『北の高校生の非常識な日常 外伝
あゆと星崎のデート大作戦 後編』




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○ 前編を読んでいれば分かると思います。
○ なお、今回も祐一達の視点です。
○ 時々、あゆ達の視点に変わります。


「ふっふっふ、もう直ぐだ。もう直ぐ来るはずだ」
という祐一。どうやら回想を思い出して、テンションがあがっているようだ。
「安心しろ。星崎、あゆ。俺達が素晴らしいデートにしてやる。そして、それを肴に宴会だ」
と浩平。やはり生徒会室で宴会は既に決定事項らしい。
「なぁ、相沢、折原。本当に素晴らしいデートにしたいなら。俺達は手を出さないほうがいいんじゃないか。」
と北川の突込みだ。しかし、二人は反論した。
「ふっふっふ、貴様も乗り気ではないか。」
「そうだ、昨日はかなり熱くなっていたではないか。」
という。昨日、覗くための双眼鏡選びに、一番時間を割いていたのは北川だ。
それを出されると何も言えなくなる、北っちであった。
「そうだな。この状況を楽しもう。そして、宴会するぞ!」
もうやけになっていた。
「おっ、来た来た。…ほう、二人ともかなり気合をいれているぞ。」
と祐一が言う。確かに二人とも服装からしていつもと違う。

あゆは制服のときにしか着ないスカートをはいているし、 星崎はなんとジーンズなんてはいてやがる。生意気な。そして
「俺だって、ジーンズ欲しいさ。だけどな、どこかのな。イチゴジャンキーやら真冬にアイスが食える奴に
奢ってさえいなければな。」
と祐一が独白していたという。
二人は哀れみの視線を送っていたが、それもすぐにやめた。同情したら逆ギレされる。
と二人は思い、話しをそらした。
「おい、祐一。行こうぜ。見失う。」
「そうだぞ、でも俺達は変装でもしないとすぐばれるからな、急いで変装するぞ。」
と言った。


そして、
「おっ、相沢。結構似合ってるぞ。」
「お前こそ。最近の変装グッズはよく出来てるな。」
「………ただ、髪の癖ッ毛直して眼鏡をかけただけなんだが。」
祐一はサングラスをかけて、髪を下ろしていたのを少しあげている。
普段は、祐一の髪を上げている姿を見ていないため、近くで見ないと分からないはずだ。
北川は髪の触覚(癖ッ毛だーー)が無く、眼鏡をかけている。
どちらかというと、勉強が出来そうな格好だ。
「浩平はどうした。」
「まだ、来てないぞ。」
二人は周りを見渡した。しかし、浩平はまだ来ていないようだ。
「遅いな。そろそろ入園時間だぞ。」
とその時、
「待たせたアルな。」
という声がした。振り向くと
「「……………」」
二人は絶句した。そこにいたのは
何故か、男物の中国服だった。
何故か、袖に手を入れている。
何故か、縦に長い帽子を被っている。
何故か、チョビヒゲをつけている。
何故か、声を高くし、語尾にアルをつけている。
どっから見ても偽中国人。二人は呆然としていた。
「どうしたアル。何を呆然としているアル」
この言葉を聞いた瞬間。
「「アホカーーーーーーーー」」
バキッ
二人の見事な、それは見事な突っ込みが炸裂した。予想はついてるだろうが浩平だ。
「何をするアルか。」
浩平は立ち上がり、二人に尋ねる。
「目立たん格好にしろや。このボケ。」
「テメェは真剣に馬鹿だな、おい。」
二人の見事な反論。しかし、浩平は、
「怪しくないアル。この格好は謎の中国人1号アルヨ」
「「謎の中国人と名乗っている時点で、もう怪しさ200%じゃねぇか、この馬鹿!!」」
二人の正論を返せなかった。
「もういい、とりあえずその格好脱いで、元の服装にしろ。それで眼鏡でもかけろ。」
「それじゃ、変装にならないアル。」
「「その、怪しい格好よりましだ!!!」」
その後、眼鏡をかけ、元の服装に戻ると同時に開園時間になったという。


なんとか、あゆ達を見つけた。尾行隊
「今日は、あゆさんに付き合いますから、好きなものを選んでください。」
「えっ、いいの?」
という会話がされていた。祐一の教えを忠実に再現しているようだ。
「はい、今日はあゆさんについていきますからね。」
「うん、じゃぁ、まずはあれ」
と手をつないで走っていった。祐一達もついていく。
「ちょっ、ちょっと、あ、あゆさん」
星崎は手をつないで嬉しいのが6割、恥ずかしいのが4割という顔をしている。
そして、近くのアトラクションに入っていった。
祐一達は
「おー、あのあゆがリードしているぞ。」
「高校生には見えないけど、やっぱり年上は違うな。デートのせいか少し大胆だ。」
と祐一と浩平のコメントでした。
そして、30分後
「楽しかったね。」
「そうですね。あゆさん。」
と二人が出てきた。まだ開園したばかりのせいかあまり人がいないためすんなりと入れたようだ。しかし、
「んっ?」
「?どうしたの?」
「いえ、誰かに見られていたような気が…気のせいでしょう。」
と二人は仲良く手をつなぎながら、次のアトラクションに歩いていった。


「…どう思う。」
「…あの二人が手をつないで回っているというのはいいことだが、それで終わりそうだ」
「…やっぱり、俺達で何とかしないとな。」
と尾行隊が相談した。ちなみに草の中で会議しているためかなり目立っていた。


「うーん、じゃぁね、次はあれ。」
とあゆが指差したのは、
「…スカイタワー?」
と呆然と呟いた。ちなみに星崎は軽い高所恐怖症です。
(祐一は過去の悲劇が無いため、平気です。)
「うぐぅ、駄目。」
「い、いえ、そんな。い、いきましょう。」
とあゆの下斜め45°からの涙目は星崎にとっては、最強の武器になるようだ。
そして、二人はスカイタワーに入っていった。


「くくく、行くぞ。」
と尾行隊も次いで入っていった。


「うわー、よく見えるよー。」
「そ、そうですね。あゆさん。」
声が震えている星崎を尻目にあゆは楽しんでいた。
「星崎君もおいでよー」
だが、あゆが呼んでもなかなか、動かない。
「すいません、もうちょっとしたらいきます。」
と言った。


「ちっ、しょうがない。浩平」
「OK。では。」
浩平は自分の武器である棒を転がした。


「もう、はや…」
あゆが振り向いた瞬間
ビタン
とあゆが転んだ。ちなみに足の近くに棒があったが、その棒が一瞬にして消え、浩平の手に戻っていたが、
尾行隊以外気付いていないようだ。
「あゆさん!」
とあゆに近づく星崎。作戦は成功したようだ。なにせ高所恐怖症の星崎が急いで近寄っていく。
「あゆさん!大丈夫ですか!」
心配そうに声をかける星崎。あゆは
「うぐぅ、痛いよ。でも、うれしいな。心配してくれてありがとう。」
とあゆは笑った。それをみて星崎は顔を赤くしている。
作戦は予想通りだったが、その後直ぐにもとの場所に星崎が戻ってしまった。
結局のところ、失敗だったのだろう。
しかし、
パァーン
出るときにクラッカーが鳴った。二人は意味がわからなかった。
「おめでとうございます。当タワー10000組目のカップルです。」
といわれ、二人は顔を赤くした。記念品と花束を貰い、去っていった。
なお、相当顔が赤かったという。


「おい、祐一。作戦が失敗したぞ。」
「ふっ、慌てるな。まだまだ、これからよ。」
と不敵に笑う。祐一達を遠目に見ながら、北川は
「なんか、俺達って、悪者?」
現在の自分の立場を正確に認識していた。


その後も何度となく策を施した。
ある時は、昼飯を食べているときにわざとぶつかり、ジュースをかけ、接近させたり。
またある時は、メリーゴーランドに乗っている最中にひやかしたり、
またまた、ある時は、人ごみをうまく使い、お化け屋敷にいれても
そして、浩平の偽中国人の衣装を使って、占い師に化けて、二人の相性はばっちりと言っても…… etcetcしたが、この3人は見た目がかなりいいため、ところかまわず逆ナンをされていたため、
必ず失敗に終わっている。
二人は手をつなぐ。から先には進まなかった。


(くそー、なんでだ。俺の計算が狂っている。なぜだ!)
と祐一はこの二人のあまりの奥手具合に辟易していた。
(だいたい、星崎。もうちょっとでいいから、大胆になれ。そうすれば、また違うものを)
とこれは浩平だ。星崎のふがいなさを呪った。
(くっ、このくっつけの王こと北川潤が頑張っているのに、なぜだ。)
北川は祐一と同じ事を思っていた。しかし、いつ、くっつけの王と呼ばれたんだ?
3人は前方の二人を睨み付けた。よっぽど鈍感でない限り気付くような視線だ。
案の定、
「んっ?なんだ?」
「どうしたの。」
「いや、視線を感じたんです。でも、気のせいでしょう。」
といい、二人で歩いていった。この二人相当鈍感のようだ。何故なら
「ふぅ、ばればかったな。」
「ああ、そうだな」
「…なんで、ばれないんだろうな。」
祐一は近くにあった、銅像の後ろに
浩平は電柱の上にいて。
北川は池に飛び込んでいた。
「くっ、こうなったら、最終手段だ。」
「最終手段?どうするんだ?」
と北川が尋ねる。この男だけはいなかったのだ。
「ふっふっふ、俺は最後に観覧車に乗れ。っと言ったんだ。」
「ふむ、それで。」
と北川が聞いた。それがどうしたんだ。と言いたそうだ。見ると浩平も同じ様な顔だ。
「ふっ、今までのことから考えて、あいつはそれを忠実に従うだろう。
だから、それのコントロールルームの制御、俺達でぶん取るんだ。」
「…なるほど。それで止まってる間に、進展させるんだな。」
と3人が歩き出す。
「どうやって、進展させる?」
「俺と北川であゆ達の観覧車を揺らす。」
「なんで、折原の力でいいじゃん。」
と北川が尤もなことを言う。折原の力であゆを転ばせればいいのだ。
「いくらなんでも、何もない所で転んだら、ばれるからな。だから揺らそうと思う。」
と祐一の説明。二人は頷く。
「さぁ、行くぞ!」
3人はコントロールルームに向かった。


時を同じくして、生徒会室。
「……そろそろ、だな。」
と龍二が言う。あの3人が動き出すとしたら、帰る寸前だろうと予測していた。
「まっ、どうでもいいがな。」
ペンを動かしている。彼はここで、読書をして、飽きたから書類を書いていた。勘違いしては行けない。
彼は自主的には書類を書いたりはしない。退屈凌ぎに書類を書くのだ。
しかし、一弥が見たら泣いて喜びそうだ。
「そろそろ、久瀬が食材を買ってくるだろ。準備でもするか。」
彼は包丁を用意した。宴会の用意も着々と進んでいた。


「着いたな。コントロールルームに」
「いいな、あゆ達の順番はもうすぐだ。あゆ達が頂上に着いたくらいに止めるぞ。いいな」
「「おう。」
「よし、いくぞ!」
3人はコントロールルームに入った。職員全員の目が3人に向けられる。
祐一は刀を振るう。まぁ、一般人だから峰打ちだろう。
浩平は棒を振るって、全員を昏倒させていた。
北川は一撃で意識を飛ばしていた。
そんなこんなで、全員を瞬く間に倒していた。
一人だけを残して、
「き、君達の目的はなんだ。」
震える声で聞いてきた、Aさん(仮名)。
「なぁに、ちょっと観覧車を止めて、アナウンスをしてくれればいいです。」
と祐一が言う。
「そんなこと出来るか!出て行かないと警察に…」
Aさんはそこで言葉を止めた。逆らえば、死ぬ。と本能的に悟ったようだ。
「二度同じ事を言う前に止めたほうが身のためですよ。」
「は、はい。わかりました。」
かすれた声だったが、要求通り止めてくれた。そして、
アナウンスが入る。
「えー、現在、原因不明の停電が発生しましたので、ご了承下さい。繰り返します…」
とアナウンスが終わる。
「こ、これでいいかい。」
「ええ、いいですよ。ちなみに観覧車はどうすれば動きを再開できますか?」
「こ、ここを押せばいいですけど」
「じゃっ、寝ててください。」
「へっ」
ドスッ
ドサッ
柄で腹を殴ったのだ。そして、そのまま、倒れた。
「浩平、コントロールは任せたぞ。」
「任せろ。」
浩平を残し、二人はあゆ達が乗る観覧車に向かった。


「どうしたんだろうね」
「そうですね。」
と、何も事情を知らない二人は観覧車の中で談笑をしている。
仲はこのデート良くなっているのは確かだ。しかし、祐一達が求めたのはその形なのだ。
要するに、キスである。
そんな事も露知らず二人は話していた。しかし、この平穏も
二人の介入者によって無くなった。
ガタンッ、ゴトン
急に観覧車が揺れた。あゆは星崎に向かって倒れてきた。
二人は密着した。そして、星崎は
(キスをしろ)
という祐一の言葉を思い出していた。顔は赤くなるばかり。
一方のあゆもこの状況が恥ずかしいのか顔を赤く染めている
不意に二人の視線が合った。
二人の顔がゆっくりと近づいていく。そして、


「よしよし、これで良しっと。」
二人のキスシーンを見届けた。二人は浩平に合図を送り観覧車を動かすように指示を出す。
「まっ、経過はどうあれ、一応、成功だな。」
二人は観覧車のフレームを降りていく。
「まっ、でも証拠は残しちゃいけないな。だから…」
と祐一がとりだしたものは、記憶消去ジャムと書かれていた。
「とっとと、使ってこい。そして、速く宴会をするぞ。」
その後、コントロールルームにいたものは今日の記憶を失っていたそうだが関係無いので
これ以上の追求は避けようと思う。なお、Aさんは左遷された。


生徒会室 「ふー、できたね。」
「そうだな。」
と料理を完成させた、生徒会のBIG2である。
この二人の並べた料理は高級料理店でも通用しそうである。
「そろそろだな。」
「ああ、だが今日の被害を考えるとちょっと頭が痛いよ。」
と久瀬がかなり辛そうな声を出した。
「まぁ、あいつらが暴れて、ニュースで何も報道されてないから、大丈夫だろ。」
「……そうだな。」
と頷いた。少し考えると哀しいがもう慣れた。
バタバタ
「おい、騒がしいのが来たぞ、久瀬。宴会用の酒の方は大丈夫だろうな。」
「大量に持ってきている。僕も今日は飲むからね。たまには、ストレス発散しないといけない」
と久瀬が話し終ると同時に、
「「「おい、今日の作戦は成功だぜ。」」」
という声とともに3人が入ってきた。
彼らの騒ぎは、まだ終わらない。

なお、彼等は祐一のことをこの宴会でどんなこと過去を送ったか、などを知った。
転校前の事もよく知ったそうだ。


後書き
作:ふー終わった。
浩:しんどそうだな。大丈夫か。
作:龍二がいないときついよ。さぁ、次は本編だ。
浩:おー、ヤクザに手榴弾投げて終わったあれな。
作:おー、次回で能力が大分出てくるぞ。多分、君の能力も出す予定だ。
浩:能力といえば、この回で出てきたな。あれがそうか?
作:おう、君の能力は空間に関係している。
浩:まぁ、わかりやすいといえばわかりやすいな。
作:はっきりいって、君は強いから。他の面子もそうだけど。
浩:…そうか。でも他の町にもこんな奴らたくさんいるのか?
作:いるわけないだろ。君達のいる街だけだ。
浩:そりゃそうだ。
作:次は本編だ。待て、次回。     
                              



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