魔法少女リリカルなのは―――暗き瞳に映る世界―――
第二章
第二話
〈前奏〉
「はぁ!」
第161観測世界。
ここで今、一人の青年が両手に銃らしき武器を持ち、数多の敵と戦闘を繰り広げていた。
青年が戦いを展開している場所よりも遠くには剣を持った女性と、魔法杖を持った少女の姿が見えた。
ロストロギア<メイガスの鍵>の捜索を任された時空管理局所属巡航L級八番艦アースラは、調査開始から一週間後、ようやくメイガスの鍵を捕捉した。
しかし、今現在そのメイガスの鍵は暴走状態にあり、数多くの次元から魔法生物を呼び出し続けていた。
「さすがに…つらいですねッ!」
そしてそのアースラ所属の調査部隊を指揮する時空管理局提督リュウト・ミナセは、その魔法生物を殲滅すべく、戦い続けている。
彼の周りにいる魔法生物の多くは赤竜、しかし、その中には大型の亀のようなものまでいた。
この大亀、気性はおとなしいものの、一度戦闘状態に入ると魔法で攻撃してくる。赤竜と同様、厄介な相手である。
「ルシュフェル! カートリッジロード!」
<Load Cartridge.>
そのリュウトの握るデバイス、ルシュフェルとラファエルは、いつもの二振りの剣ではなく長砲身の銃になっていた。ルシュフェルのスナイパーフォームと、ラファエルのマグナムフォームである。
この砲撃形態は、デバイスフォーム、またはブレイド、スラッシュの両フォームでは使用できない高威力の砲撃・射撃魔法が使用可能になっていた。
どのような技術者がこのデバイスを作ったのか、比較的旧式でありながら強力なこの二機のデバイスが制式採用されなかった理由のひとつは、この使い手の負担や運用にかかる諸々のコストを無視し、純粋な戦闘効率と最適化のための情報収集しか考えない可変機構にあるといえる。
使用者自身にも高度な戦闘センスが求められ、一般的な魔導師では扱いきる事が出来ないのだ。近接戦闘と中長距離戦闘の両方を高いレベルで両立出来なければならないのだから当然だった。
オールマイティー、万能型といえば聞こえはいいが、実際に万能型といえる魔導師は少ない。大抵の万能型はほんの少し見方を変えるだけで器用貧乏に成り下がってしまう。全ての技能が平均以上でなければ万能型とはいえないからだ。
アースラ所属のクロノ・ハラオウン執務官もオールラウンダーといえるが、彼もまた多大な努力でその技量を支えている。
リュウトもこのデバイスを扱うために、かなり無茶な訓練も行った。当時所属していた隊の人々に手伝ってもらい、近接戦闘をメインとしている人物に教えを請い、遠距離戦のエキスパートと呼ばれる人にみっちりしごかれた。
その隊を最後にリュウトは執務官となったが、その時点では未だ二機のデバイスを使いこなしているとは言えなかった。
しかし、今までに所属した部隊からの推薦と、母の愛をしごきと一部勘違いしている面があるネコ型悪魔の謀略により、とある部隊で研修をすることになる。
その部隊でようやく、リュウトはこの二機を自分の戦友とするにまで技量を高めることが出来た。
その部隊の名は、戦技教導隊。 管理局で最高峰の実力を持った部隊であった。
リュウトはそこで最高レベルの技術を持った隊員たちにボコボコにされ、様々な戦闘技術を磨き、人に教える事で自らの知識を高め、人を率いる覚悟をより強固にし、その部隊から巣立った。
その後も何度か一緒に訓練をしているが、それなりに偉くなった今では、別の意味でも狙われるようになった。上官を合法的にタコ殴りに出来る機会はあまり無いらしい。
ルシュフェルの砲身の上部にある黒い部分がスライドし、空薬莢を一つ排出する。それと同時に、ルシュフェルの砲身の先端に魔力の光が収束していく。
「スパイラルバスター、ディスチャージ!」
<Spiral Buster.>
その砲身から放たれた破壊の咆哮は渦を巻き、赤竜の大群へと突き進む。そしてそれに接触した赤竜は胴体に大穴をあけられ、身を抉り取られ、崩れ落ちる。それが何度も放たれさらに数匹の赤竜、そして大亀をもなぎ倒した。
「はやて君! 今のうちに封印をお願いします!」
リュウトは少し後方で戦っていた少女、八神はやてに指示を出す。彼女は今回の戦闘が今の武器を使って初の実戦のため、最初は少し困惑気味だったようだが、今では慣れてきたようだ。一度は実戦を経験しているだけのことはある。
「はい! シグナム、援護を!」
「はい。主はやて」
その少女の傍らに、先ほどから剣を振るい戦っていた女性が敵を切り飛ばしながら近づいてくる。
はやての守護騎士、剣の騎士シグナム。
彼女はアームドデバイス<レヴァンティン>にカートリッジロードを命じた。レヴァンティンの嶺の少し上の部分から空薬莢が排出される。
「ぜあ!」
炎を纏ったレヴァンティンを、シグナムは一気に振り下ろした。その一撃により、はやての後方から近づいていた二匹の赤竜を切り飛ばす。
はやてはシグナムの援護を受けながら、目標である鍵の近くまで進んだ。しかし封印を阻止しようと、赤竜と大亀がはやてに近づいてくる。
「穿て! ブラッディダガー!」
<Bloody Dagger.>
しかし、はやての行動は迅速だった。
接近する敵を察知し、自らのデバイス――<B2U>に魔力を収束し始める。そしてそれに反応したB2Uは、はやての中に眠る力を解読、情報を入手し、その情報を力に変える。
そして放たれたのは、紅い鋼の短剣だった。6本の短剣は赤竜と大亀を敵と認識し、貫かんと突き進む。その短剣は随時方向を変え、迎撃を回避しつつ的確に敵の方へと進む。
短剣が赤竜と大亀に着弾し、爆発する。それを見たはやてはほっと胸を撫で下ろして鍵の封印に入る。
しかし、まだ敵は息絶えていなかった。
「主!」
それに気付いたシグナムは、自らの主に注意を促す。しかしそれは遅かった。既にはやての近くまで接近した大亀の前方に魔法陣が発生、魔力が収束し始める。
もちろんそれにははやても気付いている。しかし今、彼女は特殊なロストロギアである鍵の封印に専念しており、防御魔法を発動することが出来ずにいた。
「っ!!」
はやてが息を呑む。それは目の前に現れた破壊の光に対する恐怖故だった。
まだはやては実戦を殆んど経験していない。今回がまだ二回目だ。だからこそ、まだそういった緊急事態に対しての対処方法が分からなかった。
前回の戦いのとき、自分の周りにはたくさんの仲間がいた。
しかし、今回は自分を助けてくれるような存在は近くに居ない。主の盾となるはずの騎士も守護獣も今は遠く離れた場所で戦いを繰り広げているはずだ。
近くに居るシグナムも、赤竜に阻まれはやてに近づく事が出来ないでいる。
そこまで考えたはやてだったが、目の前の光が自分に放たれようとしている事に気付いた。
その視線の先で、ついに光が解き放たれた。
目を瞑り、自分に訪れるであろう衝撃を想像したはやての耳に、よく知るデバイスの合成音声が聞こえた。
<Dimension Shield.>
放たれた魔力の閃光。
しかし、それがはやての元に届くことは無かった。はやてと砲撃との間に割って入ったリュウトがディメンションシールドを展開、砲撃の魔力を受け止める。
リュウトは昔からこういった無茶な行動を取ることが多かった。それはもちろん自分の力を過信しているからではない。護るものはなんとしてでも護る、その精神がそれを成していた。
幾度も無茶を諫められたが、リュウトがそれをやめることはなかった。
ついには周りが根負けしてしまい、逆転の発想という事で無茶をしても死なないように鍛えようという事で決まったのだ。
「スティンガーブレット!」
<Stinger Bullet.>
ラファエルが主の行動を察知し、自動でカートリッジを装填する。
そして長砲身の銃から放たれたのは、五つの光だった。その光は一度は散開してしまうものの、リュウトのコントロールによって、まるで自我を持つかのように敵に向かっていく。
そしてその五つの光は最初の太さからより細くなり、巨大な針のようになって敵を貫いた。それが五度起こり、ついに耐え切れなくなった大亀がその身を沈めた。
「しっかり最後まで敵を見なさい。死にたいのですか?」
崩れ落ちる大亀を見下しながら、リュウトは背後にいたはやてに言う。
それを聞いてはやては「すいませんでした…」と言って頭を下げた。はやて自身、今のは自分のミスだと認めていた。
しかし、はやての方を向いた彼の顔は、顔こそ怒っていたがいつもの優しそうな目だった。
「分かれば良いのです。ですが、これだけは覚えておいてください」
<Sealing.>
最後の敵を倒し、リュウトははやてに代わって鍵の封印に入る。ルシュフェルをデバイスフォームに戻し、その剣先を鍵に向けた。
その瞬間、ルシュフェルの紅玉が光り、鍵を吸収する。ようやく封印完了だった。
今回の任務用に、リュウトのルシュフェルとラファエル、はやてのB2Uや他のデバイスにはメイガスの鍵を封印するための特殊魔法が組み込まれている。これは後から取り付けられたものであり、このミッションが終わったら取り外すことになっている。
それほど大きな容量を使う魔法ではないが、他に使い道がないのだ。
「いつでも私はあなたを守れる訳ではありません。それはヴォルケンリッターの方々も同じ事でしょう。あなたは自分一人で戦うには向いていないのかもしれませんが、それでも自分の身を守る事が出来るくらいになりなさい」
頷いたはやてを見てリュウトは微笑し、調査に来ていた者達に帰還命令を出した。だが少し、リュウトは気がかりがあった。
それは自らのデバイス事だった。
(確かにこのところ学習機能のおかげで安定はしてきた。しかし、私の反応速度には少しついてこられなくなったようだ…)
機能が安定してくる。それはこのデバイスに限って言えば性能が頭打ちになりつつあるという事だ。学習機能により発展してきた性能が限界になり、その分最適化が進んでいるということだった。
最適化が完全に済んでも、このデバイスは未完成であるという事は変わらない。試作品である以上、本来はデータを収集し、コアユニットを成長させる事が目的だからだ。
それでもここまでの性能を持っていたこのデバイスを賞賛するべきなのかもしれない。
(試作品ゆえの限界…。ここまでよく耐えられたというべきかな)
そう思いながら永遠に未完成なデバイスを握り締め、彼は帰還の準備をする局員達の方へと向かっていった。
「ご苦労様でした。ミナセ提督」
帰還したリュウト達を迎えたのは、リンディ・ハラオウン提督とクロノ・ハラオウン執務官だった。
クロノは今回、調査部隊には加わらず、非常要員として待機していた。それを命じたのはリュウトであり、シグレにもまた同様の命令を下していた。
<メイガスの鍵>という、未知の部分の多いロストロギアに対する安全策の一つだった。
「対象の確保は終了。武装隊も含めて、主立った被害もありません。」
リュウトの隣にいたシグナムがリンディに報告する。詳しい報告書は後でリュウトがまとめるが、彼女は簡単な報告を随時するようにしていた。情報の共有は円滑な部隊運用の基本だからだ。
「対象は私が保管庫に納めておきます。念のため、保管施設の監視体制を確認しておいて下さい」
リュウトが保管に慎重を期する理由、それは11年前の一件だった。
かつて、闇の書を輸送していた巡航L級二番艦エスティアに起こった悲劇。その一件で一人の提督が命を落としている。
クライド・ハラオウン提督。リンディの良人であり、クロノの父親だった。
その事件により、ロストロギアの輸送には危険が伴うという事を管理局は再確認したのだ。
「了解しました。機材、人員編制ともに再確認しておきます」
リュウトの指示を受けて、クロノが頷く。彼にもリュウトの考えは理解できた。あのような悲劇が二度と起こらないようにするには、出来うる限りの安全策を講じなければならない。
そんなクロノを見て、リュウトは微かな笑みを浮かべた。
「では、後の事はお任せします。はやて君、トレーニングルームまで来てください。昨日の続きをしましょう」
「はい。シグナムはどないする? 休むんなら後で起こしに行くけど…」
はやてが自分の隣に立つシグナムに尋ねる。
この少女は自分のことより他人を心配する傾向があった。そのため、例え自分が疲れていようと、シグナムの方が心配なのである。
「いえ、私もお供します」
はやてのその言葉を聞いたシグナムは即座に同行を申し出た。
彼女は最初からそのつもりであったし、はやての問いかけも予想していた。シグナムも段々とはやての行動が読めるようになってきているようだ。良い面も、そして悪い面も。
「ではリンディ提督、私たちはひとまずこれで。シグレ、君も同行してください」
「御意」
「気をつけてね。報告書はそんなに急がなくてもいいから」
「分かりました。姉さんもお疲れのようですから、早く休んでください。若くないんですから」
「そうね。そのうちリュウトにマッサージでもしてもらおうかしら?」
「ま、暇が出来たら姉孝行しますよ」
リンディは自分に背を向けて歩き出すリュウトに声を掛けた。それは昔から変わらないやり取り。リュウトの隣に居る人物が変わったりするが、自分が居るときは必ず声を掛けるようにしていた。
そしてふと思う。自分が見ている背中は随分大きくなった。もうその大きさはかつて自分が見送った亡き夫と同じくらいの大きさだろうか。
そして、いつかこの背中を見送るのは、別の、リュウトの一番大切な人の役目になる。
もしもそうなったら、きっと自分は心から祝福するだろう。その人と世間話をして、その人にリュウトの昔話をしてあげるのもいい。出来るなら、その人とあの子の子供も抱いてみたい。
しかし、同時にこうも思うのだ。
この役目を誰かに譲る前に、この背中を見送ってそのまま別れになってしまうのではないかと、この子はいつか自分に背を向け、行ってきますと言ったまま帰らないのではないか、あの日見送ったあの人と同じように。
リュウトには力も技術も、心もある。しかし、自分の命と他人の命を天秤にかければ、間違いなく他人の命を取る。なんの躊躇いもなくそうするだろう。
そして、自分が消えれば泣く人がいると知っても、それが変わることはない。
自分がリュウトの大切な人に最初に教えなければならないのは、その覚悟なのかもしれない。
あの人とこの子はよく似ている。自分の死に向けられる悲しみを知ってなお、進むのをやめはしない。おそらくクロノも同じだろう。
(悪い事は考えるものじゃないわね。リュウトにも言われたし、早めに休もうかしら)
そう思うのは、やはりリュウトのことを信頼しているからだろうか。
リュウト達に追いついたシグレがリュウトの横につく。これが本来のシグレの定位置だ。このところはその定位置もはやてに奪われ気味なのだが。
「あっと、一つ言い忘れていました」
訓練場に向かおうとしていたリュウトが、何かに気付いたようにリンディに少し真剣な表情で向き直る。彼女は何か重要な事なのかと一瞬顔を強張らせた。
「今日フェイト君はこちらに来ないのでしょう? ちゃんと連絡を入れてあげてください。彼女もアルフさんがいるからといって寂しい訳ではないでしょうしね。それに、まだしばらくは帰れそうにありませんから…。君もですよ、クロノお兄さん?」
クロノがこける。真顔で振り向いたものだから、もっと重要な事だと思っていたのだ。
それはリンディも同じようで、わずかに目元を引きつらせて笑っている。エイミィは普通に声を上げて笑っている。どうやら最後の『お兄さん』が効いたようだ。
リンディはこの青年が本当に自分達の事を考えてくれているのだと嬉しくなったが、その反面、申し訳なく思っていた。まだ十代の青年に、そんなに心配をかけてしまっているのかと。
「さて、行きましょうか。ヴィータ達も待っているでしょうし、ね」
そう言ってリュウトはクロノ達に再び背を向け、訓練場の方へと歩いていった。
その後ろ姿を見て、リンディは昔のリュウトを少し思い出す。
(ほんと、あの可愛かった子が、今ではあんなに逞しくなって…)
昔の彼、特にこのミッドチルダに来たばかりの頃は大変だったらしい。リーゼ達が彼に凄まじいまでの愛情を持って接したのは知っている。それもあるが、ここまでになったのは、単純に彼の強さもあったのだろう。
皆と打ち解けるようになってからは、リンディによく料理を習いに来ていた。今ではもしかするとリュウトの方が料理の腕は上かもしれない。
「ではリンディ提督。僕も書類整理がありますので、これで」
考え事をしていたリンディの横にいたクロノは一礼すると、自らの執務室の方へと歩いていった。
リュウトとクロノ。リンディにとっては二人ともかけがえのない子供達だった。しかし、リュウトとリンディの間には絶対的な壁があった。
そう、リュウトの本当の家族と呼べる存在は、もうこの世に存在しないのだ。
リーゼ達がリュウトに愛情を注ぎ、リュウトもまた、リーゼ達を家族と見ていたのも確かだ。しかし、それは二番目の家族でしかない。
家族に本物も贋物もないのかもしれない。いや、きっとないのだろう。しかし、リュウトが家族を失った事は、これもまた、厳然たる真実なのだ。
メイガスの鍵を確保して三日後、艦船アースラは管理局のドックに入っていた。この艦に目立った損傷はないが、それでもメンテナンスは本格的である。
今現在、リュウトとリンディは今回の件の会議に出ていた。とは言っても、殆どの報告はすでに報告書として提出しており、この会議はあくまで確認のためのものだった。
「以上が今回のケースにおいての報告になります。詳しい情報はお手元にある報告書をご覧下さい」
周りにいる提督達は報告書を読み、頷いていた。
ちなみに、この報告書はリュウトが一人でまとめ上げたものである。本来はシグレも手伝うべきなのかもしれないが、シグレにこういった仕事をさせると後が怖いため、リュウトが仕事をさせなかった。
お陰でしばらくの間、シグレはかなりの落ち込みようだった。
自分に補佐官としての才能が無いことは本人も分かっているのだが、シグレの中にある「主殿至上主義」の影響か、何事もリュウトの手伝いをしようとしてしまう。
「なお、今回の件で八神はやてが実戦に参加しました。判断能力等はまだ未熟ですが、資質は十分。また、指揮能力も潜在的には期待できると思われます」
それはリュウトの率直な意見だった。
はやてはまだ、なのはやフェイト程実戦経験は無い。そのため咄嗟の判断は鈍いものの、蒐集行使はまだほとんど訓練していないにも関わらず、時間こそかかるが既に使いこなしているようだった。
さらにはやてには、指揮能力も備わっていた。その証拠がシグナムとの連携である。はやてはまだ高威力の魔法はうまく扱うことができない。
それに比べてシグナムは攻撃力の高い技を多様し、逆に砲撃魔法、特に誘導操作系の魔法はあまり使えない。そのためアウトレンジが広いのだが、それをはやてがカバーし連携することで、より立体的な戦術が取れる。それをまだ幼いはやてはやってのけたのである。
しかも、シグナムのサポートだけではなく、敵の明確な位置、行動、それらを的確に伝え、効率の良い対処法を編み出していた。
「ふむ。確かに優秀のようだな、彼女は。今後もこんな働きを期待したいものだ」
他の提督も同じような意見を続ける。
だが結局のところ、この時空管理局はこんな子供にまで高い結果を求めるのだ。それがどうにもリュウトは気に入らなかったが、それが組織というものなのだと、既に理解していた。
自分自身もまた、高い結果を求められ、それを達成する事で現在の地位にいる。それ故、リュウトは彼らの言葉に何か言う事は無かった。
「では本日の報告会はこれで終了とする。以上、解散」
議長がそう告げると、会議室は少し騒がしくなった。リンディは会議に疲れたようで、リュウトの隣の椅子に深くもたれる。
「大丈夫ですか?」
リンディは「大丈夫よ」と笑って答えた。だが今回の事件はそれなりの重労働だったはずだ、疲れないはずは無い。リュウトでさえ、疲労は溜まっていたのだ。
そんな時、会議室の出入り口の方からよく知った声が聞こえてきた。はやてである。なぜここにいるのかは知らないが、一人の提督と何か話している。
それを見て、リュウトは彼女の方へと歩いていく。その提督を彼は知っているのだ。そう、前回のはやての処遇に関する会議で言い争ったのは、この提督なのだから。
「私の部下に何か御用ですか? カーライル提督」
その声に驚いたのか、少し動揺した様子で彼―――スコット・カーライル提督は振り向いた。リュウトがはやてを見ると、彼女は少し困惑しているような表情をしている。
「なに、実に優秀な人材なのでね。私の部下にでもならないかと…」
「提督」
カーライル提督が全てを言い終わる前に、リュウトはその会話を打ち切った。彼の言ったことが、嘘だという事くらい簡単に分かった。そして彼女になにを言ったのかも、大体予想はつく。
「彼女は私の部下です。そういった事に関しては、それなりの手続きを取っていただかなくては、ね」
だがリュウトはカーライルの話をそのまま通した。ここで事を起こしては面倒だと考えたのである。それにこの場にははやてもいる。あまり面倒な場面は見せたくなかった。
それを聞いたカーライルは「若造が…」と小声で言い、鼻を鳴らして去っていった。それを見届けたリュウトは、自分の目の前にいる少女の方へと視線を向けた。
「さてはやて君。何故君はここにいるのですか?」
さっきの会話がまるで無かったような顔ではやてに話しかける。現在、彼女には待機命令が出ているはずだ。もちろんここはそれほど厳格な場所ではないので、理由さえあれば出歩くことも出来るだろう。だがはやてがここに来る理由が、リュウトには分からなかった。
「あ、はい。その、ユーノ君がリュウトさんを探してしたので…」
それを聞いてリュウトは「あぁ」と、何か思い出したかのように頷く。以前頼んでおいたメイガスの鍵に関するデータだろう。
「今度帰還する時までにお願いします、と頼んだのは私でしたね」
後ろからリンディ提督が近付いてくる。先ほどまでのカーライルとのやり取りも見ていたようで、その表情には少し心配の色があった。
「ではリンディ提督。私はこれから無限書庫の方へ回っていきますので、これで」
「ええ。お疲れ様、ミナセ提督」
リンディの心配そうな顔も、いつもの調子で話しかけてくるリュウトを見ていて薄れていった。だが、やはりはやては何処か沈んだ表情をしている。
「悩み事があったら、私にも相談してください。少しは力になれるでしょうから」
はやての横を通り過ぎる時、リュウトは小声で言った。それを聞いて、はやての顔にも少しだけ笑顔が戻っていく。
(さて、今後連中はどう動くか…。それほど大きな動きは出来ないと思うが…)
そんなはやてに背を向けて歩いていくリュウトの瞳には、いつもと違う、冷たい光があった。
『ユーノ君! どこですか〜!』
無限書庫は大きい。それこそ艦のドックのような大きさだった。数多の世界の歴史を保存する場所といえばそれでお終いだが、これだけの大きな空間に入るだけの世界があるのだと、改めて思うリュウトだった。
しかも、ここの広さの所為で、中にいる人を探すのも一苦労だった。そのためほとんどの人間は念話を使用して相手を見つける。なにか探し物をする時も、念話で報告するのである。
『ミナセ提督。お待ちしていました』
リュウトの呼びかけから少し経って返事が返ってきた。遠くから一人の少年―――ユーノ・スクライアがこちらに向かってくるのが見える。
「申し訳ありません。頼んでおいた私が忘れてしまうとは…」
先日のメイガスの鍵の回収作戦の前に、リュウトはユーノにメイガスの鍵について、詳しく調べてもらうように頼んでおいたのである。ユーノも元々そのつもりだったのか、快く引き受けてくれた。
「あ、いえ、特に問題無かったので大丈夫ですよ」
リュウトから見て、このユーノという少年は非常に頼りになる人物に見えた。
まだ無限書庫の司書になったばかりだというのに、彼の能力は他の司書に比べて高い。スクライアの一族は探索者といえるほどに有能な一族だが、彼もさすがはスクライア族の一員だとリュウトは常々思っていた。
「では、報告を」
「はい。まずはこれを見てください」
無限書庫の内部は無重力空間となっていた。そのためリュウトとユーノはずっと浮きっぱなしである。そんな空間にリュウトは腕組みをして漂う。彼は集中力を高めるとき、幾つかの仕草をする。これはその一つだった。
「まず鍵の性質ですが、やはり今までの報告と同様、空間を制御することが出来るようです」
報告書をリュウトに手渡し、ユーノが説明に入る。リュウトも報告書、細かくいえば、報告書の入った携帯情報端末を片手で持ちながら、ユーノの報告を聞いていた。
「特定の空間と空間。これを繋げることで、多数の世界から魔法生物を集めたことは確かです。元々この鍵に防衛プログラムは無いようなので、集めた魔法生物をそれの代わりにしていたのかもしれません」
防衛プログラムが無いことは、今回の調査で分かったことだった。報告書にはさらに詳しくそれに関する情報が書き込まれている。おそらく新たに判明した能力を重点的に調べたのだろう。
「―――ですが。実は二つほど、不可解な点がありました」
いきなりユーノの声が沈む。リュウトも報告書から目を離し、ユーノの方へと顔を向けた。
「なんです? その不可解な点とは」
そのリュウトの言葉に答えるように、ユーノは報告を再開する。
「確かにこの鍵に防衛プログラムは存在しない…ハズなんです。でも昔の資料を調べてみると、なにか物理的な、いえ、物理的効果は副産物かもしれませんが…。とにかく、正体不明の攻撃で何人もの魔導師が命を落としているんです。そして、それは一般的な魔法生物ではなく、なにか特殊な存在の攻撃を受けたようです」
確かにそれはおかしい。防衛プログラム以外でそんな生物は存在するはずは無い。だが、この書庫の資料が防衛プログラムは無い、と判断しているのなら、そんな存在はないはずだ。
「それから、鍵の暴走に関する記述がありました。それによると、かつてメイガスの鍵が暴走した後、幾つかの世界が消滅しています。しかも次元震などの災害ではなく、他のことが原因で、です」
リュウトもそれには驚いた。世界は次元震と呼ばれる災害によって消滅する事がある。だが、他のことが原因で消えるなど、今までに確認できただけでも非常に稀なケースだった。
「他のこと、ですか。それはまだ判明していないのでしょう?」
「…はい。すいません」
頭を下げるユーノを見て、リュウトは不謹慎ながらも苦笑してしまった。この少年、なのはやフェイト、はやてもだが、彼らは異常なまでに大人びている。それは悪いことではないが、リュウトは少し不安だった。
リュウト自身も昔は子供らしくない子供と言われたが、本人としてはなのは達の方がより大人びていると思っている。
「十分ですよ、この報告だけでも。本当にありがとうございました」
端末を手で軽く叩いて、リュウトは笑顔をユーノに向けた。そう、十分なのだ。この短期間でこれだけの情報を得られただけでも。
「では、君は少し休みなさい。明日はなのは君達も来ますから」
「え!! そうなんですか?!」
リュウトの言ったことは事実だった。明日、なのはとフェイトが合流する。はやての訓練のためでもあるが、フェイトの場合は家族に会いにくることも楽しみだろう。
「なのは君と、少しはじっくり話しなさい。仕事抜きで…ね?」
その言葉を聞いて、ユーノは少し顔が赤くなった。リュウトは知っているのだ。彼がなのはにある種の感情を向けているということを。それが片想いなのか、両想いなのかは定かではないが。
リュウトは何故か他人同士のそういった気持ちは理解できた。ただ、自分の場合。まったくもって気付かないのだが。
「はい! ではミナセ提督。また」
「ええ、お休みなさい」
ユーノが去っていくのを見て、リュウトは再び報告書を見る。二つの疑問、特殊な魔法生物と、そして複数の世界の消滅。この二つの事をより重点的に調べてもらおうと、リュウトは考える。
(その際には、なのは君に手伝いを頼もうか…)
まるで妹と弟の幸せを願う兄のように、彼は真剣に考えた。
無限書庫から出たリュウトを待っていたのは、人事部の人間だった。
副官選定が大詰めを向かえ、担当者がリュウトの執務室まで確認に来たのだ。最終決定権が人事部にあるとしても、リュウトの職務は多岐に渡る。それに対応できない副官では、新たに配属する理由がないのだ。
「ご苦労様です」
「いえ、仕事ですから」
リュウトの労いに、担当者はにこりともせず淡々と返す。人の流れを担当する人事部の人間としては、もう少し愛想があってもいいと思うが、この担当者は人事部でも有名な鉄面皮なのだ。
もっとも、リュウトは彼の理を優先する性格を好ましく思っており、人事に関する相談はもっぱら彼にしている。
「以前から話だけはありましたからね。しかし、相変わらず人気者ですね…」
そう言って担当者は僅かに眉根を寄せた。どうやら彼の表情を変えるほどの面倒事があったらしい。
「何かありましたか?」
リュウトの問いに担当者は表情を元の無表情に戻して答えた。
「実は、提督が副官を決めるという話がどこからか漏れましてね。それに合わせた転属希望がここ数日で結構な数が申請されたんですよ」
「それは…」
困ったような表情をするリュウトを見て、担当者は問題ないとでもいうように手を振った。
「提督の所為じゃありませんよ。それに、転属希望自体は我々の通常業務ですし」
結構な割合でリュウトの責任だと思うが、それを考えると担当者は余計な心労まで背負わねばならなくなる。それに比べたら、こんな理由で転属希望を出す局員に不満をぶつける方がまだ建設的だった。
リュウトの存在は管理局においてある種のブランドとなっていた。
管理局有数の使い手であり、地位も高く、性格も特別問題があるわけではないし、見た目も比較的良く、将来性もかなりのものとなれば、その存在が特別な意味を持ってくるのは当然の成り行きだった。
女性局員の間で行われる非公式の人気投票ではここ数年で順位を上げ、すでに上位の常連となっているし、若い男性局員からは歳が近いということもあって、気軽に話しかけられる上官として人気があった。
無論、全ての局員から好意の目で見られているわけではないし、露骨にリュウトを嫌っている局員もまた存在する。なによりも上層部の一部はリュウトに対して、現在進行形で様々な失脚工作を行ったりもしている。
それでも、総合的に見ればリュウトは管理局内外において、比較的人気のある人間といえるだろう。
提督になってすぐの頃、士官学校に特別講師として招かれれば会場は異様な熱気に包まれ、明かしてもいない誕生日には大量のプレゼントが執務室に届けられ、女性局員と雑談するだけで神経をすり減らす羽目になり、噂ではリュウトに直接書類を渡す仕事に、ローテーションが組まれている部署まであるという。
もはや、芸能人扱いである。もっとも、近頃はそれもだいぶ収まり、リュウトの周辺は平穏を取り戻している。
それでも、リュウトの副官という立場は様々な思惑を持った人々には、光り輝いて見えるものだったのだろう。
結果から見れば、選り取りみどりの副官選考となったわけである。
「それでですね。こちらで決めても良かったんでしょうけど、やっぱりこういう職に就いている人には極力合った人を副官にしたほうがいいだろうってことで、提督にお時間頂いたわけです」
担当者はそう言って、もって来た情報端末を操作する。すると、リュウトと担当者の間にあるスペースは映し出された映像で埋め尽くされてしまった。
リュウトはその膨大な情報に思わず顔を引き攣らせた。まさかこれほど大量に候補が挙げられているとは思わなかったのだ。
「まあ、掴みはこれでいいでしょう。では、こちらで選抜した候補を出しますね」
「………」
最初からそうしろ! リュウトがそう心の中で思ったのは間違いない。
仕掛け人の担当者にしてみれば、自分の仕事の苦労を手っ取り早く分かってもらうためにはこれが一番だったのだ。
「上層部のくだらない虫はこっちで駆除済みですので、ご安心を」
「お手数かけます」
獅子身中の虫とするべく上層部が様々な圧力とともに推薦した候補は、すでにこの担当者によって除外されている。この担当者が有能でありながら出世できない理由はここにあった。
自分の仕事に誇りを持ち、自分で定めた自分なりの法に触れる対象は、たとえ管理局のトップであっても決して許さない。だからこそ、リュウトはこの担当者に選考を任せたのだ。
担当者から見れば、リュウト個人を好意的に見ているわけではない。しかし、自分で納得できる仕事をしてくれと言われれば、悪い気はしない。
「提督なら益虫にすることも出来るんでしょうけど、あなたは非合法手段を一切使いませんからね。それに合わせてこちらもバッサリやらせてもらいました」
「ありがとうございます。それにしても、結構な数ですね」
最初から比べればその数は激減したが、それでも十人近い候補が残っている。もっとも、ここまで残ったのなら誰を選んでもリュウトに損はないだろう。
「それにしても、士官学校出たばかりの人材まで…」
「ええ、なかなか面白い人材でしてね。後数年もすれば化けますよ」
化けるまで激務に耐えられるか分からない。
「こっちは………戦技教導隊隊長の推薦って、あの人は何をやってるんだ…」
「提督が教官を務めた子だっていうじゃないですか。気心も知れてるでしょうし、能力もなかなかのものです」
別の意味で心労が溜まりそうなので、保留。
「―――お見合いじゃないんですけど………」
「巨大複合企業のご令嬢ですね。まあ、本人は家出したつもりみたいですけど」
絶対に別の騒動が起こるので、今回は不採用。
「誰ですか…?」
「レティ・ロウラン提督の推薦です。まあ、苦労症気味なのは上司の所為でしょうね」
弱点が丸分かりなので、却下。
「難しいものですね。皆さん優秀なのは分かりますけど…」
「そんなものです。副官として優秀な人材で、提督に合う人間となると、途端に減ります」
「………。まあ、そうでしょうね」
そう言いながら資料をめくるリュウトの目に、ある人物が留まる。
それは、リュウトと同時期に士官学校に在籍していた人物だった。もっとも、リュウトはその人物を知っているわけではない。単に履歴にそう記されているだけだ。
しかし、リュウトはその人物の名に―――正確には家名に聞き覚えがあった。
「これは…」
「やっぱり、気付きましたか。さすがです」
担当者は珍しくその瞳に笑みを浮かべ、リュウトの顔を見る。
その顔を見返しながら、リュウトは一番聞きたいことを尋ねた。
「…いいんですか?」
「使っていいのか、と聞かれれば、勿論と答えるしかありません。その候補はそこに書かれている通り、優秀な成績で士官学校を出ています。能力的にも提督には一番合っているでしょう」
「貴方が言うのなら、確かにそうなんでしょうけど…」
「本人の希望ではなく、かの家からの圧力ではありますが、今のあの家に提督に害を成すほどの力があるとは思えません」
資料にあったのは魔導師の名家として知られる名前だった。
過去、何人もの優秀な魔導師を輩出し、管理局にも影響力を持っていた彼ら。しかし、今現在ではその影響力はすでに無いに等しい。ここしばらくは優秀な人材を出す事が出来ず、凋落の一途を辿っているからだ。
「それに…」
「それに?」
「この候補は、私個人からの推薦です」
「ふむ…」
この担当者が自ら推薦するような人物。リュウトはこの人物に興味を持った。
そして、資料にある一文に、リュウトの目は引き寄せられた。
それは、この候補が優秀と言われる理由なのか。それともこの人物自身すらも疎む枷なのか。
リュウトの心は決まった。
「着任はいつになりますか?」
担当者はその言葉に、口の端を僅かに持ち上げた。それは無表情な彼が見せる笑みとしては、最上級のものだった。
この担当者は資料を全て読んでなお、あっさりと副官を決めたリュウトに感嘆を覚えたのだ。
そして、自分の眼に狂いは無かったと確信する。
この提督は大物になるだろう。
それが、彼には楽しみで仕方が無かった。
故に、彼はその笑みを浮かべたまま告げた。
「近いうちに、昇進と併せて」
「分かりました」
リュウトの返事は簡潔なものだった。それ以上は必要ないと考えたのだ。少なくともこの担当者ならばそれで事足りる。
担当者はひとつ頷くと席を立ち、執務室を後にした。
一人執務室に残ったこの部屋の主は、執務机に戻ると、すぐに別の仕事を始めた。
今は管理局の施設にある<メイガスの鍵>が、どのようなものなのか。彼には幾つかの不安材料があった。
ユーノよりもたらされた過去の記録。そして、管理局がかのロストロギアに何を求めているのか。それが、リュウトの脳裏ではどうしても繋がらない。
いや、繋がってはいる。しかし、何かが間違っているような気がするのだ。
しかし、考えても答えは出ない。だが、別の感覚が付いて離れない。
彼はため息を吐くと、椅子から立ち上がる。
そして、執務室の窓より外を眺めるリュウトには、この瞬間にも何かが始まるような予感が確かにあった。
その翌日。
収容された<メイガスの鍵>が、管理局の研究施設から、施設の1ブロックごと消失した…。
第三話につづく
〜あとがき〜
皆さんこんにちは、悠乃丞です。
さて、今回のお話は、この第二章で起こる二つの事件の始まりとなります。
つまり、ようやく第二章の物語が動き出します。
今まではある意味前奏部分、しかし、これからは一気に行きます。これ以降、おそらく5話くらいでしょうか。出来るだけノンストップで行きたいと思います。だって、短編はコメディなんです。話の腰を複雑骨折させる勢いで折ります。
なので、読者の皆さんの元気を分けてください。
それはともかく、シリーズ最大の規模になるであろうこの第二章。作者は二話同時書きをもって戦い抜きたいと思います。二話同時に書くと、意外とモチベーションが保てるのです。変な癖ですねぇ。
さあ、期待してくださっている皆様。期待はしていないけど読んで下さっている皆様。作者は頑張りますよ。
それでは、この辺で失礼させていただきます。次回の話でお会いしましょう。