。さっき大怪我したばかりの俺が戦場に赴こうなんて馬鹿げているにも程がある。

  それでも、行かなきゃならないと思う。

 

  俺自身の謎を解くために―――

 

  何故か、この事件の果てに、その答えが見つかる気がしてならない。

  だから、俺は行く。

 

 「今回は無事で済んだけど、次もそうとは限らない。命の危険だってある」

 「命を賭けるとか、そんな大層なことは俺には言えません。それでも、譲れない物はあるんです」

 

  このまま引き返すようなことになれば、俺は一生を自身に悩みながら過ごすことになる。

  そんなのはごめんだし、ヴィータにやられた借りも返していない。

 

 「死ぬつもりは毛頭ありません。正直怖さはありますけど、それでも俺は行かなきゃならないんです」

 「―――いいでしょう。ただし、こうなった以上は最大限のバックアップはしますが、自分の身は自分で守ってくださいね」

 「そのつもりです」

 

  隣では高町達が心配そうにこちらを見ている。

  まあ、その心配も無理はないが。

 

 「さてリンディさん。最大限バックアップしてくれると言いましたよね。なら早速一つあつかましいお願いが―――」

 「今度は何かしら?」

 

  今のままでは到底あいつらには勝てないだろう。

  あんなまぐれに頼れるほど甘くはない。

  この事件に関わる以上、自分で戦う力は必須だ。

  だから―――

 

 「俺に―――魔導師としての戦い方を教えてください」



   Next 「日常と非日常」

   見えない未来へ進むため―――ドライブ・イグニッション!



   後書き

   皆さんこんにちは。ツルギです。

   今回は指摘された点も踏まえて修正版を投稿しました。

   っていっても大して変わってないんですけどね・・・・・自分にはこれが限界で。

   力量のなさを嘆く今日この頃・・・orz

   調子に乗って次回予告なぞ載せてみたり。

   これで次のお話を自由に想像してください。期待通りに進か分かりませんけどね。

   少々修正が入りましたが次の話の大筋は変わりません。やっぱりデバイスは出します。

   続きを待っていてくれる方々。申し訳ありませんがもうしばらく辛抱してください。

   半分ほど書き上がっているので近日中には投稿できるかと。

   それではまた次回。








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に下さると嬉しいです。