魔法少女リリカルなのは―――暗き瞳に映る世界―――

 

 

 

 

 

第二章 

 

 

 

第一話

 

〈罪過〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時空管理局本局の中にある第三会議室は広い。本局内にある会議室の中にはこれよりもはるかに大きな部屋もあるのだが、それでもこの部屋が巨大であることには変わらない。

 

会議室の大きな長方形のテーブルの中心には大型の三次元モニターがあり、それぞれの席にもモニターと端末は備えられている。

 

その薄暗い部屋の中で、女性の声が会議の始まりを告げる。

 

 

「では、これより第一級捜索指定遺失物<メイガスの鍵>への対応について、会議を始めたいと思います」

 

 

 声と同時にモニターに資料が映し出され、上座に座っていたリンディ・ハラオウン提督が説明を開始する。また、その横には補佐としてクロノ・ハラオウン執務官も出席している。

 

 そのほかの席には提督数名と執務官十人程度、そして主席執務官であるリュウト・ミナセ提督もまた、この会議に出席していた。

 

そのリュウトの傍らには彼の使い魔であるシグレが付き添っていたが、彼女は席が用意されているにも関わらず、決してその席に座ろうとはしなかった。ずっとリュウトの斜め後ろに立ち、会議前に配られた資料に目を通している。

 

 

 「今回、辺境の次元世界で確認されたロストロギア、<メイガスの鍵>が次元干渉型ということは、すでに無限書庫のデータから確認されています。また無限書庫司書からの報告によりますと、まだなんらかの情報が無限書庫に存在する可能性が残っているため、引き続き調査を継続するそうです」

 

 

 次元干渉型、それはそのロストロギアの特性を表している。文字通り次元に干渉し、一定の効果を周囲に及ぼす存在、その中でも第一級ともなれば、なんらかの異常事態が起きた場合に大規模な次元震を発生させる危険性を含んでいた。

 

以前に高町なのはが偶然に遭遇した『ジュエルシード騒動』、または『PT事件』と呼ばれた事件の際にも、<ジュエルシード>と呼ばれる次元干渉型エネルギー結晶が事件の重要な部分を占めていた。

 

事件の主犯であるプレシア・テスタロッサは意図的にジュエルシードを暴走させ、次元震を発生させようとしていたからだ。

 

ちなみに話に出てきた無限書庫とは、この時空管理局内にある大規模データベースで、ここには数多の世界の歴史が詰まっている。その蔵書量は凄まじいの一言で、無限書庫とはよく言ったもので、パッと見にはまさに無限に書架が続いているように見える。

 

そして、そこの司書とは、おそらくなのはの知り合いであるユーノ・スクライアのことだろう。彼の情報収集能力は、数いる現役の司書の中でも群を抜いている。

 

 

(こういった会議は苦手だ…)

 

 

リンディ提督、クロノ執務官の説明を聞きながら、リュウトそんな不謹慎な事を思った。元来こういった会議は好きではない。大体の事は資料を読めば分かるからだ。

 

それでも立場も責任もある身である。自分の肩に何百何千の人間の運命が掛かっている以上、自分の好き嫌いは次元の彼方に放り投げてある。

 

一言聞き逃せば、大切な部下が一人死ぬ。一文忘れれば、大事な同僚たちが一部隊壊滅する。リュウトは昔とある現場でとある女性士官にそう教えられた。

 

その教えを彼に残した彼女も、今では職を辞して故郷で孫たちに囲まれて暮らしているはずだ。

 

そんな彼女も、どこで聞いたのか、提督就任のお祝いにと、自分と娘、孫娘たちの髪を使って作ったお守りを贈ってきた。

 

彼女の世界では女性の髪は戦場でのお守りとして古くから作られていたものらしい、特に母親や恋人、乙女の髪はお守りとして最高のものだという。任務前の雑談で、そう彼女が話しているのをリュウトは憶えていた。

 

お守りに同封されていた写真には、かつて現場でみた管理局の士官としての彼女ではなく、子供や孫に囲まれて彼らと一緒に幸せそうに微笑んでいる老齢の女性が写っていた。

 

その写真の裏に書かれた一文、

 

 

<私たちが、貴方が守った笑顔よ>

 

 

その意味を未だにリュウトは理解しきれていない。それでも、自分でも何かを守れると教えられた。だからこそ、今の自分が在るのだと思うようになっていた。

 

 

 

そして、リュウトは少し前の『闇の書事件』の終結直後の会議の事をぼんやりと思い出していた。彼が最大限の信念をもって臨んだ会議のことを…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それではこれより、『闇の書事件』に関する審議を始めます」

 

 

そんな声と同時に中央の大型モニターに、ある人物の顔が映った。

 

八神はやて。

 

『闇の書事件』の当事者の一人である。リュウトは今のところ直接会った事は無いが、彼女のことは良く知っていた。

 

この会議は八神はやての裁判に対する管理局の意見を纏めるためのものだが、実際はこの場ではやて達の処遇が決定されるといっても過言では無かった。

 

 

「八神はやて。出身世界は地球、年齢は九歳。今回の事件では…」

 

 

リュウトの前に座っていた人物が立ち上がり、説明を始める。

 

説明を聞いているリュウトの周りの席には、幾人もの提督が座している。その中にはリンディ提督、レティ・ロウラン提督などの顔見知りもいた。

 

そしてリュウトの斜め後ろには、秘書官として同席しているシグレが直立不動で説明を聞いている。

 

そしてリュウトも、資料に目を通しながら報告を聞く。

 

 

「そんな事はどうでもいい!!」

 

 

説明が終了間際になった時、机を拳で叩きながら声を上げ、一人の老人が立ち上がった。老人といってもまだ五十代ぐらいだろうか、頭の随所に白髪が見える程度でそれほど年老いては見えない。

 

 

「あの忌々しい魔導書のせいで、どれほどの被害が出た?! 管理局の人員だけでも、かなりの数の被害が出ておるのだぞ! それも合わせれば今回の件は非常に凶悪な事件だ!!」

 

 

かなり声が大きい。もはや怒鳴り声といってもいいだろう。

 

それだけ熱心ともいえるのだろうが、どこかその熱心さがずれているような気がしたのは、おそらくリュウトだけではないだろう。

 

 

「確かに今回の件でこの娘は我々に協力し、その力もあって闇の書を消滅させる事が出来た。しかし、もしこの娘が我々を裏切ってみろ。守護騎士のヴォルケンリッターとやらが裏切ってみろ。それこそとんでもない事態を招く!」

 

 

老提督は会議室に集まった人々を見回しながら声を上げる。大仰な身振りも加え、自分の意見を発する。

 

 

 「あの本の主になった時点で、すでにこの娘は信頼できる人物では無くなっているのだ。あの魔導書が…闇の書がなんらかの細工をこの娘のリンカーコアに植えつけていたら、それこそあの呪われた魔導書の思うツボではないか!」

 

 

会議室の中が騒がしくなる。列席している人物たちがそれぞれ近くにいる人物に話しかけているようだ。おそらく老提督の意見について相談しているのだろう。

 

だが、リュウトは先ほどから全く動いていない。資料に目を落として会議室の喧騒など関係ないと言わんばかりの態度だった。

 

それでも彼の横にいるリンディやレティの顔には、焦燥の色が滲み出してきている。

 

リンディがリュウトの顔を覗き込むが、彼はやはり何の反応も返さなかった。この会議において、身近で一番頼りに出来るのはやはりリュウトだが、この様子では、あまりあてには出来ないようだった。

 

彼の過去を考えれば、それも無理からぬことかもしれないが、それでも彼は私怨で事を判断する人間ではないはずだ。そう思い直し、少しでもはやてを守るべくリンディが席から立ち上がった。そしてほぼ対面に位置する老提督に対し反論する。

 

 

「お待ちください! それはあくまでも推測です! そんな事が起こるという確証はどこにもありません!」

 

 

確かにそうだった。

 

先ほどから老人が言っている事はあくまで推測。確証は無い。だが、それでも老人は引き下がらなかった。

 

 

「この中で、すでに闇の書に人生を狂わされた者もおるだろう。それを許せというのか? ワシは許さん! 断じて許さん!」

 

 

老提督は勢い良く反論する。その内容は私怨そのものだったが、あながち的外れでもないように周囲の人間には聞こえた。

 

 

「ワシの息子も闇の書に喰われた。命を奪われたのだ! その事を許す気など、断じてないわ!! あなたもそうであろう? リンディ提督」

 

 

隣にいたレティには、同僚の歯を食いしばる音が聞こえたような気がした。

 

老提督の言うとおり、実際に闇の書の被害者の遺族は管理局内外にそれなりの数がいる。そしてこの部屋に中にも、この会議に出席している者の中にも、そういった人物は何人か居た。

 

いきなり室内の喧騒が大きくなる。老提督に追従して彼の周りにいる出席者が「その通りだ!」や「私も許せん」などと声を上げる。彼ら以外にも、議場の各所から同じような意見がリンディやレティの耳に入ってくる。

 

そんな中でもリンディとレティは必死にはやて達を擁護した。しかしそれでも、その騒ぎが収まる事はなく、むしろ声は大きくなるばかりであった。

 

 

「ワシは闇の書の元マスター、八神はやての凍結封印を提案する! もちろん守護騎士たちもだ!」

 

 

それは八神はやてや守護騎士たちにとっても、彼女たちを弁護しているリンディ達にとっても最悪の展開だった。

 

そんな彼らを嘲笑うかのように、もう既に出席者の大半はその案に賛同している様子だった。確かにそうすれば当面の危機は避けられる。

 

また、被害者の遺族への配慮にもなるだろう。そして何よりも管理局としての面目も立つ、かつて闇の書を転生させてしまった汚名を雪ぐ事が出来るからだ。

 

しかし…。

 

 

(…もはや彼女の味方は姉さん達ぐらいなものか。しかし、これでは茶番だ。そして、何よりも私の目的が果たせなくなる。―――ならば私は、それを成させるわけにはいかない…!)

 

 

と心の中で思い、リュウトは手を挙げる。それと同時に「その意見には反対です」と声を上げた。

 

その静かな声は、しかし、しっかりと会議室中に聞こえた。必死で抗弁していたリンディやレティも彼を驚いたような顔で見つめている。ここまで不利な状況ではいかなリュウトといえども風向きを変えることは難しいはずだ。

 

何より今まで黙っていたのに何故?

 

 

「なっ!?」

 

 

封印を提案した老提督が驚く声が、リュウトの耳に聞こえた。

 

この老人は知っているのだ。リュウトもまた、闇の書の被害者であるという事を。そしてリュウトが、復讐に燃えていたことを。

 

 

「何故だね?! 君もまた被害し…」

 

 

「そんな個人的な意見はどうでもいいのですよ、提督」

 

 

リュウトは老人が全てを言い終わる前に、彼の言葉を切り捨てた。

 

彼は椅子からゆっくりと立ち上がると出席者を見回した。その目には、鋭い光がこもっていた。

 

 

「この審議は時空管理局における公式の会議のはずです。そこに個人的な意見を持ち込まないで頂きたい」

 

 

老提督に鋭い視線を向けながら、リュウトは静かに言葉を続ける。

 

 

「今現在のマスター、八神はやて自身は凍結封印されるほどの重犯罪者ではありません。そもそも彼女が闇の書の主になったのは今から約七ヶ月前です。それ以前の事など、この審議には直接関係無いでしょう。お門違いということです。それとも、彼女に闇の書の罪、全てを償わせるとでも仰るつもりで?」

 

 

老提督は大きな驚愕をその顔に張り付けている。そして、その老提督の意見に賛同していた者もまた、驚きの眼差しをリュウトに向けていた。

 

リュウトはそんな驚きの視線を全身に浴びながらも全く気にした様子も見せず、自分の後ろにいたシグレから新たな資料を受け取る。このような事態になるだろうと予測していたため、シグレに追加の資料を頼んでおいたのだ。

 

そしてその資料を読みながらリュウトは淡々と語った。

 

 

「彼女、八神はやてがマスターになった日から、事件による死者は皆無。また、魔力蒐集を直接行ったのは守護騎士ヴォルケンリッターですが、彼らも八神はやて以前の歴代マスターの内の誰かが夜天の書のプログラムを改変したため、なんらかのバグが発生していた可能性があります」

 

 

時折資料に目を落としながら、流れるように言葉を紡いでいく。

 

はやて封印に向かっていた流れを、リュウトはコントロールし始めていた。流れを止めるのではなく、自分の望む方向に進路を変える。言葉を発する度、審議の場はリュウトに掌握されつつあった。

 

 

「それでも、彼女達は八神はやての意思を尊重し被害を抑えています。その上で、幾度か交戦した管理局所属の嘱託魔導師が、第三者からの介入を受けて騎士との交戦中に傷を負った際にも、その騎士は救援が来るまでその嘱託魔導師を守っていた、という報告もあります」

 

 

その事は全て事実だった。ヴォルケンリッターの将、剣の騎士シグナムは砂漠で時空管理局嘱託魔導師フェイト・テスタロッサと交戦中、第三者がフェイトを背後より奇襲し傷を負わせた時にも、フェイトの使い魔、アルフが来るまでずっとそばにいたのだ。

 

 

「更にいえば、この子、八神はやてもまた、かの魔導書の被害者です」

 

 

リュウトは資料から顔を上げ、まっすぐに前を見つめながら言葉を続ける。

 

 

「彼女は闇の書の侵食を受け、両足が動かなくなっていました。それに加えて両足以外の身体機能にも異常が出ていたようです。しかし、それでも彼女は必死に生き、現在に至っています」

 

 

会議室は静寂の只中にあった。リュウトの言葉によりすでに封印論は勢いを失っていた。

 

しかし、老提督がリュウトに反論する。

 

 

「ミナセ提督、君の意見はもっともだ。しかし、八神はやて、彼女が私たちと同じ被害者だという言葉は許容できんな」

 

 

リュウトが封印反対論を述べている間に少し頭が冷えたのか、老提督は先ほどとは打って変わった静かな声でリュウトに向かって喋る。

 

 

「彼女が闇の書の主になってから数ヶ月間は、確かに彼女は単なる被害者だっただろう。それに関してはわしにも異存はない。しかし、その後はどうだ?」

 

 

 老提督はリュウトに視線を向けたまま、喋り続ける。

 

その視線にはリュウトに対する敵意が見え隠れしていた。

 

 自分と同じ被害者なのに八神はやての弁護をするリュウトは、彼にとっては裏切り者に等しかったのだ。

 

 

「守護騎士たちは幾人もの魔導師を襲い、管理局に対しても明確な敵対行動をとっている。その事実を八神はやては知らなかったというが、知らなかったこと自体が罪だとは言えんかね?」

 

 

 リュウトは老提督の正面に立ちながら黙って彼の話を聞いていた。老提督にしてみれば、闇の書の主である以上、守護騎士たちの監督義務がはやてにはあるという自分の意見に反論できずにいると思っていた。

 

 事実、老提督の言葉を聞いているリンディたちは、一度はこちらに傾いた審議が、再び封印論に傾いてしまうような危機感を抱いていたのだ。

 

 

「無知は罪…ですか。貴方の意見は分かりました。確かに、八神はやてには騎士たちを監督する義務があった。それは本人も認めています」

 

 

「ならば!」

 

 

ようやく口を開いたリュウトの意見に、老提督は自身の勝利が目の前にあることを感じた。しかし、リュウトは変わらぬ静かな声で老提督の言葉を遮った。

 

 

「…しかし、それは平時の場合です」

 

 

 リュウトの目に、再び強い光が宿った。

 

 

「騎士たちが蒐集行為を行い始めた理由を、あなた方はご存知でしょうか?」

 

 

リュウトは出席者たちを見回す。その言葉を受けて、何人もの出席者が資料を確認し始めるのがリンディたちの目に映った。彼らは資料を渡されていながら、事件全体の概容を確かめるだけで、それ以上の情報を得ようとしていなかったのだ。

 

彼らにしてみれば結果のみが重要で、守護騎士たちの事情など知った事では無いのかも知れない。

 

それでも全ての出席者がそのような人間ばかりではなかったのは、管理局としては幸運といえるだろう。

 

この資料には、事件を担当したアースラのクロノ・ハラオウン執務官をはじめ、何人もの人物からの報告書が含まれていた。リュウトはそれをすべて確認したうえで、反論を始めたのだろう。

 

 

「彼らが蒐集行為を始めた直接の原因は、主である八神はやてが闇の書に侵食され始めたことが挙げられます。侵食を抑えるためには、闇の書の管制プログラムを復活させる必要があった。そして、そのために蒐集行為が必要になったのです」

 

 

 リュウトは出席者一人一人を見ながら言った。

 

 

「彼らにしてみれば、他に方法が無かったのでしょう。自分たちは追われる身、その追っ手である管理局に助けを求めるわけにもいかなかった。先ほどのように、八神はやてごと封印されるのが目に見えていましたからね」

 

 

 その言葉に、何人かが顔を俯かせる。リュウトの言葉を否定することは、彼らには出来なかった。

 

 

「それがどうしたっ! 彼らのやった事が帳消しになるわけではあるまい!」

 

 

 一時は冷静になったかに見えた老提督だが、リュウトの言葉を聞いて議場の雰囲気が変わり始めると、ふたたび声を荒げ始めた。

 

 しかし、リュウトは彼の言葉を一蹴する。

 

 

「ですから、平時では、といったのです。私は守護騎士たちが行った蒐集行為を、当時はまだ民間人であった八神はやてを救うための緊急避難措置と考えます」

 

 

 会議場が急激にざわめき始める。

 

彼らの動揺も無理からぬ事だった。八神はやてや守護騎士たちが犯した罪の中でもっとも重きを置かれていた蒐集行為が緊急避難ともなれば、彼らに対する罰は急激に軽くなる。

 

そして、彼らにはそれを否定するだけの論拠が存在していなかった。

 

 

「無論、彼らの行為を全て緊急避難と認める訳にはいかないでしょう。しかし、彼らの置かれていた状況を鑑みても、彼らの罪状が凍結封印を行うほどとは考えられません」

 

 

 リュウトに反論しようとしていた老提督の機先を制するように、彼は一気に決着をつけるべく自らの意見を述べていく。

 

ここで決着をつけなければ、いくらリュウトが高い影響力を持っていても泥仕合になりかねない。それほどまでに、はやて擁護に回っている人間は少ないのだ。

 

この会議に出席しているメンバーの中では約半数がはやて封印を目指す一派、残り半分の殆どが中立といくらかの穏健派で占められている。とはいっても、彼らは積極的にはやてを擁護するような真似はしないだろう。そうなれば残りの一割にも満たないメンバーだけがこの場でのはやての味方ということになる。

 

つまり、ここで決着をつけなければ、いずれは数で押し込まれてしまう。そうなる前にこの審議での結論を出さなければならないのだ。

 

 

「これら全ての状況を含めて、私は八神はやてと守護騎士ヴォルケンリッターを、保護観察処分とすることを提案します」

 

 

会議場の喧騒は頂点に達した。先ほどの提案とはほぼ正反対の提案、そして、議場の空気はすでにリュウトの提案に傾きつつあった。

 

リンディはその様子を半ば呆然としたように見ながら、リュウトの様子を窺った。自分たちでは数に押されるばかりで、同じ反論をして同じ提案をしてもここまで流れを引き寄せる事ができたかどうかは甚だ疑問だった。

 

ほんの少し昔、息子のクロノと一緒に遊び、学び、そして自分の料理をおいしそうに食べていた子供が、いつの間にやら大人の世界で戦うようになっていたことに、リンディは大きな驚きと頼もしさ、そして、少しの後悔を覚えていた。

 

 

「馬鹿をいうな! 保護観察だと?! それは事実上の無罪ではないか!!」

 

 

 自分たちから流れが離れ始めていることに、老提督や彼に追従していた者たちは気付いていた。だからこそ必死にリュウトに反論するのだ。しかし、すでに趨勢は決してしまっていた。

 

 

「保護観察と同時に、八神はやてに対して管理局への協力を要請します。此方から要請しますが、八神はやて本人は贖罪の意思を持っていますので、この話は受け入れられる公算が高いでしょう」

 

 

「しかし…!」

 

 

「ハラオウン提督、貴女は八神はやて本人に会っていますね?」

 

 

唐突にリュウトに質問されたリンディは、少し驚きながらもその問いに答える。

 

 

「はい。事件後に直接会って事情聴取をしています」

 

 

 その言葉に頷きながら、リュウトはさらに質問を続ける。

 

 

「そのとき、八神はやてはどのような事を言っていましたか?」

 

 

「闇の書が今まで犯した罪を、自分の騎士たちと共に償いたいと…」

 

 

「なっ…!?」

 

 

 老提督やその他の出席者も驚きの声を上げる。彼らにしてみれば、僅か九歳の少女がそのようなことを言っているとはとても思えなかったのだろう。

 

 

「ありがとうございます。これで本人の意思はほぼ確認できたといってもいいでしょう。ハラオウン提督もまさかこの場で嘘をつくような真似はしないでしょうしね」

 

 

 リンディの答えを受けたリュウトは再び出席者を見渡して話し始める。

 

 

「八神はやてが我々に協力するということは、彼女に従う守護騎士たちもまた、我々に協力するということです。AAAクラス以上の魔導師……彼らの言葉で言うなら騎士でしょうか。それが五人も戦力として加わるのです」

 

 

「万が一、奴らが裏切るようなことになったらどうするのだ?!」

 

 

老提督たちの抗弁にも全く動じず、リュウトは一気に畳み掛けるように喋り続ける。

 

 

「おそらく此方から要請しなくても、八神はやては自発的に管理局への協力を申し出てくるでしょう。そうなれば彼らが我々を裏切るような真似をする可能性は、ほとんど考えられません」

 

 

「八神はやては良いとしても、守護騎士たちが我々の指示に従うとは到底思えん!!」

 

 

老提督に追従していた別の男がリュウトに向かって怒鳴る。

 

 

「彼らは主である八神はやてに、絶対の忠誠を誓っています。その主が自ら管理局に恭順の意思を示している。もはや彼らが反抗する理由はありません。なによりも強制的に戦力に加えられるわけではないので、その力も最大限に活用できるはずです」

 

 

 管理局の魔導師全体の5%程度しかいないAAAクラスの魔導師、それが5人も確保できる上に、使い手の少ないベルカの魔法体系も直に戦力に組み込むことが出来る。

 

 しかも、ベルカの騎士は接近戦に特化し、ある意味ではミッドチルダ魔導師の天敵ともいえる存在である。それはつまり、管理局が対処している魔法を使う次元犯罪者たちの天敵ということでもある。

 

 一対一でベルカの騎士に勝てる魔導師がどれだけいるというのか。騎士というだけあって彼らの戦闘能力の高さは凄まじいものがある。

 

 管理局は慢性的な人手不足だ。

 

次元世界全体で見ても、管理局で通用するほどの戦闘能力を得るだけの素養を持つ魔導師など、そうそういるものではない。

 

その上、実力はあっても管理局に所属しない魔導師も多く、そういった者達が次元犯罪を起こした場合、管理局は対応に苦慮していた。

 

そこに振って沸いたかのような複数のAAAクラス以上の魔導師の参入。

 

 それは、管理局としては願っても無い朗報といえた。すでに中立派と穏健派ははやての保護観察処分に傾いているとみていいだろう。

 

 リュウトは反対派を抑えるべく、最後の仕上げに取り掛かる。

 

 

「それに、もし万が一彼らが管理局から離反するようなことになった場合は、私が直接対処します。これでもSSクラス魔導師とされた身、この命に代えても彼らを止めてみせましょう」

 

 

リュウトの実力は会議に出席していた者たちの間でも良く知られていた。ギル・グレアムの元で魔法戦闘の英才教育を受けたとされ、今現在でも彼のもとでいくつもの事件が解決へと導かれている。

 

犯罪者たちは彼がその場に現われただけで投降する場合もあるほど、彼の実力は内外に知られているのだ。管理局が彼をSSクラスとしたのは管理局の存在意義を強化する目的であったが、それは成功しているといえるだろう。

 

最後のリュウトの言葉が効いたのか。反対派の中でもはやてを凍結封印するという案はなりを潜め、その結果、この審議では保護観察と管理局への協力という処分で決まった。

 

それを受けて、このあと行われる裁判でも判決が下されるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議室から次々と人が退出している間、リュウトと舌戦を繰り広げた老提督は、一人席に座ったままだった。堅く目を瞑り、下を向いて肩を震わせている。

 

 

(何故だ! どうしてこのような軽い処罰で!)

 

 

どのような事態になったとしても、自分は何としてでも、この娘に、闇の書の元マスターに自らの犯した罪を償わせよう。

 

こうなれば守護騎士たちが管理局に反抗するように仕向けて、奴に、あの裏切り者に処分させれば良い。その後、奴の監督責任を問えば、ミナセも失脚させられるはずだ。

 

いや、八神はやてを確保してしまえば…。そう老提督が思考を巡らせている時だった。突如彼の脳裏に声が響いたのは。

 

 

『提督。あなたは私を敵に回すおつもりか?』

 

 

その声には殺意がハッキリと込められていた。その念話に驚いて老提督が目を開け、正面を見る。

 

そこには席を立ち、シグレを伴って退出しようとしていたリュウトの姿があった。その目はいつもの穏やかなものではなく、刃のように鋭い。

 

そして、その目にはあきらかな敵意が、老提督の老いた体でもハッキリと、そして身を震わせるほどの殺気が込められていた。

 

彼の使い魔であるシグレは主の様子に少しの疑問も持っていないように、彼の傍らに佇んでいる。しかし、彼女の体には主の命があれば、すぐにでも彼の敵を滅ぼせるように力が込められていた。

 

老提督はリュウトの意思に中てられ、動くことが出来ないでいた。

 

今なお現役で戦場を駆け抜けるリュウトと、すでに上層部のぬるま湯に浸かりきっていた老提督では、全く勝負にならなかった。

 

老提督は震えるように首を振る。そのしぐさを見たリュウトから、一気に剣呑な気配が消えていく。

 

そして、リュウトはもはや老提督に一瞥もくれることなく、シグレと共に会議室を出て行く。老提督には、その扉の閉まる音さえ聞こえてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

そして、正式に八神はやてとヴォルケンリッターの管理局入りが決定した。元々レティが戦力をまとめてゲットしようと画策していたらしく、彼らの入局は思ったよりもスムーズに進んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(やれやれ、あの時はまるで脅迫のような真似をしてしまった…)

 

リュウトは手にした資料に目を通しながら嘗ての会議を思い出し、苦笑する。

 

この会議も、詳しい事情説明とロストロギアの今現在までの解析結果が報告され、すでに終盤に差し掛かっていた。<メイガスの鍵>の特性や性質、対処の仕方などの説明はあらかた終了し、今は直接この事件を担当する部署の決定をしている最中だった。

 

 

「では今回の<メイガスの鍵>の調査と捜索については、巡航L級八番艦アースラに全権を任せたいと思います。意見、異論はありますか?」

 

 

リンディの隣にいた別の提督が出席者に意見を求めた。しかし意見、異論も共に無く、会議はアースラに探索の任を与えるということで静かに幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

しかし、リュウトの仕事はいまだに終わってはいない。この後は執務官合同会議、武装隊臨時編制会議と別の会議が二つも残っているのだから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先の会議の終了からしばらく後、リュウトはシグレに次の会議の資料を頼み、管理局内に数多ある休憩スペースでコーヒーを啜っていた。その背中には仕事に疲れたサラリーマンの哀愁が漂い始めている。

 

 

(働けど働けど我が暮らし楽にならず、ですか…)

 

 

リュウトは小さくため息を吐いた。会議に出るくらいはどうということもない。部下たちの命を預かっている事を考えればさしたる問題ではないからだ。

 

それでも、ため息ぐらいは勘弁して欲しいものだと思う。

 

先ほどの会議の後、リンディはクロノやフェイト、エイミィと共に、クラナガンで食事をすると言っていた。どうやらレティや彼女の息子のグリフィスと待ち合わせをしているらしい。その場に居たリュウトにも一緒にどうかと声をかけてきたのだ。

 

もっとも、リュウトはその話を断るしかなかった。

 

 

(というか、働けば働くほど忙しくなるのはどういうわけだろう…?)

 

 

 提督になる前は頻繁に彼らを一緒に出かけていたものだが、この仕事についてからはほとんどそんな機会も無くなってしまった。クラナガンにある自宅にも殆ど戻っていない。

 

 仕事中毒はクロノも同じだが、彼の場合はリンディやエイミィにより強制的に休息を取らされている。それに対して、肝心なところで何かをやらかすシグレによって、リュウトの休息は削られていく。すでに喜劇のレベルだった。

 

新しく秘書官をつけようかと思って、人事部に掛け合ったこともあったのだが、

 

 

「申し訳ありません! かくなる上は詰め腹掻っ捌いてお詫びをおおぉぉ〜!」

 

 

と泣き叫んだシグレが自刃しようとしたのでお流れになってしまった。

 

たまたま一緒に居たクロノやエイミィと共に、自らのデバイスで切腹しようとするシグレを必死に押さえ込んだのは懐かしい思い出だ。

 

かくしてリュウトの仕事は加速度的に増えている。このままでは執務室で管理局提督が過労死するという不祥事が発生してしまう。

 

 

(やっぱり、私に副官をつけるっていう話、受けようかな…)

 

 

 管理局ではいくつかの職に就いている者に副官をつけることがあった。

 

今まではシグレがその役目を務めていたが、この状況が続くのは彼女にとってもよろしくない。

 

シグレは主の役に立とうと必死で仕事をこなしているのだが、人には向き不向きがある。

 

書類の山を崩すなど日常茶飯事。任務内容に関する全く別のデータを送信してしまい、艦船が遭難しかけた事もあった。

 

果てはお使いで行った管理局の別区域において、痴漢されたと大騒ぎして犯人を叩きのめしたりした。警備員が止めなかったら何が起こっていたかは、想像もしたくない。

 

その後、事情を聞いたリュウトに対し、シグレは以下のように弁解した。

 

 

「この身は細胞の一片に至るまで主殿のものです。それをあの犯罪者は…、というか、主殿すら触った事のない場所を、ああも汚らわしい手で触られては主殿に対して申し訳が立ちません…。主殿もさっさと触ってくれればいいものの、主殿は潔癖というよりもっと別のものなんじゃないと常々思っているのですよ。この間もエイミィと話したんですけど主殿は士官学校の学生に告白されながらそれに気付かないという偉業を達成したそうではないですか。ふられた相手には同情してしまいます。しかもその後部下になったその女性に以前と変わらぬ態度で接しているそうではないですか。というか、その部下って誰ですかああぁぁ?!」

 

 

 などと結局、延々一時間に渡って語り続けた。

 

 しかも最後の辺りは、何故かリュウトがシグレに説教されるという状態になってしまい、当然ながら仕事は全く進まなかった。

 

 その後、痴漢を見つけたらとりあえず気絶させるだけに留めるよう、説得する羽目になった。

 

 結局のところ、シグレは武人なのだ。

 

 戦場を駆け抜け、主を守る事こそが彼女にとって一番の仕事であって、秘書のように人間関係まで気を使い、机に座って延々と書類を書くなど、生来の武人である彼女に耐えられるはずがない。

 

 それ以前に向かない。

 

 

(うん、やっぱりつけてもらおう。シグレもしっかりと話せば納得してくれるでしょう……たぶん)

 

 

 そう心の中で決断したリュウトは、どうやってシグレを宥めようかと考えつつ、次の仕事への英気を養うのだった。

 

 しかし、この後に彼の副官になる人物も、有能故にシグレに匹敵する個性の持ち主だという事など、神ならぬ彼が知るはずもない。

 

 彼がそれを知ったとき、それは仕事の効率が上がる代わりに、彼自身の寿命がどんどん削られるという事態になってからだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対策会議より数日後。

 

今日は休日のため、はやては管理局には出向いていなかった。そしてこの日は、リュウトがはやての家に出向いていた。これも観察官の仕事であり、決してサボりや敵前逃亡では無い。シグレの説得が困難を極めているわけでも無い。

 

 

「メイガスの鍵…ですか?」

 

 

八神家のソファーに座りながら、味わうようにお茶をすすっているリュウトに向けて、はやてはそう口に出した。

 

結局先日は会議が思ったより長引き、次の会議の予定も迫っていたために、結局B2Uの事は少ししか説明を受けられなかった。

 

 

「ええ、そうです。今回の件から、君にも調査に加わってもらいます。もっとも、あくまで私のサポート、ですが」

 

 

はやての事件調査への参加は、すでに決定事項だった。はやてはアースラ所属ではないため、今回はリュウトの部下として調査に加わる。すでにリンディからアースラ乗艦の許可も出ていた。

 

 

「しかしヴィータ。君はよく食べますねぇ…」

 

 

仕事の話をしている間、ソファーの前にあるテーブルでひたすらカステラを口に押し込んでいる紅い少女がいた。はやての調査参加という事から、彼女達ヴォルケンリッターも調査に加わる事となるのだが、この小さな騎士はまったく話を聞いている様子はなかった。そんなヴィータにリュウトも少し呆れた表情で苦笑を浮かべている。

 

 

「ふぁっへぼのむあめむば、むまみんまふぉん!」

 

 

もはやなんと言っているか、人間には理解できない言葉だった。

 

状況から考えれば「だってこのカステラ、うまいんだもん!」だと思われるが、定かではない。

 

ちなみにこのカステラ、リュウトのお手製だったりする。

 

彼は地球の和・洋・中の料理はある程度こなせる。強いて言えば和食が一番得意だが、もちろんこういった洋菓子も作れる。

 

他の世界の料理も作れるのだが、リュウト自身はあまり作らなかった。

 

 

「ヴィータ…。そんな急いで食べたら、喉つまらせるで〜」

 

 

はやてがそう言った矢先、ヴィータが突然暴れだす。どうやらカステラがのどに詰まったらしい。はやてが「そら言わんこっちゃない!」と言いながら、ヴィータの背中をさする。

 

それを見て苦笑いを浮かべつつ、リュウトはヴィータにお茶を差し出した。

 

 

「騒がしいな…」

 

 

そんなコントを繰り広げていると、シグナムがソファーの近くまでやってきていた。彼女は非番の時には剣道の道場に出かけ、先生として働いている。趣味も兼ねた仕事のため、給金は貰っていなかった。

 

そんな彼女だが、今日は出かけていなかったようだ。おそらく二階でレヴァンティンの手入れでもしていたのだろう。

 

 

「ああシグナムさん。今ちょっと仕事の話をしていましてね」

 

 

そう言ってリュウトはシグナムにお茶を出す。このお茶もリュウトが持ってきたものだった。彼はお茶好きのため、結構こういったお茶を貯蔵しているのだ。ちなみに今日はとある緑茶を持ってきている。彼個人としては一番お気に入りのものだった。

 

 

「仕事ということは、今回の事件の調査に主はやても?」

 

 

シグナムは渡されたお茶を持ち、リュウトの横に座った。

 

お茶を一口啜ったあと、「うまいな」という小さな呟きが聞こえたので、「それは良かった」と彼も小さく笑った。

 

 

「ええ。今回ははやて君にも加わってもらいます。あと、守護騎士の皆さんにも協力していただく事にになると思いますので、その旨よろしくお願いします」

 

 

リュウトが姿勢を正して座りなおして頭を下げる。

 

本来はそんな事をしなくてもいいはずだが、彼はそういった所で細かかった。礼儀を果たすべきところで妥協はしないのだ。だからこそ、部下からの信頼も厚いのだが。

 

頭を下げられたシグナムは、「あ、ああ。分かった」と、少し面食らいながらも頷いた。ヴィータはカステラを食べながら「任せとけ!」と元気よく言っている。

 

 

 

しかし、八神家全員分のカステラを一度に出さなくてよかった。

 

もし出していたら、すでに紅の鉄騎の腹の中へと消滅していたことだろう。ヴィータの取り分は通常の三倍近くにしたはずなのに、そのカステラはすでに最後の一口となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二話につづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜あとがき〜

 

 皆さんこんにちは、悠乃丞です。

 

 何人もの人から長編希望の声がありましたので、今回はついに第二章と相成りました。

 

 この第二章は大きく二つに分かれていて、実は予告編のほとんどが前半部分となっているのです。

 

 ちなみに第二章のテーマは“過去と業”です。

 

どのような展開になるかは楽しみにしてもらうとして、第二章は第一章よりも長いです。とにかく長い。この暗き瞳に映る世界という作品が、大体2426話となっていますので、第一章が短かった分、第二章やそれ以降の章は自然と長くなるのです。

 

 それはともかく、次回は第二話をお届けする予定です。今回は面倒な会議のシーンでしたが、次回はリュウト君のデバイスの別形態も登場予定です。

 

 リュウト君のデバイス、つまりルシュフェルとラファエルですが、正式にはルシュフェル・Type Pとラファエル・Type Pといいます。インテリジェントデバイスですので、喋ります。ボケます。ツッコミます。詳しい説明は作中でもされると思いますが、正式名称が出るかは怪しいので、ここで発表です。

 

 それでは、この辺で失礼させていただきます。次回の話でお会いしましょう。








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