To a you side 外伝V 才媛なる小悪魔と孤独の剣士


※この物語はリクエストによる架空未来の一つです。
To a you side本編の可能性の一つとしてお楽しみ下さい。






小春日和の暖かな朝の布団は格別である。

生きる喜びを体感する瞬間と言っても過言ではない。

安らかな感覚に満たされて、世知辛い現実から開放される一時――

天才剣士たる俺でも休息は必要だ。

特に昨晩は夜明け近くまで作業に勤しんでいたので、睡魔の発言力が高い。

俺の脳は簡単に陥落して、今日の朝寝坊は確定した。

優しい夢が見れますように――


「良介、朝よ。早く起きて」


 ――途端に、現実に戻される。


寝起きの緩い意識が、緩慢に目覚め始めていく。

寝ぼけ眼を持ち上げる気力はまるでなく、誰の声か認識する前に眠りに落ちる。


「起きなさいよ、早く。なのはが迎えに来てるわよ!」


 温かい布団の中で夢心地を満喫していた俺は、心の中で舌打ちする。

気持ち言い時間を邪魔される程、気分の悪いものはない。

強硬な睡眠を心の中で固く誓って、俺は意地でも瞼を開けない。


「もう……しょうがないな……」


 諦めたか――ぼんやりとした意識のまま、俺は内心微笑む。

人間、我慢は良くない。

眠い時に寝るのが一番なのさ。


スゥ……。


……。


……布団の上に突如圧し掛かる、小さな重み。


ひどく柔らかな感触に戸惑う前に――


湿り気のある甘さが、唇の上に広がって……



「――ぬわあっ!?」

「あはは、起きた起きた。おはよ、良介」


 思わず跳ね起きる俺の耳元に、健やかな朝の挨拶が響く。

気だるい眠気なんて、一瞬で吹っ飛んだ。

俺は早朝から派手に鳴り響く胸の鼓動を抑えて、そいつを見る。


――可憐な唇をそっと触れて、頬を染めて微笑む女の子。


長い髪にリボンとカチューシャを身に着けて、オーバーニーソックスを履いている。

未成熟だが魅力的な肢体を黒のワンピースで包み、女の子は俺の反応を恥ずかしげに伺っていた。

長い付き合いとなった、俺の隣にいる少女。


アリサ・ローウェル。


ノエルが仕立てた黒のメイド服を着て、今日も俺の朝を出迎える。


「い、いきなり何しやがる!?」

「何って、女の子の口から言わせていいの?」

「うっ――」

「うふふ、顔真っ赤よご主人様。
凄いね、おはようのキスですぐ目が覚めるんだもん、ふふ」


 甘いキスを味合わせた後に、甘酸っぱい精神攻撃を仕掛けるメイドさん。

俺としては悶えるしか出来ない。

劇的に反応してしまった時点で、もう俺の負けである。

これ以上翻弄される前に、会話を終えた方が賢明だった。

俺より遥かに頭の良いアリサに、理性的な口喧嘩で挑んでも負ける。

罵詈雑言なら俺の圧勝だが、本当に悲しそうに泣くので始末に追えない。


天才だけど、小悪魔。

意地悪だけど、優しい才媛。


アリサ・ローウェルとは、そんな女の子だった。

手離したくないと決めた時から、もう俺は勝てないのだ。

困った顔の俺を執拗に嬲る真似もしない。

俺は枕元の時計を確認する。


「午前四時――相変わらず早いな、あのチビッ娘。
俺は昨日、三時前に寝たんだぞ。
今日の鍛錬は休むって伝えてくれればいいのに」

「なのは、明日から研修で一週間家を空けるんだって。
話がしたいって、言ってるの。

――駄目かな?」

「お前はいいのか? その、なのはと……」


 ……なのはの気持ちは、もう知っている。

兄と妹、その垣根を越えた純粋な想いを俺は受け取っていた。

昔なら馬鹿にして嘲笑していただろうけど、簡単に踏み躙る真似は出来ない。


あいつの気持ちには応えられない、その点はハッキリしている。


俺としては妹である事に変わりはないが、アリサとしてはいい気持ちはしないだろう。

俺の心配に、アリサは首を振る。


「なのはは大切な、あたしの友達。行ってあげて。
あの娘は今、あたしよりずっと大変な立場にいる。

良介の支えがまだ、必要だと思うから」


 ――その笑顔に、曇りはまるでない。


下世話な嫉妬をまるで感じさせない、確かな絆が在った。

生まれ変わったアリサは身体が成長する事はないが、心は立派に成長していた。

手を伸ばして撫でてやると、アリサは嬉しそうに目を細める。


心が仄かに温かくなり、愛しさが芽生える。


抱き締めたい衝動を懸命に堪えて、立ち上がった。

――このままベットの上にいると、どうにかしてしまいそうだから。


「顔洗ってから、着替える、寝ぼけた顔見せると笑われるからな」

「あはは、いってらっしゃい。朝ご飯の準備してるね」


 こうして、今日も俺達二人の一日が始まった。
















 おいしい話ほど裏がある。

タダより高いものは無い。

我が祖国日本の大いなる格言だが、実に的を得ている。

世知辛い世の中を風刺する名言と言えよう。



――巨大ミミズの群れに追われながら、俺は祖国の格言を身に染みて実感した。



「何が数匹程度だ、あのジジイ!?
明らかに二桁を超えてるぞ!」

「は、早く逃げねえと追いつかれるぞ!?」

「……今更聞くのもなんだけど、何でついて来たんだお前!」

「きょ、今日はアタシと遊ぶ約束だろ!
なのに、内緒で出かけようとしやがって」


 俺の隣で滑空する、紅いドレスの少女。

見目麗しい容姿にゴシックな服装はよく似合っているが、手に掲げているハンマーが不釣合いだった。


小柄な体格に誇り高き強さを宿す騎士、ヴィータ。


今回の仕事の不本意な同行者である。


「仕事だから無理だって、何度も何度も言っただろうが!
諦めるって言葉を知らねえのか、この我侭娘!」

「た、たまにはアタシに合わせてくれてもいいだろ!
休暇なんて滅多に取れねえんだから!」

「お前の都合なんぞ知るか!
俺の商売はお客様第一なんだぞ!」

「アタシと客のどっちが大事だ!」

「金払ってくれる客に決まってるだろ、バーカ。身の程を知れ!
一円も出さないお前なんて、生きている価値もねえよ!」

「ひでえー! もう、てめえとは絶交だ!」

「こっちこそ清々するね! 
騒音の原因が減って、少しは事務所も静かになるからな!」

「ま、まさかアリサとまた二人っきりでベタベタする気か!?」

「赤の他人には関係ありませーん」

「チクショー! お前殺して、アタシも死んでやる!」

「せめてはやての為に死ねよ、お前!?

――って、のおおおおお!」


 人間を簡単に丸呑み出来るサイズの口が、容赦なく齧り付いて来る。

頬の引っ張り合い合戦を一時延期して、俺達は悲鳴を上げて急旋回――飛空速度を上げる。


広大な砂漠の死闘――


発展途上区域に住む民の平和を阻害する害虫退治が、今回の仕事である。


……害虫なんて可愛らしいものじゃないけど。


ミミズという呼称も見た目がそうだというだけで、見上げんばかりの大きさを誇っているだけで別の生き物だ。

この地域は一応管理局の保安区域に入っているが、年々激化の一途を辿る凶悪犯罪の対応に彼らも忙しい。

精力的に犯罪防止に乗り出しているが、人手不足ゆえに手が届かない面が多いのが現状だ。

幾つもの平行世界を管理する司法機関にも、人間が管理する限り限界は当然ある。

このヴィータもそうだが、最前線で活躍出来る名高い人材は特に少ない。


――だからこそ、俺のような一匹狼にも関与する余地はある。


ミミズ相手に不快感を露わにするヴィータに、俺は明るく呼びかけた。

ヴィータも気付いているであろう、このミミズの習性を――


「どうやらこいつら、俺よりお前目当てに追いかけているようだな。
良かったな、モテモテだ」

「ちっとも嬉しくねえよ!」


 頼もしきメイドの情報収集で、このミミズが魔力を餌にする事が判明している。

資質を持つ人間のリンカーコアは、こいつ等にとって獲難いゴチソウだろう。

食べ物としての視点で見れば、守護騎士のヴィータは高級フランス料理――

守護騎士プログラムは高純度の魔力の塊、涎の出る美味さだ。


比べて、法術使いの俺は香ばしい珍味――


珍しい味はするが、決して美味しくはない。

お陰で狙いが逸れて助かるが、珍味でも食べられる事には違いない。

このまま急上昇すれば逃げられるが、腹を空かせたミミズ軍団は近隣の集落を襲う。

本末転倒であった。


――俺はその集落の長に頼まれて、やってきたのだから。


「贅沢言うなよ。凶悪なハンマー振り回すお前にも恋人が出来るチャンス到来じゃねえか。
可愛がってもらえ」

「んなもん、いらねえ!
アタシは子分の面倒を見るだけで精一杯なんだ」

「だから、主の面倒を見ろよお前!?」

「照れるなって。
安心しろ、これからもアタシが責任を持って可愛がってやるから」


 親分の器を見せ付けたいのか、ヴィータは空中で器用に腕を組んで偉そうにしている。


――この主従関係、早く解消したい。


特にヴィータとあいつは仲が悪いからな……

今後の関係について悩む俺に、ヴィータがミミズを指差して叫ぶ。


「早く何とかしろよ、てめえの仕事だろ!」

「勝手についてきたお前がどうにしかしてくれよ!?
ベルカの騎士様はお強いんだろ!」

「ヤダよ、気持ち悪い!
大体お前だって充分強えじゃねーか! 本局でも噂になってるぞ。
管理局のエースが頭の上がらない奴がいるって」


 ……ヴィータの言う事は、当たり前だが誤解だ。

管理局のエースと言えば、勿論あの三人だろう。


時空管理局特別捜査官・八神はやて。
時空管理局武装隊の戦技教導官・高町なのは。
本局執務官・フェイト。


 幼かった少女達は月日を経て、美しくも凛々しい戦士に成長した。

それぞれの分野でエースを飾る管理局のスターだ。

付き合いは深く、確かにはやて達は俺を敬ってくれている。

しかし実際問題俺があいつらに勝っている面って……


……。



――年齢?



はい、ストップ。

絶望の海に溺れる前に、思考を切り替えるべき。


……とりあえず今度三人に会ったら一発殴ってやる。


葛藤している間に、執拗にミミズ軍団は俺達を追ってくる。

退治が仕事なのは分かっているが、粘液とか飛ばしそうなんだよな……

汚れた服を見て怒るアリサが目に浮かぶよ。


「ヴィータ、ここは男らしくジャンケンしよう。
負けた奴が戦うって事で」

「だから、アタシは女だ!」

「はいはい、じゃーんけん」

「くっそ、簡単に流しやがって――ポン!」


 ――ぐあああああ、こんな時に限って負けた!?


ヴィータは喜色満面で、文字通り宙を飛び跳ねている。

悔しさに悶える俺の中で、運命を共にするもう一人が悲鳴を上げる。


"ど、どうして負けるんですかー!?
ミヤと貴方は感覚を共有するという事を覚えていますよね!"

"すまん、ミヤ。俺と一緒に死んでくれ"

"ふえ〜ん……はやてちゃーん、助けて下さーい!"


 分離すればいいだけの話だが、最後まで付き合うのがこいつらしい。


――はやては管理局へ行ったのに、な……


俺としても、今更はやてに頼まれたってこいつを渡す気は無いからいいけど。

爽快さとは程遠い戦いになりそうだが、いい加減腰を据えて――


「リョウスケ!」


 ――弛んだ空気を切り裂く、少女の警戒の声。


瞬間的に心を引き締めて周りを確認するが、既に手遅れだった。


胴長の図体から放出される強大な魔力――


魔力を糧とする生物。

餌として魔力を吸収出来るなら――


――魔力を吐き出す事も可能。


燈色の輝きが視界を覆う。

愚かにも戦場で戯れた剣士に降される罰。

焦燥が悲鳴の如く全身を覆うが、敵の攻撃は既に発射された後だった。

反射的に顔を庇う俺。

両手を広げて、俺の前に飛び出すヴィータ――


――なっ!?


眼前で展開する光景に、俺は何も出来ないまま呆然自失。

少女の背中に無慈悲な閃光が弾け、紅のドレスを真っ赤に燃やす。


「ヴィータ!」

"ヴィータちゃん!?"


 黒煙を上げて墜落する騎士を、無我夢中で手を伸ばして掴む。

背中に手を回した瞬間、俺の肌を鋭く余熱が焼いた。

激痛が走るが無視、俺の怪我なんて死ぬほどどうでもいい。

余熱でさえこれほどの熱さ、俺を庇った瞬間は――


「おい、しっかりしろ! ……馬鹿野郎……
何で俺を庇った!?」


 俺を見捨てて防御魔法を展開すれば、ヴィータは助かっていた。

コンマ単位だが距離はあった、ヴィータなら魔法を瞬間的に発動出来た筈なんだ。

……責めるつもりは無かった。

頭の中は真っ白、少女の痛々しい傷に見苦しく焦る事しか出来ない自分が情けなかった。

痛手を負うと知りながら何故庇ったのか、当たり前の事しか聞けない。


――この女の子は、そういう奴と知っているくせに……


ヴィータは煤けた頬を緩めて、弱々しく笑った。


「……テメ……エは、アタシの大事……な、子分だ……
親分は、子……分を守る――っ!」


 苦痛に表情を歪めながら、ヴィータは俺の手を掴む。

少女の握る手は力強く――勇気に満ちていた。

大怪我を負いながらも、俺を見る眼差しは信頼に満ちている。


「しっかり……しろ、よ……あの時、お前、言って……た、じゃねえか……


"俺には、大勢の他人より――守りたいものがあるから"……て」


「……!」


 ――なのは達が正式に管理局所属が決定した時、俺も誘われた。

リンディやクロノ、エイミィも出来る限りの支援をするとまで言ってくれた。


  皆の心遣いを、俺は――確かにそう言って、断った。


……分かっている。


個人で出来る事など、高が知れている。

海鳴町での数多の事件で嫌というほど思い知らされた。

世界の強大さ、自分の弱さを心から痛感させられた。


そして――優しい人達に何度も救われた。

この身を思う気持ちに、救われた。

皆の温かさが、何より………心地良かった。


俺はこの温かさを、大切な少女に与え続けてやりたかった。


一人で、戦う道を選んだ――


組織ではなく、一個人。

孤独に振るう剣でしか、出来ない事だってあるはずだから。

俺は皆にこうも言った――


「"世界は、お前達に任せる。
お前達ならきっと、アリサに優しい世界に変えられるだろうから。

その代わり――俺はお前達の背中も、守ってみせるよ"……だったよな、へへへ。


はやても、シグナムも、シャマルも、みん……な……

アタシ、だって――すんげえ頼りにしてんだから、さ……

カッコイイとこ、見せてくれ、よ……


皆に夢を見せる、"魔法使い"だろ……」


伝わってくるヴィータの――ヴィータ達の想いを噛み締める。

自分の夢は、既に皆に託した。


世界の覇者――天下人になるよりも、大切な少女を守る一人の侍になる決意をした。


けれど夢は捨てず、自分が夢見た大切な世界を高町なのは達に託した。

彼女達ならば、きっと変えてくれる。

アリサのような理不尽な悲劇に涙する人達を減らしてくれると、信じて。

自分の身勝手な気持ちを受け止めてくれた人達。

優しくも気高いベルカの騎士にここまで言われて――



己が無力を嘆き悲しむだけか?



"リョウスケ!"


 ヴィータを抱き上げたまま空中停止する俺に、ミミズが群れをなして襲い掛かる。

俺ごと美味そうなゴチソウを飲み込まんと、凶悪な顎を開けて齧りつく。



――虹の光芒。



大気を震わす奇妙な叫びを上げて、三匹のミミズが瞬時にバラバラに弾ける。

体液と粘液を砂漠に撒き散らして、無様に倒れて動かなくなる。


「……調子に乗るな」


 突き出した手の平には――ヴィータが描かれた頁。

小さな騎士の切なる祈りが籠められた願いが、虹の光を放っている。


強い想いが、奇跡を起こす――


他者の願いを叶える、異端の法術使い。

動物的な本能が警鐘しているのか、ミミズ軍団に怯んだ気配が見受けられる。

俺は戦火の真ん中で、視線を落とす。

ヴィータは安心したように、瞳を閉じている。


「こいつは――ヴィータは俺のもんだ。
大事な親分・・を汚した罪は重いぞ。

アクセス――『ヴィータ』」


 出逢った人々の願いが描かれた書――

温かな気持ちと切なる想いが綴られた物語の一部が、今展開する。


数ある頁数から優しく取り出された、一枚の紙――


"魔法使い"の名の下に、優しい家族から授かった力が発動する。


"一気に片付けるぞ、ミヤ。ヴィータをシャマルの元へ連れて帰る"

"了解です!"


 未開拓地域にて、熾烈な戦いが繰り広げられた。
















  ――人間、慣れない事はすべきじゃない。

家へ帰って出迎えてくれたアリサの微笑みが一変した瞬間、心からそう感じた。


「な――何よ、その格好!? うわ、臭っ!?」

「た、頼むから、それ以上罵倒しないでくれ。
シャマルに散々笑われたんだから」


 ヴィータを傷付けられた怒りで、妙に熱くなった俺。

一匹狼の冷静さを失って、全力全開で戦いに挑んだ。

飛び交う悲鳴や魔力の攻防の末に勝利を収めて、砂漠に転がる躯を見てようやく気付いた。


――頭から白い体液を濡らす、自分自身に。


生々しい匂いに自分で吐きそうになりました、はい。

事情を聞いて、アリサは案の定呆れ顔。


「依頼料は――その様子じゃ、貰ってないわよね……ハァ……」

「すまん、ヴィータを優先した」


 正直に話す。

嘘は沢山つくが――大切な事だけは隠さない。

二人だけに通じる、暗黙の了解。

アリサは頬を膨らませるが、仕方ないと苦笑する。


「いいわよ、私から任務完了だけ報告しとくから。
仲介人に頼んで、料金の交渉だけしておくわ」

「……たまにお前の人脈ネットワークが怖くなるぞ、俺」


 どういうコネを駆使しているのか、俺ですら把握出来ないアリサの情報網。

家には最新の――地球ではなく、異世界の――技術が費やされたコンピュータで、ネットワークを形成している。


人脈も凄まじく、"アリス・・・バニングス・・・・・"の名は各業界で有名だ。


さくらやリンディ・レティ提督とも対等に話している。

難しい書籍も家に山積み、伊達眼鏡と合わさって英才に相応しい空気を生み出している。

でも、俺にとっては――


「早くシャワー浴びてスッキリしたら? 背中、洗ったげる」

「お、気が利くな」

「主人思いのメイドだもん」


 ――勝気だけど優しい、俺のアリサだった。


微笑みを交わして、俺達は自分が選んだ日常を満喫する。

かけがえの無い奇跡の積み重ねの上に。


自分の出来る事を探し続けて――



















































































<END>







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