前回:なのは隊長とメシ食いに行きました。

以外におもろい人でした。

部隊長に仕返しできました。





              ケイスケの機動六課の日々その10




「ねえ、ケイスケ君……」

「駄目です」

俺の視界をほとんど締めるのは女性の体。

男の匂いは不快なだけなのに、何故異性というだけでここまで違うのか

「お願い、頼めるのはあなただけなの」

「だから無理ですって」

さらに近付かれ平静を装うのが難しくなる。

相手の体温が伝わるのか、興奮で体温が上がったのか、熱いと思う。

「ねえ」

柔らかくて細い指が俺のゴツゴツした手を握る。

男は女の人の手に驚くが女性は男の手で驚く。

本能からくるものなのか

それともそれ程までに違うからなのか

俺には分からない。

女性の左手から一枚の紙がそっと差し出された。

その上に書かれている文字は女性らしさを感じる。

そこにはこうあった。





領収書

上様





「経費で落して、今月ピンチなの!」

「知るかーー!!」





















白衣を着たシャマル先生、さっきの色っぽい雰囲気は次元の彼方にぶん投げている。

「えー、だってだってお仕事で使うんですよ〜」

「何処の世界に警備でドレス代払う組織があんですか!!」

そりゃSPとかなら分かりますよ。

あっちは警護、プロだ。こっちは警備、要はど素人だ。

ど素人は姿を見せて警戒してますよーってポーズが限界である。

「オークション会場なのよ、こう、スーツにドレスで入る所なんだから」

「制服は貴人の前でもOKですー、制服マンセー」

大体なんで三着も買うんだよ、内部から怪盗でもでるってんかい。

「そんな時、頼りになります、三エース」

「まさに役にたたないパターンでしょうが!!」

包囲網の構築、経路の先読み、それに合わせた人員配置に不意に備える予備人員の待機

チートで手札は全部エースかジョーカーなウチとの相性は最悪だろ?

いいとこ全部吹っ飛ばすのがオチだぜ。

「そもそも何で俺に話すんですか、補佐官が会計でしょ」

「グリフィス君はケイスケ君を通してくれって」

補佐官ー!!

ニッコリしてから疲れた笑みを浮かべる補佐官、

美形がやると絵になるが今されると嫌味にしか感じん。

「ケイスケ君、僕の母はね、フェイト執務官のお母様の友人なんだ…」

だからなんだ。

「しかも母は八神部隊長と仲がいいんだ」

だからなんなんだ。

「……小さい頃に、この人達に逆らうな。と刷り込まれたんだ」

いや、何となく分かりますけど

「そんな立場で意見出来ると思う?」

「無理っす!!」

「でしょう。だから頼みます、隊長達の窓口を!!」

なにー! う、見回せば事務室の人間全員が俺を見ている。



ちょっとまて。



「おい、新人お前隊長達に憧れてたとか言って」

「やですよ、アイドルってフィルター通すから憧れるんですよ」

「シャーリーさん」

「あ、私デバイスの調整で忙しいの」

み、皆さーん

ざ、っと歴戦の兵隊のようにそっぽを向かれた。

ふぁっく!



















「で、何でまたこんなもん買ったんですか」

そーだ、それだ。どーしょもない理由ならそれで跳ねればいいんだ。

うう、と呻くシャマルさん、うん設定年齢22歳に見えねえ。

「実は、もうすぐはやてちゃんの誕生日が……」






「ほほう、街を歩いていてドレスが目に入り、

衝動買いする際に次の任務を思い出し、つい三人分買ってしまったと」

「はい!!」

「なるほどじゃあしょうがないなー














なんて言うかー!!」

キャーと乗って来たシャマル先生、やはり設定……

「しかし、何故このような値段に……」

領収書の金額は七桁に達していた。

「さ、三人に見劣りしない物を選んだらそうなっちゃったのよ〜」

究めて思わないようにしてたけど

先生アホでしょ

「返品」

「もう袖通してもらっちゃった。てへ(は〜と)」










「よーし、今からこの人殴っていいと思う人〜」

はーい、はーいの大合唱

「ひ、酷いみんな!!」

酷いのはアンタだアンタ。

「まあ、衝動買いの部分に同情の余地はありませんが、誕生日という点だけは評価しましょう」

結局一般課員でカンパしあうことになった。

足りない部分は機動六課事務室ローンである。

ちなみに社長俺。

「じゃあみんなにお披露目ね」

とご機嫌な先生だが取立はしっかりやる事を忘れてほしくない。

主に給与明細上で




















前線組には当日まで秘密とのこと。

うむ、美女を見るのは純粋に嬉しい。

それが着飾った姿なら一見の価値があるだろう。

「ねえ、どんな感じだと思う」

「やっぱり、フェイト隊長は黒でしょ」

あーやっぱ黒属性と認識されてんだフェイト隊長

中身は白、つーか気持ち悪くなるくらい真っ白な人だが

「はいはーい、お待たせしました。御入場でーす」

パチパチと拍手のなか入ってくるドレスアップされた隊長達

徐々に小さくなる拍手、その理由は感嘆ではなく……唖然だった。

「ど、どうかなみんな……」

返事は無かった。

そう、隊長達のにピッタリのドレスだった。おそらく十人中十人が似合うと言うだろう。

なのは隊長は、珍しく髪を下ろし明るい感じのドレスを

フェイト隊長はみんなの予想の通り黒のドレス

部隊長も髪をセットして花のワンポイントの入った白のドレスだ。

それにそれに透明のストールを付けている、ちなみに三人とも肩出し。

パーティの花になること間違い無しだ。

しかし、その、化粧が……

そう、はっきり言ってケバい











おい、誰か何か言えよ。

ちょっ止めてくださいよ、なんて言えばいいんですか。

正直に言うしか無いんじゃない? あのままじゃアレで行くよ

って誰が言うんだよ

こんなテレパシーを交わせるくらい心は一つである。

誰って

ジーって視線が背中を刺すのが分かる。

おい、てめえら!!

窓口でしょ、覚悟決めなさいよ

先輩、私達あなたの事を勇者として永久に語り継ぎます。

ほ、補佐官ーって一番後ろで丸くなるな

こんなんで伝説になるなんて嫌ー!!

ドンと誰かに押し出されて隊長達の前に

「あ、ケイスケ君どうかな」

ああ、なのは隊長、化粧の上からも赤くなって

フェイト隊長も同様だ。

こ、これに真実を告げなくてはいけないのか!?

そ、そうだ八神部隊長!!

あの人ならこれをネタにしてる可能性も!!

「あは、黙っとらんと何か言ってーな」

なにー!! てっ照れてる、マジか? レアだ。

しかしそれは、天国への扉を閉じる事を意味する。

後ろからも前からも別の意味での催促が迫る。

ど、どうしたら













結論から言うと、俺は真実に殉じた。

隊長達は寮母のアイナさんの正しい指導を受け、それは見麗しい姿に変身したそうな。

残念ながら俺はそれ見る事はなかった。

医務室のベッドを住家としていたからだ。

事務室のメンバーは代わる代わる俺の勇気を称えたが、三隊長とは数日口を聞いて貰えなかった。







そして任務の日、俺は後悔してならない、こんな下らない出来事でダウンしていなければ

こんなバカなコントをしていなければ

早めに何かできたのではないかと

正直俺はその日

あー、エスコート役までやらされなくてよかったーとベッドで考えていた。

















スバル視点

「ミスショットね……」

「うん、ティアがミスなんて、初めてだったから」

どうしていいか分からなくなった私が頼ったのはケイスケだった。

何時もはティアに頼って今はケイスケに

正直、自分の無力が嫌になる。

「俺なら間髪を入れずに何すんじゃってツッコミいれるとこだな」

あっはっは

「ケイスケッ!!」

「お前がミスした時、ランスターさんはそんな感じだろ」

え?

「それも出来ない位テンパってたって事か……」

そっか、私ってそんなにティアに頼ってたんだ、今さらながら自分の甘えを自覚する。

「話せよ、どんな状況でそれが起きたか、報告書も読んでねえんだぞ」

「でも、これじゃあティアの代わりにケイスケに頼るだけじゃあ」

「アホか、お前、頼っていーの。一人で何でもできる人間なんかいる訳ねーだろ」

俺なんかダチに頼りっ放しだぜと笑った。






うん、話そう。ケイスケは何時も私の味方をしてくれたんだし。

話した、エリオ達が疲れて下がってもらい、私達が前に出た、そしてコンビネーション

ティアのミスショットから私を守ってくれたのがヴィータ副隊長で、そして前線から下げられた。

「先に正解から言えば、そこは隊長達に来て貰うべきだったな」

やっぱりケイスケもそう思うんだ。

「人間体力は無限じゃないから、そこは余裕のある人に任せてお前らは回復に努めるのが良かった。と俺は思う」

「うん、今なら私もそうだと思う」

だけど私はまだ余裕があった。

無駄に離れず、加速距離を無駄にしないように努めた結果

スタミナを温存出来ていたんだ。

だから

「だからランスターさんもそうだろうと、お前は考えた訳だ」

うん

「お前の反省点はそこだろ、パートナーをよく見ていなかった、

勝手な思い込みで無理させた訳だ」

は、ハッキリ言うよねホント

「だとしても、らしくねえのがランスターさんだろ、何か思い当たる事あるか?」

うーん、最近何かに悩んでるのは気が付いてたけど

「まあ、俺が言ったのだって当事者じゃ無いから言えるんだしな、その場にいたならまた違うだろうよ」

そうかな? ケイスケって当事者でもこんな感じだと思う。

でもスッキリした。

「ありがと、ケイスケ。私、ティアと話してくる」

行け行けと布団を被って私を送るケイスケ。

ひねくれるなー素直じゃない所とかやっぱりティアと似てる。

二人共大事な友達なんだから仲良くして欲しいんだけどね。














ケイスケ視点

普通、敵の射程ギリギリとか余計に疲れるはずなのだが……

スバル、ホントに人類か?

やれやれである、この調子ではエリオとキャロも来るんじゃね?

たく、上司が尊敬されんのも考え物だ。

憧れのあまり相談されねえとか、どんだけ〜







「で、もう出て来ていいですよ」

「え、ホントにホント? 出たらお楽しみ中とかないですよね」

シャマル先生……んな部隊長や俺の駄目友人みたいな思考しないでくれよ……

あー言っちゃおとかほざく設定……をシバいても誰も怒らないと思う。















「でもケイスケ君、すっかり相談係ですね」

はっはっは最近新人の皆さんのレベルが上って俺いなくても回るからね。

「ん〜いわゆる窓際社員?」

「どっちかって言えば御隠居ですがな」

流石スカウト組、二月ちょいで抜かれるとは!?

お爺さんビックリだぜ!!

「いいんですか? 十六歳でそれで」

「俺は全然OKです、遊ぶ為に生きてますから」

楽にこした事は無い。むしろ暇カモンである。

「で、今回の事件について、シャマル先生の意見を聞きたいんですが」

ちょっと真面目になって話を聞く、話ってのは誰がやろうが主観が入る。

客観に立つには複数の証言は必須だ。

「うーん、実際普段の新人達をよく知りませんからね〜」











ふー











使えね〜




それで「実際新人組と一番仲がいいのはケイスケ君だと思いますよ」ときたもんだ。

あー何もこんなタイミングで三隊長と冷戦しなくてもなー

今日、副隊長とかにも色々聞いて、とりあえず分った事。

当たり前だが仲良しグループが出来てる事だ。

しっかし、たかだか四人チームで派閥作るなよなー。

よーするに隊員同士と隊長達で組が出来ちまってるんだ。

まあ、隊長達の付き合いは十年。

普通ーに回りに壁できるわな。

オマケに隊長グループは最低ランクで特化技能AAAのエリートグループ。

そりゃ下心無い奴は近付かねーや、はっはっは………








マジ、どうしよ………








つまりあれよ、スバル達と隊長達の見えなくて自覚出来ない壁が原因だろ?

それで互いに突っ込んだ会話が出来ない訳よ。

で、何で俺が崩さねーといけねーの?

分ってる分ってるんだよ、いわゆる第三国が俺よ

まさかどっちかの陣営の崩壊を待つ訳にはいかねーよ。

人が悩んでると思えば、スバル達もスバル達で妙にハイな日々を過ごしてやがる。

エリオから聞いてくれと言われても

「へへ、女の子の秘密」

とか訳分からん問答だし、

隊長達もまだ機嫌が悪い。

副隊長達は隊長達にベッタリで

がー!! マジでシバいて緊急会談開いたろーかー!!









そんなんで時間だけが過ぎた。

「今日の模擬戦、ちょっと見に来てよ」

「突然なのはいつもだが、今日はまた素晴らしくいきなりだなスバル」

俺の気の回し過ぎだったのだろうか

問題のランスターさんの事も、スバルが片付けたのだろうか?

「アンタにも何かと迷惑かけたみたいだからね、ちょっと自分なりの成果が出来たから」

……なんかランスターさんまでしおらしいよ?

アレ? 何? マジで考え過ぎだったの?

あっはっは。あー馬鹿みた。

なんだよ、だったら後は隊長達にちょっとしつこく謝れば何時もになるじゃん。















俺はこの時は本気でそう思ってしまった。

彼女の根本的な悩みも、理由も何も知らなかったから

「少し、頭ひやそうか……」

隊長の指から走る光弾はランスターさんを撃ち抜き

「ティアー!! っバインド!?」

「今日の模擬戦は二人とも撃墜されて終了」

多分最悪に近い形で問題は顔をだしたのだ。







後書き

欝展開っていや〜〜〜〜〜〜

と本気で思っております。

でもこのエピソードって重要だと思ってます。

欝のまんまが嫌だから次の話も書き始めてます。

早くいつものノリに戻って、ギン姉さんやヴィヴィオも絡めてコント生活させたいです。

あ、コミケ参加の皆さんお疲れ様でした〜〜

なのはブースで一緒に並んだ方、生のケイスケ感想感謝です。





拍手返信


>なんというオチだ、ケイスケ強く生きろ!!  続きを楽しみにしてます

どうもです。ケイスケは強くしたたかに、そしていじられて生きています。



>今回は無理でしたが、いつか、いつかフェイトフラグが立つことを期待してます!!

よーし、がんばって  もフェイト隊長がスルーしそうな……

引っ付いたら引っ付いたで、ティアナとシャーリーさんに日常フォロー役として拉致られるんだろうナ



>フェイト・・・こっちまで突っ伏しました。はやて、何書いてたのw

うーん、引っかかってくれて嬉しいです。

はやて本は人気ですね〜、私は彼女はLV5(末期)だったと設定してます。

注:末期周囲の人間でCPを妄想する。ク×ヴァ、ク×ユ、士×恭



>毎回楽しく読んでいます。
>あなたには才能があるので、逆風や逆境にも負けずに頑張って下さい。

そ、そんなに褒めると調子に乗っちゃいますよ私(テレテレ)



>ほのぼの系って中々ないので、とても面白かったです。
>なのはが主な話を楽しみに待っています。

前回がそうでしたがご期待に応えられたでしょうか?

あんな感じで行こうと思ってるんですが



>とても面白かったです。これからも頑張ってくださいっ!応援してます。

ありがとうございます。貴方達の感想で元気が出ます。



>思わずシリーズ一気読み。ちょお面白い。この調子でまったり楽しませてください。

うわ、本当にどうもです。また〜り生活に早めに戻したいです。



>ケイスケ機動六課、いっそスバルトくっついちゃえYOと思いました。
>フェイトさん勘違い杉w

スバルも絡めやすいです。今のところ可能性は高いかも

フェイトさんみたいな美人にこんなこと言われたら、私なら立ち直れませんw



>戦闘がメインじゃないリリなのSSは貴重なので、毎回楽しみにしています。
>続きもがんばってください

事務員ですからね〜、あんまり強くしないようにしたらこうなりました。

続きもポチポチしてますんで、気長に待っていてください。


それでは皆様ありがとうございます。










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