『ジョジョの奇妙な冒険外伝 SNOW MEMORYS
第19話 インターミッション』
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現在は水瀬家に向かっていた。
メンバーは祐一、名雪、あゆ、栞、香里、北川である。
彼等は無言だった。いつもならあゆや栞が話しかけてくるが、そんな雰囲気はない。
彼等を知る者が見たら、異様な光景だろう。
基本的にトラブルメーカーである祐一を筆頭に一癖も二癖もある人物たちだ。
もっとも、一部の人物は自覚に乏しい所があるが……
「………何から………聞きたい?」
祐一が切り出した。
一通りは話したが、納得できない所もあると判断した祐一は質問を受け付けようと切り出したのだ。
あゆと栞は無言。闘いは終わってもまだ冷静になりきれていないのだ。
むしろ、すぐに適応した祐一と名雪がスゴイのだ。
名雪に限って言えば、秋子さんの娘という事で、納得している部分があるが……
香里は件の誤解のお蔭で適応したのだった。
そのせいで、北川がエライ目にあったのだが……
閑話休題
それはともかく現在も水瀬家に向かっている最中だった。
「………わからないけど………危険だっていうのはよくわかったよ……」
「………あゆさんに賛成です………」
そして、沈黙が続いた。それは水瀬家に到着するまで続いた。
場面は変わった。
暗い………ここは暗い部屋の中………
電気をつけていない部屋の中………とある男に反逆を続ける者たち………
そして、そのリーダーでもある、久瀬秀平がいる。
この部屋の主である、斎藤は現在、外出中だ。
「どうしたものか………」
彼のボヤキはどこにいくのか………
そこに………
ピリリリリリ……!
彼の携帯から呼び出しがかかった。
久瀬は携帯の液晶画面にでた名前を見た。
その相手は………
「!?なんだと!!?」
彼は驚愕の声を出す。
その人物は、久瀬秀人……彼の父親にしてこの街を裏から支配する男………
そして、彼が反逆している人物であった。
しかし………
「なぜだ?普段は電話なんてしないはずだぞ?」
そう、彼は自分の裏の仕事を知られぬために極力自分からは電話などしない。
それどころか、全て自分の部下にやらせるはずだ。
それは息子である自分も例外ではない。
いつも電話から聞こえる声は、若い女の声か、彼の側近である『坂城縛鎖』のはずだ。
坂城自身も強力な……いや、強力という言葉でも足りないくらいのスタンド使いだ。
だからこそ、今の今まで従っていたのだから……
強大な精神力、それに加えて経験豊富でその全てを戦闘に費やせれる。
自分も、一対一なら負けないとは思うが、勝てる気もしないのだ。
だからこそ、相沢祐一達を見守っていた。願わくば協力関係なれば彼らを倒せるかもしれない。
そう思ったからこそ、久瀬秀人……ボスに知らせたのだ。
「とりあえず………電話にでよう」
彼は携帯に手を伸ばした。
そして、聞こえた声は、低い声だった。
「わたしだ………秀平」
「………お久しぶりです………父さん………それともボスと呼びましょうか?」
「どちらでもかまわん」
「ならば、ボス……用件はなんですか?」
久瀬自身、今回なぜ電話がかかってきたのか……自身も見当がついていない。
明確な解答を受け取りたかった。
「……雹が退けられた。貴様の眼力もたいしたものだな」
「お褒めに預かり光栄です……雹とは思いきった人選ですね」
「正確には雹を退けたのは、相沢祐一だ。だが、それまでに雹がかなり苦戦したらしい」
「なるほど……さすがに雹を倒す事はできませんでしたか……あの2人は」
「しかし、雹を追い詰める事ができたからこそ、相沢祐一が楽に退けたのだろう。
無傷で退けたらしいからな」
久瀬は腹のうちを探っていた。自身も策謀家だと自覚しているが、電話の男も相当策謀を得意としている。
「雹の状態は?」
「腕を一本斬られたそうだ。自分で応急手当をしていたから大丈夫だろうがな」
「………そこまで強かったのですか?」
このことは正直驚いた。追い詰めた、とはある程度予想していたが、あの雹が腕一本失いかけたとは……
あの能力は精密に動けないはずだが、雹自身が几帳面な性格のためか、能力以上に正確に動く。
その上で、パワーもスピードもかなりのものだ。
「霧絵が助けなければ、確実に再起不能だ。感謝しなければならない。問題は相沢祐一だ」
「彼がなにかおかしなところでも?」
「霧絵が、彼が到着するのを見たときに、
リトルミラクルの能力を使っていたが、殴った瞬間に発動したそうだ」
「……妙ですね?彼の能力は2秒後に発動するはず……」
「成長しているのかもしれんな。厄介な存在だ」
(フフ……この成長………喜ぶべきだな)
「報告を感謝します。用件はなんですか?しかし、あなたが報告のためだけに電話するとは思えない。
どうしました?」
久瀬はこの男が報告のために電話するとは欠片も信じていない。
息子の声を聞きたいなどと、言うのは既に論外。
絶対にありえない。そう信じているし、昔尋ねたときにこう宣言された。
「いらないガキだ。いっそ死ねばよかったものを……」
そう宣言された。その言葉は耳に残った。
この言葉とその前に父が行ったもの……それこそが、父を憎む最大の理由。
久瀬は利益の独占というような目的で闘っているのではない。分類するなら私怨が正しいのだ。
「………報告は遅くなったからな。今、伝えよう」
思考の海に入ろうとするところに、彼から伝えられた言葉は……
「倉田佐祐理と川澄舞のところにはもう向かわせた。そろそろ接触を図るだろう」
訳が分からなかった。彼女たちは明日の予定だったはずだ。
この男はもうスタンド使いを送りこんだとそう言った。
焦った。自分のミスだ。しかし、冷静になろうとした。少なくとも目の前の男だけは、
「誰を送りこんだのですか?」
表向きは冷静に話しかけた。
頭は必死に冷静になれ、とセルフコントロールさせた結果だった。
「工藤彰人……最初は戦闘タイプでどれほど強いか確かめるべきだろう?」
「……そうですね……」
「使える男になったものだ。まぁ、人はいつ死んでもおかしくないからな。
生きるか死ぬかは、誰も分からんからな」
プツッ
静寂のなか、久瀬は動かない。
彼は俯いたままだった。そして、
「……最後……通告……か……」
彼の呟き。彼の頭には既に死の文字が浮かんでいる。
現状では難しいこの状況。しかし、彼には覚悟ができているのだ。
それが鈍る事はないはずだった。しかし、現実に自分の敵の威圧感に押されていた。
平静を保ったつもりだが、それでも大きい敵。
「覚悟は………できている!僕は……死んでも貴様を倒す!!」
声を荒げた。こうでもしなければ、呑まれてしまうと思ったから……
現実に呑まれそうになっていた。
そして……
ピリリリリリ!
またしても電話の音。
しかし、今度とは違った。彼が信頼する人物の名が液晶画面に浮かび上がった。
すぐさま、電話を取った。
「斎藤か?どうした?」
「よろこべよ、久瀬。あいつが仲間になるそうだ」
「!ほんとうか!」
先程までの緊張感のせいか、少し声が大きくなった。
「ああ、これから連れてくるからな」
「頼んだぞ」
電話を切った。これ以上話しているとまずいためだ。
「僕には仲間がいる……か……それを知ったよ。タイミングがよくて助かるよ。昔から」
そう言って、僅かに微笑した。
珍しい表情だった。しかし、あまり違和感がなかった。
雹と霧絵は報告を済ませた。
報告といってもあゆと栞の能力を伝え、客観的な視点の報告を済ませた。
二人はこの建物から出るべく歩いていた。
「……いい加減な報告をしやがって……」
「あら?感謝してよ。
祐一くん相手に良い所がなにもなくて、あっさりやられたのに、少しは反撃をしたって言ったのよ。
感謝はされても悪態をつかれる覚えはないわよ」
「………それを……いい加減って言うんじゃないのか?」
「話しがあってればOKなのよ」
説得力がない。
そうは思うが笑顔で言われてしまうと、この女の場合に限って言えば妙に説得力があるから不思議である。
童顔の幼い顔も影響しているのだろう。
雹は溜め息をついた。何を言っても無駄だろう。
このマイペースを貫く女に何を言っても無駄だというのはよくわかっている。
「それにしても……カッコよかったな……祐一くんって……また会いたいな」
「惚れたのか?」
「カッコイイだけじゃなくてね。本気で怒ってたでしょ。ああいう子がカッコよく見えるのよね。
今度、お茶でも誘ってみようとおもうの」
「わかったから……涎を垂らすな。怪しいぞ」
何を想像しているのだろうか?聞かなくてもわかりそうだが……
「アッと。今度会ったときまでお預けね」
「……本気でするつもりか?」
彼のツッコミは効果がないようだった。
斎藤宅
そして、斎藤が連れてきた男……その名も
「おいおい……俺はアンタのボスに実験台にされた男だぜ。利用価値はないぜ」
雨水 将……祐一を襲い、そしてスタンドを駆使した殺し屋。
スタンド、キラーナイフの性能の特筆するものとしてはスピード能力だった。
そのスピードは祐一のリトルミラクルと互角以上。
ナイフ故パワーはあまりないが、それを補えるだけのスピードを持つ。
「僕はそうはおもわない。力を貸して欲しい」
「お目が高い……とは言わない。正直、俺以上の能力は沢山いるはずだ。なのに俺を選んだ理由は?
それを聞かなければ納得できない」
「君の戦闘は見ていた。だから知っている。だが、あの時君に感じたものがあった。だから君を選んだ。
それでは不満かい?」
沈黙。そして、斎藤が立ち上がり台所に向かった。
お茶を用意する。
沈黙で場は重い。将は口をあけた。
「……だから、あの時、美人の姉ちゃん使って俺のこと助けてくれたのかい?」
「そうだ。あの時、渚に頼んだのもこの僕だ」
祐一のラッシュ……
最後の攻撃のとき、ここにはいない、神倉渚がスタンド能力を使い、彼は無傷だったのだ。
将はそこに恩義を感じている。だからこの場に来たのだ。
「……恩義は返そうとは思う。だがな……あの男はヤバイんだ。そんな事お前が一番知っているはずだ。
それでもなお逆らう気か?」
「当然だ!あの男はなにがあっても!絶対に殺す!」
突然、普段の久瀬とは違った表情で叫んだ。
将はそれに驚いた。今の今まで冷静な男がここまで怒る理由。
それを知りたくなった。
「お前の過去を話せ。興味が出たらお前の仲間になってやる」
またも静寂。
その数秒後。彼は決断した。
「いいだろう。話そう」
「久瀬!……いいのか?後悔……しないか?」
「………構わない。目的を遂行したい」
そして、彼は語り始めた。
20分後
静寂がまたも続く。
しかし、先程とは明らかに違う所がある。
それは久瀬はもう話すことがなくなったということだ。
こえで将が仲間にならなければ、もう打つ手がない。
彼らしくなかった。先程の電話の一件がまだ彼の中で影響しているのだ。
そう、彼の不幸という切り札を最初に使ってしまったのだ。
以外と思われるかもしれないが、目の前の男は義理や人情に厚いのだ。
だからこそ、雇われたという立場にありながら、尊敬を集めていた。
「………いいだろう」
沈黙が続くなか、将が決断した。
「ここまで聞いておいて、手伝わないわけにはいかないだろう。入ってやるよ」
こうして、彼にとって頼もしい仲間が増えた。
斎藤はガッツポーズを取っている。
そこに……
「……悪いけど、どいてくれる?」
「どわぁ!」
目の前の鏡から声がした。斎藤の予想が正しければ……
「な、渚か!?心臓に悪いぞ!」
「………そんなことはいいわ」
そして、彼女は鏡から出てきた。
声でわかっていたが、姿を確認したがまさしく、神倉渚、本人だった。
「……また会ったな、姉ちゃん」
「……あんた……誰?」
「俺だよ。3日前に助けてもらった」
「おい、おっさん!まとめて自己紹介するから、よく聞いとけ。久瀬から」
自己紹介が始まった。
「久瀬秀平。スタンドはブレイク・フィンガーズだ」
「斎藤怜二。デビルテープ。頼りにしてるぜ。よろしく頼む」
「……神倉渚。クイーンズミラー……」
「雨水将。知ってるかもしれんが、キラーナイフだ」
反逆者は揃った。しかし、舞と佐祐理の闘いはすぐにも始まるだろう。
後書き
作:どうもっす。ついに20話。いや、長い長い
???:ククク。貴様の命もこれまでだ……
作:だ、誰だ!?この声に聞き覚えがないぞ!?
???:なんだと!?忘れやがって……ヒントはレクイエムを使った相手だ
作:………?だれだ?おまえ?
???:もうちょっと思い出せって!?
作:そ、そうか!わかったぞ!
???:そうか。では俺の名前を言ってみろ
作:昔、レクイエムでとばした、竜巻式電気蜘蛛……
???:なんなんだ!?それは!?
作:別名、人造蜘蛛だ
???:そんなことしてたのか!?ていうか俺は人だろ!?
作:………(ポロッ)
???:ど、どうしたんだ!?な、泣くなんて……
作:そうか……人造蜘蛛は進化して人に……
???:違うだろ!?
作:冗談はこのくらいにして、どうしたんだ?祐一?
祐:……本当に冗談だったのか?そのまえに竜巻式電気蜘蛛に間違われた俺って……
作:なにを言ってるんだ!同類なわけないじゃないか!比較する事が失礼さ!
祐:そ、そうだよな!当然、俺のほうが格う……
作:竜巻式電気蜘蛛に失礼だろう!ネジ様に謝りなさい!
祐:ふざけるな!
作:いたってマジだが……それはそうと、なぜここにいる?
祐:フフフ。よくぞ聞いてくれた!SSなどには法則がある!それを利用したのだ!
作:なんだと?
祐:ある方法により脱出に成功した。その方法とは………
作:ギャグキャラになったのか?リトルミラクルの能力でか?
祐:クソバカ作者〜〜〜〜(ダッシュ!)
作:……やれやれだぜ。ここじゃ最初からギャグキャラだっての。次回は硬さの恐怖です
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