To a you side 外伝5 運命の女神達と孤独の剣士 光輝の女神



※この物語はTo a you side本編を先に読まれると、よりお楽しみ頂けます。



「……ターゲットは今日、仕事に出ているのは確かなんだな?」

「間違いありません。
担当されている事件に進展があったそうで、昨日から泊り込みで出られています」


 巫女さんに可愛いペットを引き連れて、勇者たる俺は魔王城へと向かった。

――さざなみ寮、この異界の住居へ。

本当は好んで立ち寄りたくない場所だが、理由があって渋々足を運んでいる。


「水洗いでは取れないんですか、その頬の……」

「邪悪な騎士の性質の悪い呪いだ。半端なやり方では落とせない」


 キスマークと口に出せない純情な女の子に、俺は苦笑して返答する。

那美と久しぶりに二人っきりで随分話し込んでしまい、正午も余裕で過ぎてしまった。

先日まで苛烈な戦いの連続で疲れていた事もあって、那美との穏やかな時間は至福の一時だった。

俺に甘えてくる久遠に酢昆布を食わせて悶える姿も可愛くて、心が和む。


……那美ににこやかに叱られてしまったけど。


人間って奴は憩いも大切なのだと、つくづく実感させられてしまったぜ。

人の顔を見るなり襲い掛かってくる騎士達に、人生の余裕って奴を教えたいものだ。


「疑う訳じゃないが、あの不良警官は予測不可能な行動をしやがるからな……
久遠、準備はいいか?」

「うん」


 可憐な容姿に獣の耳、愛くるしい顔立ち。

俺の役に立てて心底嬉しいのか、ニコニコ笑顔で尻尾を振って女の子は頷いた。

俺達が出逢ったばかりの最初の事件――あの通り魔探しにも、久遠は大いに活躍してくれた。

人見知りの激しい久遠と仲良くなれたきっかけにもなった。

久遠を通じて那美と知り合い、俺達は懇意な間柄となった。

秀でた容姿とはいえ平凡な少女なのだが、俺達は奇縁で結ばれている。


「誰も居ないなら仕事がやりやすいな。鬼の居ぬ間に洗濯だ」

「……不適切な諺なのに、頷いてしまう自分がいます」


 魔王城の住民は困った様子で苦笑い。

御世話になっている寮の人達を悪く言いたくないのだろうが、悩まされているのも事実なのだろう。

可哀想に、同じ被害者として同情する。

天に代わって俺が成敗してやらねば。


「では、作戦内容をもう一度確認するぞ」

「その前に御質問、宜しいですか?」

「うむ、何でも聞いてくれたまえ」


 おずおずと手を上げる那美さんに、俺は寛大に頷く。

隊長は常に部下に親身に接しなければならないのだ。

俺の了承を得て、那美は俺の顔をチラチラ伺いながら尋ねてくる。


「あの……良介さんのその手拭いは……余計に目立ってしまうと思うんですが……」

「何を言うんだ、那美君!」


 あながち的外れではない指摘に、俺は強く主張する。

拳を硬く握り締めて、大日本人としての誇りを胸に。


「泥棒と言えば、このスタイルだろう……!!」


 街中で購入した黒の手拭いを頭から被り、鼻の下で結ぶ――完璧である。

江戸時代に世間を賑わした大泥棒、ねずみ小僧様をモデルにした戦闘装束。

許し難い愚行を犯す強盗なんぞとは格が違う。

あの横暴公務員――現代に蘇った悪代官を懲らしめる意味で、このスタイルこそ相応しい。


「……一応人の物を盗むという自覚はあるんですね……」

「りょうすけ……かっこいい」


 魂の兄妹達もよく分かっているようだ。

血の繋がりが無くとも俺達は共犯(家族)なのだ、うむうむ。

大仰な作戦でもないので、心構えする程でもないのだが。

俺は結び目を硬く固定して、二人に向き直った。


「事を大袈裟にするつもりは無いさ。
寮の中にお邪魔して、ちょいと洗面所を借りるだけさ。顔を洗って終わりだ」

「そ、そうですよね……?
良介さんの張り切る姿を見てみると、私が勘違いしているのか不安になってしまいました」

「――でも留守だったら、あの女の弱みを探るのも……」

「だ、駄目です!? 絶対駄目ですからね!」


 神咲那美から仕入れた情報は、思いがけず俺に祝福を与えてくれた。

次の俺の対戦相手――リスティ・槙原が、見慣れないオイルを寮に持ち帰ってきたらしい。

奴は御機嫌で那美や他の連中に見せびらかした後、洗面所へ自分専用に大切にしまっているそうだ。

口紅を落とす化粧水だ、不自然は無い。


俺にとっては好都合――それだけの話。


奴が自分の部屋や他の連中に預けていたら、非常に厄介だった。

さざなみ寮は雰囲気の優しい家屋だが、プライベート管理は徹底している。

住民同士の仲の良さは家族に似た暖かさを宿しているが、個人の時間も大切にしている。

個室に施錠は当然、建物も外部からの侵入を断じて許さない。

綺麗な顔して鬼より怖い連中が住み着いている寮だ。

鬼が島と知っていて踏み入れる愚か者は、この町ではいないだろう。

俺だってそんな勇気は無い。

この寮の連中とは管理人や家主含めて世話になり、正式入寮の誘いもあるが断り続けている。


――だが今日、奴は決定的な隙を見せている。


大事な物を手元から離した上に、自分のアジトを空っぽにして仕事にかまける愚かしさ。

鍵さえかければ無事とでも思っているのだろうか?

まあ、せいぜい我が祖国の平和の為に頑張ってくれたまえ。

俺は貴様の平和を蹂躙してくれるわ、ぐははははははは。

安心しろ、ねずみ小僧は女の私生活を暴く趣味は無い。

ちょいと洗面所を借りて顔を洗うだけ――寮の住民に許可を得ているので何の問題も無い。

ただちょいと洗面所へ向かう途中多少の寄り道をするかもしれないけどな、多少の。

那美の信用問題にも大いに関わるので表立った行動は出来ないが、弱みさえ握ればこっちのものだ。

これまでの数々の恨み、貴様の柔肌に刻み込んでくれるわ。

やる気が出て来た所で、行動開始に移る時間だ。


「洗面所には俺一人で行く。鍵は開いてるよな?」

「鍵は大丈夫ですけど……私も行った方が――」

「駄目だ」


 お前が来たら家捜し出来ないだろ。

――そんな本音をねずみ小僧のプライドで飲み込んで、瞑目して首を振る。


「万が一露見したら、お前や久遠が共犯になる。

忍び込むだけでやばいんだ、お前達をこれ以上巻き込めない」

「……分かりました、そこまで仰るのでしたら」


 案ずる那美も俺の想いが伝わったのか、大人しく引き下がった。

その気持ちは那美の大いなる勘違いだが、本音を伝えて信頼度を下げる愚考は犯さない。


――また例の作用・・が発動する危険がある。


リンディやエイミィに羞恥覚悟で面倒見て貰って、やっと何とかなったのだ。

巫女の乱れた姿を思い出しそうになって、上擦る声を何とか抑えた。


「……くおん、良介心配……」


 忠犬ならぬ忠狐が、俺を不安そうに見上げている。

ザフィーラが見れば悶絶死しそうな可憐な涙目に、俺は勇ましく笑ってやった。


「だから、お前や那美を残していくんだ。
俺が寮内を歩き回っている内に、連中がタイミング悪く帰ってくる可能性があるだろ。

――つーか今までのパターンを想定すると、あの女は無意味に帰って来そうだ。

俺を困らせる為だけに生きているような奴だからな。
帰ってくる気配を少しでも感じたら合図を出してくれ。
お前と俺――そして那美なら、どんなに遠く離れてもお互いの事が伝わるだろ?」

「……えへへ、ずっと一緒」


 不安顔に曇る久遠を柔らかく撫でてやると、悲しみが喜色に染まる。

忠義高い家来への褒美には安い行為だが、久遠は嬉しそうに満面の微笑みを浮かべた。

那美も微笑ましそうに俺達を見つめている。

互いに結ばれた強い絆――世界で俺達だけの関係が今、苦難を越えて存在している。

心に刻まれた傷跡は未来永劫消えないけれど、痛みを和らげる事は出来る。

三人がこの世界に存在する限り――

俺は頬に張られたガーゼを摩って、二人に呼びかける。


「――行ってくる。何かあればすぐに伝える」

「はい、お気をつけて」


 本当は気をつける必要もないのだが、向かう先はさざなみ寮。

禁忌の領域に足を踏み入れる背徳感に背筋を震わせながら、俺はゆっくりと歩み出した。















 ――ここで、オイルを探す前に言っておきたい事がある。

俺は今、奴の住むさざなみ寮の脅威をほんのちょっぴりだが体験した。

い……いや……体験したというよりは、まったく理解を超えていたのだが……


あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!


『玄関に踏み込んだ途端、黒い下着が落ちていた』


 な……何を言ってるのかわからねえと思うが、俺も何が起きているのか分からなかった。

頭がどうにかなりそうだった……

ハーレム効果とか、びっくりするほどユートピアとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。


もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……


玄関のドアを開けた瞬間飛び込んできた光景に、俺は思わず俺の尊敬する銀の剣士に憑依されてしまった。


「予想外の展開はあるとは覚悟してたけど――何なんだ、一体?」


 メッシュシースルー、フロントリボンの黒のショーツ。


素朴な雰囲気の玄関を艶やかに染める下着は、湿り気を帯びていた。

玄関の真ん中にふんわりと置かれていて、その存在感が男の欲望を刺激し続ける。

周りを見渡してしまうのは、決して煩悩を刺激されたからではない。

寮内は物静かで、人っ子一人気配も感じられない。

俺はごくりと唾を飲んで再度周りを確認した後――


――エッチな下着を手に取って洗面所へと向かった。


「ふっ……愚か者め。
女日照りの童貞ならまだしも、真の日本人たる俺には無意味だぜ」


 ねずみ小僧に関しては諸説あるが、俺は義賊である彼を信望している。

彼は金に困った貧しい者に、汚職大名や悪徳商家から盗んだ金銭を分け与えていた。

自分の利益だけを求めて行動せず、暮らしに困る弱者の為に行動していたのだ。

勿論俺に弱き人間を助ける崇高な理念なんぞない。

ただ彼は――大名屋敷を専門に徒党を組む事無く、一人で泥棒を行っていた。

武士階級が絶対であった江戸時代に於いて、誇りだけを胸に己が役割を果たしていたのだ。


まるで――魔法文化が幅を利かす新暦に一人、時代錯誤に剣を振るう俺のように。


剣の時代は既に終わっているけれど、俺は死ぬまで剣士でい続ける。

反権力の具現者として祭り上げられた泥棒のように、孤独のまま。

そんな彼の後継者が仕事中、女の下着に惑うなどありえないのだ。

清潔好きな管理人や朗らかな家主さんにしては珍しいミスだが、あのまま放置するのはまずいだろう。

どうせ洗面所に向かっているのだ、洗濯物の籠の中に入れておこう。

本当は全員留守の今の内に家捜ししたかったが、下着を持ったままウロウロしたくない。

何度も通ってさざなみ寮の間取りは把握している、渋々俺は先に洗面所へと向かった。

これでようやく俺様の美顔を堂々と表に出せる……


安堵に満たされて、俺は洗面所の扉を開けて中へ。


寮の女性陣の化粧品類は全て洗面台の鏡の裏――知り尽くす程馴染んでいる俺が嫌だが、今はオイルを優先。

ドアを閉めて、愚かな警官が置き忘れた洗面台へ歩み寄る。



――背後から突如開かれる、風呂場の扉。



文字通り飛び上がって、俺は驚愕を露に素早く背後を振り向いた。


「フフフ〜、やっぱり来たか。このスケベ」

「ばっ――馬鹿な!?」


 耳にひどく馴染んだ悪戯っぽい声――

白皙の美貌を柔和に緩めて、バスタオル一枚の女が茶目っ気たっぷりにウインクしている。


リスティ・槙原――さざなみ寮の白い悪魔。


シャワーを浴びていたのか、透き通るような白い肌に赤みが差している。

ガラス細工のように繊細で整った顔は濡れており、潤んだ瞳が艶やかに光っている。

誰もしないと信じ切っていただけに、敵を前にして俺の心は無防備だった。


「な、なぜ貴様が此処にいる!?」

「それはこっちの台詞だろ、この不法侵入者。
シャワーを浴びている女の浴槽に忍び込んで、何をする気だったんだ」


 濡れた唇を舐めて見上げるリスティに、俺は我知らず息を飲んだ。

瑞々しい肌はお湯を弾き、珠のような水滴が布一枚に隠された裸体に滑り落ちている――

奢な肩の線と豊かな胸の谷間が白く眩しい。

日本では珍しい銀髪に水滴がキラキラと輝いて、彼女の美しさを引き立てている。

目を必死で逸らさなければ、彼女に飲まれてしまいそうだった。

リスティは綺麗な指を伸ばして、俺の首筋をそっと撫でる。


「ほ〜ら、お姉さんが質問してるだろ? こっちを見て答えなさい」

「ふ、服を着ろ、服を!」

「ほほう……お前の前で着替えろと言うのか。流石だな、この女たらし。
何気ないテクニックを身に着けてる」


 首に息を吹きかけるな、ゾクゾクするわ!?

くっそう……腹が立つほど色っぽいぞ、こいつ。

欲望のまま問答無用で押し倒して蹂躙すれば心も身体もスッキリするが、俺の未来は閉ざされる。

必死で素数を数えて、俺は理性を取り戻す努力を行った。


「わ、分かった。出て行く、出て行くから!

――あれ……?」


 ガチャッ、ガチャ………ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!!


な、何で洗面所の扉が開かないんだ!?

鍵なんぞ元からないぞ、この扉!


「必死の演技だな。そんなに出て行きたくないのか、此処から。
私を風呂場に閉じ込めてどうするつもりなんだ?」

「何を馬鹿な事――さては、お前の仕業だな!」

「私が……? ドアに鍵なんかかかってないだろ」

「とぼけるな! お前なら扉を封鎖出来るだろ、簡単に!」


 ――待てよ、扉を開かなくするって事は……ひょっとして、罠?

思い返してみれば、最初から変だった。


風呂場に無断で潜入した俺と遭遇して、何一つ動揺しない美人警官。
難解な事件の数々を解決に導いたエージェントが、俺の弱みを握る鍵を洗面所に置き忘れるミス。
普段管理を徹底している寮が、今日に限って無人。


一つ一つの状況証拠が繋がり、確信へと結び付く。

やばい、あらゆる意味で今の俺はやばい!


「……那美と久遠に助けを呼ぶのはやめた方がいいよ。
お前の為に言ってやるけど」

「ぐっ――」


 次の手を見透かされて動揺するが、大人しく聞いてやる義理はない。

お前はどう思っているか知らんが、あいつらは俺の味方なのだ。

久遠や那美がお前に信頼を寄せているのは知っているが、俺達の絆には勝てないぜ。

呼びかけようと必死になる俺に、リスティは不敵に笑った。


「別に呼ぶなら呼べばいい。
私のお気に入りの下着を手に持ったまま、風呂場に飛び込んだお前をあいつがどう思うのか楽しみだ。
この格好のまま、悲鳴を上げて見せようか?」

「てっ、てめえぇぇぇぇ!?」


 この女の策略の全貌が見えた瞬間、戦慄に震えた。

俺の行動を全て見透かした上で――この女は罠を張った。

恐らくシャマルからオイルを受け取った瞬間から、計画を練っていたのだろう。

俺がさざなみ寮に向かう必然を利用して。

無策で飛び込んで来る俺ではないと長年の付き合いで察して、那美に嘘の情報を与えた。

オイルをこれ見よがしに見せびらかして、洗面所へ誘う餌とする。

その上で仕事へ出かけた振りをして、那美が行動に移した後で寮全体を罠の巣窟と化したのだ。

リスティはニヤニヤ笑っている。


「お前は本当に面白いよ。最高だ。
面白いほど予想通りに動いてくれた。
真雪との賭けも、見事私の勝利だった。

――ふふ、お前は女の下着に邪な真似をする男じゃないからな」

「どんな賭けをしてたんだ、お前ら!?」


 つーかあの酔っ払い眼鏡、俺が女の下着にハァハァする男に賭けていたのか!

後で微塵切りにしてくれる!

リスティの言い分からすると、寮に入った瞬間監視されていた事になる。


「お前ら……那美を除いて、全員グルか!」

「大正解。
今頃フィアッセと真雪、寮の連中が表に待たせている二人を宴会場へ連行しているだろうな。

今のお前は孤立無援――

望んでいた孤独に戻れたんだ、感謝しろ」

「やなこった!
真雪はともかく、フィアッセまでどうやって味方にしたんだ!
つーか、あいつも何で此処にいるんだよ!」

「お前が心配で行動しているんだよ、あいつは。
――お前の流した馬鹿な噂のお陰でな。

私が説得して止めさせるって言ったら、喜んで協力を申し出たぞ」

「騙されてるぅぅぅ!?」


 お人好しの世界の歌姫に、頭を抱える。

俺を心配してくれる気持ちは嬉しいが、リスティの本性をもう少し疑って行動して欲しい。

多分同じような感じで那美や久遠も説得されて、その宴会場とやらに連れ出されたのだろう。

御祭り騒ぎが好きな住民ばかりだ。

喫茶店で流してしまった俺の恋人騒動を知って、ここぞとばかりに酒のネタにするつもりに違いない。

だから、此処に来るのは嫌だったんだよ!


「この風呂場の様子もモニタリングされている。勝負ありだな、リョウスケ」


 俺の口八丁手八丁も先読みして封じて、勝利宣言――完璧だった。

正面から挑んで来た騎士達とは違い、俺の行動や思考を呼んで敗北を思い知らせる為に行動した。

誰が見ても敗北である状況を作り出して、俺が後で開き直るのを封じる為だ。

守護騎士や忍達を敗北させた俺の弁論も、ここまで追い詰められたら通じない。

――敗北の要因はオイルではない。


本当にシャワーを浴びて、タオル一枚で囮役となったリスティ本人だ。


「……俺が本当に襲っていたらどうする気だったんだ?」

「お前はそんな事はしないよ」

「感情で動くとは、あんたらしくないな」

「私に魅力を感じているからこそ襲うんだろ? 恋人に選ばれるなら仮初は御免だ。
私自身に心底惚れてもらわないと」


 魅力的な大人の女性――その自負が、リスティを輝かせる。

過去の痛みを乗り越えて、自分自身の足で立っている女性だからこそ言える台詞。

認めたくないが……いい女だった。


「俺が好きだから――じゃねえだろ?」

「さーて、どうだろうな。

自分を殺した・・・・・・男を愛する――ドラマチックじゃないか」

「本音を述べよ」

「お前を恋人にしたら、最高に面白いじゃないか。
無料でコキ使えるし、エリスやシェリー達の反応が実に楽しみで仕方ない。


あ、勿論飽きたら捨てるからな」


「悪魔め……」

「悪魔でいいよ。お前を手に入れられるんなら」


 ――エリス・マクガーレンに、セルフィ・アルバレット。

思い出したくもない名前と諸外国での騒動を思い出して、俺は脳幹が捩れてしまいそうになる。

俺にとっての死神と天使にこんな騒動や恋人ネタを知られたら、粛清は間違いない。

動揺しまくる俺を楽しげに見つめて、リスティは瞳を細める――





「――飽きたら、だけどね……」





「あん……?」

「さて、宴会場へ御案内しよう。私の恋人として」


 ワーニング! ワーニング!

このまま連行されて、フィアッセ達に紹介されたら終わりだ。

もはや後で何を言おうと、絶対に聞いてくれないだろう。

負け犬の遠吠えとして、弱みを握られたまま俺は飼い殺しにされる。

何しろ状況が既にチェックメイトなのだ。

誰がどう見ても俺の負けは確定、勝負に負けた以上恋人は決定。


――戦闘以外の敗北は無効、そんな言い訳も通じない。


その前提を覆したのは、他ならぬ俺自身なのだ。

真剣勝負を行わなかったツケが、一気に此処に押し寄せて来た。


「恋人……? 確定するのはまだ早いんじゃないか、リスティ」

「今更開き直るのは思えないけど、負け惜しみはみっともないぞ。

一応だけど……恋人にするんだ。

堂々としろ」

「嫌だね、俺は諦めが悪いんだ。
これがお前との全力全開の真剣勝負なら――絶対に、俺では勝てない。

だけど、こういう悪巧みでの勝負なら俺は負けない」 


 リスティは確かに優秀な女性、裏の世界にさえ通じる実力を秘めている。

物事を客観的に、現実を理性的に見据える智謀は大したもんだ。

能力差は圧倒的、人間の出来栄えが違う。


自分より遥かに強い人間に勝つ――その手段に長けた者こそ、日本人。


小さな島国で独特の文化を築き上げた祖国を、諸外国すら一目置いている。

敗北間近の戦況を吹き飛ばした日本の奇跡を、お前に見せてやる。



そう――



俺は深呼吸をして、魂を振り絞って叫ぶ。





この周到に張り巡らされた罠を吹き飛ばせる、俺だけの神風・・を!!















「なのはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」




















































































<戦闘開始 (孤独の剣士)白い悪魔VS白い悪魔

ポイント:神咲那美→さざなみ寮

負傷:頬にキスマーク(ガーゼ)・全身に埃・両手の平負傷(麻痺)・全身負傷痴漢中汚水
心の古傷・両腕損壊(緩和しました)、凍傷、貧血

装備:カップ酒スルメ柿の種はやてグラーフアイゼンクラールヴィント
アイスクリーム女の子文字・・・・・で書かれた番号とアドレスメモチビリイン(ミヤ)
   ミヤの歯型メロン・御土産酢昆布・黒のショーツ
 


(※エイミィ・リミエッタより、以下の支給品を授かりました)



・携帯電話(ミッドチルダ製)
・耐刃防護服
・エイミィさん手製対戦者名簿・・・・・





謎の街:




謎の魔法少女:(誇り高き白の装束を纏って、凛々しく大空へ)

謎の親父:(とりあえず人っぽいのが転がっている)





謎の公園(那美との待ち合わせ場所):




謎の秘書:(主の名前を読んで、探し回っている)

月村:(待ち合わせ場所を教えた手前、付き合っている)

謎の麗人:(エイミィのマンションの方向を見て、真剣な表情でノエルに耳打ち)

ノエル:(厳しい顔で頷く)






謎の空間


収集員:(ギガントシュラーク(廃棄物破砕機ヴァージョン)、大突撃)

クロノ:(スティンガーブレイド・エクスキューションシフト、出力最大)
謎の動物:(スフィアプロテクション、出力最大)




謎の地上本部:




はやて:(大規模演習、可決。演習地を未開拓世界に設定)





謎の秘書:(はやてが立案した未開拓世界に強い懸念)

謎の中将:(忌々しげに、噂の人物・・・・の顔写真を破り捨てる)









謎の航空部隊:




シグナム:(連絡を受けて、はやての大規模演習案を発表。参加希望者の数から察する愛弟子の評価に御満悦)

※主人公について、以下の内容を話しています。
(例:ギガントを空手で防いだ、シグナムの剣を受け止めた、オ−バーSランクの魔導師相手に素手で勝利)





謎の本局:




シャマル:(連絡を受けて、はやての大規模演習案を渋々発表。 参加希望者の数から察する婚約者の評価に御満悦、女性隊員を名簿から削除中)

※主人公について、以下の内容を話しています。
(例:守護騎士全員が愛の奴隷、難事件の数々を一人で解決、管理外世界の支配者)





謎のトラック:





ヴィータ・謎の運転手:(顔を真っ赤に肩を抱き合って、大笑いしながら豪快運転)

※守護騎士システムに、飲酒属性が追加されました。

※九州に入り、酔っ払い運転で街中へ入りました。






謎の上空:




チビリイン(ミヤ):「――怖い顔して、何処へ行くですか?」



ザフィーラ:「古い友人に――ミヤモトに、会いに行くだけだ」



謎の黒衣の少女:「それは……復讐の為に?」


ザフィーラ:「言葉で語れるものではない。
――道を、開けて貰おうか」


謎の黒衣の少女:「言葉にして貰わねば、譲れる道も譲れません!」










オイル:さざなみ寮

剣:高町家





被害状況:自然公園水没・翠屋営業停止・ミッドチルダ演習地(半壊)・ゴミ収集場(崩壊)
グラーフアイゼン(時空の彼方)・マンション前(半壊)・月村邸(絵画・家具・窓ガラス)、ノエルのメイド服、少女の涙>








小説を読んでいただいてありがとうございました。
感想やご意見などを頂けるととても嬉しいです。
メールアドレスをお書き下されば、必ずお返事したいと思います。


<*のみ必須項目です>

名前(HN)

メールアドレス

HomePage

*読んで頂いた作品

*総合評価

A(とてもよかった)B(よかった) C(ふつう)D(あまりよくなかった) E(よくなかった)F(わからない)

よろしければ感想をお願いします













戻る



Powered by FormMailer.