前回 フェイト隊長に拉致られました。

妙なガキんちょ見つけました。

ヴァイス陸曹がすごい人でした。

目立てなかった……



                  ケイスケの機動六課の日々 その17



人の一番最初の記憶ってのは案外バラバラだ。

ある日突然毎日が始まって、それをしっかり覚える訳でも無く。

そのうちオムツの記憶を親から聞かされ悶絶するのはお約束だろう。

そんな俺の最初記憶は家ではない。

いや違うかもしんないが、とりあえず人生最初の印象的イベントは……















「なんか、狭くなったな」

「ケイスケが大きくなったんだよ」

隣に立つスバルとの身長差をみる。

確かに、昔は同じくらいだったのにな……

ミッド西部にあるナカジマ家、八年振りの訪問だ。

顔だそう、顔だそうと思いながら二か月が過ぎてしまった。

遠いということもある。

八年も寄付かない後ろめたさもある。

だけど……

「少し、寂しいね……」

ああ、と相槌をうつ。

そうだ、おばさんとオフクロがいて、

おじさんが書斎にいて、外で俺が遊び姉さんが俺に口出して。

スバルがその後ろにいた……

たまにおばさんが姉さんに訓練すると、俺も一緒になってはじめて、スバルも参加した。

もう有り得ない、それがハッキリと分かっちまうんだ。


















「デカくなったなあ、おい」

ゲンヤのおじさん、小さいころはすっごく大きいと感じていた。

今では白髪が増え、俺と背が変わらず、俺は、おじさんが小さくなった気がする……

「おじさんも変わらないですね」

そう絞り出すのが精一杯だった……

パタパタとスリッパの音が響く、

顔出したのは……

おば……さん……

「いらっしゃい、ケイスケ」

ギン姉さん……だよな。

なんだろ、おばさんのエプロンしてるからか?

ゲンヤのおじさんが妙に訳知り顔なのが気になった。

「ケイスケ、いらっしゃい」

スバル? いや一緒に来て「いらっしゃい」も何も無いだろ?

あ、いや。

「おっす、スバル」

昔のやりとり。

なんか、コイツの家、来たって気が、やっとした。


























リビングに案内されて、おじさんと放置された。

時間が昼時だからメシを二人で作るとのこと。

「男同士の話でもするか」

とおじさんに誘われる。

チビの頃以来だ、座布団って言ったか、それの上に座る。

外でも思ったが記憶よりも色々小さく感じる。

「ギンガ、似てきたろあいつに」

唐突に始まるおじさんの話。

「あいつが逝って、ギンガがあいつのやってた事を継いで、そういうもんだぜ」

頭では分ってる話、だけど実感が沸かなかった。

「おめえは教える事があっていいな〜」

イマイチ何言いたいのか分からん。

がそれが俺にはいいのさ。

と、おじさん……

「八神とかは教えがいがあるようで無くてな」

「え? 部隊長知ってるの」

「俺はアイツの師匠だぜ」

初めて知った、世間って狭い。




















昼メシはカレーだった、以前世話になった時のままの味。

「美味い」

「あ、本当?」

「それ、スバルが仕上げをしたのよ」

「ああ、クイントの味に近い」

懐かしい、本当にそう思う味。

オフクロはあんまり料理しなかったし、俺にとってはナカジマの家の味が家庭の味になるのかも。

不味くは無かったが微妙だったからなー。

冷凍食品の袋をゴミ箱から見つける八歳の気持ちを考えて欲しかった。

「ごっそうさま」

「もういいのか?」

「おじさん、この二人が異常なの」

五十センチ近くも盛ってオカワリとか有り得ねえ。

そうだったな、の呟きにこの家の食費計算を断固しない!!





なんか、悪くない。自分で食器を洗わなくていい。

それだけで何か落着く。

おじさんとぼーっとテレビを見る。

洗い終えたスバルと姉さん。

本番か。

































「さてと、状況をまとめると、スバルのマッサージをしたらボルトみたいな違和感があった。

スバルはそれから普通に出来なくなった、でいいのね」

ギン姉さんのまとめ。

大方そのまんまである。

「というかおめえ、スバルに触わったのか」

ス、スバルがやってくれっていったんだよ!!

おじさんは若いもんだけで話し合ってくれと引っ込んで。

つまり全部スバル達に任せた。

「ケイスケ、戦闘機人って知ってる?」

「知らない」

姉さんの解説によると人の体を予め機械を埋め込みやすく調整するもの、

更に戦闘用な調整したものを戦闘機人と呼ぶとのこと。

なるほどね、先天的にサイボーグにしやすくするって事か。

そしてそんなことを語るってことは、

「もう分ってると思うけど、私とスバルがその戦闘機人なの」

スバルを見る。

完全に下をみて、膝の上にプルプル震える手が、

姉さんは逆に堂々と






さて、フェイト隊長の時も困ったが今回も困る。

だってよ、あのスバルが気にするんだぜ。

それがどのくらいコイツの中でデカいのか想像出来ない。

「ねえ、ケイスケ……聞いて貴方が思ったことを聞かせて」

姉さん……わかった。

「まず、勝手に体が治ったりしないのは不便だなーだよ」

「へ?」

スバルが惚けた顔をして、ギン姉さんは下を向いてプルプル笑いを堪えている。

「あの、ケイスケ? それだけ」

「いや、他にもだから力強かったんだとか」

「あはは、ね、スバル言った通りでしょ」

姉さん的には期待通りの答なんだろう。

良くも悪くも姉替わり、大抵のパターンは読まれちまうんだな。

でもスバルは……笑えなかった。

「ねえ、ケイスケ……本当にそれだけ?」

「……すまん、他に思い付かん」

スバルが何を気にしているのか、それが分からない。

八年、一言ですむ時間がとてつもなくない長く感じる。










「ねえ、ケイスケ私、物を壊す為の力を持ってる、怖くないの?」

怖いか、答は

「ノーだ、それを言ったら俺だってそうだ。効率良く人をぶち壊す技術が俺にはある」

残念ながら、俺の関節技は降参をとるものじゃない。

決めたら折る。

魔導師を相手にする事を前提にして覚えたんだ。

遠慮なんかしたら死ぬ、比喩無しで。

……いや習練中は別だが

「違う、違うよ!! 私はそうなるように生まれたんだよ!!」

「ちょいまて、お前おばさんの子だろ? そっくりじゃねーか」

「私達は母さんをホストにして作られたそうだから」

あ、そうなの?

だからちみっともおじさんの遺伝子を感じないのね。

だが

「いや、話がずれたが、んなもん後天的かそうでないかの違いしかないだろ」

返事無し、まだ納得しないか……

スバルも強情だな。










「だから、スバルや、それを俺が知ったからってお前が変わるのかよ」

ずっとそうだったんだろうが、何も変わらんだろうに。

「……怒らないの?黙ったこと」

「そんだけ言いにくかったんだろ」

そもそも俺はスバルとガキの頃に付き合いがあるんだ。

だからどうかしたのかってのが本当の本音

「本当?」

「しつけえ」






突然ポロポロと水滴が落ち始めた、スバル……

「あれ、あれ? おかしいな、嬉しいんだよ、本当に、なのになんで」

おい、おい、いじめたみてえじゃねえか。

ほらよ、とハンカチを渡す。

思いっきりクシャクシャに、

今までの気持ちを全部出し切るみたいに。

スバルが止まるまで、姉さんも俺もずっと見守っていた。






























「あった……」

スバルの家に来たらしなくてはいけない事はもう一つある。

ある物を探す事、八年前にとった

みんなの写真だ。

オフクロとクイントおばさんが俺達を連れてメガーヌおばさんの見舞いに行った時の

「……あの召喚士、メガーヌさんそっくりね」

ギン姉さんの言う通り、写真のおばさんをそのまま小さくすればあの召喚士だろう。

オフクロとクイントおばさんとメガーヌおばさん。

隊長達程でもないが仲がよかった。

オフクロだけ部隊が違ったが、トリオとして昔は有名だったらしい。

「……ひょっとしてこの子も私達みたいな」

「そら違うな、メガーヌ女史の能力に召喚はねえ」

言い忘れたが捜索は全員でやった。

日が落ち始める時間までかかってしまったが

スバルと姉さんはあーでもないこーでもないと相談しているが

「……今は何とも言えねえな」

「同感、正直材料が足りなさすぎる」

クローニング技術はこの世界に存在する以上どちらなのかは分からない。

「メガーヌ女史の子供の足取りは掴めていねえ、ギンガから連絡を受けてから追ったが引き取ったって親戚は存在してなかった」

マジかよおじさん、となると可能性はあるな。

話す年でも無かったから印象は無いが、どんなガキなんだろうか……
























今日は連休でも何でもない、よって明日に備えて帰る。

「んじゃ、また」

「行ってきまーす」

スバルと共にミッド南部に戻る。

姉さんが近いうちに六課に来るとはさっき聞いた。

やりにくくなるのは確実である。

「ねえ、ケイスケ?」

「んー?」

振り返ると街明かりでスバルが照らされ、

それを見てちょっと綺麗と思ってしまった……不覚。

「楽しいよね、機動六課」

「まあな」

「ティアがいて、みんながいて、憧れだったなのはさんもいて」

「俺はその憧れさんらに苦労させられてるがな」

「本当、ちょっと羨ましいよ」

嘘だろ!?

「それで、ケイスケともまた会えた」

……

「だから、きっとこれからもっと楽しい毎日になる、絶対!!」

……ちょっと訂正だぜ。

「なるんじゃねえ、するんだよ、絶対な」

さっさと片付けてくれよ、面倒な事件なんかよ。

それで、毎日騒がしい日々を過ごすんだ。

俺はちょーっと解散後が心配だがな。

「……うん、絶対しよう!! 約束!!」

「そのためには、まずこの間の報告書類をあげないとな」

うっと詰まりやがった。

全く、楽しいやつだよ、お前はな。

































日にちは変わり、何故か宿舎に一人のガキが住み着いた。

ヴィヴィオとかいったか、前の時のちみっこである。

特徴は左右の目の色が違うオッドアイだが……

確かヒューマノイドにはオッドアイは発現しないはず。

誰にも聞いていないが、デザインヒューマンなんだろう。

全く、なんでこー訳ありな奴ばっかし集まるんだ、俺の回り。

普通のやつといえばランスターぐらいしかいねえ。

うん、ランスターの存在は貴重だ、大事に友人を続けよう。









「何故にママンと呼ばれてるの?お二人」

「えー、その親御さんがいないらしくて」

「なのはさんに懐いたから保護責任者になって」

「フェイトさんが監督する事になって」

「二人ともママに」

毎回思うんだがよ、エリオ、キャロ、そのセリフ引き継ぎは練習してるのか?

いや凄い芸だよ、うん。

「? あの、なのはさん、お二人がママなのは分かりましたけど、そうなるとパパは?」

スバルー!! その疑問は考えちゃダメー

ほら、なのは隊長とフェイト隊長相談始めただろうが!!

「うーん、ヴィヴィオ、パパいた方がいい?」

「パパ? 欲しい!!」

あっはっは、何とも子供らしい素直な返事だなおい。

摺り足、差し足。

「じゃあ誰がいいかな?」

「なのは、ユーノは?」

「ユーノ君は友達だって、それに忙しいから相手できないよ」

会った事無いがユーノさん、あなたに心から同情する。

後二メートル。

「まあ、真偽はともかく忙しいからね、となると」

「こだわるね、フェイトちゃんも、とりあえず六課にいて」

後一メートル。

「それなりに時間がある男の人」

「それで私達に縁がある……」

そこでヴァイスの兄貴と言え、言うんだ!!

グリフィス補佐官でもいいぞ!! ほら出番が増えるし。

前にいる六人の首が こちらを

向く前にダーッシュ!!

ガタンと何かを蹴ったが気にするかボケ!!

「あ、逃げた」

「追うんや!!逃がすなー!!」

「何処から沸いて来た部隊長!!」

「ボケある処ツッコミ有り、関西よりの使者はやて見参!!」

ツッコミ所は大量にあるが敢えて一つ。

「そーゆーのは推参っていうんだよー!!」

「うーむ、日本人にも分かり難い部分をツッコミいれるとは……さすがは私の相方!!」

ちなみに、推参は芸の押し売りって意味である。


















「けーさーん、何で逃げるのー」

ぐ!! シバいて逃げにくい追っ手が、

「誰が好き好んで十六歳でパパなんて呼ばれるかー!!」

逆算しろよ? 知らない奴から見たら俺十歳の時には体験したと見られるんだぞ!!

断固断る!!

近所のおばちゃん連中に「まーったく近頃の若い子は」とか噂されたく無いんだよ!!

「ケイスケ、止まってよ」

エリオか!!

曲がり角で待構えるとは成長したな、しかし!!

エリオの頭に手を置きそれを軸に華麗にターン。

「わわわわ」

「エリオ君?退いてー」

勢いついたキャロは憐れバランスを崩したエリオと衝突した。

赦せ二人とも、今度パフェ奢るから……

次は、ランスター!?

しかしアイツは無言で右を指差した。

ま、まさか、助けてくれるのか!?

このケイスケ、今六課にきて一番の友情に感激している!!

そのまま角を曲がりそのまま外に、

出た処に隊長ズとスバルがいました。

は、図ったなシ○ア!!

無理言うな!! あの四人に「お願い」されてみさい!!

「ティアナ、そこは「君はいい友人だったが……」ってやらないかんで」

部隊長……遂にシンパシーにまでツッコミを!? 恐ろしい子!!




















さて、なのは隊長。

この人は意外に話が通じる人だ。

「……意外って……」

誠心誠意話し合ってヴィヴィオ、だったか?

まあガキんちょとの交渉権を勝ち取った。

「パパ?」

「ノーノー、お に い ち ゃ ん」

「パパ!」

「おにいちゃん、もしくはアニキ!!」

「アニキ……」

「エリオ?」

外野は無視!!

「パパ、パパ、パパ!!」

「アニキ、兄ちゃん、にぃ!!」

くそう、何故こだわるこのガキ!!

「同レベルね……」

「え、えっと、けーさんはそこがいいんですよ」

ランスター、同い年のお前ならママとは呼ばれたくないはず!!

「パパ、おとさん、ちち、ふぁー!!」

急にボキャブラリー増やしやがって!!

負けんぞ!!

三十分に及ぶ闘争、その果てに勝利を掴んだのは、

「ふふふガキに負けてたまるかい」

「むーむー」

やった、勝った……そうさ、俺はまだまだ自由だ。

「ちぇ、にぃ、もっとあそぼ」





あれ?

とりあえず大口開けて笑うスバルを叩いても俺悪くない。


あとがき

やっとフラグ回収、いやもうちょっとバレイベント後にすれば楽だったかも。

次は地球行きの予定です。





>そうヴァイス陸曹はACEドライバーだったんだよ!!  な、何だってー!?

そう、日夜牛丼のためにがんばるのですw(え〜)


>将来エリオとキャロが思春期に入ったらフェイトは更に凹むんだろうな。
>ケイスケの方はエリオとキャロに色々と相談されそうだな。
>ケイスケがエリオとキャロの二人を連れて遊園地で遊ぶ所が見てみたいです。
>フェイトは仲間外れにされて何処かでいじけてるとか 

うん、ケイスケは拉致られて一緒にいるのと、後ろから怨念込みで見られるのとどっちがいいでしょう?
遊園地で遊ぶのはいいかもしれない。


>ヘビーバレル避けた!? ヘリパイすげぇ

早めに察知すればレーザー系以外は回避可能ですw


>何気に今回一番凄いのはヴァイスの兄貴だと思ったのは俺だけか?

大人気なヴァイスのアニキでした。


>>没ネタでは兄妹でしたw  って、良いじゃないですか!?

無いわ、と言われた、結果ケイスケの母はオリキャラになりました。
採用されたらエリオ、キャロと一緒にルー子戦でしたよ。


>フェイトさ〜〜ん、ケイスケって何屋でしたっけ?wwww

何故かできてしまうケイスケw
やばい知り合いもいるためですw
姿勢を作るのは応急処置の試験で覚えられます。


>ケイスケに危険手当みたいなのは出るのかな?
>事務員だから戦闘に巻き込まれても特別手当はありませんとかだったら悲惨ですね

ズバリ、ありません。orz


>鬼丸さんの作品は何かいつも矛盾点が多くてつっこいどころに困ります…なんで?

うんごめんなさい、本当にごめんなさい。


>何気にヴィヴィオがケイスケをパパと呼ぼうとしていた気ガスr…

気のせいではないのがこの話でわかってもらえるとw


>ヴァイスさんスゲェーww何処のエースドライバーww
>貴方の師匠は百舌さんですかwww

実はエースは教官の派遣も(嘘ですw)


>鬼丸さん、いっそのことヒロインごとにルートを全員作って!PLEASE

うそーん、さすがに展開を全員分考えるのはw
ifでくっ付いた後くらいでご勘弁を


>やっと数の子登場か〜    続きがきになるぅ〜

今回と次では出番が無いですがw


>むぅ、今回もフェイトさんが壊れていらっしゃるwww。どうも、youmaです

すっかり壊れが定着したケイスケフェイト、


>フェイトさん、その発言はOUTですw

ギリギリ発言はどのレベルなんでしょうw


>うおぃ、ヴァイスさん。あんたサンデーのほうに出演してませんでしたか?
>具体的にはD-L○VE○○とか・・・。

実は斑○の弟子なんだ(え〜)


>ん、あれだ。六課には良くも悪くも奇人変人しかいない、とw

普通の人間に勤まるとでもw?


>なのはさん、やっぱりか、やっぱりなのか?
>数多のSSで語られるようn(チュドーーーン

いや、何が来るのか想像できないんですがw


>ちょっ、まさかのルーテシアフラグw

とりあえず、話す前だったということで、面識はケイスケ組みだけです。


>ちょ、D-LIVEネタ

意外でしたここまで感想がw


>あれ?ヴァイスが斑鳩に見えますよ?

みんな大好きですね、皆川作品w


>ヴィヴィオ、ケイスケが引き取らないかなぁ

うーん、甲斐性が足りないw
誰かと一緒なら行くかな? スバルとかw








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