『ジョジョの奇妙な冒険外伝 SNOW MEMORYS
第9話 1つの決着と1つの始まり』
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遊馬SIDE
暗闇の部屋の中で男……海崎遊馬は顔や体から血が出ていた。
血が出ている原因は祐一のリトルミラクルの能力で飛ばされた物だ。
「ガハァ!……あ、あの男!!嘗めた真似を!!」
激昂する遊馬。彼の怒りはかなり大きい。しかし、すぐに怒りをおさめ…
「いや……嘗めていたのは俺だ……素人だと思って……油断しすぎた……」
自分の非を認めた。この闘いの予定は、北川を倒すことが目的で、祐一が主ではないのだから……
そもそも、祐一と北川を同時に相手をするのは、無理だと判断したボス(名前は伏せるが)に命じられ、
D・Sの封印を解いたのだ。
D・Sと同時に攻撃も出来るが、あまり正確な攻撃が出来ないガーデンズは、
逆に同士討ちの可能性もあるのだ。それを避けるためにわざわざ2つに分けたのだから。
名雪の覚醒という誤算があるが、それでも理由にはならない。
遅いかもしれないが、今、遊馬は本気になった。
「相沢祐一……嘗めていたのは謝罪しよう……だが!ここからは本気だ!!」
追い詰められた獣は恐ろしい……もはや慢心が消えたその姿は獣そのものだった。
祐一&名雪SIDE
遊馬の瀕死の台詞が辺りに響く。それを聞き
「まだ…か……だけど……もう一撃に耐えられるかな?」
祐一はさながら、悪役のような笑みを浮かべながら、制服のボタンを外す。
今度は制服のボタンを弾丸にするようだ。
しかし……名雪が異常を察知した。
「どうした?名雪?」
「ね、ねぇ…祐一……なにかが……変だよ……さっきとなにかが違うよ…」
名雪は脅えていた。祐一は分からなかった。
しかし、すぐに祐一も気付いた。明るかった深い深い青々とした空が雲に覆われていることに
「な…どうしたんだ!?」
「相沢祐一……嘗めていたのは謝罪しよう……だが!ここからは本気だ!!」
遊馬の言葉と同時に雲から雨が……いや、嵐が祐一達に襲いかかる。
2人はすぐに、屋根があるところに移動した。
「ふん!なにが本気だ!!ただ強い雨が降っているだけじゃないか!!スタンドのパワーの無駄だぞ!」
「確かにな……だが、無駄ではない!このまま雨が降りつづければ、貴様等は間違いなく溺死する……
それと、忠告だが建物の中には入れん!!」
2人は雨が降っているところを見た。
すでに2人の靴の高さくらいにまで、水かさは増している。異常な早さで水かさが増えている。
このままでは、確かに溺死する。
2人は比較的高いところに移動するが、階段の段差にして、5段くらいしか違わなかった。
なおも、水位は上昇している。
「ま、まずい!くらえ!!」
祐一は制服のボタンを殴り、命令した
(空に向かい、飛んでいけ!)
と、そして、2秒後。その命令に反応し飛んでいった。
しかし……
「く……だめか!?」
嵐の中飛んでいくには、ボタンは小さすぎた。
雨と風のせいでどこかに飛んでいった。
「いい考えだが……自然の脅威の前には意味がなかったな!」
遊馬の声が聞こえた。だが、強い口調だが、その声には先程までの慢心はない。
今の遊馬は本気で2人を倒すために、情けなどの攻撃を鈍くする感情もない。闘いでは油断してはいけない。
これが遊馬の脳にすでにインプットされている。
皮肉な事に、祐一達は敵を強くしてしまった。
時間が経つにつれ、移動した先も水が増えてきた。
「ど、どうしよう!?」
「くそ!このままだと、いずれ溺れ死ぬ!どうすればいい!!?」
しかし、遂に祐一の膝にまで、水が増えている。
そのとき、
ドズンッ!!
突如、木が生えてきた。この場にいる全員、意味がわからないだろう。
「な、なんだ!?」
答えるものはいないかに見えた。
「あ、アレは多分……私のスタンドだよ……」
「ど、どういう……」
「スタンド……だよね……これが反応してる……多分さっき、防御したときの種だよ!
私達が危険だと判断したから、木が生えたんだよ!」
「よ、よし…まだ希望はあるぞ!」
祐一はいまだ成長している木を見つめる。その高さはすでに4階建てのビルの高さにまで成長している。
どうにかして移動できれば……そして、登る事が出来れば、遊馬を直接攻撃できる。
そして……幸いな事に、そこにはまだ水がきていない。
「い、今のうちにあの木に移動するぞ!そうすれば、ここから脱出できる!」
「急ごうよ!速くしないと水が……!!?」
しかし、希望は簡単に潰れた。水がもう来ていた。
「あ、危ない!祐一!!」
名雪は力を振り絞り、祐一を引っ張った。
祐一は洪水に浴びることなく、元の場所に戻るが、もう木に登るまでの道がない。
「クソッ!!万事休すか!?」
祐一は絶望する。そして……種が2つあることを思い出すが……
そこは近くにあるところよりも、更に遠かった。
ズダァァァーン!!
遠くにある木が……名雪のスタンドだ……それが地面に倒れた。
「グボォォッ!!」
突如として、遊馬の声が響いた。
「な……何をした!?」
祐一と名雪は意味がそのときは意味がわからなかった。
ただ、起こった事があるとすれば、木が倒れたぐらいだ。
木が倒れた……これだけで、ダメージを受けた…それに気付いた祐一の行動は素早い。
「名雪!おまえのスタンドで俺をあの木の近くまで運んでくれ!!」
「え……あぶないよ!?」
「いいから……!?嵐が……」
祐一は驚いた。嵐が止んだのだ。そして、いまだに成長を続ける木……
いつのまにか、地面の水も無くなってきている。
「ど、どういうことだ!?お、俺は解除していないぞ!!?」
遊馬は慌てる。スタンドが自分の意思とは違う行動を取っている。
祐一は……
「ようやく……わかったぜ……名雪の能力の正体が……」
「正体?」
「ああ……おまえの能力は植物による攻撃……そして、オート防御の他に、もう1つある。それがこれだ」
祐一は目の前の木を指差す。そこにはいまだに成長を続けている木がある。
「おまえの種は、スタンドに植え付けると、木が生える。その養分はスタンドのパワーという事だ。
ある意味、おまえらしいよ……なにしろ、攻撃の必要がないからな……」
「へー……じゃ、私攻撃しないでいいの?」
「場合によるけど……スタンドに種を植え付ければ、そうだと思うぞ」
祐一は名雪の頭を撫でてやる。名雪は幸せそうだ。
少しして……
バラッバラッ!
世界が崩れてきた。周りの世界が全て……
「遊馬!!解除しないと、おまえが消えるぞ!!解除しなくても、俺が木を攻撃すれば、おまえは大怪我だ!
どうするかは自分で決めろ!!」
かくして、名雪の活躍により、ガーデンズは戦闘不能になった。
北川&香里
突如として崩壊する世界。辺りの空間がどんどん崩れていく。
スナック菓子がボロボロと崩れ落ちるように、辺りが崩れる。
「ど、どういうこと!?」
「わ、わからん!?」
名雪のスタンドは、2人が居るところにまで侵食しているようだ。
そのとき、殺人スタンドD・Sを破壊した、2分後の出来事だった。
遊馬SIDE
スタンド……パソコンの中の世界である『ガーデンズ』が崩れるのと同時に、
遊馬の体もバラバラになるような、感覚を受けた!
スタンドの世界の崩壊……それが遊馬の体を蝕んでいる。
「グッ……ヒュァ!!」
遊馬は焦って、計算した。このまま闘いを続けて勝てるかどうかを……
いや、その前にこの体がどうなるかを……
「クッ!いったん解除だ!!」
遊馬はガーデンズを解除する。そして、パソコンの中の世界から人間の気配が消える。
それと同時に、バラバラになるような感覚は消えた。
「クソッ!まさかここまで手強いとは……どうやって始末する!?」
遊馬の計算はもう修正が不可能なくらい狂っていた。
自分が負けたというのを認めたくないようだ。
しかし……
「君の負けだよ……海崎君……」
「だ、誰だ!?……なんだ……あんたか……」
後ろに男が立っていた。一瞬、誰だか分からなかったが、知人だったので警戒を解いた
そして……
「悪いが……死んでください」
「な、なんだと!?」
その知人はあっさりと……
そう、目の前の男はそれが彼の中においてもう決まっている事でもあるのだから……
だから、あっさりと言いきったのだ。
逆に遊馬は激しく動揺する。
目の前の男に殺される……それは、自分のボスが殺せと命じたと同じ……
「な、なぜだ!?確かに失敗したが……新たなスタンド使いの情報は手に入れた!?それのなにが不満だ!?」
「ボスには不満は無いだろう……だが、僕には不満だ。
そして……僕の望みのために死んでもらう……それと……既に荒神は始末した」
「う、裏切る気か!?」
目の前の男は、一瞬沈黙した。そして……裏切り者は
「違うな……僕が裏切るのではなく……あの男が裏切った……
そして……裏切ったとしたら……それは、始めから裏切っていた……ただそれだけさ」
抑揚の無い口調だが、どこか力強いものを感じる。
明確な意思を表わす裏切り者……そこには、裏切る事を恥じるような感情も表情もない…
むしろ、威風堂々としている。自分の行動にはなんの間違いもない……
目の前の裏切り者はそう主張している。
「クッ!……だが、いつかはバレるぞ!貴様の行動も見抜いているはずだ!!」
「そうだとしても関係無い……僕もタダではやられない」
その言葉と同時に遊馬は逃げるが……
闇の部屋からの逃亡……死からの脱出の成否は……
???SIDE
暗闇の中……一人の男は見下ろしていた。
そう弱者を見下ろすかのように……
「無駄だというのは分かっていたはずだ……今のおまえはスタンドが使えないのだから…」
そこには、海崎遊馬が倒れている。倒れた床には血が水溜りのようになっていた。
ガーデンズは解除したとはいえ、まだ名雪のスタンドが蝕んでいるのだ。
だから、スタンド能力は使えないのだ。
そんな中……裏切り者が侮蔑にも似た言葉を紡いでいた……本人にも自覚は無いのだが…
「おい!……とっとと逃げるぞ!!まだ、見つかるのはまずいからな!」
「待ちたまえ……どうせなら、事故に見せよう。そのほうがいいだろう?」
「なら早くしろ!あまり時間が無いからな!」
「待たせたね……では行こうか」
相方の忠告のすぐ後に、返事が返された。
もう一人の男はなにか言いたそうだが、時間が無いのが分かっているのかすぐに動いた。
「今回の目的の物も手に入ったし、大成功だな!!」
「……このままなら、なんとかなるだろう……だが……」
「どうした?」
一人の裏切り者は溜め息を吐いた。
「僕、個人のために利用している……それが、いやだ……」
バキッ!
もう一人の男は頭を殴った。
「そのことは言うな!おれ達はおまえのために動いている!だから……自分を卑下するな!!」
「……すまんな……」
「お互い様だろ……」
2人は……この街の裏の支配者に反逆する……
その30分後にその部屋から火災が発生したという通報を受け消防車や警察が大量に集まった……
しかし、火災は結局ガスが爆発したという事で解決した……
その原因は分からないが、ガスの爆発だと分かったため事故として扱われた。
美坂チームSIDE
4人は現実に突如として帰ってきた……そこは教室だった
4人全員が無事な姿なので(無事といわれると疑問が残るが……)安堵した。
そして……
「さぁ、どういうことか……しゃべってもらうわよ!今度は無関係じゃないわよ!!
知っている事は全て話してもらうわ!!」
この中で一番軽傷な香里が追求してきた……
「ま、待ってくれ……せめて、傷の手当てくらい……相沢…頼む」
「任せろ!だけど、勘違いするなよ……傷は塞ぐだけだから、血はもとには戻らない……
しかも、無理をすればすぐに開く」
祐一は言葉と共にスタンドを使う……そして、約2秒後に傷が塞がる。
傷が塞がる感触がくすがったいような感じだが、我慢した。
さすがに傷を塞いでもらって文句を言っては罰が当たる。
「ふぅ……便利だな……おまえのスタンド……今度さ……いろいろ試してみろよ……
多分、命令だから、物理法則無視するかも…」
「今度、試してみるさ」
「質問に答えなさい!!」
香里のいらいらした口調が教室に響く……もう教室には誰も残ってはいない。
見ると、名雪も同じ気持ちなのか、祐一達を睨んでいる。こちらは全然怖くはないが…
「わ、悪い悪い……では、話すと……」
「北川さん?」
そこには、祐一達より1年後輩の天野美汐が立っていた。
北川以外の3人は、?……と表情に書いている
「話しがあるというから、待っていたのに……どういうことですか?」
「悪い悪い……実は……」
バキッ!!
北川は後頭部にもの凄い衝撃を感じた……
後ろを見ると、鬼の形相をした香里とその近くにフヨフヨ浮いた香里のスタンド……マクスウェルがいた。
その後ろでガタガタ震える従兄妹同士の姿が見える
「北川君……悪かったわね……天野さんに告白するのに……引き留めて……」
なにかを……根本的に誤解しているようだ。が、それを指摘できる人間がいない。
その顔は鬼…というか夜叉である。
北川達は恐怖で、震えて呂律がまわらないのだ。
香里はゆっくりと唇を動かし、その後、舌を舐めた。
香里を好きな人が見れば、卒倒ものかもしれないが、今の北川には恐怖の対象にしかならない。
「ふふふ……お詫びに……化学を教えてあげるわ……」
「あ、あの……なにを怒っているのかしりませんが……お怒りをお鎮め下さい」
「水素は……こんなふうにつかえるのよ……」
その言葉を無視し、マクスウェルの杖が輝く。
ドカァァァーン!
北川の近くで、小規模な爆発が起こる。北川は廊下にまで飛んだ……
「き、北川!死ぬな!!」
「ま、まだだよ!だいじょうぶだよ!!」
「だ、だいじょうぶですか!?」
三者三様の回答。回答は似ているのだが……
「グッ!危なかった……能力を知っていたからな……ギリギリだった」
どうやら、自分で飛んだようだ……香里の能力も若干タイムラグがある。その間に飛んだのだろう。
「フフフフフフ……」
ビクッ!!
4人とも同じ反応をする。恐怖を感じて当然だと思うが……
「……天野さん……北川君に……なにか……用?」
「わ、わたしは北川さんに、相沢さんもスタンド使いに目覚めたから、見せようといわれたんです!」
恐怖のためか強い口調だ。香里はそれを聞き……
「エッ!?……あ、あはははは」
香里は笑って誤魔化した。
4人のジト目は香里を貫いた。
TO BE CONTINUED
スタンド解説
本体 水瀬名雪
ツリーフェアリー(命名 相沢祐一)
破壊力 D スピード B 射程距離 B(20メートルまで)
持続力 A 精密動作 E 成長性 B
能力
スタンドは自分の意思で操っている時も、スタンドが危険と判断したら防御する。
(自分が操っている時でも、それとは別に勝手に作動する)
種をスタンドに植えるとスタンドパワーを養分とする植物が生まれる。
それを攻撃すると、普通に殴るより大ダメージを与える。
そのままでも、スタンド自体が使えなくなるまで養分を吸い取る。
なお、周りの植物も操る事が可能である。
本体 海崎遊馬
ガーデンズ
破壊力 操る物次第 スピード 操る物次第 射程距離 A
持続力 A 精密動作 E 成長性 C
能力
パソコンの中に人を閉じ込める。そして、その周りの人間以外のものを操り攻撃する。
その操れるものはその気になれば、自然災害までコントロール可能。
ただし、操る物の規模が大きいほど精密的な動きができない。(もとから、あまり精密な動きが難しいが……)
誘拐しやすいスタンドである。(閉じ込めるだけならば簡単だから……)
後書き
作:ついに終わりました。結構長かった……
祐:……(しゃべれません……)
作:ク……とうとう……植物人間に……ん?
祐一のスタンドが動いた。そして……
作:そこまで……後書きに命を燃やしていたのか……(泣)
そこには……スケッチブックに鉛筆で書いているスタンドの姿があった
作:さくさく進めようか。(泣)
祐:カキカキ(今回、謎の人物が出てきたな…)
作:はい……彼らがどう動くか……何を考えているかは、現時点では謎という事で…
祐:(そうか……とりあえず、がんばれよ)
作:次回までに……復活できるか?
祐:(某中国超人のように復活してみせる!)
作:頑張ってくれ!(泣)
祐:(泣くなよ……やれやれだぜ……)
作:では、次回!
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