イカれた面した野郎がそこら中の回線をジャックしている。

虐げられたの何だの語っているがどうでもいい……

俺にとって重要なのは……

泣き叫ぶヴィヴィオ……連中に洗脳されたとおぼしきギン姉さん……

黙って人に任せる?

ああ正しい、間違っていない、でも

「回線何時でも割込めるぜ」

「流石、メンテ用裏コードは強いねー」

よくもそんなもん仕入れたもんだよ本当……

常識と廃スキルは反比例する法則でもあるのかね?

さて、始めるか!!

「よう、イカれ野郎、ご機嫌だな」




             ケイスケの機動六課の日々  その27







なのは視点

フェイトちゃんに連れられて行った病院……

そこで見たのは落ち込んだスバル。

ケイスケ君は、いなかった。





ううん、いなくなった。





やり返す、借りを返す。

そんな言葉を残して……

ヴィータちゃんとティアナは怒り、エリオ達は悲しそうで、スバルは複雑そう。

処理を渡されたはやてちゃんは頭を抱え、フェイトちゃんはやっぱり複雑そうで、

私は……よく分からない……





ただ、シグナムさんだけは

「らしい話だ」

と呟いた。












ケイスケ君一人に構う訳にもいかない。

スバルは本局で治療、

フェイトちゃんはスカリエッティのアジトの捜索。

他のメンバーはアースラに本部機能を写す作業と訓練を開始。

そうしてどうにか体制がとれた時に起きたアインヘリアル襲撃。

あの兵器の詳細は分からないけど、形状からして対空兵器。

なら……










そして、再びジャックされた回線。

浮上する巨大船ゆりかご

そして……その中心らしき部分に

「ヴィヴィオ!!」

いた、あの子が狙われたのはこの為?

泣いている、あの子が

「よう、イカれ野郎、ご機嫌だな」

突然画面がつぶれてが声が入った












「ケイスケ!?」

スバル? ケイスケ君?

彼は顔を見せていない、何でみんなに迷惑かけて、



何を





「ふむ、誰かね君は、顔くらい見せたらどうだい?」

「何でこれからやり合う相手に面晒すんだよ、馬鹿じゃねえの?」

ああ、ケイスケ君だこれは……

「ふむ、管理局にしては品が無いね」

「ったりめぇだ、俺がてめぇらとヤルのは局なんざ関係ねぇ、俺が!! てめぇらに!! 一泡吹かせたいんだよ!!」

え? ヴィヴィオは?





「ほう? 私達のデビューを見なかったのかね?」

「はん!! 関係ねー、てめぇらは黙って部屋の隅で俺が来るのをガタガタ震えてまってりゃいいんだよ、以上終わり」







……何と言うか……

「何だか、色々考えてたあたしが馬鹿みたいなんですが……」

あはは、同感だよスバル、そうだね、難しく考えすぎなのかな?

彼にとってはこの事件もそれほど複雑じゃ無いんだろう。

私もヴィヴィオを助けに行こう。




















ケイスケ視点

クレさんに用意して貰った装備を確認する。

放送ジャックを手伝って貰った奴には既に避難して貰った。

服はライダースーツ風の防護服、靴底や膝、肘には硬質素材貼り付けてある。

ウインチワイヤーつきのアームガード、タクティカルベストにヘッドギア、滑り止めのついたグラブもある。

獲物の再確認を行う、軽量ブレード二本、ハンドガンは薬室とマガジンを確かめる。

大型の対物ライフルも同じ手順だ。

ナイフもサブも含めて重心を確かめ、最後に地図を再確認する。

……今ある武器の使用に魔力は用いない……

つまり質量兵器にカテゴライズされるものばかりだ……

しかも未登録……犯罪、それも軽くは無い。






だけど、それがどうした……

そんなもの、戦う事を止める理由にはならない……






勝利条件の確認をしよう。

一つ、姉さんとヴィヴィオの奪還。

二つ、ルーテシアの素性確認、並びに結果によっては奪還。

最後に、連中に一泡吹かせる事……

余裕こいてるからか、連中の進行ルートはテレビでも分かる。

さあ、準備は出来た、方針も決まった。

オープンコンバット(戦闘開始)!!
























ギンガ視点

……何してるんだろう?

ふと気がつけばハイウェイをキャリバーで走ってる。

頭がぼーっとする、起きているはずなのにシャッキリしない……

ああ、これじゃあスバルとケイスケに示しがつかない。

だけど体は言う事を聞かない。

「でもいいんっすかね〜戦力カウントして」

「知らねぇよ、ドクター信用するしかねえだろ」

「正直、出来ません」

誰? 聞いた事あるような無いような……

何で一緒なの?

分からない、今何をしてどうしていたのかが。

ただ直線を前に前に前に。






「……避けて」

念話? 何を

隣から凄い衝撃が来た、その後になって鈍い音が響く、これって。

「うおおお、あぶねえ」

「ノーヴェ!? 腕っすか?」

やっと身体と心が同じ事をした、紅い髪の子の手甲が破損してる。

「ちくしょー、オットー!! 何処見てた!」

「……魔力反応、無い、あの男だ……」

望遠で指示された方を見た。

いた、長物を持った男……





誰だっけ……

確か、大事な……

「赤切符だな、高速横断歩道があるわけねえだろ……」

「障害排除します」

自分の口からでる声が……凄く遠くに聞こえた……






















ケイスケ視点

ち、マジでシャレにならん!!

初めに使ったのは地球製M84、いわゆる対物ライフル。

数キロ先からでも人間くらいなら真っ二つの火力もシールドで減衰された。

姉さんが直線コースを取ったのはラッキーだったが邪魔が多い。

等と考えてる間にもう動かれた!!










「ちぃ!!」

この銃は接近されたら終わりだ、狙いをつけて足を止める!!

一発、二発、くそ!! 当たらねえ!!

「いやー、あたしら以上に堂々とまあ」

ち、軽口叩く余裕まで!!

確かに発射すれば音速をぶっちぎる弾頭だが、いかんせん狙いが……

加えてクソ重たいから旋回させるのも





「ま、ディードには悪いが、頂くぜ!!」

スバルみたいな装備を付けた赤毛、そいつがローラーダッシュの推力で突っ込んでくる。

懐に入って倒す、銃使い相手ならそうする、俺だって……





「……接敵、起爆」




「!?」

一瞬で耳が遠くなり、目が焼ける。

そうだ!! 俺だって接近を狙う!!

この高速は一本道、なら待ち構えれば必ず前から敵はくる。

接近信管の爆薬、出来れば姉さんの足止めに使いたかったが……

無駄にする訳にもいかない。

スバルに似ていてやりにくいが、

「あばよ」

砲身を向けて

「ケイスケ、右!!」

何!? スバルか!!

反射に近い反応で砲身を盾に、金属を削るギリギリとした音が響く。

助かった、声がなきゃやられてる。

「先日はお世話様です」

「てめぇ!!」

前の時の髪が長い方、名前何つったけ?

「頭下げろ!!」

何でとかを考える前に体は反応した。

首筋に何かが通過した風圧があたる。

女がそれを避けたと判断、弾道にそって後退、きっと。









「ランスターにスバルか」

「ケイスケ」 「この馬鹿!!」

ちょっと!? 戦闘中だぞ?

ランスターは近付くなり衿を締める。

ぐ、ぐるしい……

「アンタ!! 私やスバルやエリオ達やらがどれだけ心配したと思ってんのよ!!」

「テ、ティア、今は」

「それに何これ!!」

そうランスターが指すのは、銃身が激しく凹んだライフル。

もう使えない、無理すれば最悪暴発が待っている。

「実弾銃じゃない!! 何考えてんのよ!! 許可は? 申請なんかしてないでしょ!!」

ぐ、それは。




「なに? 言い訳?」

言い合いも長くは続かない、あるタイミングでランスターと互いを突き飛ばす。

申し合わせたように中間を走る光弾。

「はいはい、痴話喧嘩は後にするっすよ〜」

髪をバレッタで止めた赤毛、乗ってたボードを構えてやがる。

てか

「「痴話ってなんだ!!」何よ!!」

「二人とも手伝ってー」

スバルはそっくりとやりあい中、くそ。

「すみませんが、私のお相手を願います」

ロング女が、

「わああああ」

ランスター!?

砲撃に押される形でランスターが外のビルに、赤毛二人がそれに追撃をかけていく。

スバルは?

「……ギンねえ」

「……」

姉さんか

エリオ達の姿が見えない……恐らく何処かで足止めされてるはず。

これは……










「はい、分断作戦です」

……髪のなが「ディードです」

は?

「ナンバーズ12番、ディード」

「ああ、そう、で?」

「以前の、肩の件です」

……

「私は戦闘機人、あなたに負けたままではいられません」

「……あのさ、俺忙しいんだよ……」

ランスターが二対一、スバルは姉さんか……

「だから……」

スバルと姉さん助けて援護、多分これがベター

なら。

「さっさとどけええええええ!!」

ディードのやつを倒す、それからだ!!























フェイト視点

シスターシャッハ、ヴェロッサと合流して突入したスカリエッティのアジト。

ヴェロッサは早速持ち前の隠密スキルで監視から潜る。

なら、シスターと私のやるべき事は、

「はああああぁ!!」

眼前のガジェット数体、リミッターの無い今なら何百束になろうと相手にならない。

ザンバーを巨大化、それを振り回すだけで事が足りる。

あ、天井削っちゃった、いけないいけない。

数体のガジェットの爆散。

シスターも既にガジェットをたたきつぶしている。

流石は陸戦AAA、シグナムの剣と互角の人だ。

私達の目的は陽動。

メインはヴェロッサによる内部制圧。

普通ならこんな派手にやればバレるだろうけど、

こちらは私とシスター、その気になれば施設を丸ごと吹き飛ばす戦力。

ヴェロッサがだめでも私達なら力ずくで制圧する。

「フェイトさん大丈夫ですか」

シスターはまだまだ余裕だ、

こっちも勿論大丈夫、AMFは濃いがまだまだ余裕がある、速く終わらせてみんなの援護に行かないと。



















通路をしばらく進むと変った部屋に出た。

立ち並ぶガジェットと……

「これは……生体兵器の……」

そうだろう、彼、ジェイル・スカリエッティはそういう男だ。

人の命を弄び、人の運命を狂わせる。

そんな、最悪の……









しかし、出てこないナンバーズが不気味だ。

この場合、理由は三つ考えられる。




逃げようとしている。




奥で迎撃準備をしている。




最後に!?

「シスターシャッハ!!」

上からガジェットが落ちて来たと思った瞬間。

離脱しようとしたシスターが止まった。

足、物質透過の戦闘機人!!

高質量のV型が落ちて!?

風切り音とともに飛んでくるブーメラン、これは!?

ザンバーで防いだけど、

「シスター!!」

「フェイト執務官こちらは無事です、戦闘機人一名補足」

よかった……

さっきの答、それはつまり、罠。

暗がりから出て来る二人の影、やっぱり……

「フェイトお嬢様、こちらには帰還ですか?それとも……反逆」

何を言っているんだ?

私がここに来た理由、それは。

「犯罪者の逮捕それだけだ」
















……無言が響く……

バルディッシュにブリッツの指示を……

砕けた天井からの瓦礫が落ちる音と同時に……戦闘は始まった。



彼女達はデータ同期がある。

管理局の研究にその項目があったのは覚えている、でも……

「ザンバー!!」

さっきガジェットを叩いたフルパワーの斬撃、しかも今はリミッターは外れている、なのに

桃色の光とバーコード風の魔方陣、それより進めない。

「ISスローターアームズ」

手元にも無いブーメランが帰ってくる、避けるのは訳が無い、だけど

来た! V番の攻撃、ザンバーじゃ……重い!間に合わない!!

『サンダーアーム』

バルデイッシュ? 助かった!!

雷撃を纏った腕、魔力密度も通常とは比較になら無い。

雷光とV番の腕の刃が拮抗、空いてる方が!?

爆発、貰ってしまった、でもまだだ、呼吸を直す時間がほしい。

スフィアを数体浮かせて間合いをはかる。






「はあはあはあ」

「以前のカートリッジを使用されないのですか」

「はあはあはあ」

何を馬鹿な、既に対策済みのくせに……

動きが読まれてる……それに加えてこの室内じゃ私の最大の長所、スピードが生かせない。

ここでは今の装備じゃ重すぎる、そして高濃度のAMF……

参ったな、舐めてたつもりは無いのに……

でもまだライオットもソニックも使えない……

この環境であれをやったら、もう魔力が尽きる。

スカリエッティまでたどり着かなくちゃ最悪だし、みんなの援護も



モニター? が付く。

!! ジェイル・スカリエッティ!!












不健康そうな肌と目、何より人を見下す視線。

私の、私達F、そしてスバル達戦闘機人、ヴィヴィオ達人造魔導師……その根幹技術を作り出した

「やあ、フェイト・T・ハラオウン執務官」

「スカリエッティ!!」

この男は犯罪者命を弄ぶ最悪の……

「我々の楽しい祭りも今やクライマックスだよ、せっかくだからもう少し盛りあげようと思ってね」

……なんだ?この、胸の底がざらつく感じ……

この男……

「何が、何が楽しい祭りだ!! 今も地上を混乱させる重犯罪者が!!」

「ふむ、重犯罪、なるほど、確かに法には触れるね、でも」

別のモニター?

あの眼鏡をかけた戦闘機人?

「はあい、こちらクアットロ〜」

「ああ、感度良好だよクアットロ」

「さてさて〜私達に立ちふさがったお馬鹿さん達〜早速リタイアしそうな子がいまーす」

な!? だ、誰が!!

「その子は〜許可無しに武器まで持ち出しましたが〜もうやられちゃいそうでーす」

ま、まさか……











「丁度いい、クアットロ、皆さんにも見せてあげるといい」

三枚目のモニターに……ケイスケ……

「はあはあはあ」

何処の道路だろう、そこで片手にナイフを持って、片手には……銃だ……

「やれやれ、執務官殿の御同僚殿も立派な犯罪者だねぇ」

……何を、何をやってるのケイスケ……

向き合ってるのは]U番、その剣を受けて

「あ!!」

吹き飛び壁に当たった所が崩れて、








あああ、ケイスケは、ケイスケはまだ怪我人で、バリアジャケットも無い……

「おや、これは死んだかな?」

ブチリと何処かが切れた。

バルディッシュに大魔力を!!

「来るぞ!!」

邪魔だ! 時間が無いんだ!!

飛び上がって、何?

紅い、ワイヤ系のバインド?

バルディッシュは?

同じ? それに動かせない。

「普段は冷静かつ温厚だがいざとなると冷静さを失う、本当に君は母親似だよ」

母さん……

「いやはや、彼、何と言ったかな?今にもやられそうな」

ケイスケ……

「そう、君達にとっては知らないが、こんな何もない、実験材料にもならないような人間のためによくも怒れるものだ」

うるさい!!

お前に何が分かる!!










何も、何も出来ない?

死ぬ、ケイスケが……

エリオは?キャロは?ヴィヴィオは?

スバル、ティアナ、はやて、なのは、シグナム、

ヴィータ、シャマル、リイン、ザフィーラ、みんな、みんな……

今ライオットを使ったって、

「ディードちゃん、さあ、トドメを」

!!

「くくくく、ゲタゲタゲタ」

え?



























ケイスケ視点

はええ!!

下段、中段、上段、適度に散らせた斬撃がくる。

「ちぃ!!」

銃が抜けない。

胸元のナイフで捌き躱す。

俺の装備は対物ライフル以外はオルセアのトライアル落ち品。

魔導師に対抗できる強度とスペックを保持しているが

だが所詮は実働に使用していない、何かしらのトラブルがありえる危険武装だ。

長期戦は避けるべきだし、何よりディードで終わりじゃねえ!!













「はああ!!」

上段切り下ろし、力んでる、躱せる!!

振り下ろすほうの手に合わせて前転、すぐに姿勢を直してバックステップ、距離を取る。

俺のいた所は地面が思いっきり切り裂かれた。

二刀流は実戦的じゃないとよく言われる。

刃物ってのは刃筋にそって切れるものだから、

片手でやれば安定が取りにくいし、力も入らない。

スポーツじゃあるまいし、やり合いは相手を倒して終るんだ。

並のパワーじゃ両手長刀なんて出来ない。

だけど……こいつは……力場の剣……

重心が完全に手元にあるから振り回す時に全然流れないし、刃筋なんか関係ない。

打ち込んですぐに反撃が来た。

後ろは見せられない、直ぐに切られちまう。

魔力ダメージみたいだが、俺の魔力じゃ一撃いいのを貰ったら飛んじまう!!



不意に視点が下に落ちた?

膝が抜けた!?

しまった!!

ディードもチャンスとばかりに二刀を重ねてきた。

くそが!!

刃と刃がぶつかりあう音、それに伴う衝撃が手から足に抜けていく。

ナイフの握りと刃の後ろに手を、

ナイフはもった……でも

ぐあ、お、押し切られる、制止状態じゃ力で……

このアマ、ここまで追い詰めても全然目から油断が感じられねぇ。









やるしかない!!

ブレードはある程度の物理的干渉がある、なら、やれる。

膝を更に落として勢いを、滑らせる!!

「?!」

そのまま転がって!!

抜けた!! そして間が!!

左手を腰のハンドガンに、

背後から駆動音が響いた、ガジェットか!?

だけど、








ハンドガンから響く放電音……

そして、弾丸が!!

……







さっき戻った聴覚がまた飛んでいる。

音速を超えた時に発する空気の衝撃波が耳に入ったせいだ。

ガジェットはカメラ部分に貫通跡。

そのまま爆発した。

クレイルが寄越した武装、うち一つ、対物ライフルは既にスクラップ。

残るは高級アームズに使われる合金、それをひたすら硬度のみを追求した大型ナイフ。

時間限定とはいえ刃に単分子層を重ねる軽量ブレード。

そして、ハンドガンサイズのレールガン。







オルセア、未だに内戦が続く世界の正規軍トライアルに提出され落ちた代物。

いける、この銃ならいける。

対物ライフルとは弾頭の問題で威力は下だが、

何時ものようにシールドの内側からぶっ放せば!!

スバルの方、ランスターの方、エリキャロの方、まだ終ってない。

やってやる!!







初撃を躱して懐に入って撃つ、それだけでいい!!

突撃した俺に合わせてディードの双刃が光る、が

躱す!!

側面からの横なぎ、なら

伏せて躱す、そして!?

読まれた!? 後振りの方が斜め下から?

咄嗟にレールガンで受ける、硬度の低いコイツじゃコンマ数秒遅くするのが限界。

パックリと切られた銃身、だけど身体は無事だ。

でも武器が!!











切られたのも、思考に頭を回したのも一瞬。

だけど、その一瞬は稼いだ時間を……ゼロにした。

「ぐぶ……」

肺から空気が抜ける……胃袋がいっぱいだったら吐くな……

蹴りだ……今のは……

時間が引き伸ばされた。

中を浮いた俺の身体が壁にぶち当たるまでの時間が、やたらと長かった……

ははは、普段着だったらもう立てねえや……

完全に装備に救われた。












何でだ……何でここまで差が生まれた。

前の時は……

「……何故本気を出さないのですか?」

ディードの声も遠く感じる。

うるせぇ、とっくに本気だよ。馬鹿野郎。

「あの時と今の貴方は違いすぎます、本当に本人か怪しいほど」

……怒鳴り返したいが息がでねえ……

「あの時は……もっと……ギラギラしていました……」

あの時、アイツの腕を取った時か……

あの時、何考えてたっけ?

いや、違うな、俺は、何時もは……

「……ディ……とど……」

何時も? 何時も戦う時と何が……

武器? 違う。

身体? 違う

じゃあ……………………………………………………………………

「残念ですが、ここでトドメを刺すよう……」

「くくくく、ゲタゲタゲタゲタ、ああはっはっははっはっは」

















ああ、そうか、そうだった、そういう事か。

瓦礫に腕を、立てる、立ち上がれる。

ああ、そうだ、立てない訳が無い!!

「……あらー、気が触れちゃった?」

あー?

「誰だよ眼鏡猿」

あ、空気凍った。

だが俺の知ったこっちゃねえ。

ああそうだ、そうだった……

俺は馬鹿だ、アホだ、間抜けだ、死んだ方がいいくらいに。

だけどそれは、後の話。

立上がりディードを見る、ああ、それすらしてなかった……

「さ、猿ですって!!」

何か雑音が入りやがる。

「やあ、君がさっきのジャック犯かい」

「違う!!」










……

「……い、いきなり出鼻が挫かれたらどうしていいか分からないじゃないか」

「てめぇの都合なんざ知るか!!」

ディードは二刀を胸前で構ている、攻撃より防御重視、

握り殴り対策か握りを伸ばすのが早かった気がする。

姿勢前傾気味、ある意味近接魔導師のお約束。

「ケ、ケイスケ?」

あ? フェイト隊長?

「あんた何やってんの?」

見た目ケージバインドに捕まってるみたいだけど……

「え ?何って、見ての通りだけど」

はあ?何やってんのさ

「隊長さ、俺の千倍は強いんだからさっさと片付けてよ」

「え? え? そ、そんな事言われても」

「あー、いいかね君?」

あ? 振り向くついでにガンつけてやる。

「ああ、君がやられる所は君の仲間達に中継してあげるよ、どうだい?」

ガン付けスルーされたし、ああ、そうかい。

「ああ、じゃあ……たっぷり俺が勝つとこでも流してくれよ」














というか、まだどいつもこいつも終って無い訳?

さっさと終らせねえと、先にこっちが終るぜ。

「……あの時の、いえ、あの時よりも凄い目ですね」

おお、律義に待ってたのかよ。

素直だな……







さて、外野の雑音は放置だ。

今は、

ただ、

全てで、

全力では足りない、

俺の全てで!!

この女を倒す!!

ずっとそうだった、格上相手を倒す時は、全てを使う。

そんな事も見失っていたんだ。

だから今からは違う。

さあ、俺のターンだ!!






















ディード視点

変った。

何がどうというのは分かりませんが、何かが変わったのが分かります。

以前の時のギラギラとした、そんな目が……

しかし、遅いです。

既に体力も、コンディションもベストでは無いでしょう。

申し訳ありませんが、私が勝ちます。

構えて……振り返って、走った……

って

















「逃げですか!?」

思わず力が……

「待ちなさい!!」

すぐさま追撃をかけます。

ハイウェイから降りるつもり?なら空を飛べる私から逃げられる訳が無い。

「おりゃ!!」

ワイヤー? 服にそんなもの仕込んでいたのですか。

一気に下まで降りて、ビル内に。

逃がしません!!















内部にこちらも突入、暗い、それに瓦礫が多い。

でも戦闘機人には関係がない。

熱センサーモードに。

? 何か線がある。

その先は……パイナップル……

なるほど

罠で勝負する気ですか……

私の突入は彼とは数秒しか違いません。

おそらく、既に仕掛けを造り、設置の時間を短縮しているはず。

彼の戦力、それはサブミッション。

こちらに先に攻撃させてシールド等を無くさせ、そのスキに弱い関節を攻める。

危険ですが、魔力の低い彼にはそれ以外の選択肢は無いはずです。

そして、手足の末端をメインに狙ってくるはず。

クアットロお姉様の情報では、末端を固めるやり方が最も反撃されないとのこと。

多少の武装、ブレードを持っていましたが、それでは先手取っても防げます。

つまり、手足に触れさせなければ、私の勝ち。













……どう来ます?

罠は幾つかあります。細いワイヤーで手榴弾のピンを抜くのが基本のようですが……

足元に仕掛けていますね。

飛べば関係無い、飛行で、

罠をかいくぐれば、後はツインブレイズで叩きのめすだけ。

ふと、違和感が

彼は……私が飛ぶ事を考えなかった?








頭上!?

ヒビが入って!!

爆発が起きて崩落が始まった、当然下の罠にも反応していき爆発が連鎖する。

バリアを張るしか!!

埃が舞い上がり視界が

そして、来た!! 上から!!

「ちぃやああああ!!」

ブレード? でも!!

バリアで跳ね返、せない、透過? いえ切られた!?

こちらも剣で!!

ツインブレイズを重ねて剣を止める。

勝った、力なら!!




















ケイスケ視点



……全てだ。




怒りだけでは足りない。





冷静なだけでも足りない。






武器だけでも、体術だけでも。






俺の全てを使わなくては、この女を打倒できない。

ディードは既に防御の態勢に入っている。

ここまでやって完璧に振り回せないのは流石だ。

だから……

剣を捨てて飛び込む!!

「!? 関節?」

そう思うよな!! 関節でやられた奴等は!!

ディードまで後数センチのところ、関節を取れる距離じゃない。

シールド、バリア、フィールドを抜けた。

残るは物理層のみ!!

右手でディードの頭を












掴んだ!!

「嗚呼嗚呼嗚呼あ!!」

胸から肩に、肩から肘に、手のひらに

そして、ディードに!!

弾丸を鉄板に打ち込んだ時のような響く音……

そして、膝から崩れたディード。

「はあはあはあはあはあ」

「?? た、立てない!?」

無理無理、脳味噌がめっさ揺らされたんだ。

起きられねえよ。

棄てたブレードを拾い、ディードに

「俺の、勝ちだ」










後書き

大変お待たせいたしました。

やはりシリアスになってからテンポが落ちております。

最近はギャグを書きたいと禁断症状まで……

というか書いてる途中にサウンドステージXで別に銃器OKと判明して思いっきりずっこけましたw


追記 拍手ですができるだけ私宛と明記していただけるとありがたいです。




拍手返信


>死んでからの生き返り ケイスケは力を手に入れるのか?

残念ながらアンサートーカーにはなりませんでしたw



>今回も楽しませてくれて感謝ッス!次回も更新頑張って下さいね。

お待たせしすぎです、すみません吊ってきます……


>例のカートリッジってなんか型月の宝石魔術っぽいですよねぇ。

あー近いかもしれませんね、使用者を選びませんが。



>鬼丸さんへ。ケイスケは質量兵器でゲリラ戦でせうか?w

不意打ちからのガチ戦闘になりました。


>ケイスケも堪忍袋の緒が切れたね〜

いやいや、これで立たないのは男の子失格ですよ。(うんうん)


>この展開だとケイスケがコマンドーのようにロケラン担いでスカリエッティ達に殴り込みか

色々持ち出しましたが近接武装以外は潰されました(え〜


>「鬼丸さんへ」
>スクライドネタやったためかケイスケがトリーズナー(反逆者)にしか見えませんでした。
>あの監督はスクライド、ガンソ、ギアスと何かと反逆物が多いですしね。
>大好きだからいいんですけど。
>と言うわけでこれからも応援しています!

あざーす、私も三作とも好きですよ、後プラネテスも!!

男の子には意地があるのです!!


>鬼丸さんへ。
>ケイスケ管理局退職してクレさんに手伝ってもらってスカ一味に報復?!
>「やれることをやる」じゃなく「やると決めたことをやる」というケイスケはカッコいい…!
>まさに漢いやあえて男の子と言わせて下さい

おお、思ってもらえて光栄です。

戦うっていうのは決意したからするべきだと思っております。



>質量兵器使用フラグ確定wwでもそうすると六課から捕獲対象にされるんじゃ?
>そこで砲撃(説得)をされるわけですねw判りますwwww

そこまでまだみんな余裕がありません。

でもいずれw


>ケイスケの機動六課の日26読みました。
>自分の大事なものが傷つけられたから俺が許せない。そういうの私は好きだなぁ。今回も面白かったです

ケイスケは自分の怒りがヤル理由です。


>ケイスケ! 今こそ核の発射ボタンを押す時d(ウワナニヲスルハナセー

よしクロボンの小型核を(ウワナニヲスルハナセー )


>ケイスケにSAAを!それがダメならせめてパルスアームを!!<redeyes

対抗できる!? いや回り込まれるか!!


>君たちに最新情報を公開しよう!ついに禁断のアレに手を出すケイスケ!
>彼が手にする力は神か悪魔か!次回『ケイスケの機動六課の日々 第二十七話』にファイナルフュージョン承認!!
>これが勝利の鍵だ!『誰にでも使える禁止もの』(BGMやナレーションはオリジナルのままで)

残念、勝利の鍵は武装ではない!!



>ケイスケ暴走!?何か彼段々良介に似てきてません?メロン侍、何か一言!

以下リョウさんのコメント

(良介「俺様のほうがハンサムだぞ」

アリサ「どうでもいい事は適当に答えてるでしょ、あんた」)―入れてみました―



ケイスケ「外見関係ねーーーー!!」



>女の制止を振り切り戦場に向かう男、アレ?まるでヒーロー?

ヒーローには成れません。

ヒーローで無くたってがんばれます。



>ケイスケは質量兵器の使用を決断しましたか。
>対物狙撃銃か何かを使えばナンバーズが相手だろうと体のどこかに命中すれば確実に殺せますし、
>ケイスケもこれでナンバーズ相手でも戦える様になれそうです。
>ただ、質量兵器を人間(?)に使った事がばれたら相手が生きていてもかなり重い刑罰になりそうなのは
>心配です。多分ケイスケはそれも込みで質量兵器を使うと決めたのでしょうが。

対物ライフルはシールドで減衰、倒すには至りませんでした。

このくらい非魔導師と差があると認識しています。



>ケイスケ見てたら浮かんだ言葉。テメエは俺を怒らせた

ジョジョ!! ある意味そんな感じではあります。



>鬼丸さんへ 
>ケイスケが助からなかったというIFはどうでしょうか。

ツルギさんのIFをお楽しみにw



>鬼丸さんへ 
>ケイスケになら掘られても良い。抱いてくれッ!

ケイスケはノーマルである、アーーーーーーw



>鬼丸さんへ、待ってました!

またお待たせしました……ごめんなさい



>以前、バズーカ云々言った者です。
>・・・ケイスケキレってますね(笑)次回はランボーみたいなケイスケを期待したいです。鬼丸さん!ファイトです!

ちょっと違いましたでしょうか?

全てを賭けてようやくケイスケは格上との舞台に行けます。



>ケイスケが今以上の力を手に入れるにはやはり非合法の力を手に入れるしかないのか…。

それが最低条件です。

というか登録すればOKとなってちょっと焦りましたw



>この展開はwwww

いかがでしたでしょうかw



>すでにコメに上がってますが、redeyesのSAAを着込んで大暴れですね、わかります。
>…元ネタわかります?

実は読んでませんw

でもちょっとは内容調べました。



>どうせなら日本刀と複数の手榴弾を装備して般若の面を被ってほしいな〜と思う。
>というか実際問題、個人で魔道師or数の子と戦おうとしたらそれぐらいの火力と機動力必要だよなぁ。ただの銃だと……

少し地球製の鉱物使おうと考えましたが……

なのは世界、宇宙に簡単にいける……無重力で合金作れる……参考にならないと判断しました。





>質量兵器?マテバなんていいかも。

マニアックですな〜、でもトライガンもそうだからそうでもない?



>ケイスケとなのはとフェイトを足して3で割って2余ったのがヴィヴィオでしょうか…。
>手段を選ばない、と言うのも良いですね。
>ダークヒーロー見たいな?求めた物は違法デバイスか…それとも光学質量兵器?
>只の拳銃だと並の腕しかないケイスケには頼りないでしょうから。

足りてません、全てが足りないのです。

質量兵器でも足りません、ケイスケの全てが必要です。



>ケイスケへ つクトゥグア・イタクア・神獣弾×150・MP5A5・BAR・M93R・ブラウニング M2・サイガ12
>あとは…ほれ つパンツァーファウストV・C4・時限発火装置・遠隔発火装置・スティンガーミサイル・
>グレネード各種・アンチアーマーブレード・スローイングダガー
>そうそう、これ使うか? つ魔道書「新訳ネクロノミコン〜執筆:大十字 九朗&アル・アジフ〜
>あと、こんなんどうよ? つ 魔力素集めて魔力刃創る剣を重力子を集めるように改造したもの

どんだけ重装備!! 重くて動けませんw



>あれ?何故ですかねぇ?
>青白い光を伴ったランタンと共に大型鋏と単発銃引っ提げて保身無き零距離射撃を敢行するケイスケが浮んだのは?

ゲシュペンストイエーガー!!

いやいやいや、どれだけ虐殺する気ですかw



>更新お疲れっす、心は煉獄 頭はクール?なケイスケ君 それとドラム缶は非殺傷(多分)兵器なのです!!

ドラム缶が!! 残念ながら頭が冷静ではありませんでした。

全部がそろった時初めてケイスケのターンが来ました。



> 一体どんな逆襲を?凄い笑顔でゲラゲラ笑って中指立ててやりそう

切れたときにそれがでましたw



>クレさん出たーーーーーー!!!! とうとう

ケイスケの武装融資を行う人です。

仕事以外は廃ゲーマーw



>鬼丸さんへ
>IF外伝のスバルENDの続きを読みたいなーと思ってる今日この頃。
>甘甘だったり周りにからかわれたりそれを気にせず惚気たり・・・
>いかん・・・妄想が止まらん・・・

実はサウンドステージXはスバルEND後でやろーかなーって思ってます。

スバルと同棲w



>鬼丸さんへ。
>ケイスケは質量兵器でゲリラ戦でせうか?w

不意打ちから始まりました。

しかし失敗!!



>鬼丸さんへ 
>クレさんが管理局のデバイス嫌いってとこから、質量兵器がらみの人間ってのはなんとなく想像できましたね

一応裏設定は存在してます。元局員です。





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