はぁと何度目かわからないため息をつく、

ため息の原因は手元の書類、書いてあるのは転属辞令。

まああれですよ、一応俺公務員な訳で移動が多いのは分かってるのです。

問題は行き先だよもう一度書類に目を落とす。

ケイスケ・マツダ二等陸士を遺失物機動六課事務員に任ず




        ケイスケの機動六課の日々 その1




俺ケイスケは管理局の事務員である。

こんな魔法全盛の世界で魔力資質がおっそろしく低いもんで武装隊にすらはいれん。

しかしながらミッドチルダにおいて管理局は超安定の職場

入局したのはそれが理由と言えるくらいだ。

しかしながらこれ、機動六課。

新設部隊ということで調べて見たところ、かの有名なエースの方々が作ったとのこと。

ダチに話せば皆さん

ラッキーじゃんとかサイン貰ってこいとか気楽に言うが問題は

これが本局が作った地上部隊ということ。




公務員でも派閥というのがありまして地上と本局というのは上の仲がすこぶる悪い。

地上部隊とは言え実際は本局よりだろう。

ここに所属するということは今後本局派閥と見なされる可能性大だ。

明らかに若い俺に厄介事を回したに違いない。

俺は中立でまったりしたかったのに。

おそらく今後家から通える地上部隊にはいられまい。つまり本局関係に引越し可能性大。

まあ決まってしまったものは仕方がない。移動の挨拶に回れば皆さん「悪いね」な笑顔を向けやがった。

ちくしょう、月のない晩は覚えてやがれ。



そんなこんながあったが来てしまいました機動六課。

さすが新設部隊。めっさ綺麗だよ。

前にいた築三十年のおんぼろ隊舎とは全然違う。

他のとこならまず部隊長に挨拶だが新設らしく後でみんなで、だそうだ。

やだやだ、朝礼とか立ったまま寝る人ですよ俺。

受付にいた人にデスクとロッカーに案内してもらい荷物をまとめる。

うお、端末まで新型かよ。古くていいからその分給料くれ。



隣にいた人に挨拶。眼鏡のロングの女の人、

なんでも丁度俺の隣の席からロングアーチとかいう管制チームの席らしい。

この人、シャリオさん(会ってすぐあだ名で呼べと言われたが)は

デバイス調整もやるらしく、ほとんどこの席にいないとのこと

かわいかったのでちょっと残念。

事務の上の部署はロングアーチというらしく挨拶に行きたいと言ったが

できたら部隊長挨拶の後にしたほうがよいと言われた。

新設じゃあ仕方がない忙しいだろうし。



時間になってロビーに行くガラス張りでめっさ綺麗ー

うわ同期いやしねー。同期仲間のありがたい教え、

「上手く立ち回れ」のありがたみを思い知りました。

全く守らなかったからな。



さっき話せなかった事務仲間にも挨拶、なんだか新入り組多い、やっぱヒゲ中将派閥つえー。

地上組はほとんどらしいからな。だから中立の俺かよ。




しっかしみんな大体十代とかありえね。

いくら他の世界より就業年齢低いからってここまで極端な部隊とか聞いたことねえ。

めんどい処理とかどうすんだろ。

俺とかいわねえよな。



時間になって挨拶、八神部隊長、短い挨拶。マジ感動した。

開始十秒でやばくなって赤ポニのきつめ美人に睨まれてたからな。

後が怖いぜ



解散になってバラける。事務屋や管制組以外の面子の顔確認。

悪友どもなら真っ先にフォワード隊長陣に突撃するが

関係有るか無いか判らん方々より身近になるであろう同僚が気になります。

特に食事系の方と仲良くなるのは重要だ!!



うあ、なんか明らかに成長期来てませんながきんちょもいますよ、

これはエリート魔導士かね?

事務仕事が増えそうな悪寒。

前のとこに来た奴って事務苦手だったんだよね。

元気そうな赤毛とおとなしそうな桃髪。

隣にいる大体俺と同じ年くらいの奴が魔導士組か?

ツインテールのきつそうな女と青髪の活発そうな奴の計四人か。



んあ?なんか青髪がこっち見とる。

知り合いだっけ?覚えがねえ

えーっと同期に覚えねえし、学校時代のタメとも該当しねえし

あ、向こうもなやんどる。



「あんた、スバルになんか用なの」

ツインテールに話しかけられてしまった。

まあじろじろ見られたらそう来るわな、見た目と同じで性格きつめか。

ん?スバル?

「スバル・ナカジマ?」

つい声に出してしまった。思えばこれが不味かった。

あーケイスケだーーと叫ばれてそこら中の目を集めてしまった。



このアホ………



ロビーでこのまま話す勇者で無い俺はスバルのアホを連れて移動した。

さくっと手を貸してくれたツインテールは明らかに俺と同じ苦労をしたに違いない。

ちみっこ達もついてきた。

俺はいきなり無断休憩することが確定したorz



「つまりあんた達は子供のころの親繋がりの友達と」

はい、ツインテール改めランスターさんが的確にまとめてくれました。

広い場所ということで食堂に移動

ここも綺麗だ、前のとこなんて狭いわ前線組がいて蒸し暑いわ………

とりあえず自己紹介



「ケイスケ・マツダ、16歳、階級二等陸士、仕事は事務員よろしく」

スバルが?マークを出してる。まあアレだ

こいつと会わなくなってから色々あったわけで

別にスバルに後で言っとけばいいだろ、気まずくすんのもなんだし

で一通り自己紹介

赤毛の男の子がエリオ・モンディアル

この年でBクラスとかなんというトンデモ

桃毛の女の子がキャロ・ル・ルシエ

たしかどっかの部族の名前だったと記憶してる。

その部族がトンデモスキル持ってた気がするが覚えてねえ。



でティアナ・ランスターさんとやら、スバルとずっと同期らしい

レベルはB、陸学校上がりでBってことは確かここまでストレートなはず

くそ、ここにも完璧超人が。

だが一番の驚きはスバルだ。



俺としてはがきんちょの頃の泣き虫スバルしかイメージにねえ

そいつがここまでストレートとか、なんかすっげえおいてかれた気がする。



「ちっさいころね、ケイスケいっつもシューテングアーツをお姉ちゃんとやっててね」



語りモードになったスバルをチョップで止める。

よかった、元気になったがそれ以外は変わってねえ



「あんた、魔導士なの?事務員なのに」

うお、ランスターさん気にしてることをずばりと

シューティングアーツは魔法打撃系だからそう思っても仕方ないのだが

まあ隠しててもしょうがないのでここで告白。



はっきり言って俺に魔導士としての資質はほぼ0である。

おふくろは結構優秀だったらしいがまったくその血を受け継がなかったわけだ。

シューティングアーツはあくまで格闘技として

デバイスどころか魔法起動は1種類、しかも数発で種切れという体たらく

指揮官特性もないし武装隊での目はほぼ無い

「それに武装隊って体育会系できっついじゃん」

つかそれが理由の大部分だったりしますw

大体八つの頃なんて基礎も基礎、体の動かし方しか習わねえよ。



一応仕事中なのでこの辺で失礼させてもらう。

スバルの奴が後で話そうねとか言って来たが

そんなことより、さっさとデスクに行かなくてはいかん。

すでに噂が先行してる可能性もあるが

こういうのは早めに正しい情報を流しておかないと修正が面倒になるのだ。



自己ベストを更新するような素晴らしいダッシュで事務室に移動

一瞬で息を整え服を正す。

よしOKちょっと気まずくても入るぜ



「でな、あの二人って絶対なんかあるで」

「いや、あれは恋人以上の関係かと」

「普通に友人との再会では」



ファッキン、いきなり噂の種が発芽してやがった。



部隊長まで率先して噂話してたのには驚いたが何とか正しい情報に修正した。

状況を正しく認識してくれたロウラン補佐官

あなたの株は私の中でトップ高になりました。



いきなり消えたことを謝罪。皆さんにこやかに許してくれました。

女の子組のいいネタ見つけた顔は今後一年をとっても不安にしてくれました。



で、全員顔合わせの自己紹介

ロングアーチは事務兼任らしく一緒にやるそうだ。

あの騒ぎを見て俺を待っててくれたらしい。

ありがたくって涙が出る、そこで俺の噂話をしなければ



しかし、事務係長相当になりそうな年の人がいねえな

「いやー、事務長は経験者が捕まらなくてな、グリフィス君が兼任するんやけど」

ああそうですね、優秀な事務員ってどこも引っ張りだこですからね、なかなか捕まりませんよ。

「それでな、ケイスケ君」

いきなりファーストネームで君付けかよとも思ったがツッコミは上司なので自重。

「事務専任じゃ一番先輩やしみんなのこと色々見たってな」

………はい?

後書き

StS終わったからなんか書こうかなと思ってて

初期に考えてたオリキャラを大幅に弱体化させてみました。

基本ツッコミ役です。

ちなみに初期では耳と目が異常になっており全方位を常時視認できるトンデモ人間でした。

嫉妬団、なかなか進まないんで書いたのです。







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