魔法少女リリカルなのは―――暗き瞳に映る世界―――
第一章
第二話
〈大天使と堕天使〉
「戦闘…訓練ですか?」
はやては先ほどリュウトが言った言葉を鸚鵡返しに口にした。
管理局の魔導師は基本的に自主訓練や教導官などの教えを得て成長していくが、それとは別にお互いの能力を高め合うために実戦形式の戦闘訓練を行うことがある。実戦さながらの状況下でこそ向上する要素も、数多く存在するからだ。
「もちろん君は見学ですが」
リュウトははやてに向かって言う。今現在はやてはデバイスを持っていない、デバイスが無くとも魔法は使えるが、デバイスを持たずに行使できる魔法では実戦でほとんど役に立たないだろう。
「私の相手は三名。クロノ・ハラオウン執務官、高町なのは君、そして、嘱託魔導師のフェイト・テスタロッサ君です」
はやてもリュウトの相手になる三名はよく知っている。
先の事件以降、特になのはやフェイトとは度々会っているのだ。年齢が同じだからか、彼女達と一緒にいるとなぜかとても素直になれる。はやてはそんな気持ちにしてくれる二人がとても好きだった。
「でも…大丈夫なんですか?」
そのはやての意見は至極当然だった。
この三名は現在、管理局において有数の魔導師だといえる。先の「闇の書事件」の際、この三名は大きな功績を残しているからだ。
そんなはやての言葉を聞きながらも、自分の執務室のデスクで書類とデータを整理決済しているリュウトは「まぁ、なんとかね」と苦笑いをしていた。
「しかし申し訳ありませんね、はやて君。書類の整理なんか手伝わせてしまって…」
主席執務官として彼に与えられた部屋は大きい。おそらく彼の同僚のリンディ提督の執務室以上の広さだろう。執務官の部屋――はやては以前、なのは達と共にクロノの執務室に入った事があった――よりは圧倒的に広い。
ちなみにはやてがリュウトと共にこの部屋に入ったとき、すでに彼の執務机は書類で埋まっていた。
電子データでの書類も多いのだが、内容によっては未だに紙の書類が使われているらしい。この仕事で一番向上したのは、書類に対抗する能力かもしれない。
「いいえ、これが今のあたしのお仕事ですから」
現在のはやてには戦う術が無い。無論デバイスの開発も行っているのだが、彼女に出来る事は限られている。そのため空いた時間を利用して書類整理の手伝いなどをして、この管理局の事を勉強している。といっても車椅子では危ないため、リンディ提督に無理はするなと言われている。
「シグレ。そっちはどうです?」
そうリュウトが、一角にある書類棚にいた自分の使い魔に声を掛ける。しかしそう言った矢先に聞こえてきたのは彼女の返事ではなかった。
ガタンガシャンガラガラ……バサバサ……ゴン!
「もおおぉぉぉしわけありませえええええええぇぇぇぇぇぇぇん………ぐぎぇっ」
何かが崩れる音と共に、奥の書斎で書類整理をしていたはずのシグレの声が聞こえてくる。後半はかなり弱弱しい声になっていた。
聞いてはならない嫌な音と悲鳴も聞こえた気がしたが、リュウトはあえて気にしないことにした。
「……シグレさん?」
はやてが心配になって車椅子を動かしながら見に行ってみる。
そこには、書類の入ったファイルの山に埋もれたシグレの姿があった。ファイルにほぼ全身を埋め、辛うじて見えているシグレの体もピクリとも動かない、そんなシグレの様子にはやてが困ったような顔を浮かべる。
「大丈夫ですか、シグレ?」
リュウトも書類片手に近寄ってくる。
その声に反応してか、ファイルの山の下からシグレの顔が出てきた。
髪の毛がくしゃくしゃになって、その翼のような耳もしおれていた。どうも彼女に秘書としての適正はないようだ。
そうこうしている内に書類の山の近くに立った主に、シグレは申し訳なさげに詫びる。
「…本当に申し訳ありません。主殿」
そう言って自分の上に載っているファイルと、何故か頭に落ちてきた猫缶を見て「…うぉのれリーゼ、あの陰険猫娘どもめ…」と悪態をついている。
じつはこの部屋、元々、戦技教導隊の非常勤教官であったリーゼアリア、リーゼロッテの部屋だったのである。
この部屋になる前まで彼に与えられていた仕事部屋は通常の提督執務室であったのだが、主席執務官となった際に「仕事の幅が広くなり、客人がくることも多いだろう」とのグレアムの配慮で、急遽この部屋が与えられたのである。戦技教導官二人が使っていたため、この部屋は広かった。
ちなみにシグレはリーゼ達と仲が悪い。鳥と猫ではどうにも相性が悪いのかもしれない。
リュウト自身も、以前に猫形態と鳥形態で睨み合っているリーゼロッテとシグレを見たことがある。
「とりあえず出て来てください。その私を苦しめる仕事の山の下から」
リュウトは笑いながら手を伸ばし、シグレをファイルの山から引っ張りだした。「ありがとうございます」とシグレも自分の手に力を入れ立ち上がる。
「おっと、そろそろ時間ですね」
壁に掛かっている時計に目を向けると、リュウトは執務室を出ようとする。
ひょっとしたら、書類の山から逃避しているのかもしれない。
「はやて君はエイミィの所に行って、訓練を映像で見せてもらってください。色々勉強になるはずです。シグレははやて君をエイミィの所へ案内してください」
エイミィ・リミエッタ。
彼女はL級巡航艦アースラの通信主任兼執務官補佐の任についている少女である。
主な任務はアースラの通信統括だが、有事の際にはクロノ達のサポートに回る優秀な人物だ。そして、リュウトとは彼女の弟分でもあるクロノを含め個人的に付き合いがある。
簡単に言ってしまえば幼馴染といえる。
シグレはそのリュウトの命令を聞いて「御意」と答え、はやての車椅子を押し始める。はやては「頑張ってくださ〜い」と笑いながら手を振り、執務室を出て行った。
「さてと、私も転送室に急ぎましょう」
今回の演習は管理局内の訓練ルームでは行わない。四人ともAAAクラス以上の魔導師のため、今回は辺境世界の砂漠地帯で行われるのである。そこならかなり高出力な魔法も使える。
「久しぶりの実戦訓練ですが、よろしく頼みますよ。二人とも」
その声に応えるかのように、彼の両手首にある腕輪が輝いた。
見渡す限りの砂漠。
生命の痕跡が恐ろしく希薄な世界。だからこそ、ここが演習区域となったのだともいえる。
ここには赤い蛇のような大型の魔法生物が生息しているが、この地点の安全は既に確認済みであった。
「お久しぶりです。リュウトさん!」
そうリュウトに声を掛け、飛びつくような勢いで駆け寄って来たのは高町なのは。魔導師として管理局に所属している少女だった。
彼女はすでに愛用のインテリジェントデバイス<レイジングハート・エクセリオン>を起動し、白いバリアジャケットを装着している。
そしてもう一人、彼女の隣には少女がいた。
「こんにちは。リュウトさん」
フェイト・テスタロッサ。
時空管理局の嘱託魔導師である。
彼女は現在、執務官を目指して訓練に励んでいた。愛用のインテリジェントデバイス<バルディッシュ・アサルト>も既に起動しており、バリアジャケットもライトニングフォームで固定されていた。
「ええ、久しぶりです。レイジングハートとバルディッシュの調子は如何ですか?」
いつもの笑みでリュウトは応えた。
レイジングハートとバルディッシュを心配しているのは、この二機にカートリッジシステムを組み込んだ際に、その作業のアドバイザーだったからである。そしてその理由は彼のデバイスにあった。
そう言っている彼も、既にバリアジャケットは着ていた。このバリアジャケットはクロノのバリアジャケットの原型ともいえるものである。
クロノのバリアジャケットを白と青でアレンジし、肩についている突起をなくして大型の装甲板を取り付ければつければこんな感じになるだろう。色合いとしてはなのはのバリアジャケットに近いかもしれない、もっともリュウトのジャケットには金属製のパーツが随所に数多く施されている。
「はい。特に問題はありません」
リュウトの質問に答えてくれたのはフェイトだった。確かに見た限りでは何も問題無い、しかし元々インテリジェントデバイスのようなデリケートな物にカートリッジシステムを搭載すること自体がかなり異例なことなのである。
さらにはこの二つのデバイスはカートリッジシステムを組み込むことを想定していないため、リュウトの心配も当然であった。
それでも、バルディッシュやレイジングハートが何も言ってこないということは、本当に問題ないのだろう。そう結論付けるとリュウトは小さく頷いた。
「では、そろそろ始めましょう。いいですよね?」
なのはやフェイトの後ろから聞こえてきたその声はクロノ・ハラオウンのものだった。
彼は若干14歳にして執務官という、いわゆる「天才」と呼ばれる人間であった。リュウト自身も世間一般では、この「天才」の部類に入るかもしれない。
実際にはクロノが努力型の人間であることはリュウトも良く知っている。なにせ同門の兄弟弟子だったのだ。
しかし、そんな準備万端のように見えても、リュウトには決定的に欠けているものがあった。
デバイスである。未だに彼の手には何も握られていない。
だがその点も、すぐに解消される。彼が自らのデバイスに目覚めを促す。
「さあ、行きましょうか。ルシュフェル!ラファエル!」
<<Yes, my lord. Set Up.>>
その命令に応じて、彼の両手首についていたブレスレットが光を放つ。
このブレスレットも不思議な形をしていた。右のブレスレットは手首のブレスレット部分から短いチェーンが伸び、その先にある銀の小さな円形のリングの中に一つの蒼い結晶が浮いており、左のブレスレットも、チェーンの先にある銀の小さなダイヤ形の金属枠の中に紅い結晶が浮いている。
そのどちらもリュウトの声に応え、結晶は大型化し、周りのリングは飛び散り、再び結晶を囲んだ時には、まったく違った形をしていた。
「すごい…あれがリュウトさんのデバイス…」
そのとき、はやてはエイミィのいるアースラの情報管理室にいた。
その部屋は、管理局の機密を除いたありとあらゆる情報を集めることが出来る。さらに別次元で起きている事もある程度はモニタリング可能なのである。
「そうだよ。あれがリュウト君のデバイス、<ルシュフェル>と<ラファエル>。どちらも制式化されていない試作型のデバイスで、姉妹機なの」
そう説明してくれたのはエイミィ・リミエッタ。
彼女はリュウトとは親しい仲のため、今回、「はやてをここから見物させてあげてください」と言ってきたとき、彼女は何も問題なくOKした。
「それにあのデバイスはね。ベルカ式デバイスのデータを使って開発されている物なの。だからああやって武器の形をとっているわけ。実際にベルカ式をモデルにして開発されたデバイスは管理局でもほとんどないでしょうね」
エイミィがデバイスについての説明を続ける。
「それにあの二機は管理局の正式な開発チームが作ったわけではないの、ある個人の技術者が作ったものなのよ。そうでもなければすでに失われて久しいベルカ式のデバイスがモデルになる可能性は低かったでしょうね。もちろん、ベルカ式がどうこうってわけじゃないんだけど…」
画面に映し出された二機のデバイスは、どちらも剣の形をしていた。
右のルシュフェルは片刃の剣で、巨大な逆刃のカッターナイフのような剣。左のラファエルは両刃の剣であり、どことなく優雅な感じのするバスタードソードである。そして、そのどちらにも鍔の少し上の部分にカートリッジシステムが搭載されていた。ルシュフェルはオートマチック方式、ラファエルはリボルバー方式。
「レイジングハートとバルディッシュ。この二機のデバイスにすぐカートリッジシステムを搭載できたのは、彼がいたから。その時、彼が所有していたあの試作型デバイスの予備のカートリッジシステムを回してもらったってわけよ。ついでに、ベルカ式を知っているからアドバイザーとしても参加してもらったしね」
その話を聞きながら、はやては戦闘が開始された映像をずっと見ていた。
そしてその後ろではシグレが「戦いたい……戦いたいぃ……」とウズウズそわそわしていた。鳥の羽のような耳をパタパタと忙しく動かしながら。なんとも器用な娘である。
「スティンガースナイプ!」
<Stinger Snipe.>
クロノが発動した魔法はスティンガースナイプ。術者を中心に螺旋を描きながら複数の敵を攻撃し、ある程度の魔力を失うと空中で再び螺旋を描きつつ魔力をチャージし、再び敵に襲い掛かる魔法である。
「アクセルシューター。シュート!」
<Accel Shooter.>
更に反対側から、なのはがアクセルシューターを放つ。この魔法は遠隔操作弾を複数用いて敵を攻撃する技だ。威力も相当なものであり、通常の防御壁ならば集中攻撃で貫くこともできる。
本来ならこの二つの魔法を同時に防御するのは難しい。しかしそれを見たリュウトは、未だいつもと同様、うっすらと笑みを浮かべていた。
「前より少し弾速が上がっているみたいですね。さすがです。しかし!」
リュウトはそう評価しながら両手の二つの剣を使ってスティンガースナイプを叩き落とす。
もちろんそれは普通の斬撃では無い。魔力を乗せた斬撃である。さらに後ろから迫っているアクセルシューターも瞬時に展開した防御壁で全て弾く。
だが、その隙を狙ってフェイトが懐に侵入してきた。
「たあっ!」
一閃。
しかしそれはルシュフェルの刃によって受け止められていた。フェイトの斬撃は速い。だがそれを簡単に受けるようにリュウトもまた、速かった。
「甘い!」
そう告げ、リュウトはルシュフェルとせめぎ合っていたバルディッシュの刃を押し返す。その瞬間に左手に持っていたラファエルで斬撃を加えた。この二つのデバイスによるコンビネーションこそがリュウトの戦闘術の根底だった。
「くっ!」
それを何とか受け止めるフェイト。受け止めたバルディッシュの表面に展開した防御壁のおかげで大した怪我は負わなかった。だがリュウトは既に次の行動に入っていた。
「ルシュフェル! カートリッジロード!」
<Load Cartridge.>
右手に逆手で保持されているルシュフェルの刃の無い上部がスライドし、空薬莢を排出。それと同時に、彼の周りにダイヤ形の漆黒の結晶が出現する。それは結晶の角をフェイトに向けるように空中に横たわり停止し、その結晶の周りにリング状の結晶と同色のスフィアが発生した。
「フェイトちゃん!」
遠くからなのはが援護しようとする。だが遅かった。
もうすでにリュウトはルシュフェルをフェイトの方に指し向けている。
<Crystal Bullet.>
「クリスタルブレット! ディスチャージ!」
リュウトの掛け声と同時に、幾つもの黒い結晶が放たれる。その先にいるのはもちろん、フェイトである。その結晶はまるでミサイルのようにフェイトに迫っていく。
「バルディッシュ!」
<Auto Defenser.>
フェイトの声に応え、バルディッシュは自動展開式防御壁を展開する。しかしそれはすべての結晶を弾き返すことができず、壁は砕かれてしまう。
「キャアアァァァ!!」
クリスタルブレットの直撃を受け、フェイトは砂漠の中に落下していく。それを更に追撃しようとリュウトは新たに魔法を放とうとしたが、それを許すなのはとクロノではない。二人は左右に分かれ、お互い砲撃魔法の準備をする。
「レイジングハート! カートリッジロード!」
<Load Cartridge.>
レイジングハートから複数の空薬莢が排出され、桜色の魔力がレイジングハートの先端に集まる。
<Divine Buster, Extension.>
「ディバインバスター! シュート!」
なのはは自分が最も得意とする砲撃魔法を放った。その光は瞬く間にリュウトへと近づく。
この砲撃魔法は使い勝手の良さから、なのはが多用している魔法である。
「ブレイズキャノン!」
<Blaze Cannon.>
クロノもそれと同時に砲撃を放つ。
このブレイズキャノンはなのはのディバインバスターとは異なり、熱量による純粋な破壊のための砲撃魔法である。
左右からの同時砲撃。
これも本来そう防げるものではない、だが。
「ルシュフェル、ラファエル。カートリッジロード!」
<<Load Cartridge>>
リュウトは回避行動もとらず空中にいた。もちろんそれは全て計算され想定された事。ここで回避を行えば、おそらく無傷ではいられない上、大きな隙をつくってしまう。そう考えた彼の行動は迅速だった。
ルシュフェルのマガジンが薬莢を送り出し、ラファエルのリボルバーが回転する。そしてルシュフェルとラファエルを腰のホルダーに収めた。
「ディメンションシールド」
<<Dimension Shield.>>
そして、左右を一瞥したリュウトは両手を左右の破壊の光へと向ける。
それと同時に、彼の足元にミッドチルダ式の魔法陣が描かれる。その色はなんの濁りもない漆黒だった。
そして両の手の先に防御壁が展開される。それはシールドにぶつかったディバインバスター、ブレイズキャノンの双方の出力を削り始める。
本来リュウトはカートリッジを使用しない防御壁を使う。だが今回のこの挟み撃ちはさすがに防ぎきるのは無理と判断し、彼の使える中での最高の防御壁<ディメンションシールド>を展開した。
但し、この防御壁は作り出すためにカートリッジを一発消費する。
だが完全に削り取る前に、リュウトの目の前に突如フェイトが出現した。もうすでにバルディッシュを高々と振り上げている。
「ハァァ!」
再びフェイトはリュウトに斬撃を与えようとする。今は両手が塞がっており、腰にかけてある二つの剣を取ることは出来ない。
(もらった!)
フェイトは心の奥でそう叫んだ。
だがバルディッシュの刃がリュウトに届くことは無かった。バルディッシュの柄の部分を、リュウトは振り上げた足の装甲で受け止めていた。
「なっ!?」
「はぁ!」
驚きを隠せないフェイトの側面に、砲撃魔法二つを受けつつリュウトがもう一方の足で蹴りを入れる。
フェイトは「くっ!」と呻きながら再び地上に落ちていった。だが今回はただ落ちるだけでは無かった。
「バルディッシュ! カートリッジロード!」
<Load Cartridge.>
バルディッシュのリボルバー式カートリッジシステムが回り薬莢を装填する。それと同時に、フェイトの左手の周りにスフィアが発生する。
<Plasma Smasher.>
「プラズマスマッシャー。ファイア!」
落下しながらの砲撃。だがそんな荒業だからこそリュウトは対応に遅れた。未だに両手は塞がっており、防御は難しい。
「ちぃ!! ラファエル! カートリッジロード!」
<Load Cartridge.>
舌打ちしながら腰に収めているラファエルにカートリッジロードを命令し、ラファエルのリボルバーが回る。
「プレイスシフト!!」
<Place Shift.>
ラファエルが発動の言を発した瞬間、リュウトはプラズマスマッシャーの射線上から忽然と消えていた。無論、ディバインバスターやブレイズキャノンの射線からもである。
「なっ!」
「えっ?!」
両側からリュウトを狙っていた二人もさすがに驚いたようだった。だがその時間が、二人の運命を決した。
「カートリッジロード!」
<Load Cartridge.>
上空。さきほどまでの戦闘空域よりさらに上に、彼は居た。
ルシュフェルのマガジンが動き、空薬莢が排出される。その数、二。
「クリスタルソード、ジャッジメントシフト!」
<Crystal Sword, Judgment Shift.>
リュウトの周りに無数の結晶でできた剣が浮かぶ。それは先ほどフェイトが受けたクリスタルブレットと同様の結晶であった。だが今回は数が半端ではない。空一面が剣で埋め尽くされている。
「ディスチャージ!」
その掛け声と共に剣は大地に降り注ぐ。
いや、その結晶の剣はなのはとクロノに向かってぐんぐん加速しながら向かっていく。
「れ、レイジングハート!」
<Load Cartridge, Protection Powered.>
「くそ!」
<Protection.>
なのはとクロノはお互い防御魔法を繰り出す。
だが、クロノのストレージデバイス<S2U>の出力では防ぎきれず、防御壁は崩壊した。このストレージデバイスにはレイジングハートのようなカートリッジシステムは搭載されていない。
「うわぁぁぁーー!」
クロノは大量の剣の斬撃を受け、地上に落ちていく。なのはの防御壁も限界が来たのか、ヒビが入り、そして割れた。なのはもまた直撃を受ける。
「キャァァァー!!」
落ちていく二人を見ながらリュウトは「ハァ…ハァ…」と息を切らしていた。
魔力の密度を高めて結晶化し、貫通力を高めたクリスタルブレットとクリスタルソード。
その中でもジャッジメントシフトはその威力、数ともに非常に強力な攻撃魔法だが、その分魔力の消費も激しい。しかもその前に使ったプレイスシフトも、その特殊な用途上、大量に魔力を削るのである。
上位のAAAクラス以上の魔導師でも、この二つの魔法を同時に使うことは出来る者は少ないだろう。地上に落ちたなのはとクロノは再起不能だと考えていい。
だがもう一人は。
<Plasma Lancer.>
「プラズマランサー! ファイア!」
そんな風にリュウトが思考を巡らせていると、下からフェイトの声が響く。
そうして地上から放たれた無数の稲妻は、リュウトを貫かんと迫ってくる。だが彼もそのときには既に準備は終えていた。
<Crystal Bullet.>
「クリスタルブレット! ディスチャージ!」
ルシュフェルをプラズマランサーに向けて掲げ、そう言い放つ。それに従って無数の結晶が宙を舞い、稲妻に襲い掛かった。二つの力はぶつかり消滅する。
だがフェイトはその隙にバリアジャケットをパージし、ソニックフォームになっていた。ソニックフォームは防御力が著しく低下するものの、スピードは格段に向上する。
更にバルディッシュも、アサルトフォームからハーケンフォームに変化している。
「ハァァァァ!」
「ツェェアァァ!」
フェイトのバルディッシュの刃とラファエルの刃。二つの刃は激しくぶつかり合う。だがその瞬間、フェイトの身体は動けなくなってしまう。
「っ?!」
いつの間にか、自分の回りが壁で閉ざされている。それはバインドだった。しかもリュウトの得意とするグラビティバインド。
高重力空間に相手を閉じ込め、いざとなれば超過重力を与え、相手を圧し潰すことができる。非殺傷が過半を占めるバインドでは珍しいものだった。
リュウトはこのタイミングを狙っていたのだ。フェイトがリュウトに格闘戦を仕掛け、一瞬動きが止まる時を。
フェイトは自らが得意とする近接格闘戦を好む傾向にある。それを逆手に取られた形だ。
「チェックメイト…ですね」
そうして今回の演習は終了した。リュウトの勝利という結末で。
「疲れましたねぇ、さすがに…」
辺境世界から管理局に戻ってきてのリュウトの最初の一言はそれだった。おそらくリュウトの後ろにいる三人も同じ気持ちだろう。
「おかえりなさい!!」
そんな三人を出迎えたのははやてだった。
なのはやフェイトははやての元に走っていき、「はやてちゃん!」「はやて!」と言って三人で抱き合っている。
今回の戦闘訓練をはやてが見ていることは二人とも知らなかった。
「提督。今回はありがとうございました」
リュウトとその微笑ましい光景を見ていたクロノは、リュウトに向かってそう言った。クロノにとってリュウトは信頼できる上官であって、兄弟子なのである。
「いや、こっちこそありがとう。まさか、あそこまでやるとは思いませんでしたよ…」
そうリュウトは苦笑していた。今回の演習はきつかった、リュウトはそう思っている。
実際、ルシュフェルもラファエルも、カートリッジは最終的に空だったのだ。あそこで更に攻撃を受けたら大変だっただろう。今回は交換用のカートリッジを持っていなかったのだから。
「でもさすがです。我々AAAクラス三人と同時に戦闘を行う。さらにその勝負に勝ってしまうんですから。さすがSSクラス魔道師ですね」
「お前、その言葉に少し嫌味を含めてませんか?」
そういってリュウトはクロノの頭にグリグリと拳を入れる。「痛たたたた!」とクロノは少し涙目になっている。この二人の昔からのじゃれあいだった。
そんな事をしていると、はやてが来た。後ろにはシグレが付き添っている。
「お疲れ様! リュウトさん! それにクロノ君も!」
そう言っているはやての笑顔は疲れを癒してくれる。精神的にだが、それでも疲れが引いていく気がした。
そして、その後ろからシグレが二人分の飲み物を持って来る。
「お疲れ様です主殿。どうぞ」
シグレは自分の手の内にあった一つをリュウトに手渡した。「ありがとうございます」と言って受け取るリュウト。そしてもう一つをクロノに渡す。クロノも「ありがとう」と言って受け取った。
(しかしクロノもそうだが、彼女達の成長ぶりには驚かされる……)
初めてリュウトとなのはが出会ったのはPT事件後での事情聴取だった。
リュウトは民間人でありながら事件解決に大きく貢献した少女に、直接会って労いの言葉を掛けたかったのだ。それに、部下が世話になったという事に関する礼もある。
それ故、時の庭園に増援として送り込まれたあと、アースラに残り彼女に事情聴取という形で会った。
あの時はまだ未熟な面が多々あったが、今ではそれがぐんと減ってきている。フェイトと出会った時も、彼女には今のような斬撃の重みは無かったし、あそこまでレベルの高い高速戦闘も出来ていなかった。
(彼女たちの強さ…、それはどこから…?)
「リュウトさん、どうしたんですか?」
考え込んでいたため動きが止まっていたのだろう。なのははリュウトに声を掛ける。その顔には少し心配の色が見えた。
「あ、いや。なんでもありませんよ」
そう言って自分の両手に輝く腕輪――待機状態のデバイス――を見る。この剣達もかなり安定してきたと実感する。
元々このデバイスの開発に使われたデータはベルカのアームドデバイスだが、そのシステムの根幹にはある特殊なデバイスのデータが使われている。
そんなデバイスに設計段階からの前提となっていたカートリッジシステムの搭載。魔力回路のさらなる改良に加え、圧縮速度を速めた。かなり複雑なデバイスなのである。
「そう言えば、お兄ちゃんがまた手合わせをしようって言ってました」
なのはが言う兄とは彼女の兄高町恭也の事である。以前高町家にお邪魔した際に、リュウトは恭也と手合わせをしたことがあった。
自分と同じ二刀流を使うリュウトに、恭也が手合わせを望んだ。彼からしてみれば自分たち以外で二刀流を使い、その上実戦でもその実力を発揮しているリュウトには並々ならぬ興味があったのだろう。
その戦いの結果は今のところ引き分けである。
一切の魔法を使わず、その身のみで戦うリュウトに対し、恭也も一切の技を使わず、純粋な剣での戦いとなった。
全く違うはずの戦い方にも関わらず、その動きは驚くほど似ていた。しかし、それは同じ実戦での戦いを前提としたものだから当然ともいえるかもしれない。
「分かりました。そのうち、またお邪魔するかもしれませんし」
なのはは「お待ちしてます」と笑っている。
彼女の家族はなのはが魔導師であることを知っている。だからリュウトは管理局での上官の一人として、家族になのはの事を報告するために、ちょくちょく高町家に顔を出していた。
もっとも恭也以上の強敵がそこにはいるのだ。
「さて、今日はこれで解散です。なのは君とフェイト君は寄り道せずに真っ直ぐ帰りなさい。クロノは私と情報を整理しますよ」
そこでリュウトは何かをふと思い出したように言った。
「ん? そう言えばクロノとフェイト君はもう義兄妹なのですか?」
その言葉に、クロノは「え、え〜と」と。フェイトは「…え〜と」と、ほとんど同じ反応をした。しかも二人とも顔が妙に赤い。別に照れる事は無いのに、とリュウトは思う。
フェイトは現在、リンディ提督から「養子にならないか?」と誘われている。フェイトはそれを承諾するつもりだが、まだ家族になるには至っておらず、クロノとフェイトは未だ兄妹にはなっていない。
「まぁ何はともあれ。家族は大切にしてください。あとで悔いが残らないように…」
その言葉に特に意味は無いつもりだった。
だからこそ、彼はいつものような笑顔でその言葉を言う。だがクロノは、その言葉を聞いて一瞬体の動きを止めてしまった。
彼は知っている。彼の過去を。その時に受けた心の傷を。自分の家族を守れなかった自分をずっと恨んでいるという事を。そして家族を奪ったものへの復讐心が消えていない事を。
クロノは…知っていた。
「うーん、やっぱりこれじゃあダメかぁ」
「マリーさん、調子はどうですか?」
「うわっきゃあああああぁぁぁぁぁぁ!! て、てて、提督ぅ?!」
「そこまで叫ばれると、結構傷付くんですけど…」
仕事を終えたリュウトが姿を見せたのは、本局内にあるデバイスの管理施設だった。ここではデバイスの整備から開発まで、デバイスに関する諸々を行っている場所だ。
そこに勤めるレティ・ロウラン提督の部下、マリーの背後から、彼は声を掛けた。
そこで先ほどの悲鳴である。
もちろんリュウトは別に気配を消していたわけでもなく、ただ単にマリーが気付かなかっただけである。
「まあ、集中してたら気付かないかもしれませんけどねぇ」
犯罪者と勘違いされたと思っても不思議ではない悲鳴だった。施設の警備員が来ないことを確認して、リュウトは嘆息する。
「ご、ごめんなさい…」
マリーも謝るしかない。彼女に責任はあるのかどうか微妙なところかもしれないが、少なくとも悲鳴は上げてしまった。だからこその謝罪である。
「いや、こちらも突然伺ったので、すみませんでしたね」
「いえいえいえ! 気にしないで下さい」
結局、二人共頭を下げてしまう。この場合は誰が悪いわけでもないのでリュウトは話題を変えることにした。
「まあ、二人で謝っても仕方ないですから、この辺にしましょうか」
「そうですね」
「それで、どうなりましたか?」
そして、リュウトはマリーに向かって問いかける。
その目には戦闘の時のような鋭い光が宿っていた。その光が何を意味しているのかマリーには全く分からない。それでも、彼女は自分のやるべき事、自身の職務を果たす。
「例のデバイスの件ですね?」
「ええ」
リュウトから肯定の返事を受けたマリーだが、彼女は申し訳なさそうに視線を落とす。
「結論から申し上げれば、ほとんど進展なしです」
その言葉を聞いて、リュウトの瞳からフッと鋭さが消える。
「ふむ、やはりそう簡単にはいきませんか…」
「申し訳ありません」
マリーの言葉にリュウトはかぶりを振った。
「こればかりは仕方がありません。あのデバイスはそう簡単に作り上げる事は出来ないでしょう」
「しかし…」
マリーの謝罪に対するリュウトの答えは、彼自身の経験や知識から導き出されたものだった。
リュウトにとって、かのデバイスは最重要事項といえる。
それは、リュウトの今後にも多大な影響を与えるからだった。もしもあのデバイスが完成したとき、リュウトがどのような状況にあるか分からない。それだけ不確定要素が多すぎるのだ。
しかし、それでも成し遂げねばならない事がある。
「アレはすでに失われて久しいものです。完全な形で再現する事は、並大抵の苦労ではありません」
「ええ、分かっています。ですが、彼女の意思は固いようです…」
「承知しています。だからこそ私は彼女に協力する事にしたのですから」
リュウトは僅かに笑みを浮かべる。
「確かに、提督から頂いた資料は有効でした。進捗状況は…」
「それでも、完成には程遠い…ですか」
マリーの言葉を遮ったリュウトのその言葉に、彼女は表情を曇らせる。
「…その通りです」
「手探りですからね。この作業は」
「ええ、これほどまでに難航するとは…」
暗い顔でリュウトの言葉に返答を返すマリーに、リュウトは残り二つの用件のうち、一つを切り出した。
「それで、実戦に耐えうる状態に持って行けるまでどの位かかりますか?」
リュウトの問いに、マリーは顔を上げる。そして、リュウトに問いかけた。
「それは…、完全な状態で、ですか?」
「いえ、完全でなくとも構いません。安全であるという条件ですが」
それに対する答えをマリーは持っている。今現在可能な、数少ない事だった。
「3ヶ月乃至4ヶ月といった所でしょう。試作品の製作も進んでいますから」
マリーのその言葉に、リュウトは満足げに頷いた。
今はそれで十分と言えるだろう。この計画はそう易々と完遂出来るものでないことは、今までの経過で実感している。
「彼女もここにはよく来ているのですか?」
「ええ、ほとんど毎日のように…。ですが、あの子に出来る事は限られていますから…」
マリーはその時のことを思い浮かべているのか、やや辛そうな表情を浮かべた。
「しかし、彼女は自身の手で作り上げる事を望んだ。ならば、それを助けるしか我々には出来ることはないでしょう」
「そう、ですね」
マリーが小さく、だが確実に頷いたのを見たリュウトは、もう一つの用件を告げる。
リュウトにとってはこれがメインだと言えるかもしれない。
「テストを頼んでおいたデバイスはどうでしたか?」
リュウトの問いかけに、マリーはひとつ頷くと手元にあった端末を操作した。目的のものを見つけるとリュウトに示す。
リュウトはそれを見ながらマリーの説明を聞く。
「特に問題はありませんでした。特殊なデバイスとはいえ、これはすべて既存の技術で製作されていましたから」
マリーは資料を読みながら、説明を続ける。
「デバイスとしての完成度も、クロノ執務官のデュランダルとまではいきませんが、並のストレージデバイスとは一線を画しています」
リュウトはマリーの言葉を聞いて、目的のものが期待通りの出来であることを確認する。
「ですが、設計上の余裕はすでにありません。これ以上の改装は難しいでしょうね」
「それを承知で、設計し直したのです。これの原型になったものは、余裕を大きくとる事で発展性を持たせたものです。これも一種の完成形でしょう」
リュウトの言葉を聞いたマリーは、席を立つと部屋の奥へと入っていく、彼女が戻って来たときには、彼女の手にあるケースにはリュウトの目的の物が入っていた。
「こちらが、お預かりしたものです。ですが、これをどうして?」
「おそらく、これが必要になるでしょう。あの子はそういう子です」
マリーはリュウトのその言葉に、もっと別の理由があるのではないかと感じた。
「確かにそうかもしれませんが、試作品が完成するまで待てないんですか?」
「それでは遅いかもしれません。それに、これは保険でもあるんですよ」
リュウトはケースに入ったものを見つめて、そう答える。
「保険、ですか…。そんなにあの子が心配なんですか?」
「ええ、心配です。あの子は人の為に自分を犠牲にする。だからこその保険です」
「そう、そうですね。あの子にはこれからがあるんですから…」
マリーはその顔に微笑みを浮かべる。彼女が誰を想って笑みを浮かべているのか、リュウトにはよく分かった。
だからこそ、リュウトもまた笑みを浮かべた。
「ええ、そうですね」
「それで、これ、いつ渡すんですか?」
「そうですね…。出来るだけ早いうちに渡したいと考えてます」
リュウトは一瞬考えるそぶりを見せてから、マリーの問いに答えた。
「そうしてあげてください。あの子、提督の事たくさん話してましたし…」
「ほう、どんな事ですか?」
首を傾げたリュウトの言葉に、マリーは悪戯っぽく笑って言った。
「ダメですよ。秘密って言われてますから」
「まあ、そうでしょうね」
マリーの答えにリュウトは肩を竦める。
「でも、保険っていうくらいなんですから、特別な機能もあるんでしょうね」
マリーはリュウトの手にあるデバイスと彼自身に目を向ける。
その視線を受けて、リュウトは苦笑を浮かべた。
「ええまあ、ブラックボックスになっていますから、検査でも分からなかったでしょう?」
「そうなんですよ。折角隅々まで調べようと思ったのに、中枢以外にもブラックボックスあるんですもん」
「そういう人対策です」
「う…」
口を尖らせていたマリーだが、リュウトの切り返しに固まると、愛想笑いを浮かべる。
「まあ、正規のパーツだってことは確認できてますから、いいですけどね。ははは…」
リュウトはそんなマリーを一瞥しながらも、何も言わなかった。そして、ケース内のデバイスを見ながら、優しげな笑みを浮かべる。
「折角の保険がキチンと動かないと困りますからね。テストもそのためです」
「そうですよね。あの子の為のデバイスですから、頑張って貰わないと」
マリーの指ががケースを撫でる。おそらく、このデバイスを受け取る人物のことを考えているのだろう。
「ええ、しっかり頑張って貰わないと、ね」
「はい。…頑張ってね」
リュウトの言葉に頷くとマリーはケース内のデバイスに声を掛ける。起動していないので、その言葉に答えることはないが、マリーはそれでも良かった。
そして、マリーがリュウトの言葉の真意に、気が付く事はなかった。
(そう、保険です。私が誓いを果たす為の……)
第三話につづく
〜あとがき〜
読者の皆様、こんにちはこんばんは。悠乃丞でございます。
さて今回、<暗き瞳に映る世界>の第二話を書かせていただきました。前よりは文も安定してきたと思うのですが、皆様はどうお感じになられたでしょうか?
折角ですので、そのうち作品内のオリジナルキャラクターの紹介も出来ればな、と思います。
実ははやての関西弁が間違っていないかと、ビクビクしています。間違いに気が付いたらお教え願えればと思っております。
はやての関西弁ははやて役の植田さんが書いた京都弁よりの関西弁だそうなので、普通とは違うらしいです。だからこそこんなに苦労してるんですけどね。
まあ、はやてがリュウトと会話するときは、いくらか標準語喋ってくれますからどうにかなっております。
それでは、この話を読んで下さった読者の方々に感謝しつつ、あとがきを終わりたいと思います。皆様、ご縁があったら次のお話で会いましょう。