あの事故から7日がたったが、未だに秋子さんは昏睡状態が続いている。
名雪はあの事故から、表情のない人形のようになった。 





、、、、、俺にはなにができるだろうか、、、、、、










kanon「・・・・・・君のためにできること・・・・・・」




家には戻りたくない。
秋子さんがいないという現実を改めて思い知らされるからだ。
でも、俺の場所はあそこしかない。
それに、、、約束したんだ。  ずっと一緒にいるって。
そう自分に言い聞かせ、俺は今日もこの家のドアのノブに手をかける。
名雪はあれからずっと学校を休んで部屋に閉じこもったままだ。
名雪と顔を合わせるのは食事の食器を取りに部屋にはいるときだけ、だが言葉を交わすことはない。
あいつの顔を見ると、なんて声をかけたらいいかわからなくなる。
でも今の俺には、こんなことをすることしか思いつかない。





(なさけないよな、、、ほんとに、、)
俺はシャワーを浴びながら、今日に限ってこんなことばかり考えていた。
シャワーを浴びているときはすべてを忘れることができたのに、
今日に限っては違っていた。

俺は今日これから起こることを、無意識のうちに感じていたのかもしれない。





ふと、名雪の部屋の前で足が止まる。
(今の俺には、、、、、でもそばにいるぐらいなら、、、)
そう言い聞かせ、おれは

コン コン

名雪 入るぞ。



そういい、俺は部屋のノブに手をかけた。



もっと早く名雪の部屋にこなかったことを後悔した。

部屋の床はいつもより光って見えた。
月明かりのせいか?  、、、、、いや違う。
部屋の床は赤い液体が支配していた。
その中心に、左手首を押さえながら、泣きながら俺に訴えかけてきた名雪がいた。

「、、、祐一、、、止まらない、、、止まらないよこれ。」

言葉より先に体が動いていた。
俺がそばに駆け寄ると同時に、名雪の意識はなくなった。
俺はとっさに名雪を抱き留め、首にかけていたタオルを名雪の手首に押し当てた。
が、タオルは見る見る赤く染まっていった、、、、、、。







後編




名雪は病院のベッドの上で意識を取り戻したが、
しろうとのおれからみても名雪が今どんな状態なのかは一目でわかった。

「、、名雪、、、名雪、、、、どうして?、、」



声が震えている自分が恥ずかしかったが、そんなことはどうでもよかった。

「、、祐一、、、自分でもわかんないの、、、、
でも、、お母さんだけじゃ寂しいと思ったの、、、、だから、、ね、、」

「馬鹿!、、じゃあ俺はどうなるんだよ、、名雪において行かれたら、俺は、、、」

「、、、、、、、、うん、そうだよね、、ごめんね、、、、うっぐっ、、ほんとに、、ごめんね。」

名雪の瞳からは、今までの悲しみと、俺に対する、、
いやもしかしたら、秋子さんに対してのものだったのかもしれないが、
その想いが涙となっって最限なく流れていた。



ちがう、、、、、。



おまえはなにも悪くないぞ、、、、、名雪、、、、、





たった一言なのに俺はこの言葉が出せないでいた。





これほど自分に腹が立ったことはなかった。






そして俺は、その言葉を伝えることなく、名雪と別れを告げた。







そんな名雪の思いが叶ったのか、秋子さんの意識は奇跡的に回復した、、、、



でも、、名雪は、、、、、、本当にこれでよかったのか、、、、






俺には、なにが残ったのかな、、、、、、、、






一週間後・・・・



学校に出てこない少年の元を訪ねた彼の友人は、誰もいない家の少年の自室で冷たくなっている少年を見つけた。
通告で駆けつけた警察調べによると、少年の死因は、餓死。


おそらく一週間飲まず食わずだったのであろう。



けれども、その死に顔はとても安らかなものだったらしい。




そして発見された時、少年の手には電池の切れた目覚まし時計が、
しっかりと握られていた。
















<終>

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